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2012年■覆い尽くす■F130

作品2012年046

キャンバスに油絵の具

私の頭も心もからっぽだったのがここ数年ではっきりした。
人様に、なにかしらの思いをもってもらおうなどとは、おこがましいことだった。

しかしながら絵を描く仲間がいるので絵を描いて発表しないわけにはいかない。
なにがなんでも描かなくては、というわけだ。

九月には新作家展がある。悔いの残っていた植物に再度挑戦した。
構図は単純である。中景中央にメインの樹木があり、近景に灌木類、遠景に林の上部が見えているだけのものである。
近景と中景は葉っぱの一枚一枚を描いてはいるが丁寧さはない。筆の跡がはっきり分かる描き方である。
離れてみるとリアルだが近づくと荒い。どうもそういう描き方を目指してずっと絵を描いてきたようだ。
この絵を描いていてその思いが強まってきた。そして、ごちゃごちゃと細部がたくさんあるものを何とか描ききりたい欲望をもっているようだ。

自分のことなのに変なことを言うと思われるかもしれないが、なかなか自分のことは自分では分からないところがいっぱいあるのが人間ではないだろうか。




第19回新作家展に出品