「……俺はちょっと、彼女のところへ行ってくる」
談話室の全員にそう残し、俺は彼女の部屋へと向かった。
……すべては、終わったのだ。
忌まわしい事件のすべてが……そして、俺のすべてが。
「みどり……」
俺は、ベッドに横たわったままほんの少しも動かない彼女を見下ろした。頭からは大量の血が流れ出し、見るも無惨な姿だ。
なぜ彼女がこんなにならなければいけないのか……やりきれないその問いに答えてくれる者は、誰もいない。
……俺は彼女に、まだ何もしていない。好きだとさえ言ってなかった。拒まれるのが怖くて、いつか言ってみせると延ばしてばかりだったのだ。
それなのに今では、何度言っても彼女には届かない。
こんな弱気な男が示せる最後の勇気……。
それは、永遠に彼女のそばにいること以外になかった。
俺の右手には、銃が握られている。みどりをこんな姿に変えてしまった、憎んでも憎みきれない男が持っていたやつだ。
あいつは彼女だけでなく、俺のすべてをも奪った。
俺にはもう、何も残されていない……。
ゆえに、俺の選ぶ道はもはやこれしかないのだ。
……一緒になろう、みどり。
A 俺は銃の先をこめかみに当て、ためらうことなくトリガーを引いた……。
B 俺は彼女に永遠の誓いの口づけをしようと、ゆっくりとかがみ込んだ。