Maintenance Note No.9
99年8月8日 暑い夏はクーラント補充で乗り切れるか?
R6はとにかく熱い。夏はエンジンからの熱気に悩まされる
クーラントをチェックしたら量が少なかったので補充したのだが…

 本格的な夏を迎えて,バイクに乗るのが厳しい季節。真冬はもちろん辛いが,真夏も同じくらい辛い。ライダーなら誰しも知っていることだが,真夏に渋滞にハマろうものなら,アスファルトの照り返しや車の排ガス,そしてエンジンの熱さで卒倒しそうになる。
 特にYZF-R6の熱さといったら,想像をはるかに超えていた。とにかくエンジンはチンチンに熱くなる。フルカウルで熱がこもるからフレームも火傷しそうなくらい温度が上がってしまう。真夏でも,いや真夏だからこそ革パンを履かないと危ないのだ。少しでも止まっていると水温はみるみる上昇し,103度を超えると冷却ファンが回り出して熱気を吹き出す(デジタル水温計なので正確に分かる)。走れば走ったで,カウルの間から出てくる熱い空気が足首の当たりに吹きつける。まるでドライヤーをずっと当てられてるようだ。
 これだけ熱くなるバイクは珍しいのではないだろうか。それでも,リッターバイクならまだ納得できるが,たかが600ccである。水温が簡単に110度を超えてしまうのは普通じゃない。原因はよく分からないが,リッター200馬力を絞り出す超高圧縮比エンジン(12.4:1)であること,水冷のオイルクーラーを装備していること,カウルをコンパクトにしたため熱気の抜けが悪いことなどが考えられる。いずれにせよ,何か対策はないものかと思うのが人情だ。
クーラントは補充するだけなので少量でOK
クーラント量の正しい計り方とは?
 一番簡単なのはカウルを外すことだが,それはあまりにカッコワルイ。ではラジエーターの大型化? SS600用のキットパーツにありそうだが,ちょっと大げさすぎる。クーラントで何とかならないだろうか。探してみると,実は「通常よりも吸熱性が高くオーバーヒートを防ぐ高性能クーラント」なるものが売っている。だが,どれもレーシング用で耐久性に疑問があったり,4リッターで1万円(4輪用)とバカ高かったりして,いまひとつ現実的でない。
 というようなことを思いながらラジエーターのリザーバータンクをチェックすると,なんとクーラントがLOWレベルぎりぎりまでしか入っていない。これが原因か? そんなことで水温が上がるはずはないのだが,LOWレベルまでしかないというのは気になる。そこで,クーラントを補充してやることにした。
 ところが,SRXは空冷エンジンだし,車のクーラントは自分で交換したりしないから,LLC(ロングライフクーラント)なんてものは手元にない。緊急の場合は水を補充するが通常はダメだ。ラジエーターなどの錆の原因になるし,クーラントの寿命も縮める。
 近所の用品店に買いに行くと,クーラントの補充液なるものが売っていた。何種類かあったのだが,Holtsのものが目に付いたので買って帰った。Holtsって補修用品だけかと思ったら,いろんなものを出しているのね。
 R6のリザーバータンクは左カウルの内側にある。カバーが付いているが,のぞき窓から容量を確認できる。クーラントを補充するには,2本のビスを外してカバーを取り去り,タンクのふたを開けるだけでよい。FULLレベルのちょっと下のところまでクーラントを入れた。
 さて,これで水温が下がるようになったかというと,もちろんそんなことはない。第一,エンジンがよく冷えるようになっても,エンジンが出す熱自体が減らなければ熱いことに変わりはない。でも,気分は少し良くなった。
 ところがである。その約2カ月後の9月下旬,NBPRCの面々と箱根にいった時,ふとリザーバータンクを見るとクーラントがFULLのレベルを超えているではないか。いったいなぜ? クーラントを補充した時はエンジンが冷えた状態だった。熱かったらLLCが吹き出して危ないから当然だろう。普通に考えたら,冷えた状態ではラジエーター内のクーラントが落ちてくるから最もレベルが高くなり,エンジンが回っている時はクーラントが行きわたるから,タンク内のレベルは下がりそうなものだ。しかし,現実にはエンジンが暖まるとレベルが上がってしまった。なぜだろう?
 正しいクーラント量の計り方,エンジンが暖まるとタンクのレベルが上がる理由をご存じの方はぜひ教えてください。とっても気になるんだよなあ。
左カウルのカバーを取るとタンクが現れる