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Cell_雀 不定期コラム 第三十四弾!
 
 
麻雀ゲームは電気羊の夢を見るか?
 
  
 
麻雀プログラミングシリーズ第3弾の今回は、
「ツキ」についてお話したいと思います。


ドキドキCクラブ © GEN MUTO

 
 いろんな麻雀関連サイトでこの「ツキ」に関して論じられており今さら私がなんなんですが…。
 ”麻雀ゲームのプログラミング”という視点について書かれたものが存在しないので書いちゃうことにします(笑)。

 まずいきなり結論からですが…、「ツキ」の正体ってなんでしょう?
 ゲームプログラミングをしている最中、ずっとこの「ツキ」の正体について考えてました。
 なぜなら…強い麻雀ゲームを作るためにはある程度この「ツキ」を制御する必要があるからです。

 麻雀ゲームの場合イカサマをしていなければほぼ100%「乱数」を使って洗牌してるはずです。
 問題はこの乱数を使って洗牌したにもかかわらず、ツキが発生してしまうという「事実」です。

 この事実は、作者をひどく混乱させました。

 乱数を使っているのになぜ配牌&ツモが偏るのか…?
 なぜいったん勝ち始めると、そのプレイヤーの配牌&ツモがどんどん良くなっていくのか?
 そして逆に負けると、どんどん手が悪くなっていくのか?(笑)

 この答えを指し示す最も簡単なモデルがコインの裏表です。

 ご存知のとおりコインの裏表の出る確率は二分の一です。
 麻雀の場合、東南あわせて最低八回の局があります。
 コインを八回投げて、裏と表のどちらが出たか記録してみると…。
 裏と表がずいぶん偏っていますね…。実はこれが「ツキ」の正体です。

 実際のコイン投げで裏と表が交互に出ることがないように、半荘の中で交互に配牌&ツモが良くなるということはありません。
 つまり「偏っていること」が自然なのです♪

 これはいったい何を意味するのでしょう?

 麻雀の場合、局の終了パターンは以下の三通りしかありません。
 ・前局に勝ったプレイヤーが続けて勝つ。(親なら連荘です)
 ・前局に負けたプレイヤーが勝つ。
 ・誰も勝たない。(流局する)

 カンのいい人ならもうわかってきたと思いますが…。
 完全なる乱数下で洗牌&配牌された場合、和了する確立はコインの裏表のように偏るのです。

 つまり同じアルゴリズムでコンピュータが連敗するときは、コンピュータに和了しにくい配牌がいっているということです。
 このとき人間側に逆の配牌がきていれば人間がどんどん連荘します。
 同じような配牌が人間側にきている場合は流局です(笑)。

 では、この逆はどうでしょう?

 誰かが勝ち始めると手がつけられない状態になるのは、コインの表(裏)がずっと続くのと基本的に一緒です。
 でも何万回も試行して、トータルすればちゃんと確率どおりになるはずです。

 「ツキ」というのは、こういった確率のゆらぎに人間が勝手に意味付けを行ったものなのでしょうね。
 コンピュータはそんなことお構いなしに、決められたルーチンに沿って淡々と処理していくのみです。

 では、麻雀の強さって一体なんでしょう?

 それは多分…、
 半荘・最低八局の中でほとんど一回以上、自分に有利な局が数巡めぐってきます。
 そのときに、いかに確実&高得点に和了するか…。これに尽きると思います。

 これが確実にできるのがプロです。もちろんそのためには「技術」と「経験」がモノをいいます。

 ところでコンピュータはそういったことを考えません。
 ただ決められたアルゴリズムに沿って定型処理を繰り返すのみです。
 それがプログラムの強みでもあり、弱みでもあります。

 ※ 麻雀ゲームの本当の強さを知る簡単な方法は、聴牌即リー&オールツッパで半荘してみてください。
  これで勝てるようならその麻雀ゲームが人間に勝つことは永久に不可能でしょう。
  Cell_雀の最新バージョンはこの課題をクリアしています。まだの人はお試しあれ!
 
 
 

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