あんしん配達通信マガジン(月刊)


★2004年3月期決算情報をアップしました

お待たせいたしましたが、2004年3月期の生保全社の決算情報をアップしました。

 
http://www4.plala.or.jp/anshin/2004_03_kessan.html
 
http://www4.plala.or.jp/anshin/soru_2004_03.html

そのため、昨日発売された「週刊エコノミスト 6月15日号」の生保安心度ランキングについては、次回で検討したいとい思いますので、もう少しお待ちください。

ただ、前から指摘してきましたように、生保安心度ランキングの「主要5項目の指標」は、本当に主要な指標なのかどうか、ランキングを見る限り、非常に疑問を感じる内容となっています。
なんせ、保有契約高が昨年度比で減少している生保が上位にきているのですから。
あれで、生保の実態を反映しているかなあとは思います。
もっとも、「なお、この安心度ランキングは定量分析に基づいており、格付会社のように定性分析を加味した格付とは評価が異なる」と断り書きをしており、2004年3月末の特定の数字のみを取り出して、ランキングしたことを言い訳しているわけですから、この内容なら格付を参考にした方が役に立つように、一見したところでは感じた次第です。
ということで、安心度ランキングについては、次回に。





★週刊朝日(7/9号)「医療保険コンペ」で家計は見直せない?

今回は、今週月曜日に発売された週刊朝日(7/9号)「入院日額1万円 医療保険コンペ」の記事について、
私なりの感想をまとめてみました(あっ、週刊エコノミストの「安心度ランキング」は、またの機会に)。
もっとも、「あんしん配達通信」や、このメルマガをご覧いただいていれば、当然に出てくる疑問ではありますが。

1.選ばれた生損保の基準は?

この記事では、24社の生損保が選ばれていますが、その基準がハッキリしません。
格付やソルベンシー・マージン比率からみると、この場で取り上げる必要がない生保もあるように思います(医療保険といえども、特に「終身」を謳っている商品ですから、会社の財務内容は重要です)。
でなければ、すべての生損保から情報を収集すべきでしょう(情報提供を拒否した会社があれば、その旨を記載すれば良いだけですから)。
一応、広告収入の大旦那であろう思われる、アメリカンファミリーとアリコ、日本生命をおさえてありますから、営業的にはOKなのでしょうが。

2.前提条件を一律にしていない

私は、そもそも生命保険料は、60歳で(最悪でも65歳までに)すべて払込が終わるように設計しなければ、保険プランの名に値しないと考えています(もちろん。後払いなどが残るなんてこともないように)。
老後になってからも保険料を払い続けることは、実際には非常に無理があると考えられます(働けなくなってから、あるいは老後を迎えてから慌てても、取り返しがつかないのです)。
なのに、今回のプランでは、払込年齢の設定に80歳払い、70歳払い、65歳払い、60歳払いとばらつきがあり、条件が揃えられていません。
わざわざプランの作成を各社に依頼したのに、条件設定を一律にしないというのでは、比較表にした意味がありません。
おそらくは、各社の「お勧め医療プラン」的に依頼したのでしょうが、それでは、一番売り込みたいプランしか出てこないというのは自明の理です。
だからこそ、前提条件を一律にし、払込の年齢については、まずは60歳で揃えるべきでしょう(60歳払いができないのなら、できない旨をきちんと記載すればいいわけですから)。
それが揃えられていないとすれば、この記事を準備した記者の力量不足ということになるのではないでしょうか(記者自身が、一生懸命に探せば、「安くて良い保険」(=うまい話)があると思いこまされているのが、最大の原因でしょうが)。

ちなみに、私が条件を設定するとしたら、下記のようにします。
・日額 5000円
・払込年齢は60歳払込(30歳・男性が加入)
 ※一切の後払い保険料の負担なし
・保険期間は終身
・1入院の上限は120日
・通算日数は700日以上
・格付(S&P)はBBB−以上

3.貯金という発想を切り捨ててしまっている

私は、医療保険があれば「入院」は大丈夫という、生保的な発想が嫌いです。
もちろん入院した際には医療保険も役に立ちますが、それと同じように貯金(現金)も役に立ちます。
したがって、保険料を払ってさえいれば入院しても一生大丈夫なんてことはあり得ません。
例えば、医療保険では、インフレによる「保障額の陳腐化」は防げません。
この一点からだけでも、貯金と保険料が両立できない、保険プランは現実的でないといえるでしょう。
ところが、医療保険が将来にわたって役に立つのかどうか、この肝心な点について、きちんと説明がされていないうえに、「必要日額」を1万円と設定していることには大きな疑問を感じざるを得ません。

4.「必要な日額」ではなく「困らないレベル」の設定を

とすれば、医療保険に加入することで、何をカバーすべきなのでしょうか。
私は、「差額ベッド代」(健康保険の対象にならない)で「困らないようなレベル」の日額の設定で十分だと考えています。
それも、医療保険で準備すべきことは、個室の差額ベッド代ではなく、4人部屋の差額ベッド代で十分だと思います。
具体的には、日額5000円から1万円で、医療保険は十分だと思います(それ以上を望むのであれば、地道に貯金をすることをお勧めします)。
日額1万円が必要とするこの記事自体が、生保の理屈を刷り込まれてしまった結果といえるかもしれません。

5.「保険料の総額」という点から、役に立つかどうかを検証していない

医療保険に目がいくのは、月々の負担が安くて済むからなのですが、そのため、一生でいくら保険料を支払うのか、といった視点が抜け落ちている場合がよくあります。
この記事も、「医療保険は安くて役に立つ」といった認識から準備されたように感じられます。
であれば、最低でも、比較表には、「保険料の総額(累計額)」を加えるべきでしょう。
「終身払い」の場合には、平均余命まで生存したと仮定して、「保険料の総額(累計額)」を記載すべきでしょう。
そこまで納得しなければ、医療保険といえども、十分な選択とはいえないと思います。
それでようやく、医療保険が「払ったなりに役に立つかどうか」、判断する材料となるわけですから。

以上、週刊朝日(7/9号)「医療保険コンペ」で気が付いた疑問点を、あれこれと私なりに考えてみました。
この比較表は一見すると、読者が良い商品が選べるように作成したように見えますが、項目立ての仕方や条件設定で、良くも悪くも見せることができるのが「比較表」です。
したがって、これを見てある商品が「安くてよく見え」たとしても、それは編集者の意図に誘導された結果であるかもしれません。
「気を付けろ!」


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