Kammy+の旅行記
2005年8月14日 ふるさと銀河線

1. 札幌-池田 スーパーおおぞら1号グリーン車

07:04 札幌駅
西口改札にてMKと待ち合わせ.そこで僕が用意したチケットを渡す.…グリーン車ですよグリーン車!「特急券・グリーン券 スーパーおおぞら1号 札幌-池田 3号車1C 6,310円(特急2,310 グリーン4,000)」ひゃっほい. 後から気になったのは「8月14日って繁忙期だから特急の指定席って+200円じゃない?」ってことだったけど,時刻表を精読したらありました.「グリーン車をご利用になる場合の特急料金は,通常期の指定席特急料金から510円を引いた額になります.」そうですか,グリーン車は繁忙期・閑散期の影響を受けないんですね.ひとつ賢くなりました. 自動改札を通って,駅弁選び.MKは北海道日本ハムファイターズにちなんだ『ホームラン弁当』を探すも「9時にならないと入荷しない」とのこと.僕は北海道の地産地消をテーマにした「四季のこだわり駅弁シリーズ」の『夏のお祭り弁当』を. 7番ホームにはすでにSおおぞら1号が入線していた.FURIKO283の愛称を車体に書いた先頭車をカメラでパチリ(写真1).それにしてもLED表示のヘッドマークというのは味気ないよなあ.3号車のグリーン車は「キロ282-5」.神々しいまでのグリーン車マークのついた車両に乗れる喜びに心が躍る(写真2).
写真1 特急スーパーおおぞら(先頭車) 写真2 グリーン車に初乗車

スーパーおおぞらは基本は6両編成であるものの,実際はもっとつないでいることが多い気がする.こないだ乗ったとき(2005年7月17日の旅行記参照)は10両編成だった.この日は9両編成(喫煙車は指定席1号車,自由席9号車)だった.グリーン車は禁煙車であるものの,デッキに喫煙スペースが設けられている.グリーン車の座席はまるで飛行機のスーパーシートのような豪華さで,リクライニングもボタンで動く自動式.ひとり掛けシートにはノートPC用電源も備えている.定刻どおり,07:04出発.雲はあるが日差しはさわやかな天気.今日は雨の心配は要らない.
07:13 新札幌
毎度思うが281,283系(スーパーおおぞら,スーパーとかち,スーパー北斗)や261系(スーパー宗谷)気動車の乗り心地のよさ,特に加速度はまるで電車並み.おおぞらはすべてこの283系になって「スーパー」が冠されたわけで.このままとかちと北斗が完全にグレードアップしたら道内の特急の名前から「スーパー」は一度全部取っちゃったほうがいいんじゃないの?みたいな話をしてみたり.そうすればスーパーホワイトアローもホワイトアローに戻るのに.「ぜんぶが『スーパーひとし君』だったら意味ないからねえ(世界ふしぎ発見のね).ただのインフレだ.」 新札幌では本日の編成車両数がアナウンスされてなかったのか,1,2号車の指定席に乗るために待っていた客が慌てて前のほうに走っていくのが見えた.そう,駅のホームの乗車口案内は車両数がかわるとき対応しきれないからねえ.
07:33 南千歳
特急は新札幌を出ると快速とは異なり北広島も恵庭も千歳も止まらずに南千歳までノンストップ.札幌-南千歳の所要時間は28分で,他の特急をみても26分が最速.一方快速エアポートでも32分しかかかっておらず,この区間だけを特急に乗る意味はほとんど皆無.でも南千歳駅がまだ「千歳空港駅」だった頃は特急という選択肢もアリだった時代もあった.ホワイトアローなんかは苫小牧や千歳空港から旭川までを全区間特急で運転していたし.
女性客室乗務員がおしぼりを配りながら,フリードリンクの希望を聞いて回っている.もちろんこれはグリーン車のみのサービス.僕は冷たい緑茶を頼む.というかMKと「JR北海道って印刷されたおしぼり袋ってレアでは?」と色めき立つ.南千歳からは飛行機や他方面(主に05:24に急行「はまなす」で到達した本州から)の乗車が多数あるのではと予想を立てていたのだが,07:32南千歳1番ホームに定刻どおり到着しても,グリーン車にはほとんど乗ってこなかった….このままゆったりとしたゴージャスな旅が池田まで続くと,このときは思っていたのだが….
写真3

JR北海道のおしぼり

08:28 トマム
鉄路は南千歳を出るとすぐに左に単線・非電化で分岐する.南千歳が石勝線の「起点」であることはあまり気に留められない事実.昭和56年に全通した新しい路線である石勝線には駅が少なく駅間が長いのが特徴.計画段階ではもっと駅が置かれるはずだったのが,この頃になると駅予定地のそばの利用者があまりに少なく,信号場になってしまったりした.事実南千歳と次の追分の間17.6kmにはせっかく鉄道が開通したにもかかわらず途中駅がひとつもない.もともと追分と千歳の相互での人の往来が少ないので,地域住民への影響は少なかったのだろう.そもそも石勝線開通で恩恵を被ったのは日高山脈より東への旅行者だけなのではないだろうか.まあ,北海道の鉄道が「沿線」ではなく点と点を結ぶことに重きが置かれるのは仕方のないことなのだろう.Sおおぞら1号は駒里信号所と西追分信号所のどちらでもすれ違うことなく通過した.
南千歳を出てすぐ,ひとりの青年が後ろから手ぶらで登場し,グリーン車のひとりがけシートに腰掛けた.手には1枚の5,000円札.このとき僕は「指定席か自由席から,グリーン車が空いていると聞いて移ってきたのだろう」と思ったのだが,そのわりにそわそわしている.そして,車掌が通りかかったとき,事態がはっきりとした.彼は…テツヲタだったのだ(泣).いや,彼の相手のリアクション全無視の早口で繰り返すような口調や目つきなどをみるに,ひょっとすると心身にハンデキャップのある鉄道ファンなのかもしれない.でももしただ単に趣味に没入したが故のコミュニケーション下手だとしたら,そうとうきついよこれは.
彼は次の停車駅トマムまでの特急券・グリーン券を購入した….どう見てもトマムで宿泊している旅行客には見えない.とすると彼のしたいことは「特急しか停車しない駅トマム」からその隣駅への「特急券なしで乗車できる特例」を味わうことではなかろうか.そわそわ落ち着かない彼は「スーパーおおぞら1号今日は何両編成ですか」などと聞いていた.質問内容が明らかに鉄ヲタのそれだ.彼は次にやってきた女性乗務員に聞かれてもいないうちからフリードリンクを要求し,さらに車内販売品を2点オーダーしていた.いや,この乗務員は車内販売員じゃないだろ.しかも,記念切符などを貼り付けた手帳を自慢したげに開いて,みせびらかそうとしながら.女性乗務員がうまくかわして無視しながら愛想笑いして会話を切り上げると,彼はなにやらぶつぶつつぶやき,その手帳を自分でみつめながら満足げにしていた.僕の目に入ったのはJR北海道のキャラクターである「モジャくん」の切り抜きとか,智○急行の切符など.やはりこやつ,地元の人間ではあるまい.っていうか,誤解のないようにここで声を大にして言いたいのだが,鉄ヲタが何でも質問してると思ったら大間違いだ.むしろ業務に支障のないようにルールを守って節度ある行動するのが鉄道ファンとしての最低限のマナーなんだがなあ.
フリードリンクが手許にきたので札幌駅で買った駅弁を開けることに.『夏のお祭り弁当』は北海道米の期待の新作「ななつぼし」や道産のタコ,ホタテ,鮭,地鶏(中札内)などが使われたこだわりの季節限定商品.完成度の高い駅弁だと思う.
さてさきほどの彼は持ってきてもらった紙コップを速攻で飲み干し,おかわりを要求.おそらくお前が今回の客で一番短い時間しか乗ってないのに,サービスは人一倍受けるつもりかっ.結局彼はわずかな時間に3杯ものみやがった.さらには空腹なのかワゴンサービスをわざわざ探しに出かけてサンドイッチを買いに行ったり,リクライニングを最大にして遊んでみたりとやりたい放題.08:28にようやく列車がトマムに着いて彼が降りていったときは,思わずほっとしてしまった….
08:50 新得
トマムを出てしばらくはMKとさきほどの衝撃の感想戦だったため,新狩勝トンネルなどはあっという間に過ぎてしまった.列車はゆっくりと山を下り,新得に到着.ここは短い停車なので名物のそばは食べられない.
09:21 帯広
新得からは景色が一気に道東らしくなる.車窓からは製糖工場がみえる.スズラン印でおなじみの日本甜菜製糖株式会社のプラントがあり,そこへたくさんの貨物線が引かれているのをみてしばしうっとり.ちなみに昔はこのあたりはビート運搬のための軽便鉄道がかなりはりめぐらされていたらしいが,その経営を行っていた十勝鉄道はこの会社の子会社.っていうか十勝鉄道って会社自体はまだ存続してるらしい.
帯広の隣町芽室のあたりから民家も多くなり,やがて帯広市街に入り高架となる.この高架ができたのは1996年11月なので,帯広駅からかつて分岐していた広尾線や士幌線(ともに1987年に廃止)の廃線跡を垣間見ることはできなかった.帯広は乗降客が多いためか2分の停車.停まったホームの向かい側にふるさと銀河線の塗装をほどこした列車を発見.時刻表をみる限り,陸別を06:33に出て池田から帯広までJRに乗り入れてきた車両のようだ(帯広着08:58).
09:36 池田
帯広を過ぎるともう15分で銀河線の起点・池田に着く.池田町(いけだちょう)は人口8,700人弱(平成16年)の町であるものの,ワイン用ブドウの栽培で成功し,富良野や余市とともに北海道のワイン産地として有名だ.列車は今となっては広すぎてあまっている駅の敷地の一番手前側,駅舎に面した1番ホームに到着.9両編成というこれだけの長い編成も余裕で入りきるのはさすがに幹線の駅なのだと実感する.あっという間にSおおぞら1号は走り去って,池田駅の構内が見渡せるようになる.小高い丘に西洋風の城と,観覧車が目に入る(写真4).あれがワイン城で,友人とのドライブで一度行ったことがあるが,そのときは池田駅には立ち寄らなかったので位置関係はわかっていなかったが,こんな町の中心にあったのか.ところで池田といえばドリームズ・カム・トゥルーのヴォーカル・吉田美和の出身地として一部のファンや,郷土自慢に余念がないタイプの北海道人には有名であるが,噂によればこのワイン城にドリカムの関連グッズを展示するとかしないとか聞いたんだけれど,どうなったんだろうか.
写真4

池田駅
バックに見えるのはワイン城

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