EPISODE(番外編).
魚野川バトルツーリング!
第4章 猿の惑星!?


 食後一時間程下ってなんともショッキングな事実に気づく。目の前に近づいてくる橋および町がどうも見覚えある場所なのだ。そう先月のツーリングのときに見事な紫陽花の花をたたえていた六日町の岸辺である。目の前には坂戸橋が迫る。午前中六日町と思って通過したのは塩沢の前島橋か旭橋だったようだ。要するに午前中は全行程の五分の一程度しか進んでいなかったことになる。

 気分は「猿の惑星」のエンディングシーン、海岸で半身を砂浜に埋没させた自由の女神を発見したチャーリー=ヘストン演じるところの主人公テイラーの心境だ。

「なんだこりゃー!」

  と思わず絶叫する我々。周りにいる鼻の頭と頬を真っ赤に日焼けさせてまさに猿顔をしている三人を見るにつけて「猿の惑星」気分は募るばかり(そういえばabッチは「猿の惑星」のコーネリアスに似ていなくもない)。

 川原で地図を広げて計算するに、これまで実に時速わずか1・6キロの亀の歩みだったのだ。

  abッチとM田さんは、もうこりゃ酒でもないとやってられんと、そそくさとビールを求めて岸へ上陸していく始末。4時間半かけてやっと全体の3分の一なんだから、なんだかもうガックリもいいところ。果たしてこの先どうなることやらとかなり不安になる。

 ビールを飲みながら川原で休憩。休憩しながら順番にリカバリーやロールの練習を少し行う。最初は初心者のTヶ崎君に教えていたのだが面白そうとabッチもM田さんもロールの練習をしてみることに。勿論いきなりで出来るはずもなく、ひっくり返っては慌てふためいてカヌーの下からもがいて這い出して来る様がおかしいものだから、人のを見ては大笑い。

 ビールの勢いもあってなんだか元気が出てきたので再出発となった。この先はきっと釣師も少ないぞ、川幅もあるぞ、とそれぞれに慰め励まし合いながら、行けるところまで行こうと漕ぎ出す我々であった




 六日町ではその日夏祭の花火大会があるらしく川原の花火打上げ場では炎天下オジサン達がその準備に汗を流していた。川面を行く我々に

「沈してみせてくれ!」

 と野次が飛ぶ。聞くと昨日ここを通過したパーティーはエスキモーロールを披露して行ったらしい。そんな技量を持たない我々は

「変なことが流行ってるなぁ」

  とお茶を濁してその場を漕ぎ去る。

 その後も残念ながら釣師の数は減らず、ひどい所になると100メートルの間に30人はいる状況が展開する。坂巻橋の前後ではそれが300メートル程続いていたりする。午後はもう流石のabッチも疲れきったようで釣師との接触を控え積極的(消極的?)にライニングダウンかポーテージで難を避けている。それでも午前中と較べれば川幅のある所もありTヶ崎君も2、3箇所で白波を浴びてのダウンリバーの醍醐味を少し味わえた様だ。

   時刻は4時。やはりコース取りの違いで後続のab艇、M田艇とかなり差が開いてしまったので八海橋の左岸に着けて彼らを待つことにする。先月は同じスタート地点からここまでを約2時間半で下ったが、今日は途中昼ご飯を自炊したとはいえ既に6時間半を費やしている。今日のゴール地点と定めた浦佐まではどう少なく見積もってもあと2時間は要すだろう。

 地元の農家のオジサンが寄ってきて釣師が多くて大変だろうと労ってくれる。聞くと今日は上流の方で、どこかの主催による釣り大会があったようで特に釣師の数が多かったらしい。きっと気の荒い釣師はそれにエントリーしていた人たちかもしれない。今日はとんでもない日だったのだ。

 やがてabッチが15分ほど遅れて到着。どうするか相談する。ここで止めるとなると下流に置いた車をどうやって取りに行くかが問題になる。元気の良いものだけで川を下って車を取りに行くかとも考えた。

 さらに15分遅れてM田さん到着。

「ここで終わりにしましょうか?」

  言うか言い終わらないうちに

「うん、それがいいよ、それが。 車の回収方法を考えよう!」

  とM田さん。M田さん、頑張ったと思う。一番心優しいM田さんは釣師がいる場所はほとんどカヌーを担いでいたから今日一番お疲れのはず。M田さんの意見をなにより尊重しようと思う。


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