カムイエクウチカウシ山
〜やっと、日高の山・・・です〜
平成19年8月11日〜13日 八の沢テント泊 | 同行者: BCC フェルさん | ||
以前からカムエクには行こうと思っていた。そして、今年こそはと、登る山の目標としていた。所属する「やまびこ」でも7月の末に計画されたが、それは一泊二日の行程であった。テントを八の沢カールまで持ち上げ、翌日ピークを踏み帰ってくるというスケジュールである。 この場合、右膝が完全でない僕には辛い道程となる。そこで、クライミングの師匠であるフェルさんを誘い八の沢で二泊のテン泊とするスケジュールを計画したのである。当初は息子も同行する予定であったが、体調を崩して不参加となった。 まずは山岳センターに寄って、登山届けを出し最近の情報を聞いた。朝方までかなり雨が降っていたらしく増水しているということだった。だが、そろそろお昼頃でもあり、増水のピークは越えているだろうと判断する。青空が広がり始め天気が回復していくことが間違いない。 コイカクの沢の出合いから約1kmほどのところにゲートがあり、そこで準備を始める。車も数台停まっている。 ちょうど、下山してきたパーティがあり状況を聞いてみると、昨日山に入ったが、八の沢あたりで増水したのでカムエクには向かわず戻ってきたとのこと。しかし、ここまで来る途中の沢や札内川は増水している気配は見えず、僕たちは出発する。このゲートから七の沢出合いまでの二時間の林道歩きが僕たちにとっての”辛い”核心部となる。 途中の立派な橋のうえで休憩しボクの右足裏のメンテをしているときに、一人の男性が追いついてきた。山岳センターにいたその方もカムエクに行くという。そして、この三日間、この方と同行することになる。 七の沢出合いにつき、いよいよ沢歩きの始まりとなる。だんだん暑くなってきたこともあり、水の中を歩くことが楽しみだ。増水の気配もまったくなくゆったりと流れている。 七の沢から八の沢までは沢歩きというよりは、ほとんど川原歩きだ。両岸にはピンクテープがあり巻き道もあるがフェルさんもぼくもどちらかというと水の中を歩くほうが好きな人間であり、巻き道はあまり使わない主義なのだ。 渡渉も深いところでも股ぐらいであり流れも緩やかであるから気持ちのいい歩きとなる。 ほぼ一時間で仲の沢との出合いに至り、ここで休憩する。 ここから八の沢までは約一時間の歩きであった。八の沢と本流の分岐に注意しつつ足を踏み入れるとテン場にはすでに一張りのテントがあった。 僕たちも奥まったところにテントを設営し、すぐ隣に同行者のNさんが設営する。そのうち何組かのテントも増えるなか、食事をして明日の装備を確認する。今回は使うことがないであろうけど、それぞれ、8mmの20mロープ、シュリンゲ、安環付カラビナ、下降器、バイル等も持ってきている。このうち、バイルは置いておくことにしたが、やはりそれなりの重さになってしまう。 沢の水の流れを聞きながら今宵と明日の夜もここで泊まるのである。 二日目いよいよカムエクピークに向かう日は朝5時5分に出発する。 カムエク方向はガスがかかっているものの晴れるという確信めいたものがある。 沢の水は透き通っており気持ちのいい遡行ができそうである。同行者のNさんは日本百名山を闊歩した山屋である。 そして、今は二百名山、三百名山に挑戦している山の猛者なのだ。 であれば沢の遡行もきっと好きだろう、なんていう憶測もあって、フェルさんを先頭に水の中を中心にぐんぐん歩く。 巻き道もあるが目もくれず進んでゆく。 ただ、ここぞというところに着くと撮影タイムが長くなってしまう。 フェルさんが300枚以上、この僕でさえも70枚も写真を撮ってしまうことから、必然的に歩みは遅くなってしまう。 Nさんはビデオカメラを廻している。本格派だ。 見ると源頭付近をガスが流れている。おそらく、カール全体にガスがかかっているのだろう。そのガスが風に流れていくのがわかる。これはピークにつく頃には素晴らしい展望が開けるに違いない。 カムエクのピークはけっこうガスがかかりやすく展望が開けないと聞いているから、期待に胸が熱くなってくる。 しかし、そこまではまだかなりの距離があるのだ。 この写真を拡大してみると 途中雪渓を通過し、誰しもが写真を撮る三股にくる。滝の白い流れが煌いている。ここからは滝の左岸の巻き道を辿り、一挙に急登になっていく。 沢を歩くものにとって、もともと道があるなんて考えてはいない。だから、道に迷うということは想定はしていない。登るときは登る。降りるときは降りるだけなのだ。とはいえ、登った先が酷い藪漕ぎというのはごめんである。素直にテープに導かれていく(^^♪ 左手の写真のような水の流れを歩いていくことほど気持ちのいいものはない。滑る岩もなく確実に高度をあげることができる。 きれいな水がふんだんにある。 この面白さを味わってしまうと平々凡々な夏道歩きはうっとうしくなるという人がいるが、確かに肯ける。 途中、日帰りの二人組みが追い抜いていく。 また、若い男性と若い女性の単独行者にも会う。 若い男性はカムエクからエサオマンへ縦走し、若い女性はコイカクへ縦走するという。 とかく中高年しかいないという登山者であるが、このような若い人たちに出会うと、とてもうれしい。 しかし、一人歩きだから、充分に注意して歩いていただきたいと思う。 なにしろ、道もない、人もいない世界なのだから。 水の量がだんだんと少なくなっていき、それとともに周囲が大きく開けてくる。八の沢カールだ。 この広がりを、この静けさをカメラでどのように表現したらいいのだろうか・・・。急峻なカムエクの直下に風にそよぐ草原の世界。神々がここでひとときの憩いのときを過ごすかのような楽園。 静寂のなかに身も心も暫しゆだねる・・・。 さぁ、いよいよ、ピークだ。ピークに向かおう。 分岐からのピラミッド峰だ。 高度をあげていくと、八の沢カールと歩いてきた八の沢のほぼ全景が見える。 標高約1700mあたりからはピークが見え出した。かかっていたガスも急速に薄れていく。 (つづく) |