フッ素 Q&A

 

口腔衛生のひとつの指標とされる数値に「12歳児DMFT」があります。これは、12歳児における永久歯が、過去・現在においてむし歯になった本数を指します。WHOの目標は、平成11年までに3.0以下でしたが、日本ではかろうじて2.9を達成するに終わりました。ところが、平成3年からこどもたちのフッ素洗口を開始した当時の久米島具志川村においては、平成4年に7.6もあった数値が、平成11年には1.9まで減少しました。

この結果から、こどもだけでなくすべての村民がむし歯予防の恩恵を受けられる、水道水フッ素化の実施計画を推進しており、その説明用に使われた「フロリデーション問答集−久米島バージョン−」の抜粋を以下に掲載いたします。(水道水フッ素化とは慣用語で、正確には水道水フッ化物濃度適正化(略:フロリーデション)といいます。)

 

 

フッ素は必須栄養素ですか?

ns

WHO、FAO(食品農業機関)は、1974年に「ヒトの栄養所要量の手引書」の中で、フッ化物を必須栄養素として位置づけ世界各国に紹介しています。アメリカ、EUでは、すでに1日にとるべきフッ化物の適正摂取量の数値が決まっています。

 

フッ素化した水で食べ物の味は変わりませんか?

ns

現在、世界61ヶ国では、フロリデーションによる水を飲料水に使用するだけでなく、飲食物の製造にも使用していますが、飲料水の質を低下させたり、食べ物の味を変えるなどの報告はありません。もともとフッ化物は自然界のいたるところに存在しているため、水道の水源や地下水、地表水にある程度含まれています。

 

市販の美味しい水にもフッ素は入っているのですか?

ns

フッ化物は、私たちの身の回りに普遍的に存在する自然環境物質です。自然水を利用した市販の水、ミネラルウォーター等にも、微量なフッ化物が含まれています。

 

フッ化物添加された水を野菜や草にかけると影響がありませんか?

ns

地中に含まれるフッ化物の濃度は平均280ppmといわれており、野菜や果物にも0.1〜2.8ppmのフッ化物が含まれています。したがって、フッ化物イオン濃度が1ppm前後の水をかけても、野菜などの生育に影響はありません。

 

フッ化ナトリウムは劇薬であるといわれていますが、何から作られますか?

ns

むし歯予防に調整されたフッ化物(フッ化ナトリウム配合)製剤は濃度によって扱いが異なります。フッ素入り歯みがき剤は医薬部外品、フッ素歯面塗布法の溶液は普通薬です。フッ素洗口法の場合、水に溶かす前の顆粒状洗口剤は劇薬に指定されていますが、フッ素洗口を行う際の水に溶かした洗口液は普通薬です。なお、フッ化ナトリウムはフッ化物を含む、蛍石や氷晶石といった鉱物から作られます。

 

フロリデーションは、がんを発生したりその増殖を促進することはありませんか?

ダウン症のこどもの出生率を増加させることはありませんか?

ns

WHOや多くの国々の医学専門機関をはじめ、2000年9月にイギリス ヨーク大学が行った、フロリデーションに関する世界中の科学的論文の評価においても、いかなるがんの発生率や、がんによる死亡率を高めるという証拠はないと結論づけています。

また、ある古い調査で、フロリデーションとダウン症児の発生頻度に関連のあることが示されましたが、調査方法に重大なミスがあることがわかり、その説は否定されました。その後、多くの調査が実施され、1991年にアメリカ公衆衛生局が、フロリデーションはダウン症やその他の先天異常の発症に影響しないと公表しています。

 

フロリデーションは尿路結石の原因になりませんか?

慢性腎不全患者に悪影響がありませんか?

ns

尿路結石はカルシウムを成分とする結石であり、その原因や予防の面からフッ化物との関連を示すものは見あたりません。

動物で腎臓に影響が現れる飲料水中のフッ化物イオン濃度は約50ppmであり、現在推奨されている濃度(0.7〜1.2ppm)の飲料水からのフッ化物摂取で、腎臓に毒性を生じることはないとされています。また、腎臓の機能が極端に低下していて人工透析を受けている場合、その透析液は通常水道水を使用しないため、フロリデーションが人工透析に影響を与えることはありません。

 

フロリデーションはアレルギー反応をおこしますか?

また、アトピー体質の人がフロリデーションによる水を飲んだり、入浴に使っても問題はないでしょうか?

ns

WHOが、フロリデーションによって免疫反応やアレルギー反応が引き起こされることは全くないと結論づけています。ですから、アトピー体質の人にも安全です。

 

長期にわたるフッ化物の過剰摂取によって、体にどのような影響がありますか?

ns

いかなる薬や物質、栄養であっても、過剰に摂り過ぎれば体にとっては有害です。

歯が形成される時期に継続して長時間、過剰のフッ化物を摂取した場合に、歯のエナメル質に縞状の白濁が生じ、重度の場合は茶褐色に変色します。これを歯のフッ素症(斑状歯:はんじょうし)といいますが、この過剰摂取は約2ppm以上のフッ化物イオン飲料水の場合で、フロリデーションの約2倍以上の濃度の場合です。

さらに過剰な8ppm以上の地区に10年間以上暮らした人の約10%の人に、骨密度の増加、靭帯の石灰化、骨の異常突出などが生じます。これを骨のフッ素症(骨硬化症:こつこうかしょう)といいますが、この濃度はフロリデーションの約8倍以上に相当します。

 

WHOとはどんな機関ですか?

ns

WHOとは世界保健機関のことで、1948年に設立された保健衛生分野の国連専門機関のことで、その目的を、「すべての人民が可能な最高の健康水準に到達すること」と定めています。2001年5月現在の加盟国数は191ヶ国で、日本は1951年に加盟しています。

なお、WHOはフロリデーションをはじめとするフッ化物応用に関する推進勧告を、1969年・1975年・1978年の3回だしています。

 

 

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