大型2輪教習日記 第3回
一気呵成で第3段階へ突入
恐怖のジェットコースターを体験
10月31日 第2段階 2時限目
これぞ究極のスラロームだ(しかもタンデムで)
 初回教習は雨にたたられたが,今日は朝からいい天気。歩いていると汗ばむほど暖かい。第2段階の2時限目は,4つの課題走行(坂道発進,スラローム,一本橋,急制動)をひたすら練習する。スラロームはリズムよくスピーディーに,一本橋は10秒の目標タイムに向けて粘るように指示される。簡単に言ってしまうと,この教習はそれだけだ。
 しかし,今日はどうもスラロームが冴えない。実は,前日に自分のFZ400を使って駐車場で練習してみたのだが,その時はかなり上手く乗れているように感じた。ハンドルが左右にロックするまで急旋回しても問題なかった。ところが,教習所のCB750Fでは,思ったようにニーグリップとヒールグリップができないのだ。FZなら太ももの内側あたりでタンクを強くグリップできるし,くるぶしあたりでも車体を挟めるのだが,CBではタンクの形状がうまく合わない感じでしっかり挟めない。
 案の定,教官にニーグリップの甘さを指摘される。そこで,タンデム走行で強力なニーグリップによる強烈なスラローム体験と相成った。教官が運転するバイクの後ろに乗り,スラロームへと向かう。これが「ぜってー曲がれねー」と思われるすごいスピード。「ひえ〜」と言っているところで,車体がガクンと倒れてパイロンをクリアし,アクセルをガツンと開けてバイクが飛び起きて次のパイロンへ進んでいく。いやあ,これには驚いた。教官の技量に,素直に感心してしまった。同時に,自分の下手さ加減にかなり滅入ってしまった。
 教習の後半は,ひたすらニーグリップのことだけを考えてスラロームを練習した。そうこうするうちに教習終了。額や背中は暑さと冷や汗でぐっしょりだった。

10月31日 第2段階 3時限目
汗だくで肩は筋肉痛とは情けない
 教官に指摘されたこともあって,ちょっとドキドキだったが,無事に次の教習へ進めた。第2段階の3時限目は引き続き課題走行だが,後半にはクランクとS字,それに波状路という新しい課題が加わる。
 S字は特に問題ないが,クランクは少々厄介だ。幅2メートルしかないクランクの両側にはパイロンが並べられ,さらに90度曲がっているその角には内側に大きなパイロンが余計に置いてある。
 ここを,大きなバンパーが付いたナナハンで抜けていけというのだ。パイロンがあるためバイクを傾けるとバンパーが接触してしまう。つまり,バイクを傾けずにハンドルを使って90度方向転換しなければならない。要するに,一本橋を渡るのと同じようなスピードで2回曲がれというわけだ。
 すごく難しそうに思えたが,やってみたらそれほどではなかった。このクランクをクリアするには,リアブレーキと半クラッチでスピード抑えつつ,方向転換はハンドルを切って身体は心持ちリーンアウト。曲がる時には必ず半クラッチで動力を伝えて安定させることだ。
 波状路も難しい。スタンディングのまま,アクセル操作と半クラッチで障害物を乗り越えていく。乗り越える少し手前でアクセルを開けて半クラッチで動力を伝え,越えたらクラッチレバーを少しだけ引いてやる。これの繰り返しだが,障害物は等間隔ではないので,タイミングがなかなか合わない。スタンディングというのも慣れないとへっぴり腰になりがちだ。きっと,外から見たらカッコ悪いだろうなあ。熱心に教本を読む人
 波状路で「あうあう」言っているうちに,この教習も終わってしまった。またしても汗びっしょり。これほど集中して一生懸命になったのは久しぶりだ。仕事ではゼッタイできないね。家に帰ると,肩と背筋がすごく痛んだ。常日ごろ岡地君には「肩に力が入りすぎだよ」なんて偉そうに言っているのにこのざまだ。ああ,疲れた。
 明日は第2段階の「みきわめ」なので,あらためて自宅で教本を開いてみる。びっくりするほどなにも書いていない。やはり実際に走って,教官に悪いところを指摘されて,それを練習するしかないようだ。役立たずの教本を息子にあげたら熱心に見ていた。免許取るにはまだ早いんじゃない?

11月1日 第2段階 4時限目
規定タイムをクリアできないと再教習だ
 第2段階はこれが最後。前半は4つの課題走行で,後半がクランクや8の字だ。「みきわめ」なので,一本橋やスラロームのところで教官がタイムを計測する。前日の教習のおかげで,スラロームはまずまずの出来だ。教官には「体がアウトに行き過ぎる」と指摘されるが,コンスタントに6秒台で通過できる。
 一本橋は少し苦労した。落ちないように渡ろうとすると,10秒をちょっと切ってしまう。教官が言うには「橋に乗る時のスピードが速すぎ」だという。そこで,ゆっくり乗ってみたら今度はおっこちた。教習では初めて落ちてしまった。次は,もう少しスピードを上げて,橋に乗ったらすぐにリアブレーキで速度を落とし,粘りながら通過すると11秒台。これならOKだ。そこから先は,11秒前後で渡れるようになった。
 それに比べると後半は楽だった。クランクはスラロームや一本橋と並んで,検定で失敗する人が多いというが,華麗ではないにせよクリアするだけなら難しくはない。
 教習終了後,一緒に教習を受けた4人のうち残念ながらひとりだけ再教習を命じられた人がいたが,私も含めた残りの生徒は3段階に進むことを許された。第2段階でつまずく人が多いと聞いていたのでほっとした。正直に言って,自分では満足できる技量に達しているとは思えないが,レインボーモータースクールは教習に必要な最低限の技量に達していれば次に進めてくれるようである。

11月1日 第3段階 1時限目
交通法規が分かりませ〜ん
 第3段階は法規に従った走行がメインの課題だ。第3段階に入る前に,コースを覚えなければならない。当然,今日第3段階に入ることを見越して,昨日のうちにコースを覚えたつもりだったが,いきなり最初から(先頭で)コースを間違えた。教官に怒られて思わず苦笑い。コースは外周から踏切,交差点などを通り,S字とクランクを抜けて戻ってくる。
 道順はともかく,教習所の道はどこで何をしたらいいのかさっぱり分からない。交差点は10メートルごとにあるし,それが信号機ありだったり,信号機なしの見通しの悪い曲がり角だったり,一方が優先道路だったりと忙しい。例えば,クランクからの出口では停止すべきかどうか迷うが,クランクを出る前に安全を確認して止まらずに出て行くのが正しい。う〜む…。
 さらにややこしいのが,どちらも優先道路ではない見通しの悪い交差点だ。教習所内では合図(ウインカー)を出すのがやたらと早いので,この交差点に侵入する時は,必ずしも曲がるわけではないのに皆でウインカーをつけている。このため,本当は右左折するのかそれとも直進するのか,相手を見ても分からないのだ。ひどい時には,三方からバイクがやって来て,交差点で三すくみ状態になってしまう。全員が相手がどこへ行こうとしているのか分からないのだ。
 追い打ちをかけるように,普通2輪免許の教習生が邪魔をしてくれる。大型2輪の場合,直線では3速40kmまで加速してから進路変更をしなければならないが,普通2輪がうろうろしていると加速はできないし進路も変えられず往生する。まあ,普通2輪の教習生は無免許なんだから仕方ないか。
 「こんな箱庭みたいな道路じゃ分からんなあ」とブツブツ言いつつ,教官にちょこちょこ怒られながら走っているうちに教習終了時刻となった。う〜ん,やばいなあと思いつつ教習簿を渡されたが,次回は先の段階に進んでいいというのでほっと一息。クランクより法規走行の方が難しいような気がするなあ…。
 これで教習の半分が終わった。3日で第3段階まで来てしまったので早いという気もするが,それだけに十分な練習ができているという気もしない。こんなんでいいのかねえ。

今回のポイント 第2段階2〜4時限目 第3段階1時限目
◆スラローム
 単にパイロンの間を抜けるだけではダメで,アクセルを開けてリズムよく走ることです。でないと7秒以内では走れません。視線は先の方に向け,しっかりニーグリップ。アクセルは早めに開けて,戻しは素早くといったところでしょうか。
◆一本橋
 想像以上にゆっくり走らないと10秒を超えられません。リアブレーキでスピードを抑えて,ハンドルでバランスを取りながらひたすら我慢です。
◆法規走行
 第3段階に入る前にコースを覚えておく必要があります。どこが徐行で,どこから合図を出すのかといったことも,1時限目に覚えないと先に進めないようです。

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