Maintenance Note No.49
2001年10月13日 テールランプを3分でLED化する方法
LEDのテールランプは球切れがなく,消費電力や発熱が少ないというメリットがある
今までは自作するしかなかったが,汎用のソケットに装着できるLEDランプが登場した

 LEDを利用したテールランプが流行っている。周知のとおり,LEDは半導体だから電球のような球切れの心配がない。車に比べて振動が激しいバイクにはうってつけ。とりわけSRXのような単気筒には願ってもない特性だ。ボクは一時期,1カ月に一度はテールランプが切れるというトラブルに悩まされ,LEDのサブストップランプを増設したことがあるくらいだ。さらに,消費電力と発熱量(同じことだが)が少ないのもメリットだ。
 YZF-R6の'01モデルで初めてバイクにLEDテールランプが採用され,新型のYZF-R1やファイヤーブレードもそれに続いた。SRXフリークスの間でも,LEDテールランプを自作する強者が現れ,ちょっとしたブームのようになった。ボクも自作を考えたのだが,どうせやるなら汎用の2フィラメント球を代替できる物が作れないかと思ったものの,素人には無理だとあっさり諦めた。ボクは諦めが早い方だ(だからフラれることが多いのかも)。
米国の通販で購入
 それから1年近く経ち,状況が一変したのはKAMEPONさんのホームページ(KAMEPON HOME)で情報を得たことからだった。KAMEPONさんが「AERO STICH」というバイク用品ベンダーのホームページ(AERO STICH RIDER WEARHOUSE)で,汎用LEDテールランプを見つけたというのだ。AERO STICHは米国のライディングウエアのメーカーだが,ウエア以外にもさまざまなバイク用品を販売している。国内では探しても見つからなかった汎用LEDテールランプは米国で売っていたのだ(KAMEPONさんに感謝!)。
 それを見たボクは,その場でホームページから注文した。LEDテールランプの価格は17ドルと非常にリーズナブルだったが,問題は送料だった。なんと42ドルもかかるというのだ。これで二の足を踏んだが,ここで諦めらたら後悔すると思い注文した。注文フォームの最後には,送料が高すぎると文句を書いておいたが…。
 在庫が切れていたため,LEDテールランプが到着したのは1カ月後だった。うれしいことに,送料はたったの5ドルで済んだ。というのも,注文後にメールが来て,品物は軽いので送料も安くできると知らせてきたのだ。どうやら,デフォルトの42ドルというのはウエアを前提としているようだ。
 驚いたのが,そのメールが日本語だったこと。日本向けの営業担当者がいて,電話でのヘルプデスクも用意されているから安心感が高い。AERO STICHのホームページには日本語のページも用意されていて,気軽に商品説明を読める(すべてではないが)。
真後ろなら輝度は高い
 前置きがだいぶ長くなってしまった。汎用LEDテールランプは実にユニークな形をしている。いわゆる小僧向けの「くるくるテール」に似ているが,中央に鎮座するLEDの巨大なレンズが特徴的。その周りには10個のLEDを配している。発色はもちろん赤だ。
 さっそく装着してみる。2フィラメントのテール球と互換性があるから,ソケットに差し込むだけ。テールランプとして点灯している時は輝度が低く,ブレーキをかけると明るくなる。真後ろから見ると眩しいほど。最近の高輝度LEDの威力はすごいのだ。ただし,LED自体がレンズになっているため,真後ろ以外では急激に輝度が落ちる。これは高輝度LEDならどれも同じなので仕方ない。また,LED自体がレンズだから,本当はテールレンズ自体もレンズカットのない単なる透明カバーにした方が輝度を落とさずに済むはずだ。
 LEDランプは通常の電球よりも長い(高い)ため,テールランプユニットに収まらない可能性がある。手元のテール球は長さが33mmなのに対して,LEDランプは47mmもある。実際,ボクのルーカステールではテールレンズにLEDが干渉してしまった。そこでレンズとユニットの間に入るゴムパッキンを厚い物に交換した。厚さが2mmほどのゴム板から切り出してパッキンを作った。これでレンズが少し外へ出るので,LEDとの干渉はなくなった。
 もう1つの問題はライセンスライトである。テールランプはライセンスライトを兼ねているのが普通だが,LEDテールランプは前述のように赤で,しかも後方に光を絞るため,ライセンスライトとしてはほとんど機能しないのだ。これはランプユニットの構造上どうしようもない。今後,解決策が見つかればよいのだが…。
 多少の問題はあるが,汎用LEDテールランプは非常に魅力的なパーツだ。機械的な耐久性については未知数だが(トリッキーな構造なので弱いかもしれない),電球と取り替えるだけでLED化できるという特徴は,それだけで評価できる。たくさんのLEDが発光する独特の雰囲気もよい。多くのバイクで使えるはずなので,LED化を検討してみてはいかが?
YZF-R6で初めて採用されたLEDテール
YZF-R6で初めて採用されたLEDテール


2極の丸形ソケットに装着できる形状
2極の丸形ソケットに装着できる形状


テールレンズを付けない方が明るい
テールレンズを付けない方が明るい


このレンズカットではLEDと分かりにくい…
このレンズカットではLEDと分かりにくい…
2001年10月17日追記
 SRXに装着したLEDテールランプだが,YZF-R6でも使えた。'99モデルのR6は,シートカウル内からソケットを抜き取って電球を交換する。この時,ソケットの差し込み口(テールランプユニットの基部)が比較的小さいため,直径の大きなLEDテールランプはこの穴を通らない恐れがあった。しかし,実際に装着してみると,ギリギリで穴を通過してテールユニットに収まった。ルーカステールとは違って,高さ(奥行き)は全く問題ない。
 R6はテールレンズのカットが単純なせいか,点灯するとLEDらしさがよく分かる。輝度はテールランプとしてはノーマルよりも落ちるが,ブレーキ使用時には十分に明るい。R6は2灯式だからお目立ち度は高い。ただし,ライセンスライトの問題は相変わらずなので,気になる場合は対策が必要だ。