●日本の新型コロナウィルス感染状況をどう考えたらよいのか!●


 4月27日現在で、確認された感染者数:1万3441人。死者は372人。他国と比べると感染は極めて限定されているように見える。
 しかしこのデータは、新型コロナウイルスに感染したかどうかを確認するPCR検査を大幅に絞り、相談センターに寄せられた相談の多くを門前払いにした結果なので、日本における感染状況の実態を示しているとは到底思えない。
 ではどうしたらよいのか。
 確実な方法が一つある。それはこの疫病の致死率をもとに、確定された死者数から、実際の感染者数を推定してみることだ。

 新型コロナウイルスの確定的な致死率はまだ出されていない。これは全世界の感染が落ち着いてからしか出ないものだ。
 だが感染の将来像を見るために、様々な機関が、このウイルスの致死率を計算して示している。
 当初示されたのは、通常のインフルエンザの致命率0.1%の10倍。つまり、1%だと。そのご調査が進んでもう少し低いかもしれないとのことで、0.66%だと示された。
 致命率1%ならば、感染者の100人に一人が死ぬ確率なので、死者数に100を掛ければ、推定感染者数がでる。4月27日現在では3万7200人。つまり2万4000人余りの感染者が見逃され、この人々があちこちでウィルスをまき散らしている可能性が見て取れる。実際の感染者数は確認された 数の3倍。
 致命率0.66%なら、151人に一人だ。死者数に150を掛ければ推定感染者数がでる。4月27日現在では5万6172人。つまり4万2000人余りの感染者が見逃されている。実際の感染者数は確認された数の、4倍。

 しかし新型コロナウィルスによる死者数には、検査されなかった結果として他の病気での肺炎の死亡者数に含まれてしまうものがあることや、不審死としてカウントされたものの中に含まれてしまうことは指摘されている。つまり死者数はもっと多いのだ。しかしこの隠された死者数はわからない。

 こう見ていけば、日本における新型コロナウィルスの感染状況は、けして楽観できるものではない。

 様々に報告されているように、3月中頃までのPCR検査数は実際の相談者数の中のほんの1%程度しか検査には回されなかった。そしてこの状況は今も続いている。もし症状が出て不安な相談者の大多数がすぐさま検査されていれば、実際の感染者数はもっと膨大になったことは想像に難くない。

 だから実際の感染者は確認数の10倍という言がでてくるのだ。つまり4月27日現在では13万4000人余。
 これが事実なら、今後確実に感染者は増え、さらに死者も増えていくということだ。この数字に致 命率1%を掛ければ、1340人。近いうちにあと1000人余の死者がでる。致 命率が0.66%なら死者が884人。近いうちに500人は死者が増える。

 最近報告される死者数が増えていることがとても気になる。 

  そして日本では毎年、インフルエンザによる死者が2000人〜3000人あるという。インフルエンザの 実際の致命率は0.02〜0.03%だから、感染者数は2000万人〜3000万人ということだろう。もし新型コロナウィルスの感染者がこれと同等になったとすれば、致死率1%なら 20万人〜30万人の死者を出してしまうことになる。また致死率0.66%なら、 13万人〜19万人の死者を出してしまうことになるのだ。

 またウィルス感染は人と人との接触によって起き、新型ウイルスの治療法は確立されていないのだから、新型コロナウィルスの感染拡大を防ぐ唯一の方法は、人との接触を極力避けるしか方法はない。
 そしてどうしても人と接触せざるを得ないときは、感染者の5割〜8割は無症状、つまり風邪の症状が全くないわけだから、だれでもすでに感染している可能性があると考えれば、他人に自分の咳やくしゃみで感染させないためには、人と接触する際にはマスクをつけ、適度な距離を保って会話するという方法をとるしかないわけだ。

 だから感染の初期にウイルス感染の拡大を防げなかった国はみな、都市封鎖と呼ばれる、強制的に必要な産業を除いて営業を停止させ、社会的に人との接触を減らす方法をとっているわけだ。この場合には、営業を停止された店や事業所には損益の全面補償と、仕事を失った労働者には賃金の全面が伴わないと、感染拡大のための都市封鎖が、かえって倒産や失業を大量に生み出し、社会そのものを破壊しかねないし、それを恐れて営業を続けられたのでは、都市封鎖の効果が減退し、感染拡大を防げなく なるわけだ。

 この意味で安倍政権がとっている対策は、営業や外出の自粛要請だけで損益の全面補償も賃金の全面補償も伴わないので、感染拡大を防ぐ方法としては、極めて中途半端な、社会不安と社会が壊れかねない不安を醸し出し、かつ感染拡大を防ぐに時間のかかる、効果の薄い対策と言わざるを得ない。

 2020.4.27 4.29追記。5.18数字の誤りを訂正。


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