第2回 安曇野検定(自然科学編)
一般の部 試験問題
問題51 ゲンジボタルは生息地によって発光周期が異なりますが、安曇野で6月から7月に見られるゲンジボタルの発光周期はどれでしょう。 1 2秒に1回 2 3秒に1回 3 4秒に1回 4 5秒に1回 私の解答 1 2秒に1回 ゲンジボタルの発光周期は、西日本のものは2秒に1回、東日本のものは4秒に1回と違いがあり、その境はほぼ糸魚川−静岡構造線といわれています。安曇野に生息しているゲンジボタルは、西日本タイプで2秒に1回です。 問題52 ゲンジボタルの幼虫が捕食する貝類はどれでしょう。 1 ウスカワマイマイ 2 オオタニシ 3 カワニナ 4 ナミギセル 私の解答 3 カワニナ 巻貝であるカワニナは、汚染の進んでいない水域に生息しているので、ゲンジボタルは渓流等に生息しています。 問題53 山麓沿いの社寺林でよく見かけ、ケヤキの洞などに巣を作ります。前足と後足の間の飛膜を使って空中を滑空し、「空飛ぶ座布団」とも呼ばれる動物はどれでしょう。 1 ムササビ 2 ハクビシン 3 アナグマ 4 ニホンリス 私の解答 1 ムササビ 問題54 ツキノワグマは、平成23年度に安曇野市内でも80件の目撃報告がありました。ツキノワグマの生態として適切でないものはどれでしょう。 1 若芽、草本、果実、ドングリ、昆虫(アリ、ハチ)などを食する雑食である 2 集団で生活する 3 30〜110kuの行動圏をもつ 4 行動圏が互いに重複している(なわばりがない) 私の解答 2 集団で生活する ツキノワグマは、集団でなく単独生活します。 問題55 長野県では2006年と2010年にクマが大量出没していますが、その原因はどれでしょう。 1 長雨により生息場所が深刻な被害を受けた 2 夏場の気温低下により、気温の高い低地まで出没した 3 なわばり争いに敗れた個体が、生息場所を求めて出没した 4 長期(夏〜秋)の深刻な餌不足のため 私の解答 4 長期(夏〜秋)の深刻な餌不足のため 最近のクマの大量出没は、里山の放置により森林と住宅地の境界があやふやになったところへきて、夏〜秋にかけての長期の深刻な餌不足が生じたことによります。 問題56 クマの年齢を調べるとき、体のどの部分から調査するでしょう。 1 歯 2 体毛 3 爪 4 頭骨 私の解答 1 歯 クマの歯は、冬場に歯のセメント質の形成が停滞するため、成長層という年輪のような層が出来ます。この層の数を数えれば、何回越冬したかがわかるのです。 問題57 クマによる被害がおこる主な原因として、適切でないものはどれでしょう。 1 トウモロコシ畑や廃果、残渣(ざんさ)などの誘引物 2 放棄された田畑のやぶ化 3 二次林(森林)の放置 4 サルの群れがクマを追い出したため 私の解答 4 サルの群れがクマを追い出したため 問題58 クマの被害対策として、駆除に頼らない対策も実施されていますが、それはどれでしょう。 1 森林の開発 2 電気柵の設置 3 ミズナラの伐採 4 ヒノキの植林 私の解答 2 電気柵の設置 基本的には、廃果や残渣などの誘引物(エサ)を除去し、やぶの刈り払いや二次林の間伐により緩衝帯を整備することですが、電気柵の設置が有効です。 問題59 長野県における野生動物の農林業被害額で、平成19年度以降、ある動物による被害額が急激に増大しましたが、どの動物による被害でしょう。 1 ニホンジカ 2 カモシカ 3 ニホンザル 4 イノシシ 私の解答 1 ニホンジカ 長野県における野生動物の農林業被害額は、平成12年度以前はニホンカモシカによるものが首位でしたが、平成13年度以降はニホンジカになり、特に平成19年度以降は急増しています。 問題60 ニホンジカは、安曇野市の東山に多く生息していますが、近年西山でもその姿が目撃されるようになりました。このニホンジカの特徴として、適切でないものはどれでしょう。 1 木の葉、草本、冬芽、樹皮を採食する 2 10頭前後の群れで生活する 3 季節ごとに移動する 4 一夫一妻である 私の解答 4 一夫一妻である ニホンジカは、10頭前後の群れで生活し、一夫多妻で、生活場所や食物を占有するなわばりを持ちません。 ニホンカモシカは、シカの名前がつきますがウシ科に属しヤギやヒツジの仲間です。群れを作らず単独か母子の2頭づれがほとんどで、一夫一妻で、同性に対してなわばりを持っています。 問題61 安曇野市の西山山麓一帯にはニホンザルが群れで生息していますが、ニホンザルの生態・習性として適切でないものはどれでしょう。 1 昼間に活動し、夜間は一箇所で休息する 2 群れで行動するが1頭ずつ自立している 3 4〜6歳で初産を迎え、15〜20歳で死亡する 4 雌は雄より強大な犬歯を持つ 私の解答 4 雌は雄より強大な犬歯を持つ 問題62 梓川や犀川、中房川に生息する樹木で、若木の木肌は白く、小枝が冬の間は美しい紅色に染まります。梓川と奈良井川の合流点付近にあるものは市の天然記念物に指定されているこの植物はどれでしょう。 1 オオタチヤナギ 2 ケショウヤナギ 3 ツクバネウツギ 4 オノエヤナギ 私の解答 2 ケショウヤナギ ケショウヤナギの名の由来は、若木の木肌が白い粉におおわれて化粧したように見えることからで、氷河時代の生き残りとされています。日本では、本州中部の上高地・梓川流域と、北海道の日高・十勝地方にしか分布しない貴重な植物です。 問題63 市の天然記念物のヒノキがある神社は吉野神社と、もう1つはどこの神社でしょう。 1 熊野神社 2 潮神明宮 3 住吉神社 4 賀茂神社 私の解答 3 住吉神社 問題64 昭和30年の南安曇郡誌において農作物を除く外来植物は約80種でしたが、平成20年に確認された安曇野市における外来植物の数はいくつでしょう。 1 約160種 2 約300種 3 約400種 4 約500種 私の解答 2 約300種 安曇野市における植物は、自生種が約2,000種、外来種が約300種です。 問題65 安曇野市で自然植生が残っている地域は、急傾斜地の尾根筋や谷間等の例外を除き標高約何m以上の地域でしょう。 1 約500m以上 2 約800m以上 3 約1,200m以上 4 約1,600m以上 私の解答 4 約1,600m以上 標高1,600m〜2,500mの亜高山帯や2,500m以上の高山帯には自然植生が残っていますが、500m〜1,600mの低山帯では、10世紀からの開発で、急傾斜地の尾根筋や谷間にわずかに残るだけです。 問題66 桜の名所の光城山に植えられているソメイヨシノは、花つきが良いのが特徴ですが、オオシマザクラと何の桜をかけあわせてできたものでしょう。 1 ミヤマザクラ 2 エドヒガン 3 カスミザクラ 4 チョウジザクラ 私の解答 2 エドヒガン ソメイヨシノは、オオシマザクラの大きくて整った花形の性質と、エドヒガンの花が葉より先に咲く性質を併せ持った品種です。残念ながら種子では増えないので、接木によって増やすしかありません。 問題67 安曇野市の原風景に屋敷林があります。屋敷林は安曇野の季節風を防ぐほかに、燃料や肥料、建築材等に重宝されてきましたが、もう1つの大切な役目はどれでしょう。 1 害虫から屋敷を守る 2 屋敷の乾燥を保つ 3 屋敷の鳥よけ 4 落ち葉や落ち枝の害を防ぐ 私の解答 2 屋敷の乾燥を保つ 屋敷林は、北アルプスの強い季節風から屋敷を守る防風林、防雪で屋敷の乾燥を保ち、建築材、薪が燃料、落ち葉が肥料と重宝されてきました。 問題68 安曇野市でも近年減少している植物のスイカズラの花は甘い蜜が特徴ですが、葉や茎は漢方薬とそのほか何に使われていたでしょう。 1 染料剤 2 床磨き 3 タバコ 4 入浴剤 私の解答 4 入浴剤 問題69 かつて「上米草」と呼ばれて田んぼの肥料に用いられ、5がつになると赤いじゅうたんを敷いたように安曇野の水田を彩る植物はどれでしょう。 1 ホトケノザ 2 アカツメクサ 3 レンゲソウ 4 イヌタデ 私の解答 3 レンゲソウ 5月になると、紅紫色の花が地面に広がって咲いていたレンゲソウは、化学肥料が使用される以前は緑肥として用いられていました。農家は、前年の秋にわざわざ種子をまきましたが、これはレンゲソウに土を肥やす効果があるからです。マメ科のレンゲソウは、根のところどころにある根粒というこぶに根粒菌をすまわせて窒素分をもらい、レンゲソウが窒素をたくさん蓄えた肥料みたいなものになります。田植えの前にこのレンゲソウを機械で土の中に混ぜ込むと、やがて分解されて土の中の肥料となるのです。 問題70 安曇野市の山地帯下部の植生について、500〜1,000mまでに分布している代表的なものは、アカマツ林、コナラ林とどれでしょう。 1 ケヤキ林 2 ウラジロモミ林 3 サワグルミ林 4 ミズナラ林 私の解答 1 ケヤキ林 ケヤキはニレ科の落葉高木で、安曇野市の木に制定されています。特に山地帯下部(500〜1,000m)に多く自生し、屋敷林にも使われています。 問題71 安曇野市にはブナ林があまり見られませんが、その理由として適切なものはどれでしょう。 1 標高が高いため 2 標高が低いため 3 湿度が高いため 4 湿度が低いため 私の解答 4 湿度が低いため 問題72 2007年春、市内の中学校の生徒が中心となって現地調査や整備計画の立案に携わり里山の動物園の保護・保全と自然観察を楽しむために造られた、ビオトープ池や自然観察ができる散策路などがある公園はどれでしょう。 1 かじかの里公園 2 龍門渕公園 3 自然体験交流センター・せせらぎ 4 黒沢洞合自然公園 私の解答 4 黒沢洞合自然公園 問題73 近年、帰化植物であるセイヨウタンポポが、北アルプスの燕岳で越冬して生育しているのが確認され、高山植物のミヤマタンポポとの交配が懸念されています。平地でも、在来種であるシナノタンポポとの雑種をつくり問題になっているセイヨウタンポポですが、1頭花におよそ何個の種子をつけるでしょう。 1 約50個 2 約150個 3 約250個 4 約350個 私の解答 3 約250個 問題74 長野県に分布する帰化植物の原産地を多い順に並べると適切なものはどれでしょう。 1 アジア>ヨーロッパ>熱帯アメリカ>北アメリカ 2 ヨーロッパ>アジア>北アメリカ>熱帯アメリカ 3 アジア>ヨーロッパ>北アメリカ>熱帯アメリカ 4 ヨーロッパ>アジア>熱帯アメリカ>北アメリカ 私の解答 2 ヨーロッパ>アジア>北アメリカ>熱帯アメリカ 長野県に分布する帰化植物の原産地としては、ヨーロッパの194種、アジアの141種、北アメリカの92種、熱帯アメリカの28種となっています。 問題75 長野県に分布する帰化植物が、日本に最も多く渡来したのはどの時代でしょう。 1 明治 2 大正 3 昭和(戦前) 4 昭和(戦後) 私の解答 1 明治 長野県に分布する帰化植物の渡来年代としては、明治時代に116種、大正時代に28種、昭和 (戦前)時代に53種、昭和(戦後)時代に95種となっています。 問題76 安曇野市でも駆除がすすめられている帰化植物で、他の樹木に絡みつき、覆い尽くして枯らしてしまう、繁殖力の非常に強い植物はどれでしょう。 1 マルバルコウソウ 2 アメリカネナシカズラ 3 マルバアサガオ 4 アレチウリ 私の解答 4 アレチウリ 侵略的外来植物であるアレチウリは、その旺盛な繁茂により在来の生態系を破壊し、動植物に悪影響を及ぼしており、環境省も駆除すべき「特定外来生物」に指定しています。ウリ科の一年生の植物で原産地は北アメリカ、日本へは輸入された穀物に混じって渡来したものと考えられ、国内では1952年頃確認されました。他のウリ科の植物と同様に長いツルを伸ばし、生育速度が非常に速く、長いものでは10m以上にもなります。この長いツルで他の植物に覆いかぶさりその植物の成長を妨げるので、原産地でも害草として知られています。 問題77 北アルプスに分布する高山植物の1つで、茎や葉に高山の寒さや強い日差しから身を守るための産毛のような毛がたくさん生えている植物はどれでしょう。 1 ミヤマタンポポ 2 ミヤマキンポウゲ 3 タカネヤハズハハコ 4 ミヤマサクラソウ 私の解答 3 タカネヤハズハハコ タカネヤハズハハコは、高山帯の草地や岩礫地、岩壁に生える、高さ10〜30cmの多年草です。花の下部は薄いピンク色を帯び、葉はやや肉厚で全体に綿毛をまとい光沢がなく白っぽく見えます。 問題78 高山帯の樹木は冬季の積雪や強風などにより、低い背丈で地表面に密着してクッション状に成長します。このような特徴を持つ北アルプスの樹木はどれでしょう。 1 ウツギ 2 イワウメ 3 ツリバナ 4 ヤマハギ 私の解答 2 イワウメ イワウメは、高山帯の岩礫地や岩壁に張り付くように生育します。枝が横にはうため背丈は低く、厚い葉が密生してクッション状になります。 問題79 燕岳を代表する植物で、高山植物の女王とも呼ばれている植物はどれでしょう。 1 クモマスミレ 2 コマクサ 3 コケモモ 4 タカネナデシコ 私の解答 2 コマクサ コマクサは、高山帯の砂礫地に群生して生え、高さ5〜10cmの多年草です。高山植物の女王と呼ばれていますが、名前の由来は、花を横から見るとちょうど馬の顔を正面から見た形となることからきています。 問題80 本州中部の高山のみに分布する「本州中部型」に分類される代表的な植物はどれでしょう。 1 コメバツガザクラ 2 キバナシャクナゲ 3 オヤマノエンドウ 4 アラシグサ 私の解答 3 オヤマノエンドウ オヤマノエンドウは、高山帯の草地や砂礫地に生え、高さ5〜10cmの半低木です。花は紫色で、名前の由来は高山性のエンドウという意味で、3〜4cmの実をつけます。 問題81 安曇野市は、湧水を利用したワサビ栽培で全国的にも有名ですが、近年地下水の減少により水温が上がり、ワサビ畑や水路に、ある帰化植物が増えてワサビ農家を困らせています。紫色の花をつけるこの帰化植物はどれでしょう。 1 オオカワヂシャ 2 アメリカスミレサイシン 3 シロバナシナガワハギ 4 ヨウシュヤマゴボウ 私の解答 1 オオカワヂシャ オオカワヂシャも、環境省が駆除すべき「特定外来生物」に指定しています。原産地はヨーロッパ〜アジア北部、国内では1867年頃確認されました。高さは0.3〜1m。開花期は4〜9月で花は鮮やかな青紫色です。 問題82 帰化植物“オオキンケイギク”は鮮やかな橙黄色でコスモスに似た花です。安曇野市でも川沿いや道路周辺に群生しています。その実(種)は風に飛ばされ易くするための特徴がありますが、その特徴とはどれでしょう。 1 線状になる 2 綿毛になる 3 翼がある 4 丸く平らになる 私の解答 3 翼がある オオキンケイギクも、環境省が駆除すべき「特定外来生物」に指定しています。キク科の多年草で、原産地は北アメリカ、1880年代観賞用・緑化用に導入されました。高さは0.3〜0.7m程度で、路傍・河川敷などに群生していますが、その実は翼があり、風に飛ばされやすい形態となっています。観賞用として導入されただけあり確かに綺麗な花で、中には栽培している人もいますが、是非駆除しましょう。 問題83 高山植物の分布の型の1つである「周北極型」の説明として適切なものはどれでしょう。 1 氷河時代の寒冷なときに分布し、寒冷地を好む 2 湿潤な気候で雪が多く、雪田周辺、なだれ草原などの雪の多い環境に生える 3 風衝地、礫原などの雪の少ない環境に生える 4 東シベリアの亜高山に広く分布する 私の解答 1 氷河時代の寒冷なときに分布し、寒冷地を好む 問題84 安曇野の原風景ともいえる水田の環境は、ここ40年ほどの間に大きく変わりました。「畦畔木」と呼ばれた立ち木の1つで、護岸や肥料の目的で植えられ、小正月の年中行事「萬物作り」で繭玉に見立てた団子を飾りつける際に使われる樹木はどれでしょう。 1 ヤナギ 2 ハンノキ 3 クロツバラ 4 ハリエンジュ 私の解答 1 ヤナギ 安曇野では、水田のほ場整備以前には堰の岸に、「刈り敷き」「畦畔木」と呼ばれる立ち木がたくさん生えていました。これらの木は、護岸及び肥料としての利用(刈り敷き)を目的として植えられ、一番多い樹種はヤナギ類でした。ヤナギの枝は、小正月に行われる民俗行事「萬物作り」に欠かせないもので、米粉で繭玉や米、野菜の形をした団子を枝にいくつもさし、神棚近くに掲げて豊作祈願を行います。現在、ほ場整備でヤナギが無くなってしまったため、時期になるとスーパーでヤナギの枝が売られています。 問題85 安曇野市内各地の池に見られ、羽を除く全身が真っ赤なことから、中国から伝わる伝説の動物にその名が由来するトンボはどれでしょう。 1 ショウジョウトンボ 2 アキアカネ 3 モートンイトトンボ 4 オニヤンマ 私の解答 1 ショウジョウトンボ ショウジョウとは、中国に伝わる伝説の動物で、赤い顔をしています。ショウジョウトンボのオスは、羽を除く全身が真っ赤なことからその名がつきました。 問題86 安曇野で絶滅が危惧されているオオルリシジミ、ヒメシロチョウ、ヒメヒカゲ、ギンイチモンジセセリに共通する生息環境はどれでしょう。 1 高山 2 森林 3 草原 4 河川 私の解答 3 草原 水田のほ場整備により草原が減少し、新たな整地には帰化植物のような復元が早く繁殖力の強い植物が幅を利かせてしまうため、食草とともに多くのチョウが姿を消しました。 問題87 穂高地区では、大型の蛾を使って光沢のある緑色の美しい生糸を生産しています。ヤママユと呼ばれるこの蛾の幼虫のことを何と呼んでいるでしょう。 1 天蚕 2 柞蚕 3 楠蚕 4 樗蚕 私の解答 1 天蚕 桑の葉を与え、室内で飼うカイコを家蚕と呼ぶのに対して、屋外で飼育する絹糸昆虫を野蚕と呼びます。ヤママユとも呼ばれる天蚕はその野蚕の仲間です。天蚕から採れる天蚕糸は、淡緑色で、独特の光沢と優美な風合いを持ち、その希少性から「繊維のダイヤモンド」とも呼ばれています。また、丈夫で軽くて柔らかく保温性に富むなど優れた特性があります。国内で初めて人工飼育したのは、穂高有明地区といわれています。 問題88 本州には9種類の高山チョウが生息し、その内の8種類が安曇野市に生息しています。次のうち安曇野市に生息していない高山チョウはどれでしょう。 1 ミヤマモンキチョウ 2 コヒオドシ 3 オオイチモンジ 4 ミヤマシロチョウ 私の解答 4 ミヤマシロチョウ 本州には、タカネヒカゲ、ミヤマモンキチョウ、タカネキマダラセセリ、クモマベニヒカゲ、ベニヒカゲ、オオイチモンジ、ミヤマシロチョウ、クモマツマキチョウ、コヒオドシの9種類が生息していますが、安曇野市ではミヤマシロチョウ以外の8種類が生息しています。 問題89 2度の冬を幼虫で越し、3年目の夏に羽化する高山チョウのタカネヒカゲは、研究者の田淵行男から敬意を込めた愛称で呼ばれていました。その愛称とはどれでしょう。 1 アカマツ仙人 2 ヒマラヤ仙人 3 ハイマツ仙人 4 クロマツ仙人 私の解答 3 ハイマツ仙人 タカネヒカゲは幼虫で2度の冬越しをするという、高山ならではの生活史をもつため、田淵行男はその高山に特化した生態から、「ハイマツ仙人」の愛称で呼んでいました。 問題90 畦畔木の1つ、クロツバラ(オオクロウメモドキ)の葉を食べて育ち、信州では高原のチョウとして知られている、安曇野からの衰退が著しいチョウはどれでしょう。 1 モンシロチョウ 2 ヤマキチョウ 3 ツマキチョウ 4 モンキチョウ 私の解答 2 ヤマキチョウ ヤマキチョウは、クロツバラ(オオクロウメモドキ)を食樹とするシロチョウ科の大型種です。信州では高原のチョウとして知られていますが、安曇野では水田のチョウでした。1974年の三郷地区の堰沿いにはクロツバラが多く、6月に入るとほとんどの木でヤマキチョウの幼虫が認められ、1本の食樹が50匹近くの幼虫で賑わっていたこともあるそうです。 問題91
1 マンジュシャゲ 2 トリカブト 3 クララ 4 スズラン 私の解答 3 クララ 本州からの絶滅が危惧されているオオルリシジミも安曇野に多産したチョウで、畦や堰周辺に生えていたクララを食草としていました。噛むと苦くて目がクラクラすることからその名がついたという毒草で、ウジゴロシとも呼ばれていました。殺虫剤の無かった時代は、刈り取って便所に入れるとハエの発生が幾分抑えられたといいます。日常生活には欠かせなかった植物で、農家は水田の片隅にクララを刈り残しておきました。そして、クララの花蕾しか食べないオオルリシジミが、人為的な影響を受けやすい水田周辺の環境に生息してきた背景には、点在していたクララを、そのシジミチョウらしからぬ飛翔力で結びつけていたことがあげられます。しかし、このクララとオオルリシジミのネットワークは、開発で断ち切られ、生息地は孤立し、やがて消滅していきました。 問題92
1 レッドロビン 2 クサギ 3 イチイ 4 コクサギ 私の解答 4 コクサギ 安曇野では、昔から民家周辺で黒いアゲハチョウが見かけられ、「カラスチョウ」とひとくくりにして呼んでいました。該当する黒いアゲハチョウは,カラスアゲハ・ミヤマカラスアゲハ・オナガアゲハ・クロアゲハ・ジャコウアゲハの5種類ですが、とりわけカラスアゲハとオナガアゲハが多かったそうです。その背景には、両種の幼虫の食草であるコクサギが、民家の垣根として広く利用されてきたことがあげられ、適度な木陰をつくる屋敷林と豊富な餌の垣根は、カラスチョウたちにとって条件の整った生息地であったことでしょう。 コクサギは、本来、山地の林下や谷間に生える落葉低木で、葉をちぎると鼻を突く臭気が出ることで知られます。独特の光沢で涼やかな景観やチョウの棲家を提供してきたコクサギの垣根ですが、道路の拡幅工事でブロック塀に取って代わられ、カラスチョウもずいぶん少なくなってしまいました。 問題93
1 アサギマダラ 2 ツマグロヒョウモン 3 ヒメギフチョウ 4 オオムラサキ 私の解答 2 ツマグロヒョウモン ツマグロヒョウモンは、亜熱帯を中心に分布する南方系のチョウです。平成6年8月、三郷小学校の南庭でツマグロヒョウモンの幼虫が22匹発見され、長野県内では20年ぶりの幼虫の発見となりました。さらに同じ場所で、平成7年4月、越冬したツマグロヒョウモンの終齢幼虫が見つかりました。いずれも小学生による発見であり、越冬は長野県で初めての確認となりました。その後、ツマグロヒョウモンは毎年姿を現わすようになり、すっかり定着してしまっています。
問題94 安曇野では絶滅危惧種のオオルリシジミの保護活動が展開されてきました。しかし、あるハチが卵の時期に集中して寄生することにより、幼虫の高い死亡率の原因となっています。そのハチとはどれでしょう。 1 アゲハヒメバチ 2 セイヨウミツバチ 3 キイロスズメバチ 4 メアカタマゴバチ 私の解答 4 メアカタマゴバチ オオルリシジミについては、国営アルプスあづみの公園事務所と地元保護グループが連携して、公園のエリア内につくられたサンクチュアリ(草原ビオトープ)で個体群の復元を試みています。この取り組みによって、2000年には600頭余の放チョウを行い、安曇野にオオルリシジミの乱舞がよみがえりました。しかし、メアカタマゴバチの寄生率が高いまま推移したため、信州大学に協力を求め、寄生を回避するための野焼きを行った結果、2011年より自然発生が確認されています。 問題95
1 ヒョウモンモドキ 2 キマダラモドキ 3 コヒョウモンモドキ 4 クロヒカゲモドキ 私の解答 1 ヒョウモンモドキ 明科歴史民俗資料館の資料の中にヒョウモンモドキの標本があります。ヒョウモンモドキは、美しいヒョウ柄のタテハチョウで、日本産チョウの中でも特に衰亡が著しく、長野県でも1990年代を最後に記録が途絶えています。市民から寄贈されたもので、標本のラベルには長峰山 昭和37年7月7日とあります。長峰山頂付近には今でもこのチョウの幼虫の餌となるタムラソウが自生していて、かつてこの草原にヒョウモンモドキが舞っていたことを知るよすがとなっています。 問題96 安曇野市の黒沢、烏川などの渓流に生息し、1億5千万年前の原始的なトンボの形を伝えることから「生きた化石」とも呼ばれるトンボはどれでしょう。 1 ベッコウトンボ 2 シオカラトンボ 3 ギンヤンマ 4 ムカシトンボ 私の解答 4 ムカシトンボ ムカシトンボは、1億5000万年前の原始的なトンボの姿を今に伝えることから「生きた化石」と呼ばれています。黒沢川や烏川などの水の綺麗な渓流にすみ、成虫になるまでに8年を要すともいわれています。 問題97 安曇野市からはたくさんの雪形を眺めることができますが、中でも最もポピュラーな常念岳に現れる常念坊の雪形は、お坊さんが何を持っているといわれているでしょう。 1 印籠 2 徳利 3 巾着 4 煙草入れ 私の解答 2 徳利 常念岳は、古くはまゆみ岳と呼ばれておった。ある日、有明山の方から真っ白な火の玉が飛んできてまゆみ岳の中腹に消えたそうな。やがて年の暮れになり、村の市が大勢の人々で賑わいをみせていた頃、日が暮れ酒屋が店じまいの準備をしていると「酒、五升おくれ」。見ると髪の毛を背中までたらし、ぼろぼろの衣を着て、杖を突いた年寄りの坊さんが、五合徳利を差し出して立っておったそうな。「ご冗談を、五升なんて入りません」と主人が言うと、「文句を言わず五升入れてくれ」と坊さんは怒鳴ります。主人は仕方なく酒を注ぎ始めると、不思議なことに五合徳利に五升の酒がすっかり入ってしまったそうな。その後も村の市がたつと、決まって坊さんが現れて酒を買って行くので、若い衆が山へ向かう坊さんの後をつけていくと、年寄りとは思えないすごい速さで歩き、まゆみ沢の中へ消えていったそうな。この話を聞いた村人は「そりゃー八面大王の一の子分の鬼で、八面大王が討たれた時にまゆみ岳に飛んで来た常念坊に違いねぇ」。それから常念坊の住みついているまゆみ岳のことを常念岳と呼ぶようになると、常念坊は姿を見せなくなりましたが、今でも雪形としてその姿を見せ続けています。 問題98
1 常念岳 2 爺ヶ岳 3 蝶ヶ岳 4 横通岳 私の解答 3 蝶ヶ岳 5月上旬〜6月上旬、蝶ヶ岳南端の東面に羽を大きく広げた蝶がくっきりと浮かぶと、いよいよ里は初夏を迎えます。 問題99 安曇野から見える雪形のしんがりで、明科などのごく限られた地域からしか望めない東天井岳に現れる雪形の動物はどれでしょう。 1 仔犬 2 仔熊 3 仔狐 4 仔狸 私の解答 1 仔犬 6月中旬〜下旬、明科の塔ノ原地区からは、東天井岳の南東面に白い仔犬の雪形を見ることができます。 問題100 白鳥の飛来地として知られる犀川白鳥湖と御宝田遊水池では、毎年数百羽のコハクチョウが越冬します。安曇野に初めて白鳥が飛来してからこの冬で29シーズン目を迎えますが、今シーズン白鳥が初飛来したのは、2012年の何月でしょう。 1 9月 2 10月 3 11月 4 12月 私の解答 2 10月 参考資料:安曇野市ホームページ |
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