俺は彼女に永遠の誓いの口づけをしようと、ゆっくりとかがみ込んだ。

 

 

……ん?

そのとき俺は、自分の右側に何か不穏な雰囲気を感じた。
何だろうと思って、本来の目的を後まわしにしてそっちを向く。

……するとそこでは、赤と薄いピンクのマーブル模様をした、ブラックホールのようなものが渦巻いていた。
現代の科学で解明できるものじゃないことは、尋常ではない精神状態にある俺にもすぐ理解できた。空間がそこだけ歪んでいるような……そう、まさしく異次元への入口といった感じのひずみだったのだ。
……俺は混乱している。幻覚を見ているのかもしれない。いや、かもしれないじゃなくて、多分にそうだろう。

しかし、単純にそう納得してしまうにはあまりにも不思議な光景だった。
その空間のひずみは、ちょうど俺ひとり通れるほどの大きさで、ゆっくりとうねるように回転し、まるで俺が飛び込むのを待っているかのごとくそこに存在している。

どういうことだ……?

 

 

A 俺はひとまず銃をパーカーのポケットにしまうと、その誘惑的な渦に手を伸ばした。

B 俺はまるで何かに取り憑かれたかのように、その渦を見つめ続けていた。

C いや、こんなものを気にしてても仕方がない。彼女が待っているんだ……。

 

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