AからBの作曲家 |
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バーンスタイン ウエストサイドストーリーからシンフォニックダンス
芥川さんは私が音楽にモノゴコロついた高校生時代のころ、NHKで「音楽の広場」という番組に出演していて、いろいろ興味深い体験をさせていただいたものです。この番組無くして今の私はない!!(そんなたいそーなものか?)まあ、そう言っても過言じゃないわけです。
この交響曲は、よくショスタコーヴィチとかプロコフィエフの影響についていわれますが、ワタシはまったくひとつの作品としてたのしんでいますよ。たしかにプロコフィエフやショスタコーヴィチ、バルトークの影がまるみえのところもありますが、この曲の中にでてくるメロディのしっくりくるといったらない。同じ国のひとのオンガクだなぁと、思ってしまうのです。
第1楽章は全体にクラい。アンダンテ楽章です。クラリネットの呟くような序奏ではじまって、次第にチカラを増していく。ところどころショスタコーヴィッチの交響曲第5番のよーなヒビキをまじえながらも、どことなく懐かしい感じの音楽。
第2楽章は プロコフィエフ風のスケルツォ。っていうか、プロコフィエフの5番を知っているヒトならまず連想しちゃうでしょーけども。めちゃパワフルな楽章です。きざみこむようなリズムの緊張感がすばらしい。まんなかへん、弦の響きが次第ともりあがっていくあたり、スゴイ迫力。
第3楽章は鼓動のようなリズムの上に長い音のかさなっていく悲劇的な感じのコラール楽章。
第4楽章は情熱的なメロディがつぎつぎと現れるかっこいい、楽章。弦であらわれる情熱的な第1主題と、ユーモラスな第2主題。(ストラヴィンスキーの「火の鳥」のカスチェイに出てくるシロフォンの主題に似てる。)バルトークの弦チェレか?みたいな雰囲気もあり。
メロディとリズムにあふれた、全体に芥川節全開の、まさに「芥川也寸志の交響曲」といった感じです。新交響楽団と芥川さんの演奏は、ところどころあやしいところもあるとはいえ、それを上回る魅力があります。このレコーディングのときのコンサートに行っていたこともありますが、特別な思い入れのある曲です。
アーノルド 4つのスコットランド舞曲 トムソン指揮 ザ・フィルハーモニア
アーノルドは1921年うまれのイギリスの作曲家です。
この曲は、どうも吹奏楽関係で名が売れてきたようですね。先日東京の某CD店に吹奏楽版のCDがあるのをみかけました。題名の通りスコットランドの民謡に題材を取った(といっても知ってる曲はなかったけど)楽しい曲です。全曲聞いても8分ちょっとくらい。吹奏楽好き兼イギリス音楽好きの方なら、だいたい気に入っていただけると思います。2曲目のおどけた感じのファゴットがなんともいえんのですがどーやって吹いてんのかナゾ。(ファゴットじゃないのかなあ。グリッサンドしてんだけど。)おおむね同じメロディを繰り返すシンプルな構成ですね。
1楽章は、ペザンテ。あし踏みをするような(あるいはしこを踏むような)リズムの音楽。バグパイプのような和音のひきのばし。中間部ではトランペットのいそがしいタンギングとホルンの華やかなグリッサンドが聴けることでしょう。(なんだかなぁ。) 中間部から主題が帰ってくるところの強引なつなぎ方がステキだ。
第2楽章はファゴットによる軽快な主題が出てこれが伴奏の形をかえて登場します。そのなかに前に書いたおどけたファゴットが登場する。ほのぼの。
3楽章の素朴なメロディも美しくなつかしー。歌詞をつけて歌えそうです。これを聴くと、うちにいるのにおうちにかえりたくなってしまうのであった。なんだか麦笛のきこえるような田園のたそがれみたいな風景が目にうかぶ。ような。小津映画のエンディングあたりに使えそうな感じもしますねぇ。
第4楽章はハデな舞曲がサクレツします。グリーグの「ホルベルク組曲」の終楽章をハデにしたような感じ。1分30秒ほどでもりあがったまま終わります。
トムソン/ザ・フィルハーモニアはハデハデな金管でがんばっています。音楽もハデですが。
おてがるに楽しみたい方には、アンドリュー・ペニーのナクソス盤もあります。ちょっともやもやした録音ですが、こちらにもまたちょっと違った個性があります。
バルトーク 管弦楽の協奏曲 デュトワ指揮 モントリオール交響楽団
この曲はクラシックを聴き始めてわりと始めのころに出会った曲の1つです。はたして初心者向けの曲なのかなとは思いますが、ドヴォルザークの新世界よりとかを聴いていた時期だったので、ちょっと暗めの色彩に抵抗なくはいっていけたのかなあ?バルトークの曲はわりと難解なイメージがありますが、この曲は、わりとすんなり耳に入る親しみやすさを持っているように思います。
第1楽章 【序奏】
序奏、とかいいつつソナタ形式のきっちりした楽章です。低音弦の唸るような導入と弦の高いトレモロによる幻想的な導入部の後、アレグロ・ヴィヴァーチェになって激しい主題があらわれます。途中でちょっとテンポがかわったりしますが、全体に力強い楽章です。展開部の最後のほうにでてくるカノンが感動。
第2楽章 【対の遊び】
初めて聴いたときにすごく面白い!!と思った楽章です。ここだけなんどもくりかえし聴いた記憶があります。ジョージ・セルが指揮したクリーヴランド管の演奏をそのころ聴いていましたが、管の音がなんとも良かったなぁ。
打楽器に導かれた対のファゴットによって「ぼへぼへ。」って感じで始まり、オーボエ、フルート、弱音器をつけたトランペット、と、かわるがわるにあらわれて芸をみせて(?)いきます。独特の音程や、芸のコマカイ伴奏など、独特の空気をもった楽しい楽章です。ちょうどまんなかあたりに出てくる弱音器つきのトランペットがとっても力ずくって感じでオカシイ。
第3楽章 【悲歌】
タイトルの通り悲劇的な雰囲気が終始支配する楽章。第1楽章の導入部にあらわれた旋律がうたいあげられてクライマックスを作り上げます。
第4楽章 【中断された間奏曲】
ショスタコーヴィチへのあてこすり。とかいわれる楽章ですが、なにかもっとちがった意味があるのではないかといつも考えてしまう。中間部で、ショスタコ−ヴィチの交響曲第7番「レニングラード」の第1楽章の例の「ちーちーんぶいぶい!」っていう、「戦争の主題」が冗談ぽくあらわれる。そのあとに非常に美しくかなしげな民謡主題が再びあらわれるところはちょっと涙ちょちょぎれ(?)もので、ズルーイ!!!
第5楽章 【終曲】
ホルンによるカックイイ導入句のあと、弦楽器が忙しく飛び回り、すごい高揚感をつくりあげていく。その、ホルンの導入にもとづくカノンなど、もりだくさん、って感じでガンガンつっぱしる。このあたり、ビックバンドのノリを意識した?ってヒトもいるくらい。(ジャズといえば、バルトークの「弦・打楽器とチェレスタのための音楽」にジャズっぽいところがでてきて、カッコイイ)
全体的に独特の響き、フンイキのあるすごくいい曲だと思います。ゲオルク・ショルティ指揮のシカゴ交響楽団の演奏が、色彩的で力強く、よくきいていました。ただ、もうちょっとあったかみのある演奏もあるんじゃないかなぁ。と、探していたところ、デュトワの演奏に行き当たりました。デュトワはだいたいオーケストラに余裕を持たせて、力づくにならない演奏をすることが多いように思います。ここでも、ゆとりを持った、非常にバランス感覚に優れた演奏が、この曲の機能的だけではない一面を見せています。
ベートーヴェン 交響曲第5番 ハ短調 クレンペラー指揮 フィルハーモニア管弦楽団
この曲はまあ、「じゃじゃじゃじゃーん!!」とかゆーてなかなかの「一部だけ」有名曲ですが、なまじっか有名なだけにウチで大きな音できくのがハズカシイというのがありますね。最近だんだんヘーキになってきたけども。
このクレンペラーの演奏はスゴイ。まずテンポが異様におそい。第一楽章を例にとると、クレンペラーが8分55秒、ブリュッヘンが(これはもしかしたら知ってる中で一番速いかも?)6分53秒です。2楽章は約1分半、3楽章は1分20秒、4楽章にいたっては3分もおそい。
この、ベートーヴェンの5番とゆーと、緊張感のカタマリ。みたいな音楽で、それをそんなに遅くして?と思うんだけどもこれが、曲自体のキビシサと、クレンペラー特有の「インタビューの時の柴田善臣(わかるヒトにしかわかんないって)」のよーなあいそのなさがまことにうまくマッチ(死語?)してじつにすごみのある演奏になっているのであった(なぜ文体を変える?)。とかく遅い演奏とゆーのはゆるんだり、アラがみえたりしがちですが、この演奏は音楽のバランスのネジをきっちりしめて、退屈させない。ただ、しょっちゅう聴けるというものではないですね。つかれるから。
最近はピリオド楽器がハヤリ(?)で、ベートーヴェンは速いテンポで演奏されてしまいますが、このよーなオザシキ列車でまったり景色を眺めながらいくような(ジッサイのお座敷列車は知らないけどね。もしかしたらヨッパライの集まりで修羅場かも?)演奏もまたよろしいではおまへんか。と。
ベートーヴェン 交響曲第6番 へ長調 ケンペ指揮 ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
この曲は、大学時代、クラシックのなかでいちばんえらい!!と思いこんでくりかえしくりかえし聴いた曲です。アパートの部屋ででっかい音できいていました。大家さんに「いつもなんだかいい音楽をきいているねぇ。」と言われたことがありますが、いまだに本音だったのか皮肉だったのか・・・?わからない。
しばらく古楽器のシャープな演奏ばっかしきいていると、たまに少し古いスタイルの演奏がききたくなる。
んで、ケンペ。古そうなのでかってみた。安かったし。それほど期待はしてなかったのですが。で、これがなかなか。ゆったりしたテンポでのどかーに進む。こーゆー「田園」がほしかったのよ。あと、音のしまいかたがキレイ。流れにムリがない。乱暴にならない。どこいってもあったかい「たんぼ」の風景画のよう。大学時代くりかえしくりかえしきいたワルター/コロンビア盤もいいが、こっちの方が肌にあってしまいました。しばらくはこれがワタシの定番になりそうです。
で、こればっかし聴いて、そのあとバーンスタイン/ウイーンフィルをきいてみました。そしたら、おもしろい。前にはそんなに好きじゃなかった演奏なのですが、すんごく健全というか、みずみずしい感じがして、これもわるくないなぁと思ってしまいました。んー。 いろいろある。
ベートーヴェン 交響曲第9番 ニ短調 バーンスタイン指揮 ウイーンフィルハーモニー管弦楽団
いまこれを書いているのは12月26にち。年末だしなー。ってなわけでもないが第9です。とりあえず名盤中の名盤とほまれ高いフルトヴェングラー指揮のバイロイト祝祭管弦楽団盤をひっぱりだしてきく。ききつつ、ふと、思ったんだけどもこれはほんとうに年末の曲なんだろうか?
さっそく資料でしらべてみるとなんと、この曲の初演は「5月7日」となっているではありませんかっ。5月7日でっせ!?コドモの日のあさって。ウイーンに子供の日があるかどうかはワカンナイけど、この曲の初演はなんと若葉の頃だったってことです。でまたおまけに、このフルトヴェングラー/バイロイトの録音がされたのは7月。なーんか年末イメージにとらわれてばかりいたのですっかり年末のものかと思っていたのですが...この演奏はアツイ(かどうか知らんけど)夏のものだったんですねぇ。第1楽章途中できこえる咳は、夏かぜだと!!(そんなこたぁどーでもいい?)
でまあ、演奏のほうはというとやっぱり感動的な名演。だとは思うのですが、なんかたまたま古楽器演奏に耳がなれちゃってたせいだか、第1楽章がオソイ気がするんですねぇ。あと、ティンパニが...。まあ、録音のせいかもしれないけどティンパニが出過ぎている気がする。オケの中のティンパニではなく、オケとティンパニが別物のような気がするあたりがちょっと...。ただときどき聴きたくなる演奏であることは確か。第2楽章が特に絶品だと思います。あすこの微妙な表情のうつろいはすばらしー。
音がよいのでバーンスタイン盤をよく聴いています。第1楽章のテンポもほどよく流れるし劇的な表情も欠かない。第2楽章では中間部が速くなっているわりに表情豊かにうたっています。第3楽章はバーンスタインらしくゆったりと歌っていて美しいです。
まあとりあえず今度は5月ごろ新たな視点からきいてみたいなぁ。この年末のせせこましい時に聴く曲ではなにのかも。ひょっとすると。長いし(^_^;)?
追記。このあと、ひとくせある感じの面白い第9にであいました。ヘレヴェッヘの指揮したものと、コンヴィチュニーの指揮したもの。いずれどこかでふれたい。
ベートーヴェン 合唱幻想曲 ハ短調 ポリーニ(ピアノ) アバド指揮 ウイーンフィルハーモニー管弦楽団ほか
なんか、マイナーな曲(キーじゃなくて。)ばっかじゃん?というご意見もございましょーけんども、しょーがないのです。メジャーな曲はなんかしらんけど書くのがけっこうメンドクサイのであったりする。
この曲はまあかんたんに言うと最初ピアノでもってベートーヴェンのハ短調っぽい主題がでて(どんなん?上の「交響曲第5番」もそうだけどねー。)ピアノがしばらくひとりでがんばり、しばらくしてオーケストラが入り、いくぶんチャーミングなフンイキになり、さらに合唱が入ってきてもりあがる。という曲ですね。(乱暴な説明) よく「交響曲第9番」と結び付けられてるし、合唱で出てくる主題はタシカに第9の4楽章のテーマに似ているけれども、別の曲、というか、「第9の副産物」みたいないわれ方は埠頭、じゃなかった不当ではないの?って思いますにょ。(にょってナニ。)楽しい曲です。
さてこの曲は楽聖ベートーヴェンの作品番号80番目の作品で、1808年の作曲とされています。有名な作品で言えば、交響曲第5番、第6番やピアノ協奏曲第5番、告別ソナタあたりの作品と近いわけですね。このへんなんか良く知ってんじゃんと思うかも知れませんが調べました。で、なんかその辺調べてこう共通点とかみっけだしてワタシもたまにゃ勉強すんだずぇ、ってトコをみせたかったのですがなんかよくわかんなくってそれじゃあそんなこといちいち書かなくってもいいじゃないかと言われそうだけれどせっかく調べてクヤシイので書いてしまうのであったりするワケです。
さて(あ、また「さて」だ。)ポリーニの演奏ですが。ちょっと聴くと、もしかしてもーちょっとやっちゃってもえんちゃう?とか思ったりするのですが、くどくならないところで絶妙のバランスでがんばっているんじゃないかと思います。アバドとウイーンフィルの伴奏も美しくいきいきとしていてよろしいんじゃないかと。
バ−ンスタイン 「ウエストサイド・ストーリー」からシンフォニックダンス
バーンスタイン指揮 ロスアンジェルスフィルハーモニー管弦楽団
E・ロジャース指揮 ロイヤルフィルハーモニー管弦楽団
ミュージカル「ウエストサイド・ストーリー」から作曲者自身が編集したいわば「メドレー」的なものですが、表面の親しみやすさの下に高度な作曲技術をもち、クラシックの作品として生き残っていく強さ!を持っていると思うのです。プロローグのテンション、「サムホエア」の美しさ、「マンボ」のリズム感、「クール」のシャープなカッコよさ、などなど。魅力に満ちています。
演奏としてはやぱし自作自演でしょう。ニューヨークフィルとの旧盤にも捨てがたいところがありますが、ワタシはよりこなれたロスアンジェルスフィルとの演奏をとりたいと思います。リズム感や音色感など、どこをとっても注文のつけどころが、まあ、ナイとは言えないけども。ほとんどぴったしきている。と言っていいと思います。
エリック・ロジャース盤は、以前ここに、ヘタだとか、「桃やバナナの黒くなりかかったとこが甘い!」みたいな演奏ってなことを書いていたのですが、最近聴きなおして、ほんのちょっとイメージが変わりました。
どうなのかというと、みんながんばってる!って感じです。確かにいくらかアヤシイところもあるとはいえ、速めのテンポの中で、それぞれのパートがバッチリ役割をこなして、イキのいい音楽に仕上げていると言ってよいでしょう。「マンボ」の中の低音金管楽器など、しびれますな。(エグい録音のせいかも知れない。)
ただやっぱり、「クール」では、すこし疲れてイッパイイッパイの感じがあったり、ドラムのスイング感がシロウト耳に聴いても「それはちがうだろう!」って感じで、吹奏楽経験者にしかわからないたとえですけども、「邪悪なニューサウンズインブラス」みたいな感じになっておるのでした。いずれにしても面白いのでバーンスタイン盤を聴きなれてアヤシイものをさがしてふらつきあるいてる方は手にとってきいてみるがよろし。
ボロディン 交響曲第2番 ロ短調 スヴェトラーノフ指揮 ソヴィエト国立交響楽団
...というワケで...ほんとうはヤルヴィのをご紹介しよーとおもったのです。ほんのできゴコロで...(うそ)ボロディンといえば「ダッタン人の踊り」ですねぇ。吹奏楽コンクールの自由曲としてきいた方もあるでしょう。全体にロシア色のつよい、「濃いい」作曲家ですが、この曲の第1楽章の「濃さ」はフツーじゃあないですね。のっけからひつこいメロディーでばりばり攻めてくるものなぁ。ほかの楽章もだいたいいなかくさいし...(ほめてる)。冒頭に書いたように、ヤルヴィ盤にしようとおもったのです。迫力もあるし録音もよいので。ところがこれを書くにあたってひさびさにLPなぞだしてきてスヴェトラ盤をきいたら、ちょっとこれをハズすわけにいかんなぁ...ってゆーことになっちゃったのです。モノスゴイ金管の強奏とのけぞるような歌いこみ!!!まさにスヴェトラーノフの独壇場!!なのです。はっきりいってまいっちゃいました。刺激に弱いお子様はうなされるおそれがありますからご注意ください。(それ以前の問題って説もあり。)
といいつつ。この曲のCDをかなり持っているので、ある日、新たに入手したものもあわせてあらためてききくらべをしてみました。
いきのこったのはバティス盤とザンデルリンク盤でした。これ。
バティス盤は2楽章のスケルツォと4楽章の速いテンポがキメ手。4楽章のバクハツ感がとても良く出ている点で秀逸です。ザンデルリンク盤は重厚なゲルマンブラスの勝利か?第1楽章でトロンボーンが「うげぇー」ってなってますがそういう細かいことは言わない。_(言ってるし。)
比べたのは上に書いてあるのに加えて、ゲルギエフ盤、スヴェトラーノフ新盤(これイマイチでした…)。
いけませんねぇ。曲についてもすこし書いておきませう。
第1楽章冒頭のテーマは、ラヴェルなんかがすごく気に入っていてコールサイン(ってナニ?今で言うとケータイの着メロみたいなもんか?)にしてたそうです。濃いいテーマです。とんこつだし。(?)第2主題は一転してのどけしい。
第2楽章はスケルツォ。はずむようなリズム。チャイコの4番のスケルツォにちょっと似てる? 第3楽章はゆったりした歌の楽章で、ちょっとうれいをふくんでそしてまたひなびたフンイキです。 引き続き第4楽章に入って、8分の5拍子の舞曲風になり、ハデハデに終わります。なんちゅーても第1楽章があっとーてきにいいっす。濃いいっす。とんこつ好きは聴くように!!
ボロディン(R・コルサコフ編)歌劇「イーゴリ公」序曲 バティス指揮メキシコ国立交響楽団
この曲は大学生の頃、一時期ファゴットを吹いてた時に吹奏楽に編曲されたものを演奏しました。
この頃けっこう前述の交響曲第2番や有名な「ダッタン人のおどり」なぞを気に入って何回も聴いていたところだったので、この曲もすんなりと入ってきました。やっぱりボロディンの特徴である「土臭さ」が漂ってくる作品です。といってもかなりのところグラズノフが書いたらしいですけど。
曲はたしかソナタ形式でできている、と思います。(ちょっと記憶がアヤシイ。)冒頭から土臭い序奏に始まり、すぐに金管群のかけあいに導かれて活発な主題があらわれます。もうひとつの流れるような旋律もなかなかよくて、この対旋律でカラむファゴットは吹いていてすんごく気持ちよかったです。あんまり気持ちよいのでローローと吹いていたら「ウルサイ」と言われました。やがてテンポを落としてオペラの中でうたわれる下降音形に導かれる旋律がゆったりと演奏されるのですが、この旋律は非常に美しい。ときどきふと口笛で吹いてみたくなるような。でまあこれらの旋律素材が展開されていくという作品です。さっき書いたボロディンの「ダッタン人」なんかが好きなヒトはぜひ一度聴いてみていただきたい作品です。
演奏はいくつか聴いた中ではバランスのよいアンセルメ、劇的な雰囲気のあるショルティの...たしかベルリン・フィルだったかなぁ?がよさげだけれど、最近ききなおしたらバティス盤がじつにいきいきとした面白い演奏でした。チェロの響きが貧弱なのが難点?
ブラームス 交響曲第1番 ハ短調 バーンスタイン ウイーンフィルハーモニー管弦楽団
おんなじ組み合わせの第2番がなかなかおきにいりでして、(下記。)こんど1番も買ってみました。バーンスタインのCDはひさしぶりかもしれないなぁ。
ええっと、この曲でもってるのは、ワルターのどことなくあったかい演奏と、ミュンシュのものすごい迫力の名演ですが。この演奏はまたこの、ミュンシュとは対極みたいなところにありながら、凄い、っていうか、スサマジイっていうか、すごい演奏です。(バーンスタインも唸りまくり!)
ここで演奏されているのは、ブラームスの交響曲第1番、という作品にはちがいないんですけども、ゆーたらむしろ、「レナード・バーンスタイン指揮ウイーンフィルハーモニーのブラームス交響曲第1番」なんですねー。ここでバーンスタインはウイーンフィルというすばらしい楽器を手にしているよろこびをあらわすかのように、ブラームスの美しい「歌」をきかせるのである。と、ちょっとそれらしく書いてみたりするとこんなカンジなんだけんども、まさになんちゅーか、この曲を手のうちに収めきって、ちょっとないほどのロマンティックなブラームスをきかせてくれるのです。やりすぎ、とかなんとかいうまえにワタクシこの演奏にぶちのめされてしまった感じでしたね。すごい。第4楽章で金管が悦ばしげにうたいあげるあたりでなんでだかちょっとうるうるしそうになった。クラシックをきいてこんな感じになったのはヒサシブリかも?しかし音楽の何に対してこういうキブンになるのかしらん?とかあとで思った。で、いまもワカンナイ。
何度もくりかえし聴くのに耐えるかどうかはまだわかんないけども、一度はきいてみることをおすすめします。あと、第1楽章で提示部を繰り返すのがちょっとなにかも。(なに?) 下の「第2番」と、あと、「交響曲第3番」も似た傾向の音楽をやっていて一聴の価値アリです。4番はちょっとまたチガウ感じがするんだけども、音楽自体もちょっと違うものなのかもしれないですね。
ブラームス 交響曲第2番 ニ長調 バーンスタイン ウイーンフィルハーモニー管弦楽団
この曲を初めてきいたのが、このCDだったかもしれません。第1楽章第2主題を聴いて、そのしみじみぶりにカンゲキしました。第3楽章の素朴なオーボエの歌、第4楽章のざわめきぶり。
その後、そこそこ聴いていますが、これが一番だと思います。ゆったりしたテンポでもって、ウイーンフィルをあたたかく鳴らしています。歌わせ方も非常に自然でゆったりと美しい。バーンスタインのブラームス交響曲は全集になっていますが、どれも非常に手の内に入れている感じでステキです。私は基本的にあまり歌いこむ演奏は好かんのですが、これはもう、納得せざるを得ないというものですな。バーンスタインはよく、マーラーを演奏する時に、作曲者のように演奏する、ということを言われますが、ブラームスやチャイコフスキーでも同様ではないかと思います。
秋の夜長なんぞにきくと、しみるなぁ。全体になんだかさみしいフンイキを感じる曲で、なんとなく秋に似合う曲のような気がするんですが、どことなくそういった孤独な感じとかがなかなか出ていると思います。
ブルックナー 交響曲第5番 変ロ長調 スクロヴァチェフスキー指揮 ザールブリュッケン放送交響楽団...長い...
まずはじめに、あんまり熱心なブルックナー聴きではないってことを告白しておきませう。(それ以前にあんまり熱心なクラシック聴きじゃああるまいって?うーんたしかに...)ブルックナーの音楽っていうのはなんか独特で、なんていうか、森林浴みたいっていうか、なんかちょっと音楽からはみでた(?)部分があるんですよねー。しみじみとつきあうのはなかなか時間もココロも大変。でもはいりこむとスゴイのですねーと思っているのはワタシだけじゃあないハズだ...。スキなのは第5あたりかなぁ。第1から第3、第6、7はまともにきいたことないのだ(えらそーに言うな)。
第5はレーグナー盤を持っていたのですが、知人に貸したところ、知人ごと音沙汰がなくなってしまい(結婚したらあそんでくれなくなったのだ。)なんぎしていたところ、新宿のタワー(だとおもった。すぐ忘れる。)で安く売っていたので買ってみました。冒頭のピィツィカートがききとりにくいくらいダイナミクスの幅の広いロマンティックな演奏ですが、違和感がなくて美しいです。第2楽章なんか美しさにうるうるしそう。(安い表現だなぁ。)第4楽章のパッサカリア(?)主題をティンパニがぶっ叩くのもステキっ!(?)表現豊か、おおげさにならない。
ほかの曲もレコーディングしているので、ぜひ買ってみたいと思っています。また、廉価版(850円くらいだったかな?)なのに音がいい!!のはエライ!!このシリーズの第7番もあまりさわぎたてず美しい、すばらしい演奏です。
最近買ったヴァント/ベルリンフィルもよいぞよ。
ブルックナー 交響曲第7番 ホ長調 スクロヴァチェフスキー指揮 ザールブリュッケン放送交響楽団
ザンデルリンク指揮 南西ドイツ放送交響楽団
2005年の冬に、ブロムシュテットがゲバントハウス管弦楽団と来るっていうので聴きに行きました。そのときのプログラムのメインがこの曲でした。その頃、1枚しかこの曲のCDを持っていなくて、おまけにろくすっぽ聴いてもいませんでした。この状態で行ったら俺、寝ちゃうんじゃないかしら?という危惧を抱いて、とりあえずスクロヴァチェフスキの指揮したCDを買いました。安かったので。それで、音楽の友社版スコアも買いこんで、猛予習に励みました。こんなことはひょっとしたら初めてかもしれません。なんだかやたらとキアイが入っていたのです。その甲斐あって、演奏会は感動の嵐でした。それでまた、この曲も私にとって、愛着のある曲のひとつとなりにけり。CDもその後増えました。
で、いろいろなCDを聴いて、改めてこの予習用だったCDをきいてみたら、これは実にいい演奏ですね。買い集めた数枚のCDの中でも、かなり美しい。どういうわけだか、ブルックナーのあの独特のフォルテのときもあまりうるさく感じなくて、全体に静謐な雰囲気が漂っているように思います。テンポも遅めのテンポで、ゆったりとしたうつろいを聴かせています。どうも、ブルックナーって、森の中を歩くようなイメージを持つ部分が多い気がしますが、この演奏では、奥行きのやたらと深い、色合いの静かな絵画かなにかをのぞきこんでいるような、とても完成された美しさを感じます。
ザンデルリンクの演奏は、オーケストラの音のあたたかい感じが前面に出てきている演奏だと思います。これもゆったりしたテンポですが、スクロヴェチェフスキーとは正反対の行き方をしていますね。かなり深い深い呼吸で、ゆったりと歌いこんでいます。それが、もたれることなく、すばらしい演奏になっています。後半2楽章は内容的におちるような意見をききますが、この演奏ではところどころ、いとおしむように演奏していて、後半2楽章も聴きどころが多いように思いますし、充実している気がします。スケルツォの中間部や、第4楽章のふたつめ(?)の主題の、しだいに音色がうつろっていく感じなど、とてもいいです。
他には、ジュリーニのCDもなかなかいい感じですね。雰囲気はザンデルリンク寄りな感じですが、ザンデルリンクの演奏よりは透明感があるし、歌い方はザンデルリンクのほうが濃いいですね。
バーバーと言えば弦楽のためのアダージョですか。ですが。このバイオリン協奏曲もなじみやすいいい曲です。第1楽章、いきなりのっけからあらわれる主題はあまりにサワヤカすぎてこれがクラシックと言っていいのかいな?って感じです。木管で出るいくらかリズミックな第2主題も親しみやすく、ほとんど叫びたてない美しい楽章。(まあもりあがるところもあるんだけど。)いまどきの作品とは思えまへん。
第2楽章はややうれいをふくんだ「うた」の楽章。冒頭、オーボエが非常に美しいしみじみした旋律を吹いて回りの楽員に「おいしーとこもっていっきょるわぁ」と歯噛みさせます。終楽章は4分かからないくらいの短い楽章。常動曲風にバイオリンがこちゃこちゃして、そのうしろでオーケストラヒットをバンバン決めていくような楽章。全体にロマンティックな美しい作品。ひさびさにメロディで勝負された!!という感じです。なんだかじぶんがいい人になったような気にさせられる曲。なんちゃって。
ビゼー(シチェドリン編曲) 「カルメン」組曲 スピヴァコフ指揮 モスクワヴィルトーゾ室内管弦楽団ほか
ってなワケで、あやしいページだからというワケではないがあやしげなものものせてしまうのであった。
ビゼーの「カルメン」は有名なオペラだけんども、これをバレエ用にソヴィエトの作曲家してぃdpりn(まちがえた。むつかしいのだ!)シチェドリンがアレンジしたものです。使われている楽器は弦と打楽器のみ。で、これがあやしい。弦のメロディに打楽器がへんな合いの手をいれる。「衛兵の交代」のトコなんか、3拍子に変わってて、1拍ぶん空いたところに、打楽器が「はーどした!!」みたいにはいってくる。あやしい。ハバネラはヴィヴラフォンのソロとかがミョーなヒビキだし...突然「アルルの女」のファランドールが始まったり...。
弦と打楽器という編成のため、わりと響きは暗めな感じなんだけども、弦楽器の響きに、打楽器の乾いた打撃音が加わって、独特の雰囲気をかもし出してる。
でね、これが、きいてるとクセになってくる。今じゃ、すっかり「もーひとつのカルメン」になってしまってる。CDはスピヴァコフのしかもってませんが、レコードでもってるロジェストヴェンスキーのもたしかなかなかだった気がする。どうだったか...。
ビゼー 組曲「アルルの女」 デュトワ指揮モントリオール交響楽団 ホグウッド指揮 バーゼル室内管弦楽団
ほとんど当たり前の曲、なんですけども、久しぶりに聴いて、フランス風のしゃれたアジワイに満ちたすごくいい曲だな、っと最近思っているのです。
ビゼーっていうヒトはずいぶん多彩な作風を持っていたのかな。若くして亡くなり、作品も少ないのでなんともいえないけども...。知っている作品のひとつひとつが違った顔を持っている気がします。代表作はやっぱり「カルメン」なんでしょうけども、最近この「アルルの女」の組曲にはまっていて、これはビゼーのメロディメーカーの本領を発揮したいい作品じゃないか、と思いました。
曲はこれはフランスの片田舎のできごとを描いたってことなのでまあプロヴァンス風の味付け?っていうかこうひなびた民謡風の旋律があらわれたり、フランスの太鼓(タンブールっていうんだっけ?)がとんとこ叩いたり、(ファランドールで「タンバリン」を使うのはマチガイらしい。)アジワイぶかい。とくにそういう民謡風の旋律が管楽器で歌われるときのなんともいえない空気、がこの曲のおいしいとこかなって思っています。サキソフォンの音色も美しい。楽器の使い方がなんともいいです。
じつはそれほど聴きこんだ曲でもなく、CDもそれほど持っていないのですが、よく聴くデュトワ/モントリオールの演奏は、お得意分野、って感じで実に過不足なく暖色系の響きを作り出していて、色鮮やかな絵を見るようです。良くある表現ですがそう思うっす。あといつものことですがバティス盤はものつごくぶっとんでいます。ただこれを一番!としてオススメした場合人格を疑われる惧れがあるような気がして...。
組曲でない版は、小編成のオーケストラで演奏されます。こちらはホグウッド盤がシンプルでいながら表現豊かでいいです。安いし。