7月21日「楼門五三桐」 凄い、2転3転、いえ5転6転…のストーリーでどれくらいうまくまとめられるか稚拙な私の文章力では、自信がありません。すでに見たみきーるんるさま、メールをくれるAlohaさま、一緒に見たあーさん、フォローをお待ちしています。 なお、ネタバレとなりますのでお覚悟めされや。 それからめちゃめちゃ長いです。読むのがめんどくさい方はhomeにお戻り下され。 あらすじ 時は安土桃山、日本国内をほぼ平定した真柴久吉(羽柴秀吉のこと)(中村芝かん)、異国征伐に乗り出した。滅ぼされたある国の大老宗蘇卿(中村歌六)は、唐土に一人子を残し、日本に渡る。日本で二人の子供をもうけた彼の大望は日本を覆し三人の子に治めさせることであった。そのたくらみを知った久吉の家臣、早川高景は、蘇卿と、その子らを見つけ出そうとする。 久吉には二人の息子がいた。愚鈍な長男の久次(市川猿弥)。優秀な次男の久秋。(市川笑也) 久吉は久秋に家督を継がせたいが、兄に遠慮した久秋は、遊郭で遊興にひたり 遊女の九重(市川春猿)と、良い仲に。 悪い家臣たちの陰謀や何やあって久次は、父より切腹を申し付けられるのだがそれを救ったのが乳人役の大炊之助。 大炊之助は、久次を改心させるとして我が家に預かるが、久吉に謀反を起こす様久次をそそのかす。実は大炊之助こそ、蘇卿の仮の姿なのであった。そこに乗りこんできたのが、早川高景。彼は大炊之助=蘇卿ではないかと疑っており正体を確かめるために久次に愚鈍な振りをさせていたのであった。正体がバレ、絶体絶命の蘇卿は掛け軸から呼び出した鷹に遺書を書きつけて自害する。 蘇卿の部下、順喜観(市川右近)も鷹の後を追う。 桜爛漫の京都南禅寺、山門に立てこもる大泥棒、石川五右衛門(市川猿之助)。 ここで有名な「絶景かな、絶景かな」の台詞、飛んできた白鷹の羽にかかれたのが長年捜してきた父蘇卿の遺書と知る。 五右衛門こそが蘇卿が唐土に残した息子であった。五右衛門は父を探しに日本に来て武智光秀(もちろん明智光秀のこと)育てられたが、その養父も久吉によって滅ぼされた。久吉は五右衛門にとって、実父養父両方の仇だったのである。
京都寺町ではやっている餅屋。五郎七(歌六)と、滝(猿之助)夫婦の店である。滝は幼い妹と、母と行き倒れになっていたのを長兵衛に助けられたのだが長兵衛はとんでもない男で滝を遊郭にうり、妹は公家の門前に捨てたのに、養父面をして、滝に金を無心に来る。五郎七は、実は侍で武智光秀の家臣であった。餅屋を営みながら、主君の仇を討とうとひそかに考えている。それを知ってしまった長兵衛、五郎七を訴えて金をもらおうとするがばれて、五郎七に殺される。実は小栗栖村で、光秀を竹やりで刺し殺した農民は長兵衛だったのだ。 そんなとき白鷹が舞うのをみて、この家を訪れた順喜観 滝の持っていた守り袋から滝が蘇卿の娘であり五右衛門の妹であると知る。 五右衛門の子分。小鮒の源五郎(市川段治郎)は小野の中納言一行を襲い、貴族の装束を奪った。 この装束を身に着けて久吉の御殿に忍び込み久吉を殺すためである。 そこにいたのが中納言の妹で、今は久吉の養女お通姫(市川亀治郎)、彼女は醍醐の花見の際に名も知れぬ男に一目ぼれ…それ以来悶々として暮らしていた。 その愛しい男こそが目の前の盗賊源五郎。通姫は喜んで源五郎に付いていく。 通姫は、小野家の実の娘ではなく、赤ん坊のとき小野家の門前に捨てられた捨て子であった。 加茂川に漕ぎ出した小船3隻。1隻には源五郎と通姫、もう1隻には左枝利家、今1隻には五右衛門が乗っている。川は真っ暗やみ…誰が乗っているかお互い認識は出来ない。ひょんなことから五右衛門の手に通姫の守り袋が渡る。それを持つのは順喜観の働きでめぐり合った滝と行方知れずのもう一人の妹… 顔も見定められないまま船はばらばらに。 久吉の御殿では久秋の跡目相続と、九重との祝言のめでたい儀式の日である。 式をとりおこなうのに欠かせない千鳥の香炉が盗まれたと、城内大騒動になったとき悪びれもせず現れたのが、香炉を盗んだ犯人、順喜観。それを取り押さえたのが帝からの勅使だというウネメの内侍。実は滝が扮装している。こうして、犯人を取り押さえ周りを安心させた上で久吉に会い、殺害するのが目的だったが、宮中にくわしい左枝利家に、そんな内侍はいないとばれて順喜観ともどもつかまってしまう。 源五郎に送られて帰ってきた通姫、養父久吉を殺せば夫婦になってやるといわれ、久吉の寝所に行くがなかなか刺せない。そのとき、鉄砲の音がとどろき、久吉は絶命する。実は五右衛門が屋敷に忍び込み、久吉をうちころしたのであった。またも、白鷹飛ぶのを見た五右衛門は通姫が探していた妹であることを知る。 追手を逃れ南禅寺まできた五右衛門一行。 五右衛門は大立ち廻りを繰り広げるが、取り囲まれてしまう。 じつは、順喜観は、五右衛門をつかまえ、盗まれたお袖判を取り戻すための加藤清正の変装だったのである。五右衛門が討ったと思っていた久吉は替え玉だった。ことごとく裏をかかれた五右衛門。 しかし久吉は、五右衛門の器量を惜しみ、幕下になるよう勧める。しかしそんなことで収まる五右衛門ではない。そこで久吉はその代わりに源五郎と通姫を娶わせて自分の部下とする。滝は五郎七のもとにかえり、すべての絆を断ち切った五右衛門はあらためて、後日の決戦を久吉に約束する。 今まで、歌舞伎を見たことは五回くらいしかありません。 母のお供で行って、退屈、言葉はわからない、テンポはのろい、時間が長い…あまり楽しかった思いではありませんでした。スーパー歌舞伎を見てとても面白かったけど、あくまであれはスーパー… 猿之助さんやおもだか屋の役者さんのことを少しは分かったとはいえホンマもんの歌舞伎をどう感じるかちょっと不安でした。 でも、とってもとっても楽しめました。台詞は歌舞伎の口調なのでわかりにくいのですが、今の世相をちょっといれたり、パロディーが入ってたり語呂合せがあったり、かなり笑えました。演出は斬新で華やかで見所も沢山あったし。 舞台の上を三隻の船が行き交う船だんまりのシーン、宙のりもつづら抜けも迫力万点だったし、最後の大たちまわりも凄かったです。 ストーリーは複雑でしたが、なかなかはらはらさせて面白かったです。 これからは歌舞伎もどんどん見よう・・とまでは思いませんが、猿之助さんのものは絶対みたいと思ってます。 そして、なんと言っても市川段治郎さんすごくカッコ良かったです。 どの衣装を着て出られても背が高いのでよく似合ってました。 こんなに、歌舞伎メイクの似合う方他にいるのでしょうか。めちゃめちゃ美形です。 最初は純情な姫をたぶらかす悪役かと思っていたのですが、実は純愛が入っててなかなか良かったです。 「新・三国志U」の時も女形とロマンスを演じられたのですが、彼が演じると昔の話ではなく現代の恋人達が恋愛をしているという感じ、とても素敵です。 背が高くて、小顔というのは歌舞伎俳優さんにとってプラスなのか?ですが(歌舞伎役者と、ジェンヌはメイクで塗る面積が広いほうが映えるので顔が大きい人が大成すると聞きました。ほんとかい)。 彼が出ているときはオペラグラスで追っかけまくってました。(マント翻した悲劇の馬しょくが叉みたい) それから段治郎さんは口跡というか活舌がとてもはっきりしていて良いですね。こもる声の役者さんが多かったのですが段治郎さんの声はとても良く通って良くわかりました。これからの活躍がとても楽しみです。 第一「華果西遊記」 ・
感想を読む 第二「末摘花」 ・
感想を読む 華果西遊記 第一場 女性ばかりが住む国西梁国を通りかかった玄奘三蔵(笑也)、猪八戒(猿也)、沙悟浄(段治郎)、孫悟空(右近)。西梁国の女王(笑三郎)は、妹芙蓉(春猿)の恋煩いを治して欲しいと三蔵にたのむ。 喉が渇いた猪八戒は、泉の水を飲むが、それは子母泉といい、飲むと妊娠する水であった。 男ながらに妊娠してしまった猪八戒を手品のような手さばきで手術する孫悟空。 侍女たちは殿御の姿を見たと喜んで一行を歓待する。 一方、三蔵は芙蓉に、「私が恋焦がれていたのは、あなたじゃ」と迫られる。 そこに現れた孫悟空、女王と芙蓉が実は蜘蛛の妖怪である事を見ぬく。しかし、孫悟空は蜘蛛の糸の前に倒れ、猪八戒も沙悟浄も捕らえられてしまう。 第二場 きんと雲に乗って、三蔵の行方を探している孫悟空に、白馬が猪八戒と沙悟浄も捕らえられた事を知らせる。こちらも助けなければと孫悟空は自分の髪の毛を抜いて行きを吹きかけ16?の分身を作って彼らの救出にいかせる。 第三場 孫悟空が三蔵を救いに行ったのは妖魔の棲家といわれる盤糸嶺。 女王と芙蓉はここで数千年の年をへた白糸蜘蛛の精で、手下の蜘蛛たちとともに孫悟空と激しいバトルが繰り広げられた末、かけつけた猪八戒、沙悟浄と共に無事三蔵を救い出し、蜘蛛の精を制圧したのであった。 面白かったです! 猪八戒の猿也さん、いつもコミカルな役が多いけど、ほんとうに嫌味なく笑いを取っておられます。男なのに妊娠して、産気づいて大騒ぎ、それをおろおろ背中をさすったり走りまわる沙悟浄ととても良いコンビでした。 沙悟浄の段治郎さん、1番のご贔屓です。新三国志Uの悲劇の若武者馬しょくの美しさは息を呑むほど。最後に奥さんと子供が歩いているのを後ろからそっと見つめながらすっぽんに降りて行くときなんて後光がさすほどでした。 「楼門五三桐」の粋な悪党役もばりばりの二枚目。その彼が滑稽な河童メイク。 ちょっと寂しかったけど、動きの軽やかさ、滑舌の良さ、台詞の美しさはいつも通りでした。オロオロばたばたしてるとこなんて、すごくわらえます。二枚目から三枚目何でもこなせる方で、本当にこれからが楽しみ! 右近さん、すごく器用で、動きの軽やかな孫悟空でした。 すごく存在感があって、猿之助を次ぐのは右近か?といわれるのも納得です。 でも、私この方の下あごを突き出したようなせりふの言い方がどうも苦手です。 孫悟空の分身たち、右近を真ん中に左右に小さい子からだんだん大きくなって行きます。5〜11歳の子供たちが、孫悟空の格好をして、カマを持って踊るのはとても可愛かったです。右近さんが自分の左右にいた一番小さいこの頭を笑ってなぜていたのは、演技ではないのかも… 後ろに座っていたおばさんが「あの子達、学校はどうしてるのかしらね?」 私もLK、最初に見たとき、Yシンバ、Yナラ、学校はどうしてるんだろうと思ったものです。 笑也さんの三蔵は、中性的で、きれいなお坊さんでした。 笑三郎さんの女王、春猿さんの芙蓉はあでやかできれいだけど、そのあとの蜘蛛メイクはすごかったです。くもの糸を投げてからめとるところはどこからあんなに大量の糸が出てくるのか驚きました。見事です! 澤潟屋の役者さん、良いですね。 台詞は歌舞伎調なのだけど、みんな台詞がはっきりしてるのでとても聞きやすかったし良くわかりました。 私のような歌舞伎初心者にもとても楽しめたので、「歌舞伎って…」と思ってるかたも是非見て欲しいです! 末摘花 美男美女が活躍する源氏物語の中で、唯一のしこめ、末摘花(勘九郎)は、かつて一度だけ自分を訪れた光源氏を忘れられない。荒れ果てた屋敷に老女雲の井(家橘)、侍従(福助)、侍女狭霧(芝のぶ)と暮らしているが、生活も底をつき侍女たちもそろそろ嫌気がさしている。忠実な侍従もおばから縁談を持ち込まれているが姫を差し置いて自分だけが幸せにはなれないと躊躇している。 姫には、思いを寄せてくれる東国の受領、雅国(團十郎)がいるが、どうしても光源氏を忘れられず、プロポーズを断ってしまう。 そこへ、光源氏の従者藤内(弥十郎)が、光の文を持って訪れる。 それには、今夜、酉の刻に屋敷に見える事、二条院に住まいをもたせることが書いてあった。皆大喜びし、さっそく支度にかかっているそのとき、藤内が戻ってきて、実はあれは花散里に届ける手紙を間違えて持ってきてしまったので、戻して欲しいと頼む。喜んでいそいそと支度をしている姫にそれを伝えられない侍従。 とっくに酉の刻は過ぎても、もちろん光は現れない。 雲の井は姫に雅国と一緒になるよう薦めるが、姫はどうしても光との一夜が忘れられない。 姫が一人でいるとき藤内がやってきて、姫に手紙を返して欲しいと言う。すべてが分かった姫は手紙を返して、一人で涙している所に侍従が飛び込んでくる。 光(玉三郎)が、すぐそこまで来ていると言う。 実は、花散里のところでくつろいでいた光をたずね、頼んで姫の所に来てもらったのは、侍従であった。 姫を訪れた光は、こんな荒れ果てた所に住まわせていた事に自責の念を覚える。 そして、姫の純情で控えめで自分を思いつづけてくれた心の美しさにうたれ、一生離さない、二条院に屋敷を構えて迎えると約束し、次の朝、帰っていく。 みんなが喜ぶ中、しかし姫は雅国に嫁ぐことを決心する。 言葉が時代劇調だったので、良くわかりました。 末摘花に思いを寄せる雅国が、盲目と言うのはちょっと笑いを取る所なんだけど、その分素直に姫の心の優しさ、清らかさを見ぬけたのでしょう。 自分の幸せが目の前にあるのに姫の事を思って踏み切れない侍従。 最初に姫が雅国の縁談を断ったとき、「それで良いのですよ、お気持ちのままになさいませ。侍従は姫さまに一生付いていきます」という台詞… 福助さんはちょっと声がハスキーで、とても素敵でした。 雲の井の家橘さん、よれよれで食欲ばかりに走る、「寺内貫太郎一家」のおきんばあさんそっくりで大笑いなのだけど、実は過去、一度だけ身分の高い方に愛され、その夢を追ってこんなになってしまった…自分の轍を姫に踏ませたくないという思いがあります。 狭霧の芝のぶさん、絶対に男には見えません。後ろで「男だよね」という声が。 光の玉三郎さんは、ちょっとおとぼけで、よかったです。 以前は、女形の踊りを見たのですが、本当にため息が出るくらいきれいでした。 姫の純情にほだされて、姫だけを愛し、迎える事を約束した帰り道、お供に 「紫の上様はどうなさいます?」と言われ 「あれはわしの夢じゃ」 「花散里様がお許しになりませんよ」 「あれは特別じゃ」 「間もなく、明石の上様が来られます」 「迎えねばならぬなあ」 「それでは今までと同じではないですか」 「う〜〜む、屋敷に帰ってゆっくり考えよう」と優柔不断で面白かったです。 勘九郎さんの、ブスメイクもすごくて本当に楽しめました。 |
||||||
なんたって、派手な開幕です。 いろとりどりの大旗を振り回しながら大勢の兵士が舞台をかけまわる。 その瞬間から、もうあなたは舞台のとりこ! 中国後漢末期、群雄割拠の戦乱の世。 劉備・関羽・張飛の3人が孔明@市川猿之助に平安の世をつくるため蜀の国で働いてくれるように要請し、孔明もそれを受ける。 しかし恋人の翆蘭@市川笑也は年老いた両親を置いて、孔明に同行することが出来ず、孔明の夢が成就するまで別れを余儀なくされる。 笑也さんはとても可愛い! 肩を抱かれた時の苦しそうな切なそうな表情がとても印象的で、女そのもの! 笑也さんって素顔は普通のおじさんだし、お年も40を超えていらっしゃるのに、どうしてこんなに可憐なんだろう… 翆蘭は、二人が初めて出会った時に咲いていた桃の花びらを孔明に渡す。 しかし、なかなか戦乱の世はおさまらず、翆蘭の所に戻るという孔明の夢はかなわぬまま、孔明は蜀の国を背負って魏・呉に対さねばならなかった。 そのころ孟獲@市川猿也率いる南方国が蜀に攻め込んでくる。 猿や虎や象まで登場し激しい立ちまわりが繰り広げられる。 半分以上、京劇ショーの様で本当に楽しめますよ! 孟獲を力で屈服させるのではなく、心から孔明に信服し自ら降伏させるため、捕らえては離しを7回繰り返して遂に孟獲の心を落す。 この立ちまわりは馬しょく@市川段治郎・関平@中村歌六・安仁@市川亀治郎 それぞれの対戦モードがとてもカッコイイです! 特に馬しょくの長身を生かしたダイナミックな立ち回りと、立ち姿は惚れ惚れします。 孟獲の妹、祝融@市川笑三郎、才鴻@市川春猿の衣装や立ちまわりもとてもきれいです。 南方国に勝利した蜀が攻め込むのではないかと心配した魏の軍師仲達@金田龍之介(仲達という人はすごい深読みばかりするタイプ・有名な『死せる孔明、仲達を走らせる』の故事も納得してしまいました)は討伐に姜維@市川右近を差し向ける。 姜維の働きで魏は敗退するが全滅を免れる。 さっそうと右近さん花道から登場します。 確かに華のある役者さんだし、すごい!と思わせられる所もあるのですが、彼のメイクした顔がどうしても山田邦子に見えてしまうんです^^;。 前にも書いたけど、彼の台詞…苦手です。 蜀と友好関係を結んだ南方国では孔明一行に祝融、才鴻がサービス。
このシーンの段治郎さん、最高に可愛い!! はじめは「孔明さまがお休みになってるのだぞ」と言うのだけど、才鴻にパフパフされたら「ははは」なんて笑い出して一緒に踊りだし、4人に囲まれて「離せ…」などと言いながら花道を去って行きます。 それを横目に孔明の部屋に入って行く祝融。 孔明に「お前を抱きに来た」と迫る祝融。祝融は孔明と契りを結んで、良い子供をもうけようと迫るのだけど孔明に「恋をしなさい」と説得される。 この時の笑三郎さんの美しさ、妖艶さはすごいです。 孔明が翆蘭の事を思い出しながら、恋を語る… 自分を愛しながらも、親のために恋を捨てざるをえなかった翆蘭と比べ合わせ自由に恋が出来る祝融に「あなたは立場や身の上を考えることなく自由に恋愛ができる強さを持っている、だから自分が全身全霊をかけて愛せる人を探しなさい」と。 最初は「こんなに美しい私が迫っているのに何故お前は私を抱かぬのだ」と傲慢に誘っていた祝融が、孔明にどうしようもなく恋してしまう…という私のかなり好きなシーンです。 南方国から成都に戻る途中、降伏した孟獲のおじ木鹿大王@市川猿十郎が待ち伏せをしており、孔明に毒矢を放つ。 ここで、木鹿大王と蜀軍の闘いになるのだけど、祝融、才鴻姉妹も蜀に味方をして闘う。 で、二回目に見てそうか!って納得したのだけど、今後の馬しょくと才鴻の恋の行方を暗示する様に、ちゃんと馬しょくが才鴻を守ってるんです〜〜 カッコイイ!!! 孔明が力を振り絞って木鹿大王を切り捨てた所で、毒が身体に回り倒れてしまう。 毒矢に倒れ20日間眠りつづける孔明。 夢の中に翆蘭が出てくる…もうすこしで手が届く二人を闇が邪魔をする。 祝融の献身的な看病で目を覚ました孔明。 祝融から馬しょくと才鴻の間に恋が芽生えた事を聞き、喜ぶ孔明。 このときの馬しょくの反応がとっても良い! 才鴻と手を取り合って隅の方でべたべたしてるのだけど、祝融に指摘された時、はっとして才鴻の手を離す…孔明に「いずれ良い日を選んで祝言を」と言われるとにっこり笑ってうれしそうに「ありがとうございます」と力強くお返事。 あ〜〜〜もう段治郎さんが演じるとはるか昔の物語が、今の世の若者の恋のように見えてしまう…なんて素敵なんだろう〜〜〜 段治郎さんの現代劇も見てみたいかもしれない… 蜀は北伐を開始する。 それを静観するつもりの魏の仲達は姜維の手柄を認めながらも、乱世を終わらせたいという姜維の志を理解せず、休息を命じる。 それに納得できない姜維は勝手に出兵してしまい、仲達に追われる事となる。 国境の城、天水城では蜀の勝利。 味方に捕らえられていた姜維を生け捕りにする。 かねてより姜維に自分と同じものを感じ、味方にしたいと思っていた孔明の説得を姜維は寝返ることはできないから殺してくれと頼む。 縄を解いて逃がそうとする孔明に、そのまま自分を捕虜としておいてほしい、その間に自分の進む道を考えてみたいという姜維。 天水城を手に入れた蜀の次なる戦略の重要地は街亭。 街亭の守備を自ら願い出た馬しょくは功を急ぐ余りに孔明や王平@猿也の指示に反した陣立てを取り、味方を大敗に導いてしまう。 意気揚揚と出陣しようとする直前に才鴻から妊娠したことを告げられ、二重の喜びに幸せの頂点にいた馬しょくだったのに。 天水城では関平と安仁が時間を稼いで孔明を逃がすことにして、追ってきた仲達の軍と闘う。この本水30tの大立ちまわり! わざわざ一番流れの激しい場所で、これでもかこれでもか…というくらい水を浴びての立ちまわりは、迫力満点です。 ここで関平は壮絶な戦死。 安仁に「関平の名前をついでくれ、関羽さまの意志をついでくれ」という関平@歌六。 後ろ髪を引かれながら、敵を追い詰めて花道をびしょびしょなまま去って行く安仁@亀治郎。 天水城で敵は食いとめたが、それでも孔明に仲達率いる魏の軍が追いついてくる。味方は少なく絶体絶命。 そこで孔明が立てた作戦は「空城の計」 3000の兵に「平安なる世の夢を見よ」と命じ、自らは楼門の上で悠々と琴を弾く。 無人の城とも感じさせるこの空城の計に引っ掛かった仲達は、大軍が結集したものと思い退陣する…深読みなんだから〜〜全く。 ピンチを切り抜けた孔明の元に馬しょくが自らに縄をうって帰ってくる。 馬しょくは軍律に従い、死刑を宣告してくれる様孔明に頼む。 これまでの功績をかんがえ死刑だけは辞めてほしいと懇願する周囲。 小さいころからお側に使え賢さと素直な気性で孔明から本当の弟か子供のように愛されていた馬しょく。 彼を死刑にするのは、孔明にとって断腸の苦しみである、しかし処罰を甘くすれば今回死んで行った兵や家族に申し訳が立たない。 ここで、ちょっとLKネタ。 死刑を宣告する時「馬しょくを星にいたせ」というのだけど、その前に偉大な武将たちが星となって我らを導いている、馬しょくも空に上ってひときわ輝く星となれ…と言う台詞があります。どこかで聞いたよね! 馬しょくもそこは良く理解していて孔明に「かたじけない」という。 才鴻が「わ〜〜〜〜」っと泣き崩れる…馬しょくは「我が子に、夢をたくせて私は幸せだ」と語り、才鴻の手を握る。うるうる 処刑のあと孔明が泣き崩れるのだけど、「馬しょくよ〜〜〜!!!」と大声で叫びながらオイオイ、鼻水、涙 よだれまで出そうなくらいの号泣でもらい泣きしそうになりました。 一連の流れを見ていた姜維は孔明の元、蜀軍に加わることを申し出る。 彼は孔明から「夢見る力」を学んだのだ。これこそ魏とは絶対的に違うところ。 一人を失い、新たなる一人を得た孔明。 かつて受けた毒矢の後遺症もあって孔明の病は重い。 命が長くない事を悟った孔明は理想の国作りのに必要な事をおびただしい書物に書き残していた。 それを姜維にたくす孔明。 孔明は翆蘭からもらった桃の花びらを姜維に見せるが、偶然彼も母からもらった桃の花びらを持っていた。 二人の花びらが1つに合わさる。 出兵に際し、孔明は今まで付き添ってくれた祝融に別れを告げ、ふるさとに帰るよう諭す。 孔明を愛している祝融が言う事を聞くはずがないのだけど、孔明は二人にしか見えない心の矢を空に飛ばし、祝融を説得する。 涙ながらに別れを告げる祝融には1つの決心があった。 それは孔明のために翆蘭の消息を訪ねようと言うのである。 いよいよ別れ、「別れの舞」を涙ながらに舞う祝融。 馬しょくと才鴻の間に生まれた子供に未来を託し「この子には剣ではなく、書物と筆をあたえるのだ」と言う孔明。 なかなか泣けるシーンなのだけど、いったい孔明にとって祝融はどんな存在だったのだろう。 彼女の気持ちを知りながらここまでぴっぱってきて、いまさら故郷へ帰れというのはちょっと酷いんじゃないの??? 姜維と孔明が立てた新たなる北伐の策とは食料の確保のために魏の国内に兵糧倉を建て、そこに麦の穂に火薬を詰めた爆弾を装備するというもの。 敵の食料を奪おうと仲達軍が攻めてきたところに火を放てばあたりは火の海。 仲達たちが死を覚悟したそのとき、100年に1度の豪雨がふり、仲達たちは助かる。 この倉が燃えるシーンが有名な屋台崩し。 ぱちぱちと火薬が爆発し、蔵が崩れ人が倒れる。 赤い布を火に見たてたかなりすごい見所です。 魏と蜀がにらみ合ったまま膠着状態に入った五丈原。 孔明の命は風前の灯である。 そこに翆蘭生き写しの娘が琴を持って現われる。 驚く孔明。 彼女は祝融が探し出した翆蘭の娘 春琴@笑也であった。 翆蘭は五年前に病死していたが、なんと姜維が春琴の兄、すなわち翆蘭の息子だった事も判明!! また、琴の曲名から翆蘭がどれほど自分を愛していたかを知り、涙する孔明。 桃の花びらを胸に孔明は星となる。 孔明の遺言で彼の死は隠される。 「死せる孔明が生ける仲達を走らせ」魏軍は五丈原から撤退。 孔明は迎えに来た翆蘭@笑也(春琴から早変わり!)とともに星の中に去って行く。これが有名な二人宙乗り。 この宙乗りを見るためには絶対に前のほうの席がお薦めです。 三幕目は馬しょくが出ない事もあって冷静に芝居を見られるのだけど、いろいろ意地悪に見てしまいました。 祝融の扱われ方と同時に翆蘭の夫って一体なんなんだ?? 孔明とわかれた後、翆蘭は魏の武将と結婚して姜維、春琴という二人の子供を設ける。でも春琴が生まれる前に戦死してしまい、その後女手1つで二人の子供を育てるのだけど、子育てのバックボーンが孔明の思想と全く同じで、だから最初は敵同志で出会っても姜維と孔明は深く惹かれ会うんですよね。 で、最後にはやっぱり翆蘭は孔明を愛していた…となるのだけど、なくなったご主人の存在は??ただの種馬か???(わっ、いやらしい) それはともかく、笑也さんは美しい! 春琴の時の若い可憐な少女から一転翆蘭となって登場するときのあでやかさ… 衣装が変わっただけではなく、しゃべり方も仕草も全然変わっています。 すごいなあ。 カーテンコール 全員が登場して、それぞれのポーズをして花道を去って行くのですが、これがカッコイイ!!! 敵軍も、味方の武将も! その中で、二歳くらいの男の子がちょこちょこと舞台に現われます。 それを追いかけて才鴻が登場。 転んだ子供を抱き起こして、肩を抱いて花道を去っていく。 その後に馬しょくがすっとせりあがって登場するのだけど、彼は鬼籍の人なので才鴻や子供に語りかける事は出来ず、そのまま手を差し伸べながら去っていくのです。 その一瞬に彼の悲しさがめちゃめちゃ現われていて泣けます!! (それをさえぎったあのおじいさん…本当にむかついた!) でも本当に素晴らしい舞台です!! 馬しょく@段治郎に偏った感想にお付き合いいただきありがとうございました。 始まりから頭の上で旗がぶんぶん回ります。 あれだけ激しい子供の日、夫が1時帰国中にもかかわらず、またしても自分のお楽しみを最優先させてしまった私… そんな犠牲を払ってさえ余りあるほど今回の観劇は素晴らしかったです! なんたって、最前列! 今日は馬しょく@段治郎一色にならないようしっかりと見てきました。なってたらごめんなさい… あんなにはげしい動きなのに京劇の役者さんが足音を立てないことにまず、びっくり! 今日の気になった役者さん やっぱり段治郎さん 最前列なのにオペラグラスで、追い回してしまいました。 馬しょくは下手がわにたつ事が多いので、首ひねっておっかけていたため筋が痛かった… 一点の非の打ち所もない馬しょくでした。 とにかくきれい、声が良い、カッコが良い。 才鴻に誘惑される所は目の前で、もう可愛かったです〜〜 二幕の「泣いて馬しょくを斬る」のところでは滂沱の涙を流して演じておられました。 カーテンコールで出てくるところの腕組した姿は鳥肌が立ちそう! 関平・孫権@中村歌六 関平の時は上手側におられることが多いのでしっかりと見えました。 凛々しくて渋くて素敵なのだけど、ぴちぴちの馬しょく@段治郎、安仁@亀治郎と比べると白塗りの上からもわかるお肌の荒れがちょっとつらかったかも。 でも天水城での水を浴びての立ちまわりから壮絶な戦死…ものすごくカッコよかったです。 三幕での孫権、やられました〜〜〜 高貴で、人徳のある孫権そのもの! 低音の響きのある声と渋い演技! あまり動きはない役だけど、素晴らしい存在感で芝居の終盤をばっちりと押さえておられました。 安仁=関平2@亀治郎 可愛い、そしておちつきのある素敵な存在でした。 本水をあびて、きっと重たくて辛いだろうに、すごい迫力のたちまわりでした。 関平が戦死、馬しょくが死罪になった後、白い布をまとって葬送の舞を舞うのだけど、これが最高でした!!泣けました。 祝融@笑三郎 ものすごくきれいでした!! 目の前に立つことが沢山あったのでしっかりと見たのですが本当にきれい! 可憐さ、美しさは笑也さんに軍杯ですが、ほんとうに色っぽくて素敵でした。 才鴻@春猿の存在感がわりと淡々とした美しさと比べこってりとした色気はめっちゃ魅力的でした。 美しく、求めるものはなんでも手に入れられるという傲慢から「恋とは愛する人のために尽くすこと…」という女心の変化がびしびし伝わってきて… それでも彼女の思いは孔明に伝わらない…孔明には永遠の恋人がいることを知って彼に仕える祝融。女の鏡です! 南の国に帰って幸せになっていてほしい。 子元@市川猿四郎 以前、猿之助さんの特番をテレビで見たとき、ちょっとはまってしまいました。 素顔は、むかしかなりブイブイ言わせたのではないかい??というくらいのつっぱり顔なのだけど、猿之助さんに心酔して精進されている様子がとても良かったです。 かなりきついメイクで猪突猛進方の武将だけど、深読みの仲達お父さん、子元の進言を聞いていたら、あるいは勝利していたかも。 最後にLKネタ 前回の「星」にまつわるLKとのふか〜〜いつながり。 もう1つ見つけました! 孔明が亡くなった後、姜維が「孔明様は我々の中に生きておられる!」 ねえ!絶対に共通項があるでしょう! 前日に電話をしたにもかかわらず、下手最前列を取ることが出来ました。 端っこだったので、花道は近いけどすっぽんから出てくる役者さんは後姿しか見えないという難点はあったものの、馬しょく@段治郎鑑賞席としては大満足でした! 馬しょくは下手側で演じる事が多いので、今回初めて見たシーンもたくさんありました。 まずは段治郎さん 1、
棒術がすごかった! 段治郎さん、長身なのですごく長い棒をぶんぶん、まるでバトントワラーの様に回してました。 2、 「才鴻ちゃんのピンチ」 才鴻@春猿のたちまわりもとてもきれいなのですが所詮女… 幾多の敵に囲まれてピンチに陥ります。 馬しょくはそれに気づき(はっとした顔がまた素敵)才鴻を守って敵と戦う。そのあと「才鴻ちゃん、安全な所に行こう」と手をつないで立ち去る。 3、
才鴻ちゃんに誘惑される所、上手でスタンバッてる段治郎さん、なんだか可愛かったです。 4、
祝融に二人の恋を指摘される所、その直前まで二人で手に手をとっているのだけど、パッと放すところがまた良い! 5、
カーテンコール、私の目の前を歩いてくれて…この世の者とは思えないほどの美貌を見せていただきました。 祝融、孔明編 1、
祝融@笑三郎が孔明に迫って振られるところ、ベッドに座って 「チェッ」という風に足で床を蹴る…可愛かったです。 2、 別れのところ孔明に「さらば、わが友よ」と言われる。 惚れた男に「友よ」なんて言われたら女は絶望しますよね。 それなのに孔明のために翆蘭を探しに行く…あんたはえらい! 3、 笑三郎さんのお肌、本当にぴかぴかでした〜〜 宙乗り・翆蘭アンド孔明 宙乗りの出発点を目の前にしました。 翆蘭@笑也さん、小首をかしげて客席ににっこりしたような… もう、本当にきれいです、可愛いです! 飛び立ってしまうと下からしか見えないのでスカート覗きの心境でした。 何度見ても本当に素晴らしい! 無理してでも見に行って良かったです。 ところで最後のクライマックス、前回はすごいスモークに苦しんだのですが 今回もすごかった〜〜 みんな遠慮がちに咳き込んでいる所「ごえっくしょん!!!」と咳ともくしゃみともつかぬ音声を発したお爺さん。 笑也さんの「夢はまだ続いております…」という感動的なシーンにもかかわらず客席から漣のような爽やかな笑いが起こっておりました。 あのスモークはちょっと考えた方が良いと私は思います。 二日前に取った席で最前列、センター。 客電が落ちない煌煌とした席の最前列は…かなりはずかしかった。 あらすじ 北陸道、安宅の関。 この関所は源頼朝に追われた義経を捕らえるために設けられた。 ここには義経に同情的な富樫左衛門家直@市川門之助、義経を捕らえて手柄にしようとする斎藤次祐家@市川猿也の二人の関守がいる。 義経@市川亀治郎一行は、東大勧進のための山伏に扮しているのだが斎藤次に通行を阻まれる。 疑いを晴らすために弁慶@市川右近がありもしない勧進帳を読み上げ、さらに主君である義経を「お前が遅れるから怪しまれるんだ!」と金剛杖で殴る。 事情を察した、富樫は義経一行に往来手方を渡し、関を通してやる。 どうにも腹の虫が収まらない斎藤次は 「お前が弁慶だな」と縄をかけ木に結びつける。 弁慶のことが気掛かりだが、去って行く義経一行。 後に残った弁慶は、殴られても何をされても無抵抗。 おまけにわんわん泣き出す始末。 義経たちが大分先まで言ったとおもわれるころ、弁慶は名乗りをあげ、縄を引き千切って暴れだし、番卒どもの首を片っ端からひきちぎりひきちぎり、天水桶に投げ込んで、2本の金剛杖で、芋を洗う様にかき回す。 感想 すごいよ! 役者さんと目が会うこと! ちょっと緊張した観劇でした〈爆〉 有名なお芝居ですが、はじめて見ました。 首を引きちぎる演出などとっても面白かった。 首を引っこ抜かれたひとは、エリから赤い布を出して頭にかぶり、首の無いやっこさんのようになるのだけど、上手いやり方だなあと思いました。 殺陣で、「参った!降参」ってのを転がって足をVの字に開いてあげて腕を組むポーズであらわしたり、こういうお約束ごとっておもしろいですね。 亀治郎さんの義経がとってもきれいだった。 お若いのでお肌がぴちぴちで横顔がすてきでした。 右近さんの弁慶は凄い汗を流しながらの熱演でした。 でも声がかすれちゃって、聞いていてしんどかったのだけど大丈夫なんだろうか。 あらすじ 義経の愛妾静御前@中村芝かんは、家来の佐藤忠信@市川猿之助を供に都から桜の盛りの吉野山にやってきた。 彼女らは義経から与えられた初音の鼓を義経に見たてて踊る。 なぜか鼓に対する忠信の態度は普通ではない。 実はこの鼓の皮に張られた狐の子どもの化身であった。 静と忠信が照れながら踊り「女雛男雛」のかたちになる。 屋島の合戦物語は、忠信の見せ場で、重厚な義太夫の語りに乗って、合戦の模様が豪快に再現される。 そのうち、頼朝方の追手速見藤太@市川段四郎が、大勢の家来を連れてやってくるが、忠信に追い払われる。 時に人間離れした〈狐っぽい〉仕草の忠信と静は、義経のもとへと旅を進める 感想 芝かんさんは、とってもおばあさんに見えて「静御前」というイメージではないのだけど、時に可愛く、時に飄々と、素敵でした。 猿之助さんの忠信は、よかった! 本当に狐っぽいし。 親を慕う子供の狐という感じではなかったけど。 藤太はとってもおまぬけな役で、わらえました〜 上着と下にはいているパンツ?の組み合わせのアンバランスが、彼のお間抜けなキャラを現しているそうなのだけど、昔の服装を知らない今の人にはその面白さは伝わらないので、ちょっともったいないなと思いました。 後見で、笑三郎さんが出ておられたのが、ちょっと嬉しかったです。 三味線、義太夫の桜柄の裃が可愛かった!! あらすじ 一幕 お米@市川笑也には、料理人丑松@市川猿之助という夫がいる。 しかし、因業なお米の母@中村東蔵はうだつの上がらない丑松と別れさせてお米を金持ちのめかけにしようと毎晩お米を折檻する。 一本気な丑松は母と用心棒@市川延夫を殺し、お米を兄貴分の四郎兵衛@市川段四郎に預けて旅に出る。 1年後、お米恋しさに江戸に戻る途中、雨宿りで立ち寄った女郎屋。 客と遊女の嬌声や、妓夫の三吉@市川寿猿のおしゃべり、料理人祐次@中村歌六と建具職人熊吉@市川段治郎のけんかなどでにぎやかな板橋妓楼杉屋である。 そこで丑松が出会ったのは、夢にまで見たお米の女郎姿であった。 お米は、四郎兵衛に「言うなりにならないと丑松の居所をお上に訴える」と脅されて四郎兵衛に犯された挙句女郎に売り飛ばされたのであった。 しかし、四郎兵衛を固く信じる丑松はお米の言う事を信じず、お米がいい男を作った挙句にこんな場所に売られて身を汚したと思いこみ、お米を罵倒する。 一生懸命訴えるお米の言い訳を聞かず、お酌さえ受けてもらえなかったお米はさびしそうに部屋を出て行く。 お米に代わって酌をする三吉を酔わせて、詳しい話を聞き、お米の言っていたことが本当だと分かった時、店の人々が騒ぎ出す。 絶望したお米が、暴風雨の中、裏の銀杏の大木で首を吊ったのだ。 第二幕 丑松が兄貴と立てる四郎兵衛は、料理人の口入をしているが、実はとんでもない悪党で、自分より腕の良い丑松に嫉妬し、丑松を出世させなかった。四郎兵衛と妻お今@中村東蔵の所に、板橋からお米の訃報が届くが、嫉妬深いお今の手前自分には関係の無い女だから弔いも勝手にやってくれと言って四郎兵衛は銭湯に出かける。 入れ替わりに現われた丑松。 いろいろ言い訳をするお今に逆上して刺し殺し、その足で銭湯に向かう。 忙しく立ち働く三助の甚太郎@市川猿四郎の目をすり抜けて、湯船の中で四郎兵衛を殺し、意趣を返した丑松。 人々の騒ぎと厳重な警戒の網をくぐりぬけ、わななく足を踏みしめながら逃げ去って行く。 感想 浅草鳥越の二階 なんと言っても、笑也さん!! どんなに母親に折檻されようと泣きながら丑松への愛を貫こうとするいじらしさ、可憐さは本当に可愛かった!きれいだった! 浪人が気を失ったお米に、いやらしく触ろうと胸もとに手を入れるところなんて、思わず息を飲むくらいに色っぽくて、浪人がムラっと来るのもわかるような気がしました…わかっていいのか!! 「男はみんなこんな事をするのに、しなかったのは丑さんだけだ」と泣くところなんて、私が抱きしめてあげたかったくらい。いらないって。 浪人と母親を殺した丑松が自首しようとするのを、一緒に逃げよう!四郎兵衛兄貴に頼って、それでも駄目なら一緒に死のうとかきくどくお米。 「一緒に逃げよう」って言うのがほんとうに可愛かった。 板橋妓楼杉屋 大雨の降りこむ木戸の演出効果がとってもよかった。 芝のぶさん、笑子さんの女郎が可愛い。 私の中では、渋い大人の魅力たっぷりのイメージの歌六さんがばたばとした喧嘩っ早い役だったし、凛々しいイメージの段治郎さんがめちゃめちゃ可愛い役だったり、かなりかなり楽しめました。 祐次@歌六さんは、熊吉@段治郎さんが女の事で自分の悪口を言っていると耳にして 「許しちゃおかねえ」と包丁を持って飛びこんでくるのだけど、丑松に諭されだんだん頭が冷えてきて熊吉と仲直り。 歌六さんの声って渋くていいですねえ… 熊吉は、祐次に追われ、丑松の部屋に飛び込んできて、押入れを勝手に開け、中の枕を落して自分が隠れるのですが、凄い身軽でさすがスポーツ万能の段治郎さん!!! ニコニコ顔で、祐次に「ごめんね、ゆうちゃん、仲直りしよう(不確か)」とか言うのがすごくかわいかったです。 その後、ちゃんと落した枕を押入れに戻していたのも良かった! でも、本当に一瞬、バババッと出てきてすぐ引っ込んじゃうのでちょっと残念。 お米が一生懸命事情を説明しようとするのに耳を貸さない丑松。 「四郎兵衛兄貴は良い人だ。自分の不始末を棚に上げて兄さんの悪口を言うなんてゆるさねえ!」「お前は汚い」「さわるな」「男にだまされた馬鹿な女だ」と罵詈雑言! だんだんあきらめモードになっていくお米。 「そうだね、私が悪いんだね〈不確か〉」ってふっとさびしそうに笑うのが悲しい〜 丑松!ちゃんと話しを聞いたれよ!!! 〈すかさず、イヤホンガイドで『恋人の話しより、四郎兵衛を信じると言うのは皆さん理解できないだろうけど、昔の子弟関係はそういうものでした』というフォローが入りました。〉 盃さえ受けてもらえず寂しく部屋を出ていき、それでもいとおしい人から去りがたくふすまの隙間から丑松を見つめるお米…つらすぎるよ〜〜 三吉に酒を飲ませて酔わせながらお米の事を聞き出そうとする丑松。 このシーンは、笑わせたり泣かせたり猿之助さんやっぱり上手いなあ。 四郎兵衛の家 門之助さん、猿也さん、亀治郎さんが料理人で下働きをしている。 昔、吉本で「あっちこっちでっち」ってやってたけどそれみたいな感じです。 そうすると、お今が山田スミコか。 豪華なメンバーだなあ。 相生町湯屋 この場面は三助の猿四郎さん一人舞台です。 目の前のふんどしに目のやり場が無かったけど〈実は喜んで見ていたりして〉 凄いきびきびした動きと、鼻歌のような台詞がとっても良かったです。 あれだけ舞台を動いて飛び跳ねて、猿四郎さんもすごい運動神経なんだろうな 桶をあつめるところの中腰のお尻は客席から思わず笑い声が流れていました。 救いようの無い暗いストーリーなんだけど、祐次と熊の喧嘩、三吉の酔いっぷり、三助の動きなど所々にわらえる所もあり面白かったです。 なんと言っても笑也さんの美しさ、可憐さに感動! そしてベストアクターの猿四郎さんに拍手喝采です。 病院に行った帰り、一幕見に並んで見ました。 4階席という、一般から隔絶された感がある、ものすご〜〜く舞台から遠い席でした… 前回はセンター、一列目だったので、余計にギャップがあったけど、1000円で芝居が見れるって言うのは、リピーターには美味しい席なのでしょう。 「丑松」は救いの無い暗いストーリーなのだけど、私はかなり好きです。 今日のチェックポイント 1ことばについて 最初の場面で浪人と母親を殺してしまった丑松がお米と逃げる時 「どうにもならなくなったらそのかみそりでおれをつっころせ」というせりふがあります。 「つっころす」という言葉は何度か使われます。 これは「つっぱしる」とか「突っぱねる」同様、勢い良くとか強くという意味を添える接頭語「つっ」なのだけど、「殺す」につくってちょっと不自然な響きがあるように感じませんか? この場合は道具が刃物なので単に「突き殺す」のつまった音なのかもしれないけれど。 入院していた時同じ病室に、バリバリの下町おばさんがいて、自分の病状を説明するのに 「初めてつっころんだのは」とか「つっころぶのがこわくて」と言う表現をされていました。 ころぶに「つっ」がつくのがなんだかおかしくてわらってしまったのですが、彼女の住まいは亀戸、丑松は鳥越、このあたりではわりと使う表現なんでしょうか? だれか教えて下さい。 2丑松のここが許せない! 板橋の妓楼で、お米と出会うところ。 雨宿りのためといっても、丑松はここで女郎さんを相手に一夜過ごすつもりだった。 「どうせ一夜妻なのだから、ここで一番売れていない子で良い」とか「かといってあまりひどいのでは困る」とか。 勝手な事を言ってます。 純粋に雨宿りだけが目的ならば一人でいれば良し! ということは、丑松だってエッチな気持ちがあったわけで、それを棚に上げてお米を責めるってのは、あまりにも身勝手だ! 男尊女卑の時代といえども、お米がかわいそう過ぎる。 すっかり、お米に感情移入してしまってるねえ。^^;; 3丑松のここが許せない!2 四郎兵衛の家で、丑松におびえたお今が、亭主も自分も助かろうとして、丑松に身を任せようと迫るところで 「そうか、お米もそうだったのか。自分の夫助けたさに犯されたのか、その女の浅ましさがゆるせねえ」とか、言うのだけど、こんな勝手な理屈が通るのか? そんじゃ、お米があくまでも操を立ててそのために四郎兵衛が丑松の居所知らせて、捕らえられてもよかったって言うのかい? え?どうなの?と丑松を問い詰めたい… 4「ごめんね」→「ごめんよ」? 熊さんの台詞「祐ちゃん、ごめんね」だと思っていたら「ごめんよ」になってました。 「ね」だから、余計可愛かったのに。 5猿四郎さんはすごい! 遠くから見ても、猿四郎さんの動きは凄かったです。 声も良く通っているし、きちっと笑いも取れていたし。 前回の様に問題の所(どこだ?!)が見えなかったので〈汗〉全体が良く見えたのですが、本当によかった! 今回はみきーるんるさんに登場していただき対談形式で感想を書いてみようと思います。 猫がメインの物語?(二幕は楽しい!) S「みきーさんとは、一緒に観劇に行くことが多いのだけど、今回の歌舞伎も楽しかったね、特にみきーさんは二幕が気に入っていた様だけど」 M「全体のストーリーからいうと犬をベースにしての猫メインの物語、もしくは猫が大きく味付けしている物語だよね。そのへんがものすごく気に入った理由かもね。これは猿之助版「南総里見八犬伝」ならではかもしれないけど」 S「やっぱりあの着ぐるみにうけた?」 M「犬も猫もださいこと!いくら悪者だからってあんな変な顔はないよね.口が裂けてて目がヒョウタンツギのような。」 S「私は手下猫がこどもチャレンジのシマジロウに見えて仕方なかった。 犬も酷かったねえ。今の技術で作ればもっときれいなものができるだろうに。手下猫が踊るたびにほこりが舞いあがる感じだったもんね。」 M「あれで可愛い顔をしていたら歌舞伎じゃない?ああいうわざとらしさが歌舞伎かも?」 S「でも、手下猫が出てきた時には、それまでの歌六さんの迫真の猫踊りも吹き飛んで笑いが起こってたもんねえ」 ベテランの味、歌六@一角 M「歌六さんが実は一角の姿を借りた妖猫だという正体を現して、猫の踊りを踊ったでしょう?それって結構猫っぽくて〈歌舞伎っぽくなくて〉よかったよね」 S「若手が多い舞台で、歌六さんのようなベテランが入るとぴしっとしまって良いね。 お坊さん役のときは村田英雄みたいだったけど。 歌六さん、一時期劇団四季に研修生?でいらしたそうなのでキャッツを想像してしまったんだけど、本当に猫らしいしなやかな動きと、妖怪のおどろおどろしたおどりがすごかったねえ。眼帯つけて、まさにグロールタイガー! ついでなら手下猫にも総タイツのキャッツ衣装つけさせて‘ジェリクルパーティ―’ 歌六さん、亀治郎さん、右近さんの三人宙乗りもすごかったねえ」 さすが、猿之助演出! M「総タイツでは歌舞伎にならんでしょう。招き猫をまちがえたようなボス猫もおおわらいだったねえ。舞台左手の奥で三味線とかで音楽を奏でているじゃない?猫たちの闘いの時、‘猫踏んじゃった’のメロディーが入っていたの気が付いた?」 S「気が付かなかった〜〜。三幕目の大水のところでも‘お魚天国’とか‘やだねったらやだね’とか入っていたし、こういう演出は楽しいよね」 M「残念ながら詳しく覚えてないけど猿之助さん最後の口上面白かったよね。世間はワールドカップで騒いでいて経済効果がどうのこうのとか」 S「同時多発テロとか、愛子様の誕生とか」 M「猿之助さんといえばスーパー歌舞伎だけど、今回のノーマル歌舞伎?でも十分に伝統だけに縛られない猿之助さんらしさが至る所に出ていたよね。宙吊りは得意だし花火は出ちゃうし」 S「最後のつづらぬけ、すごいね。 こういう歌舞伎を見ると、歌舞伎=退屈、わからん、おもしろくないというイメージは吹き飛ぶだろうね」 キャストを語ろう S「ではキャストについて。笑也さんきれいだったね」 M「本当は男だったという役だったね、途中から女性から男性の姿になるけどやっぱり繊細な感じで女性剣士みたいで素敵」 S「ベル薔薇のオスカルの逆バージョンやね。 また最後に女の姿になるけど、華奢で立ち回りはちょっと弱かったけど、本当に可愛いし。顔が小さいのにビックリ!横にいた右近さんの顔の半分くらいしかなかったもんね。 顔が小さいと言う所で、段治郎さんいかがでしょう?」 M「段治郎さんは歌舞伎役者さんたちっていわゆる世間の‘おじさん体形’が多いなか、彼は背が高くて確かにかっこいいよね。それだけにへたくそだと、でくの棒になってしまうのに、堂々としていていいかんじ。いっぱい『段治郎!』って声がかかっていて、なかなか人気者なのねー。これからの歌舞伎役者は彼のような人が増えて、若い年齢層や、外国の人達にも歌舞伎ファンが広がって行くと良いよね。 猿之助さんはそういう点、段治郎さんの用な人をどんどん使っていて素晴らしいけど、本来の歌舞伎の世界は世襲制なのでしょう?そうすると‘おじさん体型’がつながっていくわけ…?」 S「おじさん体型に恨みがある??」 M「言いたいのは体型で選べという意味ではなく、血だけにとらわれるなということ」 S「段治郎さんは一幕の出からあたりを払うような迫力があったしすごくカッコ良かったね。花道に向かって歩く時歌を口ずさんでいたでしょう。 三幕の台詞の間の取り方の上手さ、どうどうとした演技、出番は少ないけれど凄い存在感で素晴らしいね。 三段に乗ったところなんて後光がさしてたもんね。みきーさんは亀治郎さんも気に入っていたね。私は笑三郎さんの猫に操られる踊りが凄いと思った、あの衣装を着てあれだけアクロバット的に踊れるんだもの」 M「あまり声はかからなかったけれど、私達の意見があった猿四郎さん、すてきだったね 新三国志Uのときと同じ雰囲気の顔、精悍さだった、今度二人で応援しよう」 S「そうそう、わたしがカッコイイよねって言ったら、みきーさんが『このひと三国志Uで私が一番カッコイイと思っていた人だよ!』なんて。 私は一幕目の終わりの宿屋の番頭さん、猿也さんに『良くしゃべるなあ』といわれる所が可愛くて好き。 昼の部の猿四郎さんも、見て欲しかったなあ。 猿四郎@犬川壮介は私達の目の前にいることが多かったから、しっかり見られたしね。 ということで、最後に最前列の席はどうでした?」 最前列は緊張する?? M「顔をじっくり見たいと思うごひいきさんがいる場合にはもちろんとても良い席なのだけれど…フォーリーブスのコンサートでは私にとってはもっちろん、☆夢の最前列☆ でもねー、まず、足に気を使うでしょう?広げて座っているとまずい、とか。 それから、花道が見にくいでしょう?首が曲がってしまうし、横に座っている人の顔が気になる。舞台全体が見えないでしょう。そしてなんと言っても、ちょっとウトウトしてしまった後、ふと視線を上げると、舞台の上の役者さんと目が合う気がするし。 あんまり普通の人間はお勧めできない気がする?でも1度は座って見るのも良いよね。ドキドキしたし。」 S「歌舞伎は客電がおちないからねえ。確かに足をあわてて組みなおしたりしたなあ。花道は首ひねっちゃうよね。 しっかし、最前列で寝るかねえ〜〜〜。 私は段治郎さん、猿四郎さんがばっちり見れたので、大満足でした。 カーテンコールもばっちり見られたし。 こんどFLのコンサートでみきーさんが最前列に座れる事を祈っています。 今日はお忙しいところありがとうございました」 M「8月の納涼歌舞伎もたのしみましょう」 役者さんの自主公演を見るのははじめてでした。 「春猿の会」というからには当然ながら春猿さんがメイン、ファンの方には最高だったと思います。 本当にきれいでしたね! 笑也さんといい、春猿さんといい、笑三郎さんといいあれだけ美しい女性を演じられる男の人がいらっしゃるなら、もう女性の存在理由なんてあるのだろうか… 一言で言えば、「悪い人なんて一人もいないのに,運命の歯車がなにかの拍子に狂い始め不幸な結末を呼んでしまった」という感じで、なんとも切ないお話でした。 あらすじ 門閥外の出ではあるが芸熱心な今うりだしの花形役者・沢村仙枝@市川段治郎は亡き師匠仙之助の三代目を襲名する事になっている。 襲名には膨大な費用がかかる。 彼には芸者のお梅@市川春猿という恋人がいて,彼女はその費用を工面したいと思うのだけど老母と学生の弟@市川猿也を養っている身ではそんな大金を作る事は出来ない。 ライバル芸者秀吉@市川笑三郎への意地もあってなんとしてもお金を作りたいお梅に箱屋の巳之吉@市川右近が、自分の持っている故郷の土地を売ってお金を用立てる変わりに自分と夫婦になって欲しいと頼む。 他に手段のないお梅はその話しを承諾するが、愛しい仙枝と別れることは出来ない。 巳之吉はお梅を問いただそうとするが、姿を隠したり言を右左して埒があかないお梅にいらだつ。 ついに職まで失った巳之吉の最後の懇願をも「金は返すが仙枝とは別れられない」という残酷な言葉で断ち切ってしまったお梅。 逆上した巳之吉が取り出した匕首から逃れようともみ合ううちにお梅は巳之吉を刺し殺してしまう。 自首をすすめる弟にお梅は半月後の仙枝の襲名の晴れ姿を見るまでは見逃して欲しいと訴える。 いよいよ襲名興行の初日、 立ちふさがる警官にも仙枝は「誤って人を殺してしまったかもしれないがお梅は自分の妻であり、この襲名披露もお梅のおかげだと明言する。 現われたお梅とつかの間の別れを惜しむことが出来た仙枝は「晴れの舞台が終わったら一緒に警察に行こう」と言い置いて楽屋に入る。 それを見送ったお梅は、彼の変わらぬ愛を受け,もう思い残す事はないもない、これ以上彼に迷惑をかけることは出来ないとかみそりを胸に突きたてる。 薄れていく意識の中でお梅には三代目沢村仙之助のりっぱな舞台姿が見えていた。 なぜかWORDが凄い不調でとっても書きにくい… 感想 なかなか女心が伝わってくる良いお芝居だったと思います。 春猿さんの幻想的なまでの美しさは素晴らしい。 ただ、どうしても私にはお梅が巳之吉に「結婚詐欺」を働いた様に見えて仕方がありませんでした。 結婚をえさに自分に思いを寄せている男からお金をいただいた挙句に姿を隠すというのは現代にも通用するりっぱな犯罪でしょう。 最後がハッピーエンドでなかったところが救い?だったかな。 仙枝、カッコよすぎます。 段治郎さんという役者さんも文句なしの良い男なのだけど、役柄が最高! 最後、警官に啖呵を切る辺り「オイオイ!」でした。(意味不明) この時代、彼の背景,職業を考えてこんなことは可能なのだろうか…とちょっと醒めてしまったのは私がすでに純粋さを失っているからだろうか…う〜〜年はとりたくないもんだ。 巳之吉役の右近さん、私この役ではじめて「右近さんて良い!」と思いました、今までも華のある素晴らしい役者さんだとは思っていたのですが…ね。 私の今日のベストアクトレス?は秀吉@笑三郎さんでした。 お梅の恋敵、というか勝手に仙枝に片思いしていて、仙枝にはからむ、お梅には意地悪を言うのだけど、とにかく可愛い!! 「あんた、人気役者の襲名がどれくらいお金がかかるか分かってるんでしょうね。 もちろん、彼に恥じをかかせないよう、あんたが用立てるに決まってるわよね〜〜(どうせできやしないだろうけどさ)」 「あったりまえじゃない!それくらいのお金、明日にでも耳をそろえて用意できるわよ。 バッカにしてるんじゃないわよ、この酔っ払いのふられ女!(どうしようそんなお金作れっこないのに)」 そこへ巳之吉登場「姐さん、その金、あっしに拵えさせちゃあくれませんかい」 こうして悲劇は始まった… こういう会、というより日本舞踊を見たのが初めてなので、踊りの意味は全然分かりません。 かなり勝手な解釈をしてると思います、許してね。m(_ _)m 関の小万 :市川 喜太郎 すごく短かったです… ほとんど記憶に残っていません。すみません 雨の五郎 :市川 段一郎 男らしい踊りでよかったです。 後見に笑三郎さんがいらしたのが嬉しかった。 近江のお兼 :市川 喜昇 喜昇さん、可愛い!! ちょっといなかっぽい娘役がすごくよく似合う! よこで絡んでいたお二人はだれだったのでしょうか…だれか教えて下さい。 小原女国入奴 :市川 笑三 今日のなかで、猿四郎さんの「北州」の次によかったです。 最初のお多福の踊りはすごく可愛かったし、あとの男の姿に戻っての踊りはかっこよかった。 今度出演される歌舞伎では注目して見たい方です。 山帰り :市川 欣弥 さすがにベテランの方の踊りは見ごたえがありました。 でもどうしてもこのあいだの「さかなさかなさかな♪」「でかぷりお」が脳裏をよぎっておもいだし笑いをこらえるのが苦しかった〜〜 葛の葉 :市川 笑子 最初は猫ですよね。 ちょうちょを追っかけるところなんて、すごく猫らしい動きでよかったです! 後半のお化けも。 いつもちょっと中途半端な女形で見ていたのですが、こんなに踊れる方なんだ!と再確認しました。 三社祭 :市川 笑太郎、中村 蝶八郎 このあいだこの演目は「勘太郎、七之助」で見ていたのでよく分かりました。 よかったです! 面白かった。 北州 :市川 猿四郎 私、壊れてしまいました!!! 今思い出しても鳥肌が立ちます。 すごかったです! かっこよかったです! メイクも役もない素踊りがこれほど素晴らしいとは!(役はあるのかもしれませんが) 力強いのに静かで滑らかでものすごくきれいな動きでした。 指の先まで表情があるし、最高です。 小さい頃から芸に精進する事の素晴らしさを感じました。 7月大歌舞伎の時(とくに「丑松」のお風呂屋さん)といい、猿四郎さん、なんてすごい役者さんなんだろう!! 梅川忠兵衛 :市川 段治郎、市川 笑野 段治郎さんは、何を演じられても素敵です!! でも忠兵衛という役がメソメソした役なのでし方がないのかもしれませんが、今日の段治郎さん、私としては物足りませんでした。 メイクのせいであれだけきれいなお顔がはっきりしなかったし。 「明治一代女」の最初の忠兵衛(ですよね?)は素敵だったのに… 笑野さん、きれいでした。 客席から「きれいねえ、きれいで困っちゃう」という声が聞こえてました. きれいで困っちゃうというのはどういう意味なんでしょうねえ。 その前の「北州」で魂を抜かれた状態だったので実はあまり記憶にない所もあったりして… 猫ボランティアのHさんからもらったチケットで出かけてきました。 自分だったら買わなかったかもしれないお芝居だったのだけど、すごく面白かったです。 Hさんに感謝! あらすじ 五代目尾上菊五郎(杉浦直樹)には実子がなく菊之助(市川右近)を養子にしている。 しかし菊之助は芸に伸び悩み、また菊五郎に実子が誕生した事もあってすべてに自信をなくしていた。 彼を励まして力づけていたのが、菊五郎の子の乳母お徳(十朱幸代)。 お徳のおかげで自信を取り戻し、芸も上達して行く菊之助であったが、人気役者と乳母の中が許されるわけはなく、お徳はひまを出される。 菊之助は菊五郎に勘当されてもお徳を追いかけて行き、二人は東京を去る。 1年後信州の芝居小屋で荒んだ生活をしていた菊之助の前に、上方歌舞伎の大御所で幼いころから彼を可愛がっていた尾上多見蔵が現われる。 多見蔵は菊之助を大阪にさそい、尾上松幸の名を与える。 大阪での菊之助はまさに水を得た魚のごとく芸に磨きがかかり、評判を得ていた。 家主のお梅(藤間紫)もよい人で、お徳は夫の出世とささやかな暮らしに幸せを噛み締めていた。 菊五郎が南座に出演する事になり、幼馴染の福助(市川春猿)の薦めで菊之助は菊五郎に認めてもらえるチャンスだと南座の舞台にたつ事を決心する。 素晴らしい成長に菊五郎は喜んで菊之助の勘当を解き、東京に帰ってくることを許す。 しかしその条件がお徳とわかれることであった。 お徳は先にそれを察し、菊之助の帰りを待たずに姿を隠す。 東京で名を挙げた菊之助が大阪の舞台に立っているとき楽屋にお梅が現われお徳が危篤だと告げる。 感想 右近さんが良かったです! 最初の自信なさそうな、さぞ芸も未熟そうな若者が年上(ですよね)の女性に育てられて心身ともに成長し大成していく過程を丁寧に分かりやすく演じておられたと思います。 女に甘える所、拗ねる所、自分が成長して今度は女を守る所、すべてに優しく、暖かく 素敵でした。 成功しても最後まで自分を支えてくれた女を忘れず愛している辺り「明治一代女」とかなりダブル部分がありました。 最後が舞台での晴れ姿で終わる所も。 十朱幸代さんはかわいかった!! 女の優しさ、つよさを充分に持ったおとなの女をかわいらしく、そして悲しく演じておられてよかった〜〜! 東京で成功した菊之助が大阪に凱旋?してくる船乗りこみのシーンを寝床で見ながら泣き崩れる=お徳が死んだ!と思っていたのに、次のシーンでまだ生きていて、いまわの際のお徳に菊之助を会わせようと、お梅が楽屋にたずねてくるあたりから 「さあ泣き所だよ!みんな泣いてよ!」という演出がちょっとくどかったように感じました。 菊五郎に許された菊之助がお徳に会いに行って愛の言葉を交わし、将来を誓ったあと、お徳は菊之助を早く舞台に帰らせるために 「眠くなった」と横になります。 多くの観客はここでお徳がついに死んだと思いクライマックスになるのだけど、菊之助が部屋を出た途端にお徳がむっくりと置きあがって 「あの人行きましたか?」と言ったところで客席から失笑が漏れていたそうです(友達談) だって、死んだと思っていた人がいきなり起きあがって…コントみたいだよ〜〜 男姿の春猿さん、可愛かったです、爽やかで。 でもあの台詞の棒読みは…あれも演出だったのでしょうか? 菊之助が東京に帰る条件はお徳とわかれること(彼の言い方ではしばらく身をかくしてほしい、そとで二人で会うのはかまわない、という感じだったけど)という言いにくい話しをするためにわざとつっぱねて棒読みをしたのだろうか…きっとそうですよね。^^;; 紫さんは流石でした!! めちゃめちゃ素敵! 可愛いし、艶っぽいし。 あれでは猿之助さんも年の差なんか関係なく惚れちゃうだろうな。 紫さんは私達中年女性に「18才年下まで守備範囲」という夢を与えてくれた方なのだけど、やはりタダの人ではありませんでした。(あたりまえか!) 菊五郎に詰め寄るところは凄い息遣いで、「過換気症候群」で倒れたらどうしよう!なんて心配になったけど。 澤瀉屋の欣弥さん、延夫さん、笑三さん、喜之助さん、喜昇さんという豪華メンバーも出ておられて凄く楽しみだったのですが、あまりに小さい役だったり一瞬だったりで笑三さんと喜之助さんがわかりませんでした・・・ パンフを見ていたのだけど「植木や?そんなの出て来たっけ?」「客6、と言われても背番号がついてるわけではないし」「大工…左から右へ走り抜けたのが大工だったんだろうか」「船頭って顔見えへんやん」という状態でした、残念! 最後に菊之助が出ていた劇場、中座だったんですね。 その直後に爆発事故があったので、ちょっと感無量です。 全体を通して、流石に芸達者な役者さんばかりの舞台はしまっているし、見所も沢山あってとっても良かったです。 とても複雑な、ストーリーなので、あらすじは思いっきり独断と偏見ではしょります。 配役 上の幕
武勇を持ってしられる源為朝、戦に破れ伊豆の大島に流罪となった。 彼に従う高間夫婦と紀兵治大夫。 紀兵治はこれから三幕まで、大変に大きな位置を占める役ですが、段四郎さんが休演で歌六さんが演じられました。 歌六さん、大好きな私は幸せでしたが、やはり役の重さを考えると、段四郎で見たかったです… 高間の勘九郎さん、福助さん夫婦は8月の「浮かれ心中」で最高にコミカルな夫婦で見ていたので、今回は最後心中すると言うシリアスな役なのに、時々思い出し笑いをしてしまいました。 為朝は島の悪代官三郎太夫の娘ハハキギ(歌舞伎の名前は変換が出来ないものが多い!)と恋に落ち一男一女をもうけたが、巻き返しを図る三郎太夫の逆襲により娘は自害、子供も亡くしてしまう。 子供役の7歳の子は歌舞伎のおうちの子ではないらしいのだけど、芸達者でした。 でも、私歌舞伎の子役「あ〜〜い、ととさま」という甲高い声が好きではないので早く出なくなってよかった… もともと為朝が負けたのは武藤太が為朝を裏切った事。 武藤太、猿四郎さんは見るからに「悪役です!!」という衣装とメイクで登場します。 「新・三国志U」の子元と似た吊り上げメイクがすごく似合っていました。 声も大きくてよく通るし、歌舞伎の御曹司とか部屋子とか、出世?のシステムは分かりませんが、これからますます活躍して欲しいなあと思います。 |
中の巻
為朝: 市川 猿之助 |
紀兵治大夫: 中村 歌六 |
高間: 中村 勘九郎 |
高間の妻: 中村 福助 |
武藤太: 市川 猿四郎 |
白縫姫: 坂東 玉三郎 |
崇徳上皇の霊 :市川 亀治郎 |
越矢源太(猟師)、藤原頼長の霊 :市川 段治郎 |
大島から逃れた為朝は武運の尽きた今、崇徳上皇の墓の前で自殺しようとするが、崇徳上皇の霊に肥後の国に行くことを指示され、また為朝のことは霊が助けると励まされて、再会した紀兵治とともに肥後の国に向かう。
霊の語り掛けの所の亀治郎さんの声が聞こえにくかったです…
霊だからだろうか…しかしライオンキングでは父親の霊の語り掛けでシンバが立ち直り、ここでも死のうとした為朝を励ますのだから、せめてムファサくらい力強く語って欲しかったと思います。
肥後の国では、為朝の妻、白縫姫が、為朝が再び挙兵する時の為に密かに武勇優れたものを集めている。
そのために、猟師を使い通りかかったものに痺れ酒を飲ませて使える男かどうか検分しているのだが、猟師のわなに、まず引っ掛かったのが武藤太。
目の前に連れてこられた武藤太を見て白縫姫はビックリ!!
なんと、裏切りものの武藤太ではないか。
こいつを処刑するのには唯殺すのではあきたらない、う〜〜んと苦しめてやらなくては気が済まない、と姫と腰元が考えたのが体に竹釘を打ちこんで殺すと言う残酷な刑でありました。
縛られてくる猿四郎さんと連れてくる猟師姿の段治郎さん、これは素敵な場面でした!
猿四郎さんは茶色のチェックの着物(たぶんなんとか格子柄とかいうんでしょう)で髪の毛をばさっとおろしているのだけど、めちゃめちゃかっこいいです!!
後ろ向きに立って段治郎さんから着物を脱がされ、褌1つになって階段に縛られますが、この時のふてぶてしい顔もまたなかなかよかったです。
白縫姫が奏でる琴の音が流れる中で、腰元たちが涼しい顔で釘を打ちこむ、そのたびに流れ落ちる血、もだえ苦しむ武藤太。
この場面、かなりすごいので客席では息を飲んで見つめている張り詰めた空気が漂っているのですが、
「あかん、この空気に飲まれてしまう…」と思う人がいるのか、自分の中の気分をかえるために照れ笑いやざわざわする人がいるのもまた事実。
私の後ろに座っていた老夫婦、御主人が突然
「むとうた、だってさ。ハハハ」と意味不明に笑っていました…
このシーンはメインのストーリーに全く関係が無い所なのですが、これがあってこそ三島由紀夫作品!
最後に心臓に釘を打ちこまれ武藤太は血を吹いて血みどろで息絶えるのですが、死んだ後も胸やおなかがペコペコ動いてました。
ライオンキングでもムファサが墜落死した後、おなかがやたらと動く人と微動だにしない人がいて、ムファサ役者の評価につながったりもするのだけど。
武藤太の場合裸体なのでごまかし様がないしなあ。
「息絶えたか?」という姫の台詞が無かったほうがよかったような。
その後連れてこられたのが為朝と紀兵治。
またまた白縫姫、びっくりです!
こんな所で夫に会おうとは!
為朝も無事な妻と子供舜天丸の姿に喜び、高間夫婦とも再会する。
今こそ、再挙の機は熟した!
平家征伐のため都に向かう彼らを嵐が襲い、高間夫婦、舜天丸が海に投げ出される。
白縫姫は我が子を失って悲嘆に暮れ海に飛び込む。
そのとき嵐が収まって姫の化身である黒揚羽が海から出てくる。
高間夫婦は波間を漂った後(このとき、口から海水を吹き出しながら泳ぐ勘九郎さんに大笑い)岩に辿り付くが、若君、姫を守れなかった事を恥じて刀で心中する。
このシーンも血がどぴゃ〜〜、ダラダラというシュールなシーンでした…
死んだと思われた舜天丸、実は紀兵治に救われており、為朝ともども琉球に流れつく。
下の巻
為朝: 市川 猿之助 |
陶松寿: 市川 門之助 |
亀 : 市川 亀治郎 |
寧王女: 市川 春猿 |
鶴 : 市川 笑也 |
阿公 : 中村 勘九郎 |
琉球では悪い大臣と幼い王子の守役阿公がぐるになって悪い事をし放題。
それを為朝が制し、大臣は死に、阿公は王子を連れて逃げてしまう。
阿公は夫婦宿を経営していたが、その情報を得た琉球王家の忠臣毛国鼎の忘れ形見鶴と亀は夫婦を装ってその宿に泊り阿公を撃とうとする。
そこで驚く話しを聞く。
実は阿公は阿蘇の社で若いころ一度だけ男とちぎったことがあり、娘を産み捨てた。
その娘こそが鶴亀の母親なのだけど、そうとは知らず阿公は娘を殺してしまい、おなかの子供を取り出して王子として盛りたてていたのであった。
そこに現れた紀兵治、実はその男こそ自分だと名乗る。
孫の鶴亀から受けた傷で瀕死の阿公は愛しい男の介錯で善心に立ち戻りながら息絶える。
勘九郎さんの阿公、きたない老婆なのですが、すごく面白かった!!
最後に居直る所では片肌脱いで、洗濯板のような胸に三角のしなびたおっぱいをぶら下げての立ちまわり。
憎たらしかったり、おかしかったり、時々寄り目をしたり歯をむいたり。
本当は可哀想なシーンなのにかなり笑えました。
平家は滅亡し、琉球王国に平和をもたらした為朝は、舜天丸を琉球の王とし、紀平治を大将軍にして、今や白縫姫の魂が宿った寧王女に舜天丸の母代わりを頼み、鶴亀に後のことを託す。
そしてそこに現れた白馬に乗り、天空に去って行く。
琉球の宵祭りはとても華やかできれいでした。
そして最後の宙乗り、白い馬にまたがって飛んで行くんです!!
すごかった〜〜
馬の脚が走ってるようにちゃんと動いていたし。
最後、人間が一人もいない舞台に弓張月がのこって幕が引かれるのですが、これではもの足りませんでした。
となりにお母さんと来られていた若いお兄さんがいて
「なんだ、これで終わりか。カーテンコールないのかよ」と言われて、お母さんがあわてて私に
「息子は始めて歌舞伎を見たものですから…全く恥ずかしい」と言われるので
「私も同感です。この終わり方はつまんないですよね」と言ってしまったのでした。
長い物語の中で、猿四郎さんも段治郎さんも少ししか出られなかったけど、お二人の精悍なピリッとした存在はかなりインパクトがあってよかったです。
第一「小栗栖の長兵衛」
これは、歌舞伎じゃない!!
おもしろすぎです!!
あのドタバタは吉本も真っ青と言うくらい。
長兵衛という村の鼻つまみものがいろんな悪い事をしでかすので、みんなで簀巻きにして川に流そうということになるのだけど、実はこの長兵衛、織田信長を殺した明智光秀を小栗栖村で竹やりで殺害したと言うことが分かったとたんに、村中、手のひらを返し、ヤンヤヤンヤの大喝采。
長兵衛は村の英雄となったのでした。
小栗栖村というのは、京都の私の実家すぐそばです。
なので昔からちょっと親しみがあったような。
どうしようもなく悪い長兵衛@右近、それに泣かされる妹@春猿、人がよくていつも長兵衛にぶっ飛ばされる妹婿@笑三郎、大事な馬を長兵衛に盗まれる馬子@猿弥、気の弱いお人良しの猟師@猿四郎、可愛い巫女さん@笑也、カッコイイ武士@段治郎。
ほんとに面白かったです。
笑也さんの巫女は、最高に可愛かった!
ついたてを持って逃げたり、足をばたばたさせて泣き喚いたり。
春猿、笑三郎夫婦は右近にぶっ飛ばされたり、ひっぱたかれたりするごとに二人よりそって
「ぼくぶたれちゃった〜〜」
「あ〜〜ん、あなたかわいそう」という感じで面白かったです。
段治郎さんは数分の出ながらすごくさわやかで男前の役でした。
猿四郎さんは、おとぼけの猟師で長兵衛を説得しようとしたけどダメで、鉄砲間で奪われる情けない役。
いつもの眉をきりりとした凛々しい役とは全く違う可愛い役でした。
うしろでキセルを吸っていたり、庄屋さんの言うことにうなずいたりするところ、結構細かく演じられていました。
第二「紅葉狩」
これは踊りです。
玉三郎さんの踊りは素晴らしかった!!
姫の時も、鬼女のときも、妖艶に美しく、そして激しく…
またまた猿四郎さんレポ。
彼は猿弥さんと同じく猿之助さんの従者。
鬼どもに騙されてお酒をしこたま飲んではこっけいな踊りをしたり、酔いつぶれたり、主を捨てて逃げたり。
猿四郎さんの踊る「座頭のおどり」良かったです!
そして舞台の横で、猿弥さんと差しつ差されつしているところも、(あまりみんな見ていないと思うけど)口を膨らませたり
顔をさすったり、可愛かったです!!
玉三郎さんの踊りよりこちらをオペラグラスで注視してしまったのでした。
第三「佐倉義民伝」
う〜〜ん、これは退屈でした。
圧制に苦しむ佐倉の農民代表宗吾@勘九郎が将軍に直訴しに行く。
もちろん命をかけた直訴になるので妻と子と別れを惜しみ江戸に行って、沢山の大名を従える将軍に直訴する。
勘九郎さんの演技はすばらしいし、福助さんとの夫婦愛もとっても素敵でした。
今回、気が付いた事…私は福助さんの声が好きではない!
「末摘花」や「浮かれ心中」のようなコミカルなものには面白くて、私はわざとああ言う声でしゃべってるのかと思っていました。
ところが、今回の昼、夜のようなシリアスな役では、なんだか疲れるし、とても不自然に感じられました。
お顔はとてもきれいだし、物腰も母親らしくゆったりとしてきれいなのに…
中盤、家族との別れを1時間以上もダラダラする必要があるのだろうか。
私の嫌いな「いやじゃ、いやじゃ、ととさま〜〜」の子供が三人もでてくるところもかなり耐えられなかったのですが、宗吾が出かけようとすると妻や子が引きとめる、最後にはクーちゃんの様におとうにはりつく子供までいて
「男が一度決めたことならさっさと出かけんかい!!」
お隣のおばちゃんのように号泣する人もいるので、良いのですが…ハイ。
猿之助さんが一瞬出てこられるので、きっと彼は物語の大きな伏線なのだろうと楽しみにしていたら、な〜〜んの意味もありませんでした…
江戸のシーンは良かったです!
玉三郎さんの将軍はきれいだったし、緒大名に亀治郎、段治郎、猿弥等々すごいメンツ。
警備役の侍には今日初めての凛々しい猿四郎さん…
でもこの場面たった15分でした…
番外編:サイン会
13,14のお昼の部だけに催されたサイン会…
もうもう幸せでした。
右近さん、笑弥さん、笑三郎さん、春猿さん、段治郎さんが舞台衣装のままサインしてくれるんですよ〜〜
興奮のきわみです!!
皆さん素敵でした。
そしてとても感じがよかった。
とくに巫女さんの笑也さんは正視できないくらいにきれいでした。
色紙の取次ぎをしていたのが喜昇さんでしたが、感じのよい普通のお兄さんだったので安心しました(謎)