燃え上がれタギル! 栄光のデジモンハント!

 脚本:三条陸 演出:貝澤幸男 作画監督:浅沼昭弘
★あらすじ

 その日、世界を六つの栄光が走った。

 アスタモンに身を窶し、リョーマを操っていたクォーツモンの計略によって戦闘不能に陥るタイキ。
 アスタモン=クォーツモンは本体と合体し、地球そのものをデータ化しようとします。
 時計屋とユウたちがこれを止めている間、再びブレイブスナッチャーが引き揚げられました。携えるのはタギル!
 最初は尻込みしていた彼でしたが、タイキにゴーグルと意志を託され、太一たちの激励を受けて燃え上がります。

 力つきてデータ化されてゆく仲間を背後に、最後の決死行へ臨むタギル。
 ブレイブスナッチャーを手にしたその力は、クォーツモンをして抑えきれぬほどのものでした。
 しかし、敵は吸収したタイキたちのデータを人質に取るという卑劣な戦法に出ます。
 タギルとアレスタードラモンはなす術が無いまま、データの海に沈んで分解寸前へ追い詰められました。

 そのとき、抵抗を続ける二人の知覚に「あるもの」が引っ掛かります。それはなんと、クォーツモンの中心核!
 土壇場になればなるほど燃える二人はスペリオルモードを発動させ、砕けかけたブレイブスナッチャーの存在を
 クロスアップで繋ぎ止め、一なる六者となって敵の中心へ突入しました。クォーツモンが気付いたときには既に手遅れ。
 これまで出逢った人々や、ともに戦った仲間の心が道を作り、タギルを導いていったのです。

 かくて、ブレイブスナッチャーの一撃によりクォーツモンは核を破壊され、デジタマへと還元されました。
 世界が猛烈な勢いで元に戻り、人間とデジモンたちをあるべき世界、あるべき場所へ還してゆきます。
 突然始まったタギルとガムドラモンの冒険は、その別れもまた唐突に訪れたのでした。

 一ヶ月後。
 すっかり平穏な日々が繰り返されていましたが、ガムドラモンとの冒険が忘れられないタギルは精彩を欠いていました。
 そんなタギルの前に、何とガムドラモンが現れます。タイキの前にはあの時計屋が現れ、世界にはまだまだ多くの
 はぐれデジモンが残っていることを告げます。老人の目に、タイキは一瞬バグラモンの面影を感じていました。
 
 果たして時計屋の言葉は、どこまでが真実だったのか。
 ただひとつハッキリしているのは、デジモンハントはまだ終わっていないということ。
 勇躍、走り出すタギルの後を追ってタイキが、ユウが駆けます。この先も、彼らには数々の冒険が待っているのでしょう。

 けれども──とりあえずそれは、別のお話。



★全体印象

 最終話です。
 スタッフにはSDの貝澤氏をはじめに三条氏、浅沼氏と各パートのチーフ格が名を連ねました。相応しい布陣です。

 期待しすぎたのかなんなのか、お祭りは事実上前回のみでしたね。はしゃいでしまって少々恥ずかしい。
 リョーマ関係もあっという間に流してしまい、ほぼタギルの独壇場みたいな流れでした。
 一見タイキと、それにリョーマの代理みたいな形ですが、今期の主役はやっぱりタギルなわけですし
 そのための積み重ねはなんだかんだと行われているので、多少強引でも彼以上の適任はいますまい。
 その分タイキが最後までワリを食ってる感じでしたが、前期までの活躍が凄すぎた反動という考え方も一応あります。

 前半におけるタギルと太一たち五人(武器化中だけど)以外の全員データ化は、正直ショックを受けました。
 歴代でフルボッコにするどころか、歴代がいてさえなおここまで追い詰められるとは思ってなかったもので。
 ずいぶん思い切った展開にしたものです。事実上、ボス戦に挑んだ6人以外は全滅ということですからね。

 無論その絶望感、孤立無援感、土壇場感がクォーツモンの存在感をいや増すのは確かです。
 ここまでできるほどのヤツだから歴代含めた皆の力が必要なのだ、と納得できるわけですからね。
 それだけに、最後までブレイブスナッチャーを手放さずに切り札として完遂させてくれたことは幸いでした。
 アレで「別になくても倒せる」なんてことになったら、ちょっと洒落になりません。
 …いや、具体的には言えませんが、それと似たような展開をやらかした作品があるらしいんで……

 ともあれ、いよいよクロスウォーズも最後のレビューとなりました。
 前回にくらべると項目はそんなに細かくないんですが、書くことは自然と多くなりそうです。



★各キャラ&みどころ

・タギル

 ブレイブスナッチャーを託され、デジモンシリーズ最新の主役として開花のピークを迎えました。
 6人の英雄の欠員を埋められる上にデジモンハンターでもあるというハイブリッドぶりは、まさに隠し球。
 55話からはちゃんと彼を中心にした話になっていたので、そこらへんは問題ありません。

 問題があるとすれば、そのために全力を出し尽くすことができなかったキャラが結構いたことでしょうか。
 しかし時ハン篇の構図を見る限り、チーム・クロスハート本来の役目は54話で終わっていたのかもしれません。
 あとは仲間入り間もないユウを前に出しつつ、タギルを後見してゆくような立場になっていったわけですね。
 タイキをほぼ毎回出してたのは、視聴者を繋ぎ止めるためだったという話ですし。

 さて、全篇通じてとにかく失敗が多い子でしたが、そのぶん致命的なほどの失敗までには至らないか、
 その前に立ち上がってリカバーに成功するタイプでもありました。とにかく滅法打たれ強かったという印象。
 一話完結内とはいえ、パートナーを暴走させたと思ったら瞬時に怪我の功名へ変えたこともあります。
 彼の本領発揮は、ぎりぎりまで追い詰められたその瞬間。底力ではタイキ以上かもしれません。

 また適度にスケベで適度に自分を知らず、時折ですが無神経なことも言うなど、本質は凄くいいヤツなんですが
 非常にバランスの取れた性格でした。デジモンハントという概念を体現する存在でもあったので、
 タイキたちとの考え方の違いも良い感じに出せていたと思います。結果として目立ちやすくもなってました。
 いい奴だけど、型通りのいい子には絶対に収まらない。そんな感じですね。

 存在自体が対ラスボスのトラップカード同然という点や、本人の精神状態が原因の暴走が無いこと、
 前の戦いをくぐりぬけた先輩をリスペクトしており、その先輩からゴーグルを託されるなどなど、
 既存ではやはり大輔が最も近いですね。ゆえにか、歴代主人公がタギルへ投げた最後のセリフは大輔のものでした。

 じっくり話す機会はありませんでしたが、もしまた顔を突きあわせるチャンスが巡ってきたら、
 大輔とは共通点の多さで話題に花が咲きそうです。兄貴ともノリが合いそう。


・アレスタードラモン→アレスタードラモン・スペリオルモード→クロスアップアレスタードラモン・スペリオルモード
 →ガムドラモン

 一番美味しいところでスペリオルモードを再発動させ、ブレイブスナッチャーとデジクロスして存在を繋ぎ止めました。
 デジクロスという設定を最後まで活かし、同時にブレイブスナッチャーの有効性も残した良い流れだったと思います。
 分解寸前だったような気がするんですが、これも気合でムリヤリ繋ぎ止めていたのでしょう。
 実際には、もう後ほんのわずかだけしか実体を保っていられなかった可能性もあります。

 結局スペリオルモードとはどういうもので、何故アレスタードラモンだけに単体発動したのかは明かされませんでした。
 緊箍児の作用だということだけはハッキリしているのですが、このアイテムから連想するものは「制限」「抑止」。
 暴れ者だったガムドラモンが成長し、ありあまる潜在能力を正しい方向に向けようとしたとき、この緊箍児は
 むしろ彼が限界を打ち破り、さらなる飛躍を遂げるための導きとなるのかもしれません。
 だから、アレはやはり彼自身に元から秘められていた力なのだと思います。緊箍児はあくまでも手助けをしただけで。

 まあ、それ言い出したら皆が皆ホイホイ超進化できるようになったのは何故なんだぜという話に行き着くのですが。
 おやじの素姓が素姓ですから、以前の戦いのデータを元に改良しただけなのかもしれませんけど。
 デジクロスに制限がかかった分のカバーとして、単体戦闘力の底上げは必須みたいなもんだったでしょうから。

 さて、問題児という点ではタギル以上に問題児だったのがこの相棒。
 別に悪行三昧だったわけではなかったのですが思慮が足りずに空回りし続け、力を振るうための居場所もなく、
 親友と思っていたベツモンにも裏切られと、よく考えてみたら結構つらい過去の持ち主です。
 あのままタギルに出逢わなければ、どうしようもないひねくれ者になっていたかもしれません。

 実際、当初はとにかく強くなることを重要視している節もあったのですが、タギルと共に行動するうち
 そういった面は次第に薄らいでいきました。特に、ベツモンとの和解は大きなファクターと言えるでしょう。
 良くも悪くも変わらなかったタギルに比べ、パッと見以上に内面が変化していった成長型だったと思います。
 たとえ出逢いがなくてもタギルは元からタギルのまんまでしたが、ガムドラモンは違いますもの。

 だからガムドラモンは、タギルにものすごく感謝してるはずです。
 ああいう性格ですから普段からストレートには言えないと思いますけど、気持ちは伝わっている。
 件のベツモン回がそうだったように、やっぱり行動ですべてを語るコンビですね。

 それでも本音を言えば、あともうひと味欲しかったところです。過去話がアレだけとは思いませんでしたし……


・タイキ

 ゴーグルをタギルに託して大役を譲り、負傷しながらも勝利へ希望を繋ぎました。
 タギルにやらせようと言い出したのも彼です。まさか自分に何かあった時のためにタギルを育てていた…
 というわけではないのでしょうが、何かやってくれそうだと期待していたのは時ハン篇当初からハッキリしています。
 今こそ、タギルがこれ以上ないぐらいの何かをやってのけられそうな時だと悟ったのかもしれません。

 55話からこっち、まるで半分隠居したかのように見せ場が激減し、視聴者をじりじりさせ続けた彼。
 結局最後までその全力を出し切ることなく─というか、出させてもらえず──そのまま役目を終えることになりました。
 恐らくタイキとクロスハートの力、ひいてはX7スペリオルモードを恐れた敵が周到に仕込みを入れたせいなのですが。
 デジクォーツ自体がそのための予備工作を兼ねていたのでしょう。

 しかし長い目でみれば、彼の方もタギルと言う切り札を育成していたことになります。
 上記のように、まさかこんな形で役割と意志を引き継いでもらえるとは全く思っていなかったのでしょうけど、
 そういう備えが気付いたらなんとなくできている事こそが6人目の英雄と呼ばれるゆえんだったのかもしれません。
 結果的には、自分自身をデコイにしてクォーツモンの本性を暴いたような恰好でした。

 彼が英雄として最後になしたもっとも大きなことは、タギルを見出したことなのでしょうね。
 本人に聞いたら「なぁに、みんなで頑張ったおかげさ」と答えるでしょうけど。


・クロスハートの仲間たち

 ユウ含め、まとめての扱いだったので個別で特筆するほどの出番はありません。
 仮にもユウはメイン格3人のひとりだったと思うのですが、最終的にそれほど良い扱いは貰えませんでしたか。
 タイキが前に出ている時は、自分からその後ろに引っ込んでしまう傾向があるからなぁ、ユウは……

 たぶん、タイキが何と言ってもユウの中では依然としてスーパーマンのままなのでしょう。
 そのぐらい、最初っからタイキだけはユウの中で別格でした。デスジェネ篇で一度は挑戦したことがある分、
 自分がタイキを越えることはできないとどこかで受け入れてしまっている節があるのです。
 無論、それはそれで割り切るのもひとつの道ではあるのでしょう。

 その分、ユウではタギルが引き受けた役がこなせないのかもしれません。越えようという気概がないから。
 そもそも、ユウはハンターのナンバーワン決定戦にすら出ていません。土俵に立ててさえいないのです。
 厳密にはデジモンハンターとしてでなく、クロスハートの一員として戦いに臨んでいるからなのでしょう。
 タイキよりはハントに出てましたが、それはあくまでも危険なデジモンから人々を護るためです。

 逆に言えばクロスハートに属しておらず、その一員となることに拘らないタギルが役目を引き継いだというのは、
 なんとも興味深い話ではないでしょうか。


・リョーマ

 クォーツモンが正しいと思い込んでいるのではとか、実は二重人格ではとか、実はめっちゃ芝居が上手いのではとか
 あれこれ珍説が脳内に飛び交いましたが、蓋を開けてみたら一番普通の「操られてました」コースでした。
 しかもその原因がアレだったのでいろいろと全部すっ飛ばされます。ああ、アレじゃー仕方ないよね。
 深読みしすぎて逆に意表を衝かれるパターンに嵌りました。

 ただ彼の場合、自分でも「アレ? 変だな」と思ってたそうですから、普段は至って普通だったみたいです。
 そこらへんが少々ややこしい。恐らく、クォーツモンからは本当に必要な時しか指令が来なかったのでしょう。
 端的には「外的要因による一時的人格乖離」的な、実質的二重人格みたいなもんだったのかもしれません。
 時計屋のおやじですら彼の側に隠れたものを見抜けなかったのは、そのせいなのですね。

 ともあれ、結果としてパートナーを失うことになったので挽回はそのままタギルに譲ることとなりました。
 以後はタギルに道をつくるシーンと、ラスト手前の全員集合ぐらいにしか出てきません。
 戦いのあと、どこで何をしているのかも不明のままです。またハントに精を出してるのかもしれませんが。
 その場合、今度はどんなデジモンを相棒に選んでいるのでしょうね。

 気障な態度の裏に隠れていた本当の顔は、英雄になりたいと憧れるひとりの少年の姿でした。
 あのスカした行動が実は全部ポーズだとしたら、なんだかほんわかとした気持ちになってきてしまいます。
 考えてみたらまだ中学生なんだし、大人ぶった仕草でキメようと張り切っていたとしても不思議ではありません。
 たぶん、本質は大変シャイなのでしょう。やっとわかりました。

 え? ポーズの方がむしろ恥ずかしいですって? いえ、アレが恰好よく感じる時期はあるのです。
 彼が一年なのか二年なのかはよく知りませんけど、いろいろ物を知って背伸びしたくなる頃なのは確かですね。


・アイルとレン

 考え方の違いでタギルたちとソリが合わなかっただけの人々。
 ラスボスが隠れていたリョーマは除外するとしても、この二人に関しては本当にただそれだけでした。
 ウィザードリィで言えば性格が「善」か「悪」かの違いでしかなかったというか。

 レンあたりは剣道回でドラクモンに人間の欲望を吸わせてたことがあったんで、ひょっとすると
 このパターンをやり過ぎてヤシャモンを暴走させてしまうのだろうかと予想してたことがあったんですが、
 実際に暴走を見せたのはチョ・ハッカイモンの方で、しかもポヨモンによる外的作用でした。
 その上、ドラクモンに欲望うんぬんさえ一度しかやっていません。
 タギルはリョーマ、ユウはアイルと一応絡みがあるのに彼だけろくにないのも不遇でしたっけ。

 アイルは出番が多く、その中で悪女というより単に物事を深く考えてないだけということが判明したり
 手許に置いたデジモンは大事にしている節があったり、本人の派手さのわりに家族がえらい地味だったり
 活躍といえるほどのものはできてませんが、色々ネタはありました。
 貴重な女性ハンターの一人なんで、それだけでも随分目立てるポジションにはいたと思います。

 あいにくとリョーマ含め、この三人が互いをどう意識しているのかは深く描かれていません。
 もちろん深く描くことができないぐらいドライな間柄だった、と考えることもできますが。
 彼らに個性があるとすれば、その醒めた関係性こそが個性なのかもしれません。


・五人の英雄

 いきなり無口になったと思ったら、ブレイブスナッチャーと一体化して切り札そのものになってしまいました。
 まだ多少は暴れてくれると思っていたんですが、当てが外れたようです。パラディンモードも結局出ないまんま。
 もしタイキが健在だったら、やっぱり彼もスナッチャー入りしたんでしょうか?

 いずれにせよ、あの流れは彼ら五人に必要最低限以上のセリフを喋らせないための苦肉の策なんでしょうね。
 クレジットにも藤田氏と木内氏の二人だけしかいませんでしたし……
 対ヴァンデモン軍団戦がてっきり前哨戦だとばかり思ってたので、全員データ化含めて諸々省略された気分です。
 いささか期待しすぎたようですね。よく考えてみたら、雑誌にも18日としか書いてませんでしたっけ。

 戦いの後は元に戻ってましたが、あっという間に別れてしまったので祝勝の暇もありませんでした。
 本来、出逢うはずのない彼らです。それぞれの世界に戻ったら、今回の出来事は忘れてしまうのかもしれません。
 つうか、忘れないと初代と02の間に支障が出る気がします。もっとも、タギルたちが忘れてる様子は無いですね。
 クォーツモンとおやじに直接的関係が深いのはクロスウォーズ組なので、その影響でしょうか。

 まあ、あれだけの力を結集せねばならないほどのヤバい敵は今後そうそう出てこないでしょう。
 歴代がともに戦う機会は、プリキュアや戦隊ほど多くは巡ってきますまい。これっきりという可能性もあります。
 ……主に予算の都合で。


・時計屋のおやじ

 最後の最後に、タイキとユウにだけ正体をチラッと明かしました。
 「お前かよ!」とツッコミが飛んでくる以前に、既に予想がついていた方も何人かおられるのではないでしょうか。
 私自身、前半の時点での演出を見て「ああ、あいつか」と読み取ることができましたし。

 しかしてその実体は、他ならぬ皇帝バグラモン。すっとぼけてましたが、本人だと考えていいでしょうね。
 ただしアレは仮の姿であって仮の姿ではないというか、人間に身を窶したも同然なのかもしれません。
 知識と技術、多くを見通す目は元のままでしょうが、力は失ってしまった姿なのだと思います。
 その証拠に、彼本人の力そのものはまだ東京湾の底に眠ったままでした。

 実際、バグラモンだと考えれば全部の辻褄が合うんですよね。自分の力は自分が一番知っているわけですから、
 それを変質させて武器に変えるなんて発想も出てくるし、クロスローダーをホイホイ作れても何ら不思議はありません。
 他の世界から援軍を呼ぶなどというスケールの大きな計画も、皇帝バグラモンには似つかわしいものでしょう。

 ただ、ひとつ疑問が出てきます。
 英雄たちの力を借りる必要があるのは良いとして、彼はなぜブレイブスナッチャーを自分で使おうとしなかったのでしょう。
 上記の推測のように、以前の肉体を失っているから不可能だったと考えるのが妥当ではあります。
 しかし力を取り戻した場合、また以前と同じ最強の肉体を取り戻せる可能性が無いと誰が言えるでしょうか。

 その選択を敢えて採らず、デジモンと共に戦う少年たちに託したのだとしたら、そこに心変わりの理由が隠れていそうです。
 復活した時、彼は自分がなぜ敗れたのかじっくり考えたのでしょう。結果、恐らく己の過ちに気付いたのです。
 人類や多くのデジモンたちは不完全なのではなく、過去も今もこれからも進歩を続けているだけなのだということに。
 そして、今度はそれを見てみたくなったのでしょう。

 クォーツモン打倒の計画を練っていたのは、言わば自らが撒いた種を刈り取るためだったのですね。
 けれども、昔のように何でも自分でやろうとするのはやめたのでしょう。
 それより、人間とデジモンが力を合わせたときに生まれる大きな可能性に賭けてみたくなったのだと思います。

 漫画版でも最終的には過ちを悟ったので、結局どちらのメディアでも味方に廻ったことになります。
 賢明であるが故、敗北を知った後は悪でいられなくなる典型ですね。
 クォーツモンもデジタマとなった今、もはや世界を揺るがすほどの脅威は去ったと言ってよいかもしれません。

 彼は今でもまだ、どこかにいるという弟=ダークナイトモンを捜しているのだといいます。
 いずれまた、誰かの前にひょっこりと現れるのかもしれません。


・クロックモン

 そんな時計屋のおやじが連れていた相方。
 直接的戦闘力はありませんが、一定範囲以外の時間を止められるというとんでもない能力はある意味それ以上のもの。
 時間と空間を越えられる件についてはさらっと流されていましたが、こっちも物凄い能力です。シナリオ的に便利すぎる。

 いつ時計屋と相棒になったのか、上半身が無いのはなんでなのかなど、今となってはこっちの方が謎の深い存在。
 特に上半身が無い理由についてはさっぱり不明です。そのため、時計屋が上半身なのではと考えていた時期もありました。
 確かテイマーズにも一回出てるはずですが、あっちとは別個体でしょう。声も違うし。

 もともと、クロックモンは成熟期の割に無体な設定を持っている種でした。
 ただ、描写されていたように時間操作そのものが技で、しかも維持だけで精一杯なら、単体では何もできません。
 逆に今回のような、他に戦いを任せられる仲間がいる場合はこれ以上ないほど頼れる能力です。
 彼のクロノブレーカーが無かったら、あのまま一瞬で全滅していたでしょう。

 ぎりぎりの局面まで使わなかったのは、一度出すと全パワーを使い果たしてしまうからなのですね。
 濫用すると時間自体がおかしくなるとか、使えば使うほど維持が難しくなるとか、他にも理由はあると思いますが。


・その他のみなさん

 ラストシーン手前にはメインキャラだけでなく、一期からのサブキャラやゲストに至るまでの殆どが登場します。
 行方不明だったミホやマミ、ハルカ、ミドリらの姿もありました。結局今までいったいどこにいたんでしょう。
 このちょっと前にクォーツモンへ吸収された人々としても出てきましたが、それまでは全く顔を出しませんでしたし。

 そして結局、マミの実質的出番はデジモンランド回が最後でした。単なる名前つきクラスメイトの一人で終わりましたね。
 タギルとの間柄すら全然わからないままとは……メインキャラみたいな序列でクレジットに出てたのは何だったんだ?

 ともかく、これで人々にデジモンの存在が認知された可能性は高そうです。
 その結果どうなったのかは全く描かれていませんけど。すぐに互いが元の世界へ戻ってしまったわけですし……
 でも「認知された」というだけでも随分違うのは確かですね。


・アスタモン

 クォーツモンが最初に取り入れたというデジモン。
 以後はヤツがその姿を借り、普通のデジモンのような顔をしてずっとリョーマに従い、時折操っていました。
 時計屋のおやじでさえ気付かなかったのは、それだけ擬態能力が優れていた証左かもしれません。
 デジクロスしてもアレスタードラモンが違和感すら憶えなかったというのは、もはや常軌を逸していると言えます。

 言うなれば、タギルたちはずっと最大の脅威の側で戦っていたのですね。
 内側に敵がいるという設定の作品はそれなりに多数ありますが、デジモンでは確か初めてでした。
 しかも、オリジナルがどうなってしまったのかは不明のままなのです。丸ごと食われたということなのかな。

 …総じて、クロスウォーズの七大魔王系はろくな目に遭っていませんね。リリスモンですら割とヒドい。
 唯一の例外はベルゼブモンですが、魔王扱いじゃないどころかリリスモンを仇として狙っていましたっけ。
 そーいえば、この世界にもテイマーズ版のベルゼブモンが来ていたんですよね。対面はしてないと思うけど。


・クォーツモン

 バグラモンが現れた影響で意志を持ったという、デジタルパワーの歪み。体はデジモンたちのデータを盗んで作りました。
 恐らく、過去の作品に現れたボスキャラの能力は殆ど使えるのでしょう。なんせ時空を超えた存在です。
 デジモンとしてみても際立った異形。デ・リーパーのモチーフも入ってるのでしょう、やはり。

 その割に無機質さはあまりなく、むしろ悪役度においてシリーズ上位に入る外道キャラです。
 騙し討ちに擬態、欺瞞はお手のもの。あげくの果てにタギルを人質作戦で追い詰めるなど、徹底的に憎まれ役を演じます。
 加えてその目的は自らの領域を広げることですから、貪婪さにおいても最大級ということになるでしょう。
 あのまま放っておいたら、次は地球そのものを己の肉体に変えて宇宙へその触手を伸ばしていったに違いありません。

 バグラモンの行動の影響で生まれたということは、その考えを悪い意味で受け継いでいることになります。
 思い返すと、バグラモンは人類やデジモンたちを一度ゼロに戻した上で、より良いものとして再構成しようとしていました。
 全てを彼が掌握するとはいえ、そこにはまだ理念が残っています。言わば賢者による独裁を目指したものとも言えましょう。

 しかしクォーツモンの場合は、己が支配するというバグラモンの傲慢のみが原始的に形を得たものに見えます。
 世界にあるものはもはや個体ですらなく彼自身の一部、糧にされてしまうのですから。
 プリミティブというものは美にもなりうるのですが、それを露骨に出し過ぎるのは知的生物としてどうなんでしょう。
 本人に訊いたら「人類が私をこのように育てたのだ」と嗤うでしょうけれどね。

 対象を強引に分解してデータの海に沈めてしまう過程は「エヴァ」の人類補完計画を思い出させるものです。
 違うのは全員の意識が共有されて見かけ上の一個になるのではなく、それらと別のものに統合されてしまうことですね。
 集合ではなく、明確な個に帰結してしまうことになるのです。「オレがオレが」の究極型だ。

 バグラモンから見れば不肖の息子みたいなもんでしょう。クロスハートの方がまだ嘗ての理想に近いのではと思わされます。
 クォーツモンに引導を渡すのは、己の愚挙に最後まで責任を取るための行動なのだと改めて思いますね。
 倒すのではなく捕獲だったのも、再来を防ぐ意味では妥当な措置と言えるでしょう。


・この世の彼方の海

 さて、多次元的にバックアップを持つというクォーツモンを討つためにはブレイブスナッチャーが必要でした。

 もともとバグラモンの技は次元を越え、別の世界に手を伸ばすほどの力を秘めています。
 加えて漫画版やバグラモン自身の設定によると霊体を掴む力を持ち、魂を他のものに移しかえる力もありました。
 これを応用し、太一たち五人とタギルの魂を一カ所に束ねたものがブレイブスナッチャーなのでしょう。

 では何故、多次元的コピーが可能なクォーツモンにこの武器だけが直接打撃を与えられるのか。

 それは多分、クォーツモンの本体すべてに同時にダメージを与えられるのがこれだけだからなのでしょう。
 もっと言えば、クォーツモンがミラーできる実体は恐らく最大6つまでなのです。
 この状態で散発的にダメージを与えても、残ったミラーリングのどれかから瞬時にバックアップが転送されるので
 絶対に決め手を与えることができません。再生するそばから攻撃して動きを鈍らせられるかどうかという程度。

 しかしブレイブスナッチャーを使えば、それぞれ違う世界に属す6人の魂のパワーが転化された攻撃によって
 ミラーも含めた全ての実体へ多次元的にダメージを与えられるのでしょう。バックアップにもダメージが入る寸法です。
 これでは保険の意味がありません。転送したところで、そこのデータも同じダメージを受けているのですから。
 それに、コレが刺さっている間は他のどの攻撃でもダメージが通る可能性がありますね。固定されるというか。

 クォーツモンが唯一ブレイブスナッチャーを恐れ、リョーマを利用してまでタイキを潰そうとしたのは
 そういう理由だったのだと愚考するものです。6人分の魂を転化できなければ、時計屋の計画は破綻してしまいます。
 一カ所でもミラーが残っていれば、クォーツモンはそこからバックアップして復活できるのですから。
 後はタイキが回復する前に全てをデータ化してしまえば、それで完全勝利のはずでした。

 クォーツモンの誤算はタイキの魂を引き継ぎ、さらに使い手としてブレイブスナッチャーを振るうこともできる
 タギルとガムドラモンがいたことでしょう。加えて、半端に彼らを分解しようとしたのも拙い対応でした。
 あれによって二人は一種の情報共有を獲得し、核のありかを突き止めやすくなった可能性があるのです。
 その上デジクロスで一なる六者と化し迷いを振り切った彼らを、もはや止める術はどこにもありませんでした。

 アスタモンとして側で二人を観察していながら、その危険性に気付けなかった時点で敗北は始まっていました。
 そう考えますと、詰んでいたのは実はクォーツモンの方だったのかもしれません。

 あれだけのメンツを相手に勝利寸前まで到達したのですから、それだけでも
 「おめぇはすげえよ、よく頑張った。たった一人で」と言ってやりたい気持ちもありますけどね。
 願わくば、たとえ封印が解かれたとしても…今度はいいヤツに生まれ変わってほしいものです。



★名(迷)セリフ


「私は何か、黒いものに囚われている気がしていた……だが、デジモンハントに夢中で…!
 ただ私は…あの日のタイキさんのようになってみたかった……!
 ただ…それだけなのに……!」(リョーマ)


 裏の裏、彼の本当の想いと姿が吐露された瞬間です。ひどく年相応。
 憧れは邪悪によって黒く塗られ、裏切りで終わりを告げました。クォーツモンは彼を利用しただけでなく、
 その憧憬と夢をも喰らい、消えない痕を残したのです。


「英雄には、ゴーグルが必要なんだよ……!」
「タギル、越えるんだっ…! 今こそ、オレを越えてみせろおぉぉおぉっ!」(タイキ)


 タギルにゴーグルを託し、魂のバトンを渡して。
 6人の英雄のひとりとなり、さらにその力をも振るう。これは確かに、タギルにしかできないことです。
 見事まっとうしてみせれば、誰にもできなかったことをやってのけた男としてその名が轟くでしょう。
 このセリフを受け、尻込みしていたタギルもテンションを上げてゆきました。

 兄貴だけゴーグルつけてないじゃんというツッコミに対しては、彼は英雄である以前に番長だから、
 としか返しようがありません。その意味においても兄貴は特異でした。


「どうした、タギルっ! 力が入っていないぞっ!」(太一)
「お前、そのゴーグルの意味がわかってんのかっ!! タイキがお前に託した、その意味がっ!」(大輔)


 二人しか喋ってない英雄たちの、数少ないセリフのひとつです。
 ゴーグルは戦いと勇気の意味。友情と未来の意味を知る証。
 ついでに言えば、ブレイブスナッチャーの重さはそのまんま歴史の重さの示唆でしょうね。

 この状況で大輔にこれを言わせないというのは嘘でしょう。制限が多い中で、王道をよく守ってくれました。
 熱さの前に、二人がタギルよりも年下であることはどうでもよくなってきます。


そうだよな…! ここで止まるバカはいねぇっ……!!
 へっ…! ブレイブスナッチャーがこっちへ来ねえんならっ…! オレたちがそこへ行くまでさっ!!」(タイキ)


 引き揚げるのではなく、自分から突っ込む。固定観念に囚われぬ大胆な発想こそ、この二人の持ち味ですね。
 それで失敗することもあるけれど、最後には必ず結果を出してきました。
 そして、退けない場面では決して獲物を逃さない。生粋のデジモンハンターが、遂にその本領を発揮しました。


「無理だな……!
 何故なら、オレたちがここに来たのは…お前をハントするためだからなっ!」(タギル)


 ちょっと恰好つけた感じのセリフ。これだけ後が無い状況で、なおも笑みを浮かべる余裕と冷静さがあります。
 追い込まれれば追い込まれるほどその意志は強く、鏡のように静かになるのでしょう。


「……へっ。
 なぁ、アレスタードラモン……
 今オレの考えてることわかるか……?」
「…ああ。オレも同じことを考えてたぜ……!」
「この状況から逆転してヤツを…」
「ヤツをハントしたら、オレたちは…! 真のスーパースターになれるっ!!」
「その通りだぁっ!!」
(タギル&アレスタードラモン)


 クォーツモンの人質作戦に一度は敗れ、データ化直前という状況でクォーツモンの核を知覚するという、
 千載一遇のチャンスを前にして。ここでこの発想が出てくるあたりが彼ららしいところでしょう。
 トップを獲れる最後の機会を前に、大人しくデータ化を待つような諦めの良さなど持ち合わせてはいないのです。

 スペリオルモード化し、ブレイブスナッチャーとクロスアップしたアレスタードラモンの姿は、
 どこかバグラモンに似ていました。スペリオルモード単体の破格な戦闘能力と併せて考えますと、
 実際の力もバグラモンに迫るものがあるのかもしれません。自らも気付かないうちに。

 むべなるかな。彼らの背中にはすでに、皇帝バグラモンの想いも託されているのですから。


「おまえたちのおかげで、世界は救われたんだ。
 いや…みんなのおかげかな。ここにいる、みんなの。
 時を越えてやって来た歴代の英雄達の力…そして、命を賭けて戦ってくれたデジモンたちの力…
 オレたちハンターの仲間の力…学校や街の友達…大切な家族のみんな……
 そう、みんなが力を合わせてくれたおかげだ!」(タイキ)


 場を締めるのはやっぱりこの人のセリフ。この場面でぐるっと廻り、今までのゲストやデジモンたちが
 一斉に映る画面は壮観の一言です。よく見ると、拓也の隣にアグニモンがいるのが細かい。原作後でしょうからね。
 さらによく見ると、俯瞰にはギガブレイクドラモンもいました。暴走はデジクォーツの影響だったのでしょうか?

 この後の別れの場面で、離れそうになるタギルとガムドラモンの手を見て「コロモン東京大決戦」を思い出しました。
 意識してたのかなあ。意識してたのかもしれないな。


「嘗て君たちが私から守り抜いたこの世界を…今度は私も守ってみたくなってね……」
(時計屋のおやじ?)


 正体を明かした瞬間。サングラスの奥に光るその目は、まぎれもなく皇帝バグラモンのものでした。
 右目のインビジブルスネークアイだけはやはり残っているようですね。クォーツモンのこともこれで知ったのでしょう。

 この後、弟に出会うまではただの時計屋でいるだろうという意味深なセリフを残します。
 弟といえばスカルナイトモンのことですが、捜しているのは今度こそ和解するためなのでしょうね。
 スカルナイトモンの方がどのような転生をしているのかは暈されていましたが、想像の余地が残ったとも言えます。
 漫画版では死ぬことなくルミナモンと共に放浪している姿が出ていましたが、果たして。


「さあ、オレたちのデジモンハントを…始めるぜ!」(タギル&ガムドラモン)

 冒険はまだまだ終わらない。
 余韻と多少の謎を残し、6つ目の世界は我々の認識から去ってゆきました。
 けれども、タギルトガムドラモンにとっては世界を救うことでさえ、ひとつの通過点でしかないのかもしれません。



★振り返って

 終わってみると全6クール強、放映期間1年9ヶ月と、デジモンシリーズ最長を誇る話数となりました。
 時ハン篇は主人公も事実上タギルへ代わっていますし、設定や舞台もガラッと様相を変えている上
 ボーナストラック的内容なのですが、区別して考えたとしてもデスジェネ篇までだけで初代と並ぶ54話です。
 正直、まさかこれほど長く続くとは思ってませんでした。実際の放映期間が話数以上なので、なおさら感じます。

 しかし前にも書きましたけど、本当に波乱だらけでしたね。
 初期はしょっちゅう番組構成が変わったり、唐突に1時間スペシャルをやったと思ったら一ヶ月も休んだり、
 散発的に芸能人を呼んだり、右上にテロップを出してみたりと今思えば迷走に迷走を重ねていたと思います。

 それから局と時間は違うけどニチアサに戻ったわけですが、キリハが暴走したり作画が暴走したりはしたものの
 デスジェネ篇は全体的にみて安定していた方かもしれません。強い敵をどんどこ出して盛り上げようとしてましたし。
 スタッフも秋の時点で終わらせる気だったのですから当然かもしれませんが。

 そしてまさかの続投となった時ハン篇では新主人公登場、歴代登場、それ以外は悪く言えばお茶を濁しまくりという
 ピンポイントにもほどがある構成で割と唖然とさせられました。ああ、本当に急遽決まったんだなあと。
 福次効果としてテイマーズ並かより以上に現実世界を基盤にしたお話が多くなったので、そこは大きな特色なんですが。

 デジモンシリーズでは間違いなく、過去もっとも「外の事情」に振り回された作品といえるんじゃないでしょうか。
 東映及びバンダイのドル箱として急成長中だった初代の頃(戦隊より売れてた!)と比べ、シリーズ自体の基盤が脆弱なので
 コレという路線が確立できてないのが痛いところです。売上が稼げなかったのもテコ入れ連発原因のひとつでしょう。

 逆に言えば、それでよくここまで纏められたもんだと感心するべきなのかもしれません。
 傍からどのように見えようと、スタッフの気魄は凄まじいものがありました。予算の関係か、フルパワーを出せるのは
 時折が精一杯みたいでしたけど……とりわけ時ハン篇は。
 ああ、そうか。歴代全員の中の人を呼べたのが一話こっきりだったのも、そういう事情だったんですね。

 なんだか世知辛い話になってきたので、話題を引っ張り戻します。
 上のような事情で実に安定しない、何かこうギリギリ感が垣間見えるアニメでしたが、なんだかんだで
 個人的にはたいへん楽しく視聴させていただきました。デジモンアニメは作品としての出来と関係なく全部好きなんですが、
 今回でそこにまた1ページが加わった形です。良いところを語るのも、悪いところを語るのも好きなんですよ。

 でもこれだけやってしまうと、次はもう無いのではないかという不安もちょっと出てきますね。
 それならそれで、仕方ないとスッパリ諦めるのもいいでしょう。これまでだけでも十二分に楽しませてもらいました。
 これからも楽しめるのなら、それは間違いなく最高ですけれどね。

 まあ、アレです。これで私も、ようやく完走することができました。
 デジモンアニメのレビューを可能な限り全部やるというのは、いまや私の拘りみたいなもんですから。
 毎回毎回、書くことが結構あって本業が忙しくなったら最後、それ以外のことをするための時間が作りにくくなりますけど。
 なんで、正直ちょっとホッとしています。とうとう終わったのかぁ、という達成感も含めて。

 しかし、いずれまたこうして忙しくキーボードを叩く日もやってくるでしょう。
 そう信じて、このレビューを締めたいと思います。お付き合いいただき、ありがとうございました。