俺は大声で叫んだ。
その声が過去の俺を含めた１階のやつらに聞こえるんじゃないか、なんて不安は小さなものだった。いや、まったくなかったかもしれない。
……みどりが生きている。
俺の目の前で、床に足をつけて立っている。
もう二度と見られないと思っていた、彼女が自分の意思で動く姿……。
しかし、彼女は俺の方を向かなかった。
ただ田中の部屋のドアの前に立ち、うつむいてしきりに何かを考えている。
部屋を調べてわかったことをまとめているんだろう。
が……だからといって、俺のこんな大声が聞こえないなんてことがあるだろうか？
「おい……みどり！」
俺は彼女のもとに駆け寄り、正面から両肩に両手を置いて揺さぶった。本当は抱きしめたいという衝動に駆られていたのだが、やはり……こんなときでも、それはできなかった。