ひとり言

2001/01

あっという間に21世紀がスタートしてしまいました。
今年、いやいや今世紀の自分へのスローガンは、「人と共に歩む」で行きます。
昨年の後半から、うちの若いスタッフを育てていただける、障害を持った人、あるいは医療関係者の人と多くめぐり会わさせて頂いて、本当に自分だけではできない事を回りの人が助けてくれました。
自分の新人の時もそうだった様に、温かい目で「時間はいいからしっかり作ってね」と言って笑顔で帰っていかれる人や、「数をこなさないと、上手くならないでしょう」と言って、病院のスタッフの足を借りて採型させてくれた先生など、本当に感謝しています。
こんな経験を重ねると、自分もスタッフも障害を持ってしまわれた人や先生と共に良い方向へ歩いて行きたいと、強く強く思うようになりました。

それと、障害者と言う言い方は何とかなりませんかね。ある方が「障害物競走の障害だから俺は邪魔者か、嫌な言い方だよね!」と言っていました。本当に嫌な言い方だと思います。このホームページを見て頂いた方で何か良い呼び方があると思われる方はメールをください。ハンディキャップなんてのも良いイメージは持てません。そのままですものね。

2001/02

今、考えています。2000年のひとり言で、「患者さんには心を優先してシンプルな物を勧めてしまいます。」こんな事を言いました。そう思ってきたし、そうしてきました。しかし慢性期の患者さんに接する事が多かった為なのかなー?最近、急性期の患者さんに接する事が多くなったので、考え方を少し変えなければいけないかも知れません。
重い、長い装具が必要な場合は、我慢して装着してもらって、結果的に良かったと思われる場面に合うことがあります。
下肢装具の場合、短下肢装具の足関節の角度で反張膝、膝折れなどに対処できると思っていましたが、そうなるまでには時間が長く掛かる人もいる訳です。そういう患者さんには、やはり長下肢装具が必要なのかな?
これは、処方サイドにまかせて置けば良いのかも知れませんが、リハビリテーションに携わる者としては、やはり自分の意見を持っていたほうが良いように思います。
これには、装具代金の問題も自分自身では考慮に入れて行こうと思います。
身体的にリスクを負った人に、経済的にもリスクを負ってもらうのは、気が引けるんです。「これが自分の商売だ」と割り切ってしまえば良いのかもしれませんが、なかなか割り切れないんですよねー。

2001/03

今日、装具を処方されるはずだった患者さんが、経済的な理由でキャンセルになりました。一家の大黒柱が病気で倒れられ家族の方の心情は痛いほど分かります。もし自分だったらと思うと人事では無いです。「装具代金は結構です」って言って作ってあげられれば良いんですけど、なかなかそうも言ってあげられないのが現状です。
装具代金は、療養費払いといって一時本人に立替払いをして頂かないといけないんですけど、後から保険請求して戻るとは言っても、何万円も出すのは苦しいと思います。
入院中に限り委任請求(病院で医療費を払うように)できるようにとか、何か行政の方で考えては貰えないものでしょうか。福祉福祉って言っていますけど、今、必要な人に、今、作ってあげられない。これって大きな問題だと思います。


最近、色々考えたり、思い悩んだりの日々が続いています。疲れ気味なのかなー!?

春先で、眠いだけだろ!って話もあるんですけど、どうなんでしょうか?

2001/04

今朝、新聞を読んでいると、こんな記事が目に入りました。
「みんなと一緒の高校に行きたい」と訴えている知的障害者の支援グループが
「学力中心の現行入試は障害者差別」として、16歳の女性の高校への受け入れを求める署名活動を始めた。
自分の身近なところでも、同じような話を聞いた事があります。
学校側にも受け入れに対して色々問題もあるとは思いますが、教師サイドが大変だという理由だったら、残念でなりません。
同じ教室で、勉強をするのは無理かも知れませんが、同じ校門をくぐって学生生活を送るのは、健常と呼ばれる若者にも、プラスになるのではないでしょうか?
強いものが弱いものをいたわるのは、当たりまえと自然に思うようになってくれるのではないでしょうか?学校って学問だけじゃなくて、人生勉強の場でもあると思います。
知的障害を持っている人のほうが、心はピュアだったりします。健常者にも見習うところが、多いと思います。
今、健常者と呼ばれている人々が、いつ何時、障害者と呼ばれる側になるか分からない時代ですよ。人が人として差別の無い時代が早く来ると良いな。

2001/05

ゴールデンウィークが過ぎてから、風邪をひいてしまいました。
風邪をひいた時にいつも自分自身に「自分よりもっと大変な思いをしている人に装具を作るんだからこれぐらいで弱音を吐いちゃ駄目だ」と言い聞かせて頑張ってきましたが自分も「もう歳だな」って感じてしまいました。
治らない、治らない!3週間も掛かってやっと良くなりました。
無理が効かなくなってきましたな。
それはそうと、この前、小児麻痺で下肢に障害を持ってしまわれた方に装具を処方され製作することになり医師とも相談のうえ製作に取り掛かりました。その方は今まで装具を使用していなく、今回初めて装具を装着することになりました。先生も処方の際迷われていましたが、仮合わせの段階で「これでいける」と判断なされそのまま完成に向けて作業を進め納品当日、一抹の不安を抱き病院へ向かいました。
そしていよいよ装具を装着して歩いていただいたときにその人の見せた笑顔、言葉は少なかったけれど、満足感を感じてしまいました。
これで風邪が良くなったのかな?

2001/06

今日、ある病院の勉強会に参加させていただきました。
障害をもってしまわれた方の日常生活動作で、家屋改造をする場合一番多い場所はお風呂場だという事です。これは介助する側、される側とも労力を必要とするわけです。
細かい事を言えば障害を持っている方が、何番目に入浴するのか、浴室の床面には石鹸などが付いていないか、など些細な事にまで気を配っていられます。
そこで義肢装具製作側では何が出来るかと考えたところ、今までに入浴用装具を製作してはいましたが、数は少数に留まっています。経済的な理由もあると思います。
アウトドアシューズでも近頃は水陸両用シューズみたいな物があるじゃないですか、
装具でも水陸両用のような物ができないかなー?これを課題にちょっと考えて見ることにします。勉強会に参加させて頂いて本当に勉強なったのと同時にやる気をもらったというか、刺激されたというか、頑張らなきゃと思いました。
よし、明日からも頑張っていくぞ!!

2001/07

暑い、暑い。こう暑いと営業に出るのがおっくうになってしまいます。この暑い中一生懸命にリハビリに通って来られるかたに脱帽してしまいます。
寒ければ、「寒い寒い」と言って愚痴っているし、この性格はどうにかならないものかなー。それはそうと先日あるリハビリ相談会に参加させていただきましたが、装具を付けている方に「痛くて歩けない」などの訴えを受けました。見てみるとちょっとしたことで痛みを解消できるのに、何で直してあげていないのかなー!作りっぱなしで後は慣れるまで我慢しろとでも言っているのかな。その場で直させていただきました。(これは自慢ではありません。)こんなに短時間で直るのに製作した業者さん怠慢ですよ!
障害をもってしまわれた方が、一部の業者のために、この業界に対して良いイメージを持てるわけがありません。一部の業者にならないように、頑張ります。

2001/08

新しい靴を、試し履きもしないで、購入して一日中履いていたら、夕方には足が痛くて、裸足で帰ろうかと思うぐらい痛い思いをしました。
義肢、装具があわない人は、いつもこんな思いをしていると思うと、責任を感じます。
「自分が痛い思いしないと分からないのか!」って怒られますよね、ごもっとも、ごもっとも。2000年のひとり言でKさんの装具のことを書きましたが、結局痛い思いをさせてしまっただけで失敗に終りました。今、以前の重い装具を製作しています。この人は本当にチャレンジャーというか、また新しいものが出来たら挑戦してくれると言っています。本当に感謝しています。

2001/09

今までに、何人もの人にメールを頂いたり、或いは「作業内容を見学したい」といってわざわざ工場の方まで足を運んで頂いたりして、何人もの人とお話をさせて頂きました。
色々な人が色々な見方、考え方を持っていてこちらの方が勉強になったり考えさせられたりしました。今一度原点に戻って自分たちの進んでいく方向を考える良いきっかけになりました。ありがとうございました。

2001/10

これは書くか書かないか迷っていた事なんですけど、書いてしまいます。
それは、障害者という言葉を武器に使っている人が少数ですがいるんです。
こちらから見て、それはたいした障害じゃないじゃない。と思われる人が「こんな体だから○○をしたいけど出来ない」「障害を持っているから仕事にも就けない」などと言う人がいるんです。そんな時は言ってしまうんです。「嘘でしょう、もっと重度の障害を持っている人が自分のできる範囲で資格を取り、仕事に就いて或いは自分で開業して、趣味でもエンジョイしている人が大勢居ますよ。その程度で自分の事を障害者と言っちゃ駄目だ」
これで分かってくれる人も居ますが、「あんたたちには分からないんだよ」といって帰っていかれる人も居ます。今までに世間からそのように扱われてきたのか、考えさせられ気の毒には思いますが頑張って貰いたいんです。黙って話だけ聞いて居れば良かったのかな?とも思う事がありますが、人間が出来ていないんでしょうね。

2001/11  

第17回日本義肢装具学会学術大会に参加してきました。
色々参考になったり考えさせられたりしました。
これから仕事をしていく上でこれらの事をいかして行きたいと思います。
最近、失敗を怖がってしまってチャレンジする事から逃げていたような気がします。
歳のせいかな?
前の自分に戻ってチャレンジする気持ちをもっと大事にしよう。

2001/12

うわー、今年も今日で終わり。
今年もなんだかばたばたして終って行きます。
もうちょっと余裕を持って年を越せないもんかなー?でも仕事が無くて暇だ暇だといっているよりは忙しい方が良いのかな、でも我々の仕事は暇なほうが良いのかな?
まー頑張るしかないか!

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