身体の観察を行うときには、必ず守らねばならない 基本事項 があります。ここでは、この基本の再確認を行います。 |
すでに良く知っているはずですが、きわめて大切な基本事項です。 自然に行えるようになるには、この項を時折反芻します。 |
身体の観察は、
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すなわち、診察の基本のキーワードは、 「系統的」 「話しかけ」 「非着衣」 「体位変換」 「視診から」 「優しく」 「短時間で」 の7つです。 |
身体の観察は、常に 全身のすみずみ まで綿密に行います。このとき、観察もれを防止するために、観察は系統立てて、 一定の順序 で進めていきます。 |
身体所見の観察の順序は、1→2→3→4→5です。
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いちいち診療録(カルテ)にある身体所見の記入欄を確かめながら診察を進める、というような 幼稚なやり方を取らなくても良いように、この順序を再確認しておきます。 |
視診・触診・打診・聴診は
身体の観察法の基本をなす手技です。病歴聴取と同様、最高の芸術的レベルの
才能と技術を必要とします。したがって、臨床実習の直前にあわてて練習してもとうてい間に合うものではありません。
医学生たるもの、平素からの努力と練習が不可欠です。
練習十分で自信があっても、また、練習不足を嘆く身であっても、いずれもここで練習を行います。 |
視診と触診の練習
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ヒトの急所と言われる部位を自分で触診して、手指の力の入れ具合と不快感や疼痛の発生状況とを 自分自身で何度も確かめておいて下さい。そうすれば、たとえば肝や脾の触診のときに、 腹部表面が過大に陥凹するまで強く圧迫するというような 決して行ってはならない手技をしてしまうことはないはずです。 |
打診と聴診の練習
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打診はかならず「弱打診」で行い、強打診をしなくても打診音の音量・ピッチ(音の高低)・持続(音の長短)の
3所見がいずれも十分把握できるように手と耳を訓練しておきます。
聴診の訓練は、まず聴診器のベル部は出来るだけ軽く当てる手法を学び、膜部との聴診所見の微細な差異が把握できるまで手と耳を鍛えます。 その上で、もし心や肺の聴診所見を記録した録音物を持っていれば、それを折に触れて何度も聴いて耳と頭の 訓練を行っておきます。 |
身体の観察とは、初対面の人に全身のすみずみまで綿密に観察されることです。観察部位は上述したように
非着衣の状態で行われますので、誰でも羞恥心が生じます。ときには嫌悪感すら感じる患者さんがいるかも
知れません。
さらに身体の観察は、正確な所見の把握のために、ときには疼痛や不快感のある部位の触診が必要です。 苦痛の増強を促す体位や、症状の発現を引き起こす動作が必要なこともあります。身体的および 精神的苦痛からの解放を求めている患者さんに対して、これを増強させる手技や手段を選択することは、 きわめて高度な臨床的判断と最高の技術が必要です。臨床実習ではこのような手技や手段は決して行わないこと、 これを厳守します。 |
身体所見の観察のときは、
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患者さんへの配慮は、たとえば、観察が終了した部位は順次着衣をしてもらったり毛布で覆ったりすることや、
不快感や疼痛を訴えている部の観察は、改めて許可を得てから観察を始めるということです。ここでもし
許可を少しでも躊躇される場合には、当然のことながら観察を省く決断が大切です。
また、必要な配慮は、君が現在何をしているか、どこを観察しようとしているのかが常時分かってもらえる ようにしておくことです。このために、観察を始めるときや、次の観察部位へと移動するときには、 その旨をしっかりと伝えるようにします。 このような態度は、臨床医には不可欠なものです。確実に身に付くよう最大の努力を払って下さい。 |
身体の観察では、診察手技に慣れて、異常所見を的確に発見できる技術的能力とともに、発見した異常所見を
論理的に考察して問題の解決法を指摘できる医学的判断力が不可欠です。
この育成のために、臨床実習を前にした現在直ちに行うべきことは、基礎医学とくに解剖学と生理学の復習です。 |
身体所見の観察の仕方を学ぶ前に、
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以上の復習が終了したら、次の2.全身所見へ 進んで下さい。 |
なお、これ以降のページでは、身体の観察の仕方のうち、あらかじめ
十分慣れておく必要のある事項のみを簡潔に記述しました。
記述にない項目や、異常所見を観察したときの考察法などは、 「 診察の仕方と問題解決ハンドブック」(南江堂)を参照して下さい。 |
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