Kammy+の旅行記
2005年7月17日 一日散歩きっぷで一日散歩

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2. 滝川-新得(根室本線) 東鹿越・落合に魅せられて

13:34 滝川駅@1番ホーム
滝川駅に戻って,ホームに出て撮影.滝川駅は根室本線の起点なのでどこかにそれを示すものがあるだろうと探してたら,ありました(写真8).根室本線は全長443.8kmで,道内の路線のなかでは「起点と終点を結ぶ距離」では一番長い(函館本線は複数の経路を持つため総延長では函館本線のほうが長い).写真は1番ホームから4番ホームを撮ったもの.)1両編成の車両はキハ40-777.なんか得した気分.1日1往復しか存在しない貴重なサボを写真に収める(写真9).
写真8 滝川駅 根室本線起点 写真9 滝川駅にて 落合発着は1日1往復のみ

やることがなくなってしまったので30分ほど前から座席に座るも,すでに場所取りははじまっており,進行方向に向かって座れる席はなくなってしまっていた.車体に「釧」の文字があって気づいたけど,根室本線の車両運用は釧路支社がメインなんだろうか.営業区分では滝川から新得の手前までは札幌支社だけど….車内はいかにも富良野へ行きそうな大きな荷物の観光客と,沿線の高校生でいっぱいになって,定時に発車した.
13:59 平岸(ひらぎし)
北海道の駅で「平岸」と聞くと札幌市営地下鉄南北線の「平岸」を想像してしまうものの,JR北海道の駅で平岸といえばここ赤平市平岸(写真10).
写真10

根室本線平岸駅
このときは通過のみ.
車窓から撮影.

14:18 野花南(のかなん)
普段は素通りの駅だがフラノラベンダーExp2号とのすれ違いのため3分停車.しかしワンマン列車だとこういった途中停車のときにホームに出るのってちょっと不便.一日散歩きっぷをみせながら,「ここ,3分止まるんですよね?」といいながらホームへ.思いっきりせのびして深呼吸する.ここから富良野までは山越えだったためだろう,構内はとにかくだだっぴろい.反対側のホームが遥か遠くに感じる.(写真11)
写真11

野花南(のかなん)

ホームに降りたのが自分だけだったのでいくら特急が通過してから出ないと発車しないことがわかっていても心細くなって中へ戻る.と今まで座っていた席に女性の客が移動していたので,仕方なく別のおじいさんのいるコンパートメントへ.荷物置いてったほうがよかったんだろうか….
14:25 滝里トンネル
野花南と次の駅である島ノ下の間は1991年にダムができるまでは山を蛇行していたが,ダム建設のためルートが変更され,長いトンネルになってしまった.ルート変更により滝里(たきさと)駅が廃止されたが,その駅はドラマ『北の国から'89 帰郷』にも登場したため,ダム建設の直前まで駅にはファンが訪れたという.当時,私も「ダムのために沈んでしまう駅がある」と聞いて親に車で連れてきてもらった記憶がある(実家は車で2時間弱のところにあった)が,思えばそれが寂れた駅めぐりの原点だったかもしれない.
トンネルにはいるとゴーッと音が反射してうるさくなった.向かいのおじいさんはトンネルに入る直前で気づき窓を閉めたが,車内の窓は数箇所開きっぱなしだった.今じゃ「トンネル=煙が車内に入ってくる」という蒸気機関車時代のことを体験として覚えているのは何歳以上なんだろうか.そういうわけでいかにも観光地スタイルのお嬢様グループは爆眠の途中であり,窓はそのまんまでございました.トンネルのなかはひんやりしていて快適.
14:43 富良野(ふらの)
富良野では34分停車.8割がたがここで降りる.やっぱりすることがないので途中下車してみる.観光シーズンまっただなかということもあり,観光客がわんさか.特にすることもなく,列車に戻るも15分も前から席取り合戦が.やっぱりこの辺じゃ,列車は15分前に乗ってるのがデフォルトなのかもしれない.富良野より南は乗客多くないと踏んでいたのだが….席取りといっても座れるか立ちっぱなしかというような熾烈なものではなく,4人がけのコンパートメントを1人占めできるかどうかというたいそう贅沢なものですから.なんといっても乗車率30%行ってない状態だと,4人がけのところに2人目が座るのはちょっと抵抗あるわけで.15:17定刻どおり発車.
16:09 幾寅(いくとら)
列車は布部(ぬのべ),山部(やまべ)と富良野市を南下してゆき,南富良野町(みなみふらのちょう)に入る.南富良野町に5つある駅(下金山,金山,東鹿越,幾寅,落合)の中ではもっとも栄えた場所にあるのが幾寅で,地元の客も多い.さらにはこの駅は浅田次郎原作で映画化された『鉄道員(ぽっぽや)』の舞台となる「幌舞駅」のロケ地であるため観光客も多い.しかし私はこの映画見てないのでそのまま終点まで乗りとおす.
16:19 落合(おちあい)
列車はこの駅どまりで,折り返し16:51発滝川行になることは時刻表をみると明らか.この駅で下車したのは自分を含めて5人.3人は高校生で,家族が車で迎えに来た.もうひとりは鍛えられた身体の40代前後の女性.散策だろうか.まず駅舎の写真を撮る.左が駅のホームから,右が駅前に出て撮ったもの.(写真12・13)
写真12 落合駅(ホーム側) 写真13 落合駅(正面)

この駅はかつて日本三大車窓のひとつに数えられた狩勝峠を越えるための拠点駅だったものの,今は新狩勝トンネルの完成によりひっそりとしている(写真14).また,石勝線完成までは陸の孤島のようであった占冠村トマムへの道もある.駅前には診療所があるが,内科と小児科のみで,火・木・土曜のみの診療(写真15).

写真14 落合駅南側 左側が旧線 写真15 落合駅前の診療所

ちょっと出ると国道38号線だが道内の2桁国道のなかでは道は狭い感じがした.ガソリンスタンドと,軽食の自販機コーナーがあり,そばには小中学校.歩いていると不審者と思われたのか軒でひなたぼっこしていたおばあさんに呼び止められ,談笑.そうだよな,こんなところを知らない人間が歩いてるはずないもんな….古い旅館ふうの建物が,昔この地域にも活気があったこと面影を伝えているようだ.落合駅ができたのは1901(明治34)年で,もう100年の歴史がある.そもそもJRには落合と名のつく駅が他に「備後落合(びんごおちあい)」「美作落合(みまさかおちあい)」「陸前落合(りくぜんおちあい)」「落合川(おちあいがわ)」があるけれど,最後のはさておきそのほかの駅に旧国名が冠されているのに対してここの落合駅は頭に何も付いていないのは,ここの「落合」が駅としては一番古いためであろう.少なくとも事実ここの落合が一番古くからある.ちなみにこの元旅館らしき建物の裏口には「NTT委託 電報配達事務所」の文字が.携帯電話は電波届いていたので,めったに配達されるものではないのだろうが….16:51,どこからともなく現れた旅行中の老夫婦と自分の3人を乗せ,先ほどの列車で引き返した.本来の行先はここから峠を越えた新得なのだが,その列車を17:45まで待っているのならもう一駅探索したい.それにしても運転手はこの32分間ヒマだったろうなあ.この老夫婦は「旅の記念に」と駅舎をバックに運転手にカメラのシャッターをお願いしてた.それくらいのどかなムードにつつまれていた.
17:05 東鹿越(ひがししかごえ)
次の新得行きまで落合にいてもすることがないので別の駅前の探索もしようと2駅戻る.実はこちらに来るまでは金山,東鹿越,幾寅のどの駅にしようか考えていたものの,金山は乗り換え時間が短く,幾寅は観光客多そうだったので,落合に着いたあたりで訪問地は東鹿越と決めていた.17:05,誰も降りない東鹿越で降りる.この駅は車窓から見えた炭鉱街のような街並みと「石灰石」の文字,ホームに鎮座している石灰石に惹かれた.それにしてもこの無造作っぷりがすごい(写真16).
写真16

東鹿越(ひがししかごえ)
ホームに無造作に飾られた石灰石

時間がなくて集落までは行けなかったが,王子木材緑化が現在でもこの地で石灰石の採掘をしている.しかし車窓からの街並みに今は人はほとんどなく,小学校も簡易郵便局も今はその建物を残すのみだという.この駅は1997年3月まで,ここで産出された石灰石を中斜里にあるホクレンの製糖工場まで輸送する貨物列車が走っていた.そのためそれまでは有人駅だったようだが,今では他の駅と変わらずひっそりしている.ちなみに中斜里はJR貨物のトラックによるコンテナセンターとして現存しているものの,釧網本線自体は2002年にJR貨物の路線ではなくなってしまった.根室本線新得-東鹿越間ももう事実上貨物列車は走らないものの,どうやら書類上はまだJR貨物はまだこの路線を放棄していないらしい.外に出て駅舎の写真を撮る(写真17).HPなどでは青地に白文字の駅名標が写っているものもあるが,破損したのか盗まれたのか,木の板の上から紙に印刷しただけの粗末なものになってしまっていた.
写真17

東鹿越駅

駅前にはバス停留所があるものの,看板がぶらさがっていて,それを読むに駅前の唯一の道はこの先,落合方面で通行止めになっているらしく,迂回のためにこのバス停には停まらない,という主旨のものだった.駅には郵便ポストもあり,駅の横に民家があるが,それ以外はまったくの静寂に包まれていた.17:29,先ほどの乗ってきた列車と隣駅の金山ですれ違った新得行き2433Dに乗車.降りた客もいないし,乗ったのは自分だけだった.
17:30 線路上に
東鹿越を出てすぐ,シカの子供があらわれて列車が緊急停止.警笛で威嚇してもほんのちょっと脇によけるだけで,通路が確保できず.1分ほど警笛ならしながら停車.運転手そばのデッキに立っていた(次の幾寅で降りる高校生などの客が多くてそこで立っていた)ため,運転手が最初に警笛鳴らして減速したときに「シカですよ,ありゃァ」と教えてくれたので見ると,確かに小鹿が1匹,線路の真上で戸惑っている.東鹿越だけにシカですか.「あれはそばに親もいるかもしれない」と運転手さん言ってましたが,たしかにその数百メートル先には親のサイズの鹿がおりました.こっちは線路脇だったから警笛鳴らさなかったけど.
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