Maintenance Note No.7
99年5月23日 伸び減衰力調整でハンドリングは変わる
サスペンションセッティングの基本はリアの伸び減衰力だ
まずは減衰力を最弱にすることからスタートする

ピギーバックのリザーバーが横起きに付く
 前回から引き続き,サスペンションセッティングのお話。リアサスのプリロードを抜いたので,お次は減衰力(ダンパー)の調整だ。減衰力には伸びと縮みがある。説明するまでもないことだろうが,スプリングが縮もうとするのを妨げるように働くのが縮み(圧)側の減衰力で,縮んだスプリングが元に戻ろうとするのを抑えるのが伸び側の減衰力だ。
 セッティングを変更して,乗り心地やハンドリングに大きな影響が出るのは,伸び側の減衰力だ。縮み側の方は,スプリングの力を少し補佐する程度で,びよ〜んびよ〜んと伸びようとするスプリングをしっかり抑えて安定させるのが伸び側のダンパーだからだ。
 というのは,雑誌からの受け売りで,ボク自身は圧減衰力を調整するバイクを買ったことがないので(スーパースポーツにしか付いていないから),変更するとどう変わるのかはよく分からない。ただし,伸び側は調整次第でかなり変わるのは知っている。まずは伸び減衰力に絞ってセッティングする。
伸び減衰力も最弱から
 といっても,やることはこれまた最弱にセットするだけ。作業は極めて簡単。サスペンションユニットの下側にあるダイヤルを,最弱の位置にまで緩めればOK。手で回せるので,出先で気軽に変えられる。ちなみに,伸び側はユニット上方の調整ナット回す。
 R6のサスペンションセッティングは,明らかにオーバー200km/hでの直進安定性と,120km/h以上でのコーナリング荷重を前提にしている。だから,街中を走っていると非常に固い。細かい凸凹を逐一拾って,お尻にビシビシと伝えてくる。これは疲れる。街中だけならまだしも,首都高のような継ぎ目は速度が高いだけにもっと辛い。ぴょんぴょんと跳ねるような挙動があるので不安感もある。車体のピッチングが起きにくいせいで安定しているようだが,しかしピッチングを利用した倒し込みのきっかけが作れないので,乗りにくい面もある。
下のダイヤルを回して伸び減衰力を調整する
 ところが,伸び減衰力を最弱にすると状況は一変する。サスペンションは良く動いて適度にピッチングモーションが起き,スーパースポーツに不慣れなボクにもなじみやすくなった。乗り心地ははるかに良くなり,突き上げ感はぐっと減った。それでも,SRXなどと比べると,カローラとRX-7くらいの違いはあるだろうが…。
 ワインディングでも走りやすい。ガチガチの足回りは恐怖感を増すだけだが,このセッティングなら適度なソリッド感がありながら,路面の不整をちゃんと吸収してくれる。そもそも,R6のサスペンションは初期作動性が抜群にいい! へたなリプレイスサスペンションをつけるくらいなら,ノーマルの方が良さそうだ。それくらいグレードの高いパーツを使っている。セッティングを変えると挙動が大きく変わるのも,サスペンションが正確に動作している証拠だろう。
 取りあえず伸び減衰力は最弱にしたものの,これでどんなシーンでも万能というわけではない。例えば,180km/h以上になると,さすがにフワフワした感じになり,200km/hで路面の継ぎ目を越えると,一瞬車体が不安定になって心臓が飛び出しそうになる。
 では,どこがベストのポジションなのか? それはまだわからない。今後の課題だ。フロントにも手を付けてない。こちらは,リアがバッチリ決まったら,それに合わせてセッティングするつもりだ。なんと言っても,サスセッティングはリアから決めるのがセオリーだからね。 サスペンションのセッティングはたいへん奥が深い。これから徐々にベストを探っていくことにしよう。