Maintenance Note No.1
99年4月3日 基本メカニズムを確認する
98年11月に予約を入れてから待つこと4カ月ついにYZF-R6がやって来た
まずはじっくりと撫で,じゃなくて,眺め回した

 「メンテナンスノート」とうたいながら,最初はR6がやって来た時の衝撃的なインプレッションの話から始めさせてもらう。少しだけお付き合いいただきたい。
 自分が乗るバイクを選ぶ理由は,人によってさまざまだろう。ロングツーリングが好きだからツアラー,林道を楽しみたいからオフ車。至極まっとうな選び方だ。ボクの場合は,単純に“カッコイイから”。ただそれだけだ。
 SRXを選んだのは,学生の頃に登場した初期型がかっこよくて,いつかは乗りたいと思い続けていたから。みなさんにも,そういうバイクってありますよね。SRXは最も美しくデザインされたバイクだと今でも思っている。
 FZ400を買ったのは,やっぱりデザインが気に入ったから。YZF-R6も,写真を見た瞬間に衝撃が走り,その日からあの特徴的なノーズがボクの胸の中に棲みついてしまった。超軽量とか,600ccで120psとかほかにも理由がないわけではないが,やっぱり“これはカッコイイ!”と思ったから大枚をはたくことにしたのだ。
納車直後のR6

デジタルとアナログのコンビネーション

 



マニュアルは英語




 息子の航平と
始動性の悪さがレーシーだ
 R6は当初,2月ごろに納車される予定だった。ところが,ヨーロッパでの受注が好調で生産が追いつかず,国内入荷はずるずると遅れてしまった。3月のNBPRCツーリングでデビューするつもりが,結局納車されたのはツーリング後の4月3日だった。
 朝からそわそわしながら納車を待つ私のところに,バイクショップから軽トラに載せられてR6がやって来た。どう見ても,運んでいる自動車の方が,運ばれているバイクより安そうだ。軽トラから下ろされたR6は思ったより小さかった。4気筒だから幅はそれなりにあるのだが,ステアリングヘッドの位置が非常に低く,ウインドスクリーンもコンパクトで低いから,背が低くやや細長いように感じるのだ。
 イグニッションキーをONにすると,シート下の当たりからカチカチという燃料ポンプが作動する音が聞こえ,メーターの電源が入る。R6のメーターは液晶の速度計にアナログの回転計という組み合わせ。インジケーター類はLEDを使う。基本的にはYZF-R1と共通部品らしい。いったんすべての表示が点灯するセルフテストの後に通常表示になる。
 リッター200psを絞り出すエンジンは圧縮比が12.4:1と非常に高いため,冷えた状態ではチョークを引いたうえで,キュルキュルキュルと長いクランキングの末にやっとエンジンに火が入る。まるでレーシングマシンのようだ。
 シートに跨ってみると,ちょっとだけ後悔の念が頭をよぎった。前傾姿勢がキツく,5分で腰が痛くなりそうだ。シート高が820mmもあるので,身長171cmの私ではもちろんかかとは着かない。しかも,サスペンションがほとんど沈み込まないのには驚いた。こんなんでまともに走れるのだろうか。すぐにでもリアのイニシャルを抜きたいところだが…。
 ステップは非常に高い位置にあり,ハンドルは垂れ角が大きい。まずは各操作系をアジャストし,このポジションに慣れることから始めないといけない。慣れるには時間がかかりそうだ。
 でも,スロットルを捻ってみると,ポジションのキツさといった懸念はどっかに吹っ飛んでしまった。ギュワンと硬質な音を吐き出しながらタコメーターの針は跳ね上がり,パフォーマンスの凄さを期待させる。
 いろいろいじっていると,昼寝から起きた息子がやってきた。寝起きで機嫌が悪かったが,もの珍しそうにメーターをのぞき込んでいる。三輪車でバイクごっこをするが好きだから,きっとR6も気に入ると思う。でも,すぐに転倒する真似をするのはやめてほしいなあ(WGPの見すぎだってば)。