デジタルモンスター ゼヴォリューション

 監督:角銅博之 脚本: 伊藤和典/川崎美羽 CG: Imagi Animation Studios Limited
●あらすじ
 発展とともに陳腐化したデジタルワールドを立て直すため、ホストコンピュータ「イグドラシル」が出した結論。それは、旧来のデジモンをすべて滅ぼすことでした。そして恐怖の「Xプログラム」が散布され、計画通りほとんどの個体が死に絶えてしまいます。

 しかし、デジモンは滅んではいなかった!!
 ごくわずかの種が獲得した「X抗体」。Xプログラムの浸食にも耐えるこの抗体を獲得したデジモンたちは、新たな「X進化(ゼヴォリューション)」をも成し遂げてより強靱となり、逞しく生きのびていました。が、自力で到達できなかった旧来種たちはいつ感染するかわからないXプログラムの恐怖におびえ、X進化個体たちを不信と嫉妬の目で見るようになりました。中には、X抗体を手に入れようと襲ってくる者まで出てきたのです。しかしそれも、生きたいと願うがゆえの必死の行動。主人公のドルモンはそんな姿を目の当たりにし、絶叫するのでした。

 そして生き残ったわずかなデジモンを容赦なく消去していくのは、こともあろうに同じデジモンのはずのロイヤルナイツでした。
 「イグドラシル」直属である彼らは王たるホストコンピュータの命令を絶対のものと捉え、本来護るべき対象のはずの同胞たちにその圧倒的戦闘能力を向けたのです。立ち向かうのは、X抗体によって新たな力を得たウォーグレイモンXとメタルガルルモンX。
 激戦のさなか、ドルモンが面倒を見ていたトコモンの体はXプログラムに感染してしまいます。これを見たメタルガルルモンXはふたりを庇い、ボロボロの体で自分のX抗体を託しました。悲痛な叫びとともに、ドルガモンへ進化するドルモン。

 なおも迫るオメガモンの前に立ち塞がったのは、ただひとりイグドラシルに疑問を持っていたデュークモンでした。決裂し、盟友を誓った仲でありながら剣をまじえるふたり。が、デュークモンはみずからオメガモンのグレイソードに貫かれ、消滅します。この事実が、オメガモンの心へ大きなくさびを残すことになるのでした。

 戦いはつづきます。トコモンを人質におびき出されたドルガモンを捕らえたのは、マグナモンでした。「イグドラシル」の命令です。
 ドルモンとは「イグドラシル」がかつて作りだした実験体だったのです。
 囚われたドルガモンから分離した影がぶきみな姿に変容し、不吉な色の卵を増殖していきました…。

  捨てられるように倒れていたドルガモンは、レジスタンスに助けられました。報せを受け、ウォーグレイモンXとトコモンが合流にむかいますが、そこへとつぜん出現したのは紅い死竜・デクスドルグレモンの群れ! 恐るべき数の襲撃を受け、レジスタンスの拠点は大混乱に陥りました。目をさましたドルガモンもふたたび進化をとげ、ドルグレモンとなりますが、その姿はなぜか敵そっくり。戸惑いながらも必死で戦うレジスタンスたちに、意外な救援がかけつけました。オメガモンの手にかかったはずのデュークモンが、X進化を獲得して帰ってきたのです。
 しかし、デクス体の群れとともにデジタルワールドは消滅の危機に瀕していきます。

 デュークモンの導きで、「イグドラシル」に迫るドルグレモン。その前にオメガモンが立ちはだかりました。試すように戦いを挑むオメガモンに圧倒されるドルグレモンでしたが、最大の危機に瀕した時ついに最後の覚醒を達成。アルファモンの出現です。
 これを見て、オメガモンは剣を引きました。制止するマグナモンを振り切り、二人はともに「イグドラシル」中心部へと踏み込んでいきます。

 そこで待ちかまえていたのは、まがまがしい姿から死臭を漂わせるデクスドルゴラモンでした。苦戦のすえに打ち砕きますが、最奥へ到達したところで今度はデクスモンの正体をあらわし、襲ってきます。ここでアルファモンがとった行動は、王龍剣で自分ごと貫かせることでした。どうしても倒せないデクスモンは、アルファモンの影。彼のデータが存在しているかぎり滅びないのです。
 消滅のまぎわ、アルファモンはオメガモンにX抗体を託し、ドルモンへ戻りました。全てを目の当たりにしたオメガモンは…。



●全体印象
 「ちょっと暗い話かな」というのがまっさきに感じたことでした。
 全体的にかなりシリアスで、見るのにはそれなりの心構えがいります。ドルモンはいきなり襲われるし、石投げられて河に落ちるし、進化しても進化してもどっかで白眼視されるし。それに、脇デジモンたちも容赦なく虐殺されていくので一見さんにはきついでしょう。「おいおい、デジモンってどういう話なんだ?」と思う向きがおられても不思議はありません。

 またキャラが多いこともあって、詰め込みすぎな印象も捨て切れないでしょう。特に、XプログラムとX抗体、X種と旧来種の因果関係がほとんどセリフのみなので予備知識がないと混乱するばかりかもしれません。また、デクスドルゴラモンとアルファモンの関係も本来かなりわかりづらいので、じっくり語られないままクライマックスへ持ってこられてしまうと不利です。中盤の乱戦を一部カットして、もう少しそちらへ尺を振りむけたほうがよかったように感じました。王龍剣もいきなり出てきたし…(これは半分仕方ないけど)。

 もうひとつ混乱をさそう要素としては、後半におけるメタルガルルモンの復活があります。
 デュークモンは振りがあったので、少なくともある程度予備知識があれば何かあるなと予想できるのですが、こちらはなんの説明もないうえにいきなりの事なので「あれ?」と思うこと必至。納得するのには脳内補完が必要になっちゃうでしょう。これはまずい。

 しかし、登場デジモンたちはファンなら納得のキャストになっている上、キャラが大幅に崩れないよう配慮されているので、そのへんは楽しめます。ロイヤルナイツは言うまでもなく、ウォーグレイモンXとメタルガルルモンXもさすがの貫録。中盤ではドルモンを差し置き、オメガモンやデクス体軍団を相手に八面六臂の大活躍をしていました。この二人に安定感を感じるのはアニメファンの性でしょうか。また、ウィザーモンやマミーモン、シルフィーモンといった脇のメンバーもそれぞれ独自の味を出しており、ニヤリとさせられます。難をいうならあまりに人間くさすぎる点でしょうが、人間キャラがいないので補完のためには、ある程度しかたないでしょう。

 新参者で狂言回しな側面もあるドルモンの印象が弱くなりがちなのも、なりゆきなんでしょうか。少しでも挽回するため、実力派にして主役経験の豊富な高山みなみさんを持ってきたのでしょうけど、それでもまだ足りなかった感じ。

 …とまあ問題はそれなりに多いですが、モン好きかつロイヤルナイツ好きは一見の価値ありな作品といえるかもしれません。
 ただCGの彩度が高すぎてたまに目がちかちかします。戦闘シーンでも動きがはげしすぎたり、かと思えば急に速度が落ちたりして何をしてるのかわからないことが多いですね。このへんはまだ研究の余地ありってところなんでしょう。


 そういえばこの作品、もともとは映画として企画されていたんですよね。
 でも気がつけば明確な変更告知がないまま、なぜかテレビスペシャルになってました。が、本来これだけ手をかけた完全新作が単なるテレビスペシャルというのは、普通考えられません。また宣伝もほぼVジャンの紙面と公式ページ、あとはCMが一本あるかないか。アニメ誌にも小さい紹介しかされてないようなので、ハッキリ言って積極性にまったく欠けます。売る気ないだろってくらいのもの。

 が、考えてみるとやむを得ないかもしれません。
 かつては勢いがあったとはいえ、急激に失速したデジモンはいまや過去の作品。最初こそ気を吐いたし作品にも少なからず反映させたことでしょうが、金をかけて劇場公開に持っていったとしても、回収できるかどうかわかったものではありません。まかり間違ってコケたとしたら目も当てられないでしょうし、ましてやフロンティアの時、アニメフェアにトドメを刺された事実がトラウマになってるはずです。さらに言えば個人的嗜好を別にすると、この方向性で映画として売るのは苦しいと言わざるをえますまい。

 よって誰もが推測するとおり、これはリスク回避のための方向転換だったといえそうです。
 そしてこれは納得できるかどうかは別としても、現状ではたぶん正しい判断。
 最近バンダイも海外で苦戦してるようなので、できればデジモンを復活させたいのかもしれませんが…まだ難しいかもしれませんね。ガッシュは売れてるようですが、血がドバドバ出ててあきらかに海外向きじゃないし。

 もう少し時間が経って世代が入れ替われば、少しはやりやすくなるでしょうか。ちょうど一時期のリバイバル漫画ブームのように。
 それはそれで旧来ファンは微妙な気持ちになるでしょうが、そこは我慢のしどころでしょうかね。限度はあるけど。
 黎明期からのファンだって、アニメ後の展開には疑問を持っていたのですから。



●登場デジモン

・ドルモン
  どっちかというと印象がうすいです。が、高山ボイスのおかげで可愛らしさ三倍増しくらいになってるかもしれない。
 ただ高山さんはどっちかというとコータむけの声じゃないかなあと思ったものですが、アルファモンを見てちょっと納得しました。
 進化段階を経てドスがきいていくあたりはさすがに上手いです。


・レオモン
 冒頭だけの出番。ホントにプレミアムディスクでの出番だけです。でも声はしっかり平田さんなので「ああ、レオモンだ」という。
 ドルモンを追っていたのは彼を捕らえてX抗体を抜き取り、自分に取り込むためだったようです。しかし、すでにXプログラムの末期症状だったのか、結局実行はしませんでした。ドルモンに強い意志を感じ、手を下すのをためらったというのもあるでしょう。
 百獣拳という新技を披露していたりもするので、かなり強い個体と思われます。もう少し抗体の獲得が早ければ確実に生きのびたでしょうね。もしそれが誰かの犠牲に乗っかったものなら性格上、つらい思い出になるでしょうが…。

 彼の死をまのあたりにしたことは、ドルモンの心に大きな影響を残しました。


・トコモン
 本編のマスコット。未来を照らす希望を象徴するような扱いです。それを証明するように、X形態も獲得しました。
 さいしょは意味をなさない鳴き声しか発してませんが、だんだん言葉らしきものを話すようになるのがポイント?


・ウォーグレイモンX
 序盤〜中盤の主役というか、オメガモンの対抗馬。「イグドラシル」に命令されるまま同じデジモンを掃討していくオメガモンへ激しい憎悪を燃やしており、果敢に立ち向かう新世代の雄です。メタルガルルモンXと組んだ時の強さは、オメガモンをも感嘆させるほど。
 とにかく戦士としてカッコ良く描かれており、多少の傷などまるで感じさせない大立ち回りには強いインパクトを受けました。声は当然坂本千夏さんですが、最大級にドスが効いた演技には凄みがありますね。

 それだけに、ラストでまったく出番がないのは惜しすぎる……。ドルモンへの思い入れがいちばん強い人物(?)なので、トコモンやみんなと一緒にドルモンを迎える場面がぜひ欲しかったところです。


・メタルガルルモンX
 ウォーグレイモンXの相棒。最初はオメガモン初めロイヤルナイツと話しあおうと思っていたようですが、幼い個体に手を上げようとしたことに激怒したのか、以後はためらいを見せることがありません。といっても彼の場合、オメガモンとは一度しかやりあってませんが。
 性格的にはたぶん相方より慎重派で不敵、かつ気障な面がありそうです。声はもちろん山口眞弓さん。

 一度はドルモンたちを庇って壮絶な死をとげたと思われたのですが、後半なんの説明もなくいきなり復活。個人的にポカーンとなりました。
 そのためウォーグレイモンXとちがって評価のしづらいキャラになってます。その後の展開をみても、いる事にあまり意味がないし…。

 ただ、死亡場面では直後にドルモンが初の進化を遂げています。その時すぐそばにいたので、なんらかの影響を受けて一命をとりとめることができたのかもしれません。…ちょいと苦しいな。


・コクワモンX、ガルダモンX
 ウォーグレイモンXの仲間。数少ないX進化個体なので、レジスタンスではそれなりの位置にいたものと思われます。
 しかし、オメガモンの圧倒的なパワーの前にあっさり抹消されてしまいました。いかにX進化へ到達したとはいえ、成長期や完全体レベルじゃ分が悪すぎるのでしょう。ロイヤルナイツの力を示すための踏み台にされてしまったかっこうです。
 ガルダモンXはちゃんと重松花鳥さんがアテてますが、なぜかネイティブアメリカン弁になってました。


・ウィザーモン、マミーモン、シルフィーモン
 レジスタンスのメンバー。部隊長クラスのようです。声は全員テレビ版といっしょ。(シルフィーモンは遠近さん単独)
 いずれもX進化体ではありませんがけっこう目立っており、デクス体相手にも奮戦を見せました。特にマミーモンが味方にいるのは新鮮。性格的にも、口が悪いながら実は仲間想いな雰囲気に描かれており、好感度がアップです。シルフィーモンもさわやかな礼儀正しい好青年風で、メタルガルルモンXを戦士として尊敬しているように見えました。
 アニメを見ていると、倒れたドルガモンを見過ごせず、最後まで助けようとするウィザーモンの行動にはけっこう感銘を受けるかもしれません。なんとなくですが、テイルモンに施してもらったことへの形を変えた恩返しって感じです。テイルモン出ないけど。


・アンドロモン
 前半、ブロッサモンやハヌモンとともに登場。協力を申し出るウォーグレイモンへ、ロイヤルナイツへの密告という裏切りで応えるのですがもろともに攻撃を受け、倒れました。直前に浮かべる「バカだった…」とでも言いたげな自嘲気味の笑いが印象的。
 ちょい役ですがちゃんと梁田さんです。ちょっと悪役演技。


・オメガモン
 戦ってるうちに自信がなくなってきた人。黄金聖闘士でいえば蠍座のミロか声のとおり獅子座のアイオリアってところです。
 最終的にはアルファモンを援護し、一連の見届け役のような立場となりました。
 アルファモンを除けば恐らくロイヤルナイツ最強。セリフの端々に自信のほどがうかがえます。
 
 クロニクルの公式ストーリーではドルゴラモンに対抗できる能力を得るため、みずから異分子となる覚悟でX抗体を取り入れるほどの忠義の士なのですが、本作ではそうでもありません。むしろ、その鋼の信念がどう揺らぎ変化していくかが見どころです。
  最後の最後でアルファモンからデータの一部を受け継ぎ、X進化を獲得しました。


・デュークモン
 早くから「イグドラシル」の計画に疑問を呈し、みずからX抗体も受け入れるロイヤルナイツの穏健派。オメガモンとは盟友としておたがいを認めあう仲であり、実力的にもおそらく比肩。X進化後はさらにパワーアップしているものと思われます。実剣だったロイヤルセーバーもギャンのようなビーム状に変化し、自在に長さをコントロールすることが可能。一閃で大量のデクスドルグレモンをしとめていました。
 声はもちろん野沢雅子さん。テイマーズ当時よりもより落ち着いた、古式ゆかしい口調が特色です。

 黄金聖闘士でいうと白羊宮のムウでしょうか。主人公の導き役となり、締めの役までこなすあたりはそのまんまです。


・マグナモン
 上記ふたりより少し小柄です。最後まで「イグドラシル」に従おうとしており、なによりも秩序にこだわっていました。そのため、最終的にはオメガモンと対立することになるのですが、まともに戦うシーンはありません。ただ、「イグドラシル」が自分たちを手駒としか考えていないことはどこかで自覚していたようで、やや自嘲ととれるセリフも吐いていました。割り切っていたともいえそうです。
 声はもちろん野田順子さん。


・ロードナイトモン
 どうやらオメガモンたちとは別のエリアを担当していたっぽいのですが、セリフのみで顔すら出ませんでした。確認してもやっぱり声だけです。それでもしっかり置鮎さんが演じてるんですが、知らない人はキャストを見ても「どこに出てたっけ?」になるのは必至。
 人気の差…かなあ。デュナスモンなんか出てすらいませんし。ある種特異なポジションのアルフォースブイドラモンは置いておくとしても。

 で、緊急招集といいつつ、そんな有様なので円卓は半分たりとも埋まっておらず、空席だらけです。さすがに寂しい…。
 13番目のロイヤルナイツといわれても、これではあまり説得力がありません。せめてシルエットだけでも残りのメンバーを出すことができれば、それはそれで話題になったかもしれんというのに。
 まあ、ロイヤルナイツはその強さゆえ同時期に全員が揃うことなぞめったにないのかもしれません。寿命による入れ替わりもあるでしょうし。


・デクスドルゴラモン、デクスモン
 ドルガモンから引っぺがされた影。勝手に活動を開始し、デジタルワールドを混乱の坩堝に巻き込み崩壊の危機へ追いやりました。
 いた場所とロイヤルナイツもその存在を知らなかったことから、「イグドラシル」はどうやらこいつの行動をわざと放置していたようです。そうすれば、残ったドルモンはかならずアルファモンへ進化して事態を収拾させ、再統合の助けになると判断したのかもしれません。
 となると、Xプログラムに対抗してX抗体が出てくるのも予測していた可能性があります。つまり賭けはあったにせよ、今回のことは「イグドラシル」が計画したとおりにおおむね進んだってことなんでしょう。

 しかしデクスモンの分身たちの襲来や、再統合の過程で相当数のデジモンが犠牲になったはず。
 「イグドラシル」としては何とかして一度自身のデータ整理をし、延命したかったのでしょうけど、付き合うほうはたまりません。



●名セリフ

「いい眼だ…お前はおれのぶんまで、この新世界で生きろ。種の…デジモンの未来のために」(レオモン)

  というわけでまた死にます、レオモン。しかもまた生き返らない。いまやデジモン界一の死亡属性俳優です。


「異なことを…」(ロードナイトモン)

  この人はこれだけ。どうやらロイヤルナイツの円卓に参加していたらしいことはわかるのですが、そのあと一切出てきません。
  セリフから「あーこの人性格変わんねーなこりゃ」とは思いましたが。


「ホストコンピューターの言うがままに同じデジモンを殺戮する…!
 オレはそんなロイヤルナイツを憎悪する! ロイヤルナイツのデジモンとしての誇りは、どこへいった!?」(ウォーグレイモンX)

  滝の裏でダメージを癒してる最中のセリフ。レジスタンス魂がだだ漏れです。


「やるもんだな……。だが、終わりにしよう」(オメガモン)

  予想以上の強さを讚えながらもなお崩れない、絶対の自信。敵であっても彼のかっこよさはいささかも揺るがないようです。


「生命は…そこにあるだけで美しい。おまえに託す…!」(メタルガルルモンX)

  この人あとでいきなり復活するんだよなあ…。それさえなきゃ、ホントにいいセリフなんですが。


「生きたいからだ!」(ドルガモン)

  まあこれがテーマですかね。ただそのわりにお話の都合で復活ふうなキャラが多いんで、ちょっと弱い。


「フ…こうすることでしか、確かめられないことがある……。手を…わずらわせた…」(デュークモン)

 オメガモンの手にかかり、一度消滅するときのセリフ。
 彼はなにを確かめようとしたのでしょう。みずからX抗体を受け入れ、知覚したいことがあったというのはわかるんですが。


「…おまえは自分の戦いに迷いを持った事はないか?」(オメガモン)
「無い」(マグナモン)
「その自信のよりどころは?」(オメガモン)
「この世界の秩序を守るという使命感。そして、ロイヤルナイツの誇りだ」(マグナモン)
「………フ、つまらぬことを聞いたな。忘れてくれ…」(オメガモン)

  個人的にこういうやり取りって好きなんですよね(^^;)


「奥で…待ってます!」(シルフィーモン)

 このあとのお辞儀に性格がよく出てます。


「まずい…! おれが呼ぶまでここを動くな!」(ウォーグレイモンX)
「……」(トコモンX)
「返事は?」(ウォーグレイモンX)
「…あい!」(トコモンX)
「いい子だ」(ウォーグレイモンX)


 主役は誰なんだろう…。そう思っちゃうくらい、ここのウォーグレイモンXはかっこいいです。


「お前は…?」(ウィザーモン)
「ギリギリまで引きつけてから撃つ」(マミーモン)
「無理は…するなよ」(ウィザーモン)
「へ…お前ほどの無茶はしない」
(マミーモン)

 そしてこの二人のやり取りも好印象です。こういうところはとてもいい。


「いいタイミングだ(メタルガルルモンX)
「へ…へへへへ…(マミーモン)

 じっさいは誤射なんですが、怪我の功名。マミーモンの笑いは照れ隠しでしょう。
  …そうか、彼らってようするに「ガメラ2」における自衛隊員なんですね。


「生きていたのか…!(ウォーグレイモンX)
「心配かけてすまなかったな(メタルガルルモンX)

 この後息ぴったりに左右展開。戦友としてのつきあいの長さがうかがえます。


「おんなじ(トコモンX)

 姿は変わっても、自分を守ってくれたドルモンのまま。トコモンの行動が混乱にとりあえずの終息をもたらします。


「すべての生命は生きるためにある。最初から存在を拒否された生命など、この世のどこにもありはしないよ…」 (デュークモンX)

 これはたぶんデュークモン独自の持論でしょうね。デジモン粛正にもまったく参加してなかったし…。


「ならば戦え! それほどの覚悟が口先だけではないことを、賭けた存在の全てとやらで証明しろ!」 (オメガモン)

 これもまたオメガモンの持論…なのかなあ。ドルモンを試しているような雰囲気です。
 なんだか大魔王バーンの名セリフ「お前の正義を余に問いたくばあくまで力で語れ!」を思いだします。


「面倒なもんだな…仲間がたいへんなのに…。
 デジモンがデジモンの危機を前にして、なんでこんなところで言い争わなきゃいけないんだ…! 」 (アルファモン)


 騎士っぽくないざっくばらんな物言いが、異端のロイヤルナイツであることを語ってます。はぐれ騎士って感じ。
 というか、これがアルファモンの持論かな。


「ちがう…! 危機だからこそ、秩序が必要なのだ…!! 」 (マグナモン)

 最後はマグナモンの持論。この後出てこないんですが、彼はどうなっただろう。


「究極戦刃・王龍剣!! 」 (アルファモン)

 前フリなしにいきなり来たーっ! どっから出したお前ー!(笑)


「オレは…仲間と出会っていなければ今のこの姿ではなく、こいつと同じになっていたかもしれない…
 でも今は、このデジタルワールドに生まれ、あなた達と出会えたことを誇りに思う…!
 生命は…つながっていくものだから…! 」 (アルファモン)


 思えばアルファモンとはこの作品の場合、勇者たちから命を託されたドルモンが受け継いだ生命の誇りが喚んだのかもしれませんね。


「『イグドラシル』! これが…あなたの望みですか!
 私にはわかりません…! わかりたくもない!! 」 (オメガモンX)


 アルファから次のオメガへ。
 X抗体を得たオメガモンが最初に取った行動は…
 絶対と信じてきた主君を否定することから始まったのです。ここには、いろんな意味がありそう。
 ただ、ひょっとしたら「イグドラシル」にとってはそれも「必要(ネセサリー)」だったのかもしれないなと想像。


「言っただろう。『イグドラシル』も必死だったと。かの君も…生きたかったのであろう」 (デュークモンX)
「すべての生命は生きるためにある…か…」(オメガモンX)


 でもつきあわされるほうはたまったもんじゃないよなあ(^^;) 何度も言うようだけど。




●長くなりました
 なんだかんだでひさびさのデジモン完全新作、楽しませてもらいました。
 デジモンワールドXにもお金を落として、つぎに繋がるよう微力でも貢献したいものです。