日本海    真冬の日本海を見ることって地元にいてもなかなかないものです。中学生のころ、野球部の冬のトレーニングでランニング(これが大嫌い)があって、このコースは学校から海岸へ出て途中砂浜を走るという過酷なものでした。砂浜でダッシュや腹筋・背筋などを行った後、ほんのわずかな休憩時間が有りました。(休憩といっても靴の中に入った砂を出すだけの時間です。)そのときふっと海を見ると海面から1mほど上に上がった辺りからすでに雲があって、そのまま僕の上を通り越して背後に有る山脈まで続いていました。
 日本海は対馬海流という暖流が流れていて真冬(気温−5℃)でも、水温は15℃前後有るそうで20℃の温度差から海水はどんどん蒸発します。その雲を見ながらこれが雪になるんだ、とそこに大きな力を感じました。轟々と音を立てているようなその蒸発の様。自然の力。
 
轟々と音を立て
地上1mから
雲が天に連なる
 
冬の季節風が対馬海流を吸い上げる
水滴同士の摩擦はけたたましい雷鳴となって
暗天を駆け巡る
 
蓋し、この激しい営みは
即ちあの穏やかな営み
背後では駸駸と雪が降る
 
轟々と音を立て
地上1mから
雲が天に連なる
 
1982.1.15
けんちゃんの詩集