ノースキャロライナ 旅日記
その6
俺達の順番がやってきた。司会のおじさんが、シングルトンにバンド名を聞いている。124番とか言うのは聞こえたが、バンド名は聞こえなかった。いよいよ、マウントエアリーのステージだ。PAの返しスピーカーにWPAQの文字が見える。セッティングしている間に、バンド名が呼ばれる。声がかっこいい。いまWPAQでは実況放送してるぞとか、やってやるぞとか、落ち着きと元気な気持ちでいっぱいだった。とにかく緊張感はまったくなかった。夜の9時15分頃だったと思うがさすがに暗くなっていて、照明がちょっと眩しかった。
曲がはじまった。バンジョーは左端に位置した。いつもマイクのとおりが悪いので、マイクに密着する様に意識した。5分かそこいらの練習でステージになったが、メンバーに対する信頼感は充分だった。ジョンのフイドルが始まる。一発目の音が大きく出せるかどうかが勝負の第一歩だ。うまくいった。あとはジョンのフイドルを聞きながらどんどん進んでいく。
ステージを降りるとバンドメンバーと一緒に観客席に行った。ニバンドおいて「ラルフ・ブリザードとニュー・サザン・ランプラーズ」がでてきた。なんだか前にも見たことがあるような気がしていたが、ビデオで見ていただけで、本物は始めてだった。ゴーディのバンジョーはホントにああやって弾いているんだ。ストラップなしのフレットレスをひじで押え込む様にしている。
健ちゃんが言うには、アクションが高すぎてほかの人には弾けないようなセットアップだという。いつか親しくなって、触らせてもらおう。ジョン・Bが「ラルフ・ブリザードだ。あのフイドルは最高だ」といっている。みんなオールドタイムが大好きなんだ。グラウンドにはたくさんの人が椅子に座って見ている10mXlOmぐらいのダンスフロアがあり、思い思いにクロッグを踊っている。靴の音が響き渡る。若い女の子もたくさんいる。U.Gの地元の祭で娘たちがお囃子に合わせて夢中で踊るのと同じ感覚なんだろうな。
はっときがつく、どこで終わるか、どう終わるか何も決めていない。いや、英語が理解できていなかったのかもしれない。5回目ぐらいかと思う頃から、エンディングを意識し始める。こちらはいつでも大丈夫という体制を取って、がんがん弾いていく。ほかのバンドより少し長いかなあと思う頃、エンディングが来た。観客の反応も上々だった。これをラジオで聞けたらな−と思いながらステージを降りる。
Walt Kokenn 2004
Andy Edmonds 2004
身体が自然にゆれている。日本のバンドではこんな余裕を持って出来ることは殆どなかった。同じレベルの奴が揃うというのはこんなにも気持ちがいいものなんだ。バンジョーの音もしっかりとPAに乗っているのが、返しスピーカーで分かる。いいぞ、いいぞ。ずっと弾いていたいぞ。
健ちゃん達はみてくれてたかなと思うが、彼らもどこかで練習しているはずだから、無理だったろう。マサシとメリー・ルーも間に合わなかったようだ。でも、メリー・ルーにはいい仲間を紹介してくれて本当に有難うと言いたかった。