こんなコンサートに行った。

(2005年11月に寄席の感想を別にしました。そのため一部記述に噛みあわない点があります。)

 

ヘルベルト・ブロムシュテット NHK交響楽団 第1610回定期演奏会

                    2008/1/13 NHKホール

 1年ぶりのN響定期。1年ぶりのNHKホールでございます。2時半ごろの到着。原宿駅からの歩

道は成人式の人やらで大変なごった返しよう。歩道のバンドもやけに多かった気が。あんなとこで

PA使うのってどうなのとか思いつつ到着。今回も3階席。でもけっこうよい席でした。かなり早く取

ったし。

 5分ほど遅れでメンバーが入ってきて最初の曲はモーツァルトの交響曲第38番。最初の予定では

34番だったんですよねえ。とっても好きな曲なので変更になって残念…。

 VnT、Vc、Vla、VnUで、チェロの後ろにCbという配置。なかなかきれいないい演奏でした。静かな

部分がきれいなので強い部分がとっても刺激的に聞こえる。この曲ってフーガというか、エコーのよう

にいろんな動きが受け継がれていく場面がかなりあるのですねえ。今回は今まで気がつかなかったそ

ういう部分をたくさん発見しました。面白かった。コントラバスやティンパニの響きがホールのせいかや

やクリアじゃなかったのがすこし不満でした。あと、繰り返しがあったので長く感じた。繰り返すと繰り返

したあとの始まりがシゲキテキなんですけど、全部繰り返されるとつらくなってくる…。全体にはでもとて

もいい演奏だったと思います。ブロムシシュテットのモーツァルトを他にも聴きたいと思いましたもの。

 15分という短い休憩のあと、メインはブルックナーの交響曲第4番。私はブルックナーのながーいシ

ンフォニーは好きだけどあまり得意ではない(聴くけどあまり根をつめて聴けない)のです。そんでこの

第4番はやっぱりあまりとくいではない。やっぱり長く感じました。それでもさすがブロムシュテットで、

なかなか聞かせてくれました。この交響曲の美しさを再発見!みたいな部分はたくさんありました。苦

手な第1楽章もそれほどは長く感じなかった。なんといっても第2楽章の美しさが感動でしたよぅ。ちょ

っと第4楽章では集中力が途切れた(私の)ですが、なかなかいい演奏だったと思います。金管楽器

もちょっと最後へばったかなっという場面もありましたが、それでも十分健闘していたと思います。よか

ったです。私はむしろ、木管楽器がところどころ音程があらら…で、それが気になって(ずーっと美しく

来ているところに急にそれが出てくるのでものすごく気になる)、気をとられてしまう場面があって困り

ました。ズレてたのはしきりに汗をかいていたあの人でしょうか…。そんなところだけ気にしないで全

体を聴けって話ですが…。まあ、全体をきくと、なかなかいい演奏だったと思います。演奏後は、引退

する団員さんでしょうか、花束が贈られていました。

 帰りも原宿駅はたいへんな混雑ぶりだった。おおいそぎで移動して大学時代の友人と飲みでした。

がんばった。

ジェームズ・デプリースト 東京都交響楽団 プロムナードコンサート 325

                    2007/11/18 サントリーホール

 デプリースト聴くの久しぶりだなあ。
 午前中上野の寄席に行き、お昼を食べて、神保町の古本屋をのぞき、サントリーホールへ。今

回は六本木一丁目の駅から行ってみるか、と思い、市ヶ谷で乗り換えたのですが、長い長い!も

うあんなことしない。ホールに着くころにはクタクタでした。今日は良い席ですよ。早く取ったしね。

サントリーホールどこ改修したんだろう?などときょろきょろしたけどわからなかったです。

 都響はメンバー変わったりしてるのかな。若い団員さんが多いですなあ。
 1席目、じゃなかった、1曲目はチャイコフスキーの幻想序曲「ロミオとジュリエット」 デプリース

トさんそうそう、手首をつかって指揮棒を大きく動かす指揮なんですよね。それで最初の管楽器が

始まって、弦楽器が入ってきて…。まあ、昨日のオケと比べてはあれですけど、それでもたいへん

良い演奏でした。場面場面の移り変わりもいいし、管楽器の迫力も十分。これ、かなりいい演奏だ

ったと思います。

 続いて同じくチャイコフスキーの「ロココ風の主題による変奏曲」 チェロはトルレイフ・テデーンさ

んっていう人。んー。よくわかんない曲だった。テデーンさんのチェロはなかなか良かったのではな

いかと。わりとゆったり気持ちよさげにひいているようでした。アンコールでバッハの無伴奏チェロ

組曲第1番からサラバンド。

 休憩時間に入り、係りの人となにか話をして、デプリーストさんはそのままずっとステージにいま

した。休憩後メンバーが入ってきて、そのまま曲が始まりました。ラフマニノフの「交響的舞曲」カッ

チョいい曲です!!

 第1楽章はほんのちょっと遅めのテンポでぐっぐっと進んでいく感じ。迫力十分のいい演奏でした。

中間部はやや早めのテンポでしたが十分叙情的できれいだった。サキソフォンのソロって案外少な

いのね。第2楽章はあまり重くならず、それでもあの熱に浮かされた感じはよく出ていました。弦楽器

がみんなであのメロディをひいているのを見るとなんだか妙な気分になる。

 第3楽章も迫力十分の演奏でした。最後のほうはけっこう早めのテンポだった。今回打楽器が見え

る席だったので打楽器ばっかり見ていたよ。どんな楽器使ってるのかなとか。この曲打楽器7人でで

きるんですねえ(鍵盤打楽器は忙しそうでしたが)。あ。ちなみに編成は14型でした。んー。演奏して

いるのを見ていると、難しそうな曲だなあと思ったです。

 アンコールでラフマニノフの「ヴォカリーズ」 きれいだった!

マリス・ヤンソンス バイエルン放送交響楽団 2007/11/17   ミューザ川崎シンフォニーホール

 落語会から移動して川崎までやってきました。開場にすこし時間があったので川崎駅の下のカフェ

みたいなところへ入ったのですが、狭いしタバコのけぶはもくもくだし、隣の席ではなんだかヘンテコ

な話を得意げにしているうるさいオトコがいるしで、早々に逃げ出しました。なんだか今日び居酒屋の

ほうがまだ煙臭くない気がするんだけど何だろうねえ。

 ホールに入って席を探しました。今回は聴ければいいやみたいな感じだったので3階席です。席に

ついて、しばらくぼーっとして、改めて下を見ると、た、高い。あのヘンテコな形のホールの下のほうにス

テージがあるので、なんだか噴火口を覗いているようなアンバイです。おまけになぜか目の前に高い手

すりがあって、お行儀に座ると見えるのはコントラバスパートの数人だけっていう…なんだこの席は!た

ぶんミューザの中でそんなにこういう席があるわけではないと思うのですが、これは設計ミスだろうなあ…

ひどいわ。3階のLブロック後列の某場所です。二度と取らない。最近目をつむってきくことが多くて、この

日もそうだったのですが、それでも演奏姿を見るときは手すりに身をのりださないと見えないのです。なん

だか変に疲れてしまいました。

 この日のプログラムはブルッフのヴァイオリン協奏曲とマーラーの交響曲第5番。最初はブルッフのヴァ

イオリン協奏曲です。わりに第1楽章もあっさりしていて、最近協奏曲が苦手な私でも飽きずに聴ける曲で

した。ソリストはサラ・チャンさん。3階席で小さい音での細かいニュアンスは伝わってきませんでしたが、か

なりロマンティックな歌いぶりだったんじゃないかと。オーケストラはさすがの美しさ。管楽器もですが、とに

かく弦の響きがとってもきれいでした。第2楽章なんかもうほんと感動ものでありましたよ。で、サラ・チャン

さんはけっこうぎっちりとヴィブラートをかけて、コブシをまわすので、ときどき「やりすぎちゃう?」って思うこ

ともありましたが、それでもオーケストラときれいに響いていましたよ。なにしろひきながらこの人あっちいっ

たりこっちいったり足を鳴らしたりすごいの。私からは後姿しか見えなかったんだけど、ホントヴァイオリン

持ってなければアブナイおねいさんって感じでした。オーケストラのヴァイオリンの人の譜面台にぶつかりゃ

しないかと思ったげな。

 休憩挟んでマーラーの交響曲第5番。チケット取ったころはちょっとこの曲になぜかハマっていたのですが、

すっかり熱もさめてしまったので、ややきくのがツライ曲でした。最初は指揮もなしにラッパが吹き始め、オー

ケストラが入るところで指揮を始めました。ヤンソンスの音楽作りってとにかく余計なことはしない、って感じ

ですが、まさにそういう感じの演奏でした。マーラーの交響曲、長かったけど、部分部分でそれらしい響きが

していて、いい演奏だったと思います。第3楽章のあとでなぜかブラボーおじさん。そんでさらに、なぜか2階

席あたりで出て行った人がいて、あしおとが会場に響いて、気まづいフンイキでした。そんなことにめげずに

始まった第4楽章はもうほんとーに美しかった。まだ終わらないでーって感じでしたが、切れ目なく第5楽章に

行って、大盛り上がりで終わりました。最後はオーケストラが退場したあともヤンソンスさんが呼び出されてい

た。んー。やっぱし外国の一流オケってすごいわ。アンサンブルとかハンパじゃねえ。

 さてじゃあ都内にもどってさくら水産で一杯…とは、行かなかったの。

 

ハンヌ・リントゥ 名古屋フィルハーモニー交響楽団 第339回定期演奏会

                      2007/9/15   名古屋芸術劇場コンサートホール

 遅い夏休みを利用して名古屋に行こうと思ったらweb上でたまたま見つけたので行ってみました。

細かいところは省きますが自宅から電車を乗りついでおよそ7時間(間に昼食時間等あったとは言え)。

しかも最後の最後に名古屋の地下鉄を乗り間違え、ホールに着いたのは開場してすこしあと。当日券

の列に汗をかきかき並びました。最初はそんなにいい席で聴くつもりもなかったのですが、あせって来

ているし、券買って席見つけておしっこにも行きたい(いいんですかこんなこと書いて)などといくぶんス

ルドイ気持ちになっていたのでためらくことなくS席を確保してしまいました。2階席だったんだけど実質

1階席と変わらないような良い席でした。ホールもなかなか良いホールな感じがしたけど、椅子の座面

が皮のようなビニールのような材質だったのはいただけない気がしました。開演まであちこち見回して

いました。

 まもなく団員さんたちが入ってくると客席から拍手。私は地元のオケには拍手しなくて、ヨソから来たオ

ケのときは拍手で迎える、みたいなものなのかなと思っていたのですけど、どうなんでしょう…?違った

のかな。渋すぎると思う選曲なんだけどけっこう大勢のお客さん。

 1曲目はニールセン作曲の序曲「ヘリオス」 なじみにくいようななじみにくくもないような感じ。よくわか

りません。それに移動の疲れですこし眠気が…。

 2曲目はグリーグのピアノ協奏曲。苦手な曲です。案の定長く感じました。いつもほどではなかったけ

ど。ソリストのエヴァ・クピークさんは初めて聞く名前です。よくわからないけどちょっと変わったふしまわ

しの持ち主のような気がしました。それでけっこう豪快なピアノをひく。ところどころオーケストラと息が

合わない部分があったような気がしました。長かった。終わった後は盛大な拍手にこたえアンコールで

「トロイメライ」

 休憩を挟んで私的にはメインのシベリウスの交響曲第6番。スキなんですよう。

 しずかに始まって、いい感じでしたが、ホルンがやや不安定な感じ。弦楽器も細かい主題の動きがい

まひとつ。リズムの押さえどころがはずれている気がしました。そういうところでところどころ音楽がひっ

かかってしまったのが残念。2楽章はなかなかよかったです。全体的にはそれでもなかなかに美しい

演奏をしていて、シベリウスといえば2番か5番って感じなのに、この6番を選んで演奏してくれたことに

感謝なのです。

 続いてシベリウスの第7番。渋いプログラムじゃろう?こちらもだいたい似たような感じかな。

 コンサート前に「演奏会のマナー」みたいなチラシを渡されたので若干不安でしたが、それほどひどい

こともなく、楽しみました。名古屋フィルもけっこうな熱演ぶりでよかったです。ホールを出るとそろそろ

暗くなりかかったあっちの空に細い三日月がかかって、町の明かりときれいでした。

 

下野竜也 読売日本交響楽団 サマーフェスティバルみなとみらいホリデー名曲

                      2007/8/19   みなとみらいホール

 あつーい中を行ってきました。コンサートを知って、べたべたの名曲3曲を下野さんがどのように料理

するのかなっと興味深かったのです。まあ、新世界は聴いたことがあるのですが。

 今回は京浜急行で泉岳寺から乗換えで行きました。三崎口行きとか言うとなんだかもうそこまで行って

まぐろでも食おうぢぁあねいかみたいな気分になってしまいますせつない?遠いよ…。

 開場頃にホールに着きました。今回は2階席の一列目。これ、手摺りが邪魔だなあ…無いと怖いし(あ

っても怖いの)。1曲目はシューベルトの未完成。わりにゆっくりなテンポでていねいに作っていました。そ

のぶんとってもきれいだった。眠くなりそうな曲ですが、じっくりと響きを楽しんでききました。最近はなんだ

か目をつむって聴くのが好きだなあ。第2楽章なんかとってもきれいでした。大きな音の部分もわりに刺激

的ではないつくり。2楽章の大きな音のところはホルンがいっぱいに響いておもしろかった。

 続いてベートーヴェンの第5番。ちょっと面白い振り方で始まりました。下野さんの振るベートーヴェンの5

番は、とても「運命」 などという副題がつきそうもないもの。第1楽章も、あのテーマを題材にしているだけ

で、とくに深刻な意味はない、音楽の力のみを味わえ!って感じのデキでした。たしかにそういう風に聞か

されるとそういう作品に聞こえるのです。今度手持ちのCDもそういうふうに聴いてみようと思いました。苦

悩から勝利みたいなのもナシ。だって第2楽章でホルンがローローと勝ち鬨をあげているではありませんか。

 休憩15分のあと、新世界より。下野さんの新世界は以前に聴いているのですが、今回もとても楽しんだし、

また聴いてもいい気がしましたです。第1楽章冒頭はちょっと下野さんの教科書のお手本になりそうな指揮

ぶりに見とれていました。主部は早めで、展開部はたいへんなもりあがり。非常に面白かったのですが、や

や力づくに過ぎたかなって気もしないでもない…。第2楽章は早めのテンポで。中間部は美しいですねえ。こ

こダイスキです。長調にかわるところの手前の部分は、テンポをおとし、低音弦などがいつもより聞こえてオ

ソロシイ雰囲気。そのぶんあとの長調に救われる気がしました。第3楽章のあと、終楽章にすっと入る。たい

へんなもりあげよう。この楽章はとにかくいろんな仕掛けがしてあってパズルのような楽章で、いろんな発見

があるのですが、今回もひょっとして…?みたいな発見がありました。下野さんはあちらこちらに指示を飛ば

してパズルを組み立てていきます。いやぁ面白いですわぁ…。

 …ひょっとしてシンバルずれましたよねえ…?

 帰りは湘南新宿ラインで帰りました。混んでたよ。さらに高速バスで帰ったら家のほんの手前で夕立でびし

ょぬれ。なんてこったい。

 次はなんのコンサートかなあ。

 

スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ 読売日本交響楽団 第138回芸術劇場名曲シリーズ

                      2007/4/29   東京芸術劇場

 オネゲルの交響曲第2番、メシアンの「われら死者の復活を待ち望む」 ブラームスの交響曲

第2番。どこが名曲シリーズなんだよ!!という選曲。

 池袋駅前のくるくる寿司でかるく腹ごしらい。確か何回か来て懲りてるんだよね。忘れてた。

ぜーんぜん注文取りにこないしロクなもの回ってないし注文してから出てくるの遅いの。って、こ

んなとこからコンサートのレポートするなんておかしくね?

 1曲目は(飛ばすねえ)オネゲルの交響曲第2番。んー。もうちょっと速いテンポのほうがすきだ

けども、なかなかの熱演でこの複雑な節づけ(?)の曲を演奏していました。あと、もう少し何かア

ヤシイ雰囲気がこの曲には必要な気がしました。でもこんな曲やってくれるだけでアリガタイ。トラ

ンペットはどこで鳴るのかと思ったらステージの私からは見えない位置でした。ナマできくと第2楽

章のチェロの歌は案外色気があるものだね。

 2曲め。入ったときからステージ上に打楽器がわんさとあってわくわくでしたがそれが活躍する

メシアンの「われら死者の復活を待ち望む」 ブーレーズのCDがあるのですが聴いてもよくわか

んない。今日もよくわかんなかったのですが、打楽器の演奏を「おもしれーなー」と見ていて飽き

ませんでした。面白かった。あれレンタルだろうなーなんて思った。

 休憩のあとはブラームスの交響曲第2番。弦楽器がけっこう重みのある響きも出していたので

すが私にはこの演奏はちょっとものたりなかったです…。第1楽章なんか、あの程度の音楽じゃ

あないはずだと思う。管楽器のリズムが甘い気がしたりして、やや緊張感に欠ける気がしました。

第2楽章でも木管楽器なんかがやや浮いてた印象が。第3、第4楽章はなかなか良かったように

思います。第4楽章で急に陽気になるヘンテコな曲のような印象を今日は持ったのですがこれが

当を得ているかどうかはまだよくわかりません。

 今日はでもなんだか入り組んだ感じの曲(ブラームスのスコアって聴いてるとシンプルなんだけ

ど意外に入り組んでてフクザツなんですよねえ)を3曲でなかなかおつかれさまでした。

 この演奏会を聴いて家に帰る予定でした。まだ団員さんがステージにいる間に申し訳ないけれ

どホールを出て、家に着いたのが11時でした。旅だよなあ。

 

伊ア正浩 新交響楽団 第196回定期演奏会 2007/2/4   東京芸術劇場

 いってきました。はい。前日にノックアウトされてるので、ちょっと下がり気味。ばたばたで会場に

着いたのも10分前くらい。普段はあまりこういうことはないんだけど。

 1曲目はボロディンの「イーゴリ公」序曲。いい曲ですな。ややもたついた感じもありましたが、

ヴァイオリンなどけっこうきれいな音で健闘していました。

 2曲目はコダーイの「ハーリ・ヤーノシュ」組曲。最近あまり面白いと思わなくなってしまった曲の

ひとつかも。管楽器が活躍する曲ですね。アマチュアオケらしいというか、豪快に鳴る金管楽器が

楽しい。ツィンバロンはほとんど聞こえないですね。あれはコダーイのオーケストレーションに無理

があるのでしょう。それとも何か増幅器を使うことを前提に書かれているのだろうか。

 休憩を挟んで伊福部昭さん没後1年追悼演奏で「シンフォニア・タプカーラ」 なんだか、前半の

曲に対して団員の共感度がぜんぜん違う感じ。活き活きした音楽で、きいていてとても楽しかった

です。最後はやっぱりものすごい迫力で終了。なんか、第3楽章の最後は聴くたびに早くなってくる

気が。気のせいかな。それにしてもスゴイ曲ですね。伊福部さんの曲の中で一番好き。

 休憩後が短いのでアンコールがあるだろうと思ったけれども、始まってみるとなんと、伊福部さん

の「SF交響ファンタジー第1番」 長いアンコールだねえ…。私はこの曲には正直あまり面白さを

感じないので、せっかくのメインディッシュのあとにくどいデザートが出てきたような気持ちになって

しまったですよ。まあ仕方ないけども。

 シンフォニア・タプカーラはもっといろんなオケで聴きたいなあ。スクロヴァチェフスキにスコアを

解体してもらうとか(なんでやねん)。

 

ベルトラン・ドゥ・ビリー ウイーン放送交響楽団 2007/2/3 

                      東京オペラシティコンサートホール

 どうもウイーンでけっこう最近人気らしいというウワサをきくベルトラン・ドゥ・ビリーが来日です。

CDを2枚ほど持っているのです。まあ、可もなく不可もないかなって感じの演奏な気がしていました。

席は、一応高い席をとるつもりだったのですが、あまりよいところがなく、ヤケになって一番安い席、

それもステージ後方を取りました。

 会場に着いて、座るとやっぱり打楽器は何も見えないのよな。まあしょうがない。客席から丸見え

で恥ずかしいのですが、逆に客席も見えるのよな。曲に合わせて頭をカクカクするお爺様とかいて、

面白くて気になってしまう…。

 対抗配置で、コントラバスは舞台向かって左奥にあるという形。

 拍手に迎えられて楽団員登場。日本人らしき人もいました。ビリー氏は思っていたより大柄な人。

1曲目はワーグナーの「タンホイザー」序曲。開始のホルンとバスーンの混じり具合がなんとも良くて

オドロキ。やや弦はあったまりかけって感じですが、曲の表情がとても見事に変わっていくのに感心

しました。オーケストラの響きはCDで聴いてもそうですが、やや重心の軽い感じです。それでも、金管

楽器など朗々と鳴って、聴いていてとても気持ちのよい演奏でした。

 2曲目はシューベルトのロ短調の交響曲(未完成)。冒頭、コントラバスはえぐるような響きを出したり

しません。いつもそういう演奏なのです。そんで、弦の刻みの上にオーボエが吹く。やわらかい音です。

ここってフルートも吹いてたっけ?と一瞬思うような響きでした。あまり極端に甘くならず、それでもほど

よく歌う演奏で、奏者の人も、ビリー氏も、とても楽しそうに演奏しているのが印象的でした。だんだん

この曲では弦の響きもやわらかくなって、第2楽章などとてもきれいでした。

 休憩を挟んで、ドヴォルザークの交響曲第9番。ここでも、冒頭のヴィオラの響きがちょっといつも聴

き慣れたものとは違いました。序奏がやけに短く感じて、主部へ。かなり微妙にテンポをいじっていま

した。第2楽章は中庸なテンポ。ものすごくものすごくきれいな第2楽章。不覚にも深く感動してしまいま

した。1箇所だけ、楽譜の解釈できいていて「そんなことやってたのか!」ってところがあってウレシくな

ってしまった。第3楽章は激しい音楽。音楽は激しいけれど、楽員さんはここも楽しそう(ティンパニが

落ちたのを私は聞き逃していませんよっ)。ビリーさんはあちこちに指示をとばす、派手な指揮ぶりで

面白い。アタッカで第4楽章。金管楽器など、ものすごくハデに鳴って、とても活き活きした音楽です。

最後のホルンが伸ばす第3音は私のところ(ホルンのすぐそばだったの)からも聞こえなかったから、

落ちたのかなあ?

 大盛り上がりで新世界が終わって(立って拍手の人がちらほらいたけど、もっともでした。)、会場

(けっこう入ってました)は大盛り上がり(実際すごかった)。

アンコールは、ハンガリー舞曲第1番。これもとてもすばらしい演奏でした。最初の主題が、起承転結

と、表情が変わるのがすごいな。アンコールの譜面が、まだあるのが見えたので、まだやるのか、と

思っていると、しゅっと始まったのはシュトラウスの「雷鳴と電光」 もう新世界はアタマからぶっとんで

しまいそうな楽しい演奏だよ。最後にぐっと音楽を派手にするあたり、めちゃめちゃ達者だなあ。さて、

おひらきですか?と思っていると譜面台の上にまだ何かキッタナイ楽譜が…まだやるの?と、ドラム

マーチに乗ってビリーさん登場。ラデツキー行進曲だよ。会場手拍子。ウイーンフィルかよっ!!

大盛り上がりでラデツキー行進曲が終わり、団員の退場まで鳴り止まない状態でした。

 どの曲も、ほとんど変わったことはせず、わりあい普通の解釈なのですが、じつに音楽が活き活き

して、ひとときも飽きさせないという、すばらしい演奏でした。あまり期待せずに来たのですが、びっくり

させられました。ウイーンにはウイーンフィルがある、のですが、そのほかにもウイーン交響楽団、そし

てこのウイーン放送交響楽団がある、とは、さすがですねえ。ウイーンの人はウイーン交響楽団や、

このウイーン放送交響楽団あたりのコンサートに、私達がN響のコンサートに行くように行くのだとした

ら、そりゃあめちゃめちゃうらやましいことであるのう。

 もうこのコンサートが今年のベストになるんじゃないかって気が。ビリーいいっすわぁ。

 えー、終演後は友人と合流し、飲みまくし。帰ろうかと思ったところに友人の奥様が合流し、カラオケ

で大騒ぎ。なんだこの落差は?

 

シャルル・デュトワ NHK交響楽団 第1588回定期公演

                      2007/1/28 NHKホール

 すんごいヒサビサのN響。なんと去年は1回も行かなかったんだねぇ(と思ったら、1回オーチャー

ド定期に行ってた)。ヒサビサのNHKホールで、ヒサビサの当日券です。

 午前中池袋で落語を聴いて、そのあと、実は上野に落語を聴きに行ってしまおうかとかなり迷った

のですが、最初にこの演奏会を聴くつもりで出かけてきたので、がんばって原宿に向かいました。池

袋の山手線のホームでどっちに行こうかかなり迷った。

 原宿も久しぶり。なんかバンド青年たちがやたら多かった。以前行ったときはソコソコやるじゃん、

みたいなのがパラっといただけでしたが、今日私が通った時に演奏していたのは(行きも帰りも)あ

んまりいいのはいなかったよ。帰りにやってたのはヒドイのばっかりだったな。これを読んで「私のこ

とか」ともし思った人がいたらあんたのことじゃないからね。

 早めに着いて、当日券売り場に行くと、ほぼ狙っていたあたり(D席ですが)が空いていたので確保。

そのまま奥に行って、今日は室内楽コーナー(?)も聴きました。

 席に座ってすこしぼけ、っとしているとわりとすぐ開演。最初はモーツァルトの交響曲35番。最初の

弦の音はやわらかくっていい感じ。だけど、強奏の部分の管楽器が荒い気が。んー。第1楽章は速

めのテンポでいい感じ。第2楽章、第3楽章は弦楽器が主なのできれいな音楽でした。第4楽章もあ

まり荒さは気にならなかった。スマートなモーツァルトでした。

 続いてメゾソプラノのデニス・グレーヴスさんが出て、ベルリオーズの「クレオパトラの死」という作品。

かなりハデめな曲でしたが、私にはよくわからなくてねむくなってしまいました。何箇所かけっこう「お」

っと思ったのですが、おおむねぼーっと聞いてしまいました。

 休憩後、オーケストラのメンバーが入ってくるとき「ごと」 っと音が。バスーンの一番下の管が外れ

て落ちたらしい。メンバーが集まってあれこれ言っているようでしたが、大丈夫だったみたい。

 ここで休憩が入って、休憩後再びグレーヴスさんが出て、サンサーンスの「サムソンとデリラ」から

デリラのアリア「あなたの声に心は開く」 グレーヴスさんの声は私の好みの声ではないのですけど、

伴奏がものすごくきれいなのです。うっとりきいてしまいました。こんなことならさっき眠くなるんじゃ

なかった(無理)と思いました。

 最後はサンサーンスの交響曲第3番。デュトワさんのCDがすごくいいですよねぇ。始まって、やわ

らかい弦の響き。いいねえ。そのあとの管がちょとだけ「あれっ」って感じでしたが、その後はもう、

そりゃあスバらしい演奏でした。この前聴いた下野さんのときのような音楽が食いついてくるような刺

激的な感じはなく、やわらかく美しい第1楽章でした。第2楽章もやわらかい弦の響きにききほれました。

第3楽章、第4楽章もパワーで押し捲るような感じではなく、いかにも計算が行き届いた感じの柔らかく

美しい演奏でした。第2楽章と、第4楽章のいったん静かになるあたりが特に私は感動しました。今日は

オーボエやフルートの響きのきれいなのが特に目立った気がしました。この曲は時々怖い響きがするよ

うな曲だと思うのですが、あくまでやわらかく美しい方向の、これはこれですばらしい演奏でした。デュト

ワはやっぱりすごい。

 またN響の演奏も聴かなければだけど、最近あまり気を惹かれるプログラムがないんですよねえ…。

 

下野竜也 読売日本交響楽団 めぐろパーシモンホールニューイヤーコンサート

                      2007/1/7 めぐろパーシモンホール

 下野さん(つい下野くんと言いそうになる)の、ドヴォルザークは良いのだよ!という話をどこかで

以前聞いていたし、前にきいた、交響曲8番はとても良かったのです。今回、第9番をやる、という

ウワサをききつけ、行ってきました。他にもなん公演かあるようですが、平日なのです。ここが日程

が丁度良かったので、初めての会場ですが、行ってきました。

 パーシモンホールというのは、私が普段行きつけないような場所にありました。中はなかなかいい

感じのホールでした。今回は席がだいぶ前のほう。開場より10分遅れくらいで席に座ると、ピアノが

舞台(高座って言いたくなる)中央においてあって、チューニングしている。コンチェルトは2曲目なの

にピアノまんなかに置いてどうすんねん。と思ったら、そのまんま始まってしまいました。舞台が狭い

ので後ろの人なんか壁にべちゃーっとはりつきそうです。

 最初の曲はスッペの「スペードの女王」 序曲。アクセントをバシバシ決めて、めちゃめちゃ楽しい

序曲に仕上げていました。聞いていてにこにこしそうな演奏でした。下野さんは指揮台の上で踊って

いるよう。

 ピアノ協奏曲、ショパンの1番です。苦手なんだよねえ。スタインウェイのピアノのふたが開くと、

私の席からは下野さんが見えなくなります。金返せ(違う)

 ソロはまだ少年って感じの北村朋幹さん。経歴を見てもイマイチピンと来ないんですけども。これ

からの人なのかな。第1楽章は私はとにかく理解できませんでした。演奏ではなく音楽が。なげぇ。

第2楽章、第3楽章はわりと平気でした。もしかするといつもそうかも。この曲ってオケいらないくらい

ですよねえ。ピアノがひいて、オケがちょっと味付けするくらいですからねえ。ソロのピアノは、響きが

ときどき短く切れてしまっている感じとか、不協和音の処理とかで聴いていて違和感を感じた部分も

ありましたが、なかなかきれいだし、出るところは出るし、良かったと思います。演奏のあと拍手を受

けているときに下野さんが「きみは背が高いねえ。ぼくは低いけど」みたいなジェスチャーをして客席

を笑わせていました。

 休憩(仲入りって言いそうになる)のあとはドヴォルザークの「新世界より」 

 いやぁ。下野さんの「新世界より」 刺激的ですわぁ。この手垢のついたような名曲を、わくわく聴か

せるのは至難の業でしょうけれど、冒頭部から(ヴィオラが誰か飛び出したけどね)ぐいぐい引っ張

っていかれるような音楽で、楽しかったです。第4楽章は岩城さんみたいにインテンポでがしがし行く

のかと思ったら、なん箇所かではテンポを落としてゆっくりやっていました。とっても迫力の、いい演奏

で、私は楽しみました。第1楽章の主題の受け渡しなどで、ときどき緊張感が崩れたりする部分があ

ったのが少し残念。ティンパニはずっと大活躍って感じでした。また今年読響定期で新世界をやるら

しいので、聴きに行かねばなるまいかのう、と、思いました。下野さんは私の知る限りいま日本でい

ちばん刺激的な指揮者ではないかなあ(といってもここのところ下野さんばっかり聴いてるんだけど)。

 アンコールはグリーグの「過ぎし春」 この曲好きなのかなあ?

 

チョン・ミョンフン 東京フィルハーモニー交響楽団 

 第731回 オチャードホール定期演奏会   2006/12/26 オーチャードホール

 バルトークの「管弦楽のための協奏曲」は、だいすきな曲で、いちどナマできいてみたいものよ

のう。と思っていたので、出かけてきました。大嫌いなオーチャードホール。たぶんマジメにもうし

ばらく行かないかも。早くも渋谷はクリスマス騒ぎであります。なんか日本ってとてつもなくケイハク

な人種なんじゃないかと疑ってしまったですよ。ほっとけば半年くらいクリスマスでもOKになっちゃ

うんじゃね?あほか。

 えーそんなんでオーチャードホールに着きました。今回気がついたのはここ、おトイレの数が豊富。

ほとんど並ばずにすむ。これはすぐれていますね。

 最初の曲はブラームス(ドヴォルザーク編曲)の、ハンガリー舞曲。私はこの曲にはあまり音楽的

面白さを感じないのですもうかなり。んで、まあぼんやりとききました。

 続いてドヴォルザークのヴァイオリン協奏曲。ソロは東京フィルコンサートマスターの荒井英治さん。

私はイマイチ曲がつかめなかったです。演奏は悪くなかったけどやや起伏に乏しい感じかなあ。

 んーで、気になることが。これを引きずって休憩後の管弦楽の協奏曲へ。

 メインはバルトークの管弦楽の協奏曲。初めてナマで聴きます。さぞかし感動するであろう!と思っ

ていたのです。始まってすぐ、フルートが上昇音型を吹くのですが、あっじゃー。ホールの音響の関係

でしょうか。どうももやもやした音に聞こえる。続いての木管楽器もそう。それでさらに、ドヴォルザーク

から気になっていたのですが、アンサンブルが乱れて聞こえるのです。弦だけ、とか、弦と金管、だと

割と大丈夫なのですが、木管楽器と弦楽器のときに特に顕著。金管と弦は合っているので、ホールの

せいじゃない気がするのですが…。第2楽章の「対の遊び」 木管楽器と弦楽器は全くといっていいほ

どかみ合っていなくて、まるでベツベツのことをやっている感じでした。この曲は全体にソリスティックな

場面が多いのですが、かなりヤバい感じでした。野球のチームにたとえると(なぜ野球のチームに?)

打線がつながらなくて守備はヤバくて仲のいいチームみたいな…。ものすごく熱演だったのですが、

残念です。NHKのカメラが入っていたので、機会があれば、あのズレが席のせいかどうか、確かめて

みたいと思います。もっともあんなにズレて聞こえる席があるとしたらそれはそれでヤバイだろう。

 ただ、私の近くにスタンディングオベーションしてる人が数人いたんだよねえ。席が近いのになんだ

この差は?

 アタクシは高い料金を出して(ミョンフンさんの時はチケット高いのです)マズイ料理を食べた気分で

渋谷の町をフラフラ歩きました。こういうことが重なるとコンサート行きたくなくなりますね。次の予定が

入っているので(来年ですが)、下野さんに期待しますです。あれっ、もしかしてまたドヴォルザークの

ヴァイオリン協奏曲かな…?

 

ユーリ・シモノフ モスクワフィルハーモニー交響楽団 2006/11/03 オペラシティ

 以前コンサートのチケットをお譲りした関係でお誘いいただき、でかけてまいりました。

オペラシティではひょっとしていつもメインが展覧会の絵のコンサートにしか行ってないかも?

 んで、正統派のアーティストでも見た目がちょっといいとイロモノにしてしまう、というナゾの呼

び屋さんの催しなので、ちょっとそのあたりも気になりつつ行ってみました。今回もメインにヴァ

イオリニストのデイヴィット・ギャレットをすえているのが、なんだかなあって感じ。

 今回もなぜか、以前のミッコ・フランク(お元気でしょーか)の時と同じで、後ろの席が半分くらい

「がらーーーーーん」 っていう状態。非常になんかあれですよ。イカガワシイものを感じてしまうね。

何かウラがあるんですよねきっとあれは。演奏するほうもガラガラのホールで演奏では気が乗るま

いに。

 最初はメンデルスゾーンの序曲「フィンガルの洞窟」 好きな曲ですけども、ちょっとぼけっときい

てしまった。あまり様式美とかはキニシナイ演奏だった。

 次にギャレット氏のソロでシベリウスの「ヴァイオリン協奏曲」 なかなかソリストはきれいな音を

出していましたが、席のせいもあるかもしれませんが、この曲に関しては、もっと音量がほしい感

じでした。あまり主張しないソロだったかも。伴奏も、ロシアオケふうに時々がっ!と吠えたりして

面白いのですが、いかんせん雑然とした感じでした。ソロとオケの芸風も合っていなかった気が。

なんというか、ちょっとしたヘンテコ演奏でしてまあ、そういう意味で面白かったわけですが。

 楽章の合間にイチイチ拍手がわくのな。あの2楽章と3楽章の間があんなに長かったのは初め

てかもっ。アンコールはクライスラーの「愛の喜び」 あまり聴かないスケールの曲なので、かえっ

て題名がなんだっけ…と思ってしまった。

 メイン(?)は展覧会の絵。わりあいゆっくりしたテンポの演奏。最初のトランペットからして、たい

へん音は出ていて堂々としています。で、なんかちょっとヨッパライ?って感じ。ムソルグどんのアル

中ぶりまであらわした怪演。そのあとも、ねちっこく歌ったり、同じフレーズを違う歌い方をしたりと、

けっこうやりたい放題のトンデモ演奏。金管楽器のパワーこそすごいものの、オケ全体としては相

当技術的にヤバい…。んで、シモノフ氏のまったりした指揮ぶりがリズムの悪さを助長している感じ。

ワタシは打楽器ばっかり見ていたのですけど、打楽器なんかヘタすると日本のアマオケのほうがう

まいんじゃないのっていう感じ。キエフの門の大太鼓なんかバッチリでしたよ。ずれ方が。モスクワ

オケおそるべしであります。なんのかんの、いろんな意味で楽しい演奏会でした。

 あ。アンコールは、「ロザムンデ」 序曲。長いアンコールや。

 

下野竜也 東京都交響楽団 作曲家の肖像Vol.62 サンサーンス

                    2006/10/15 東京芸術劇場

 最近めっきり下野竜也さんづいている感じ。朝の寄席からカケモチです。昼に嫌々(?)

ビールを飲んでしまったのでねむくならないか不安。

 すべてサンサーンスの曲の、1曲目は交響曲第1番。やっぱりねむくなりました。ちょっと扱

っている主題が私にはあまり面白いものじゃない気がする。持っているCDはマルティノン盤

ですが、下野さんのテンポはやや遅めだったように感じます。この曲は第2楽章はいいですね。

第3楽章のハープもきれいでした。私はややねむくなってしまいましたが、下野さんの演奏は

なかなか力強く仕上げてなかなかよい演奏だったように思います。

 ここで休憩。私はコンチェルトのあと休憩かと勝手に思っていたのでみんながごそごそ動き

出すのにややめんくらいました。みんなどこに行くんだよ!

 休憩後はチェロ協奏曲。短い曲で、飽きずに聴けました。第1楽章は音楽がよく理解できな

かったけど。第2楽章のチャーミングさはいいですね。チェロはもうちょっと邪悪な場面があっ

てもよいかなあとか思いました。伴奏ではフルートがよくきこえてきれいだった。

 続いて交響曲第3番。これもややゆっくりめの進み方かな。都響はやっぱり音が変わってきた

感じ。フルネさんできいたときよりまろやかな感じがしました。第1楽章の展開部が、音が大きい

とかではなくて、音楽に圧倒されてすごかった。下野さんの演奏ではときどきこういう感じを受け

る気がする。第2楽章でオルガンが入って、あまりしっとりしすぎない、抑制した感じのアダージョ

楽章。下野さんらしいと思いました。オルガンは、実に良く鳴るねえ。キモチイイ。楽章後半では

重低音で、しかも平均律によるウナリがホールを包んでモノスゴイ。ああそれで、中間部の弦楽

器による部分はものすごくきれいでした。ものすごく。二回書きたくなるくらい。

 みんな(下野さんも)で「ふーっ」 と、息をついて、スケルツォから終楽章へ。演奏としては音量

で圧倒しようみたいな感じではなくて、あくまで冷静にって感じ。第4楽章の大騒ぎの場面でもた

だの大騒ぎにならない雰囲気がありました。テンポはぐんと速くしたりしていましたが。下野さんら

しい、いい演奏でした。

 演奏が終わると、下野さんはいつもそうだけれど、すぐに舞台に戻ってきて、アンコールの説明。

アンコールは、動物の謝肉祭から「亀」 下野さんいわく、ゴージャスな亀。フルオーケストラでしゅ

っと演奏して終わりました。下野さんの演奏会は終わったあとなんだかにこにこしますね。今回も

楽しかったです。次の下野さんの演奏会の予定はもう来年の年明けのドヴォルザークの「新世界」

とっても楽しみ。

 

ジェームズ・デプリースト 東京都交響楽団 作曲家の肖像Vol.61 ショスタコーヴィチ

                    2006/9/18 東京芸術劇場

 夏の間おやすみしていたコンサート、秋の第一弾です。といいつつ、朝起きると蒸し暑い。ウ

チのほうで蒸し暑いとは。都内はどうなんだよ?と思いつつ。それに、昨晩はイケナイと思いつ

つ、飲んでて家に帰ったのは2時すぎ。ダメじゃん?

 昼食をたらふく食べるというダメぶりを重ねて会場へ。東京芸術劇場です。最近、コンサート

サービスのチラシを受け取るのもめんどくさい。重いし荷物になるし、捨ててくる勇気もないので

す。「ぶらぁぼ」だけもらって客席へ行き、読み漁っていると開演。場内はかなりの入り。冷房が

ほどよくきいて、いいきもち…ZZZ…。うそ。まだです(まだ?)。

 今日は全曲ショスタコーヴィチのプログラム。最初はバルシャイ編曲の室内交響曲。以前、

読響でバルシャイ指揮で聞いたのと同じ曲だと思うのですが、今日はそのときよりよくわかり

ました。都響の弦はやっぱりだんだん響きが変わってきているように思います。途中、早い

部分ですこし緊張感が落ちた部分があったようにも思いましたが、ゆったりした部分での、

とくに中音から低音にかけての弦の表情がとても印象深かった。

 2曲目は、チェロ協奏曲第1番。カッチョえー曲ですよね。ソリストは、趙静さんって人。これ

で、「チョウ・チン」って読むんだそうです。忘れない名前だ。すばらしいチェロでした。ゆったり

した部分のつややかな音色がなんとも官能的。だし、曲調もあるんだけど、とても情熱的な表

現もあって、きいていてぞくぞくしました。バックのオーケストラはもうちょっと鋭角的でもよかっ

たかも。

 休憩を挟んで交響曲第5番。もちろんメイン。でしたが、この曲の間中眠くなってしまいました。

不覚だ。なかなかいい演奏をしていたのですが、それがどうも気持ちよくなってしまって。特に

第3楽章とか…。でもきいていましたよ。3楽章のクライマックスの深く強い響きが印象的でした。

第4楽章は最後の部分、バーンスタインふうのやや速いテンポでした。私は遅いテンポでやる

ほうがスキですが、今日の演奏、なかなかの説得力がありました。

 全体的に弦がきれいになっていて(とはいえ、東京フィルとは違ってすこし暗めな印象がある

のですが)、室内交響曲とか、チェロ協奏曲の第2楽章の伴奏とか、第5番の3楽章などがとっ

てもよかったです。室内交響曲の最後、デプリーストさんがゆっくりと手をおろしながら、消える

ように終わっていくところはものすごくきもちよかった。

 来月は下野くんの指揮でこのオケでサンサーンスの「オルガンつき」 を聴くのです。楽しみです。

なんかチケットもうあんまりないみたいですよ!!

 

ジョアン・ファレッタ 東京都交響楽団 作曲家の肖像Vol.60 ベルリオーズ

                    2006/6/17 東京芸術劇場

 本来、仕事が入っていたのですが、日付が変更になり、行けるようになったコンサートです。

昼前に新宿に着き、新宿塔でおかいものをしてから芸劇へ。お昼ごはんを迷っていたので少し

遅めの到着になってしまいました。例の、ながーーーーーーーいエスカレーターをたどって、ホ

ールへ。今回はひょっとして初?の、3階席。最初のエスカレーターから、また2階席へのエス

カレーターをのぼって、さらに3階席への階段を上って、ワタクシいまどんだけ高いとこにいるの

かっ!?と、思ったりしました。3階席しかし、RBブロック前方のすこし安い席。

 今回は、オール・ベルリオーズで、最初の2曲はあまり良く知らない曲。最初は「ベンヴェヌート・

チェッリーニ」序曲。ファレッタさんの指揮ぶりは、たいへん明快で、ときには小さく飛び上がったり、

たいへん元気な感じ。でてくる音楽もそういう感じでした。曲を知らないのであまりコメントできませ

んが。

 続いて、加納悦子さんの独唱で、「夏の夜」という管弦楽つき歌曲集。これはまったく初めての曲。

耳あたりはいいけどあんまり好みでもないかなあ?都響は丁寧な伴奏ぶりだったと思います。歌は、

今回の席からだとやや遠い感じ。

 休憩後は幻想交響曲。知らない指揮者で、ひょっとして面白い演奏が聞けるかな?っと思ったの

ですが、あまりヘンテコなことはしていませんでした。それでも、緩みを感じさせない音楽で、最後

まで飽きさせることなくきかせてくれました。特に第3楽章以降はよかったですし、後ろの2楽章は

本領発揮という感じでした。大太鼓を2台用意していたのは、なかなか面白い効果を出していたと

思います。それから、今まで芸劇はティンパニが聞こえにくいホールだと思っていたのですが、特に

1番ティンパニ(?)は今回健闘していましたね。

 全体に都響もかなりきっちりと弾ききって、とてもすばらしいデキでした。やっぱりデプリーストに

なってから、すこし音色が明るくなった気がします。

 

スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ NHK交響楽団 第39回 オーチャード定期

                    2006/5/6 オーチャードホール

 渋谷はかなりの混雑。3時ちょっと前に渋谷に着きました。今回は迷わずホールまでたどり

着きましたよ。なんたる成長ぶり。

 初めての2階席です。ここ手すりが低くて怖いな。

 曲目はブルックナーの交響曲第7番。すきだねえ。といってももうしばらくいいかな。

 全体的にゆったりめのテンポでの演奏でした。ザールブリュッケン放送響とのCDでは、どこ

となく冷たい感じの響きがしていましたが、N響は低音弦がやや強めに出て、ずっしりした暖か

い感じの響きになっていました。先日、東京フィルできいたときには、木管楽器の音がとても

きらきらした感じだったのですが、今日は木管楽器も弦楽器と一体化した感じでした。第2楽章

は、ことのほかゆっくりと演奏して、それはそれは美しいききものでした。最初の主題に、応答す

る弦の響きがとてもきれいで、感動した。

 第3楽章もややゆったりめ。特に中間部はゆったりと美しい演奏でした。終楽章はふつうかな。

全体に、弦楽器の響きが前に出た演奏という気がしました。金管楽器は最後までなかなか奮闘

して、きらびやかな音を出していたのですが、それでもなにか、あくまで主体は弦楽器だったな、

という印象が強く残りました。とてもいい演奏だった。

 ワーグナーチューバ隊が、どうもずっと安定しない感じがしたのがちょっと残念でした。なんだろう。

 帰りは途中ですこし道がわからなくなりました。まったく。来る時以上の大混雑。コンサートの余韻

もヘッタクレもないですな。どうもこのホールはいろんな面で苦手。

 

ジェイムズ・デプリースト 東京都交響楽団 プロムナードコンサート318

                    2006/4/23 サントリーホール

 午前中はムリヤリ落語をきき、そのあと昨日に引き続き溜池山王へ。長い。

 昨日は1階席でしたが、今日は2階席。2日目でねむくなりそうな予感。

 デプリースト氏登場。んー。なんだか一層体重がお増えになったのでは…。と、心配に

なりそうな。

 最初はモーツァルトの「魔笛」序曲。いきいきした音楽ぶり。都響をきくのは久しぶりだと

思うのですけど、以前に比べ響きが明るくなった気がします。ここの木管もいいですね。

ひきつづきでショパンのピアノ協奏曲第1番。独奏はアレキサンダー・ギンディン。

きましたよ。睡魔が。ショパン苦手で、1月の演奏会でもこの曲で苦労したのですが、今日

はそれ以上キツかった。ギンディンのピアノはどことなくぼそぼそした印象を受けたのです

けど、どうなんだろう。相変わらずこの曲、理解できなかった。会場は盛り上がって、アン

コールでブゾーニ編曲だかの、「ラ・カンパネラ」をひきました。こんな曲だったかなあ?

 休憩を挟んでブラームスの交響曲第1番。引き続きねむくなるかも。と思いましたが、

大丈夫でした。この曲最近あまり食指が動かないのですが、冒頭の響きが衝撃的で、

「おおっ」 とびっくり。席のせいかもしれませんが、ホルンがかなり刺激的にリズムを強調

していて、面白かったです。全体的にかなりの熱演ぶりでした。ブラームスの交響曲では、

木管楽器が活躍しますが、とくにオーボエ、フルート、クラリネットはなかなかよかったです。

中でもオーボエ。

 アンコールでモーツァルトの、「フィガロの結婚」 序曲。デプリースト氏は、最初ちょっと

指揮棒でテンポを出して、あとはただ座って、音楽の表情が変わるところで少し頷いたり、

目で合図を出したりしていました。後ろの人からは何もわかりませんね…。ところどころ

演奏が不安げだった気がするのは気のせい?

 

若杉弘 東京フィルハーモニー交響楽団 第720回定期演奏会

                    2006/4/22 サントリーホール

 溜池山王の駅から、例の通路を歩きつつ、

「なんて遠いんだ…」と思ったのは疲れていたせいでしょうか。長いよなあ…。

 昼間に続いてです。長いことヨーロッパで活躍されてきた若杉弘がブルックナーを振っ

ちゃう、というのでまあ聴きに行って見ることにしました。実は昼間のを聞くついで、くらいの

気持ちでいたのですけど。マイクが入っていたけどなんだろう。

 最初の曲はプフィッツナーの歌劇「パレストリーナ」から3つの前奏曲。名前はきいたこと

あるけど音楽は聴いたことない作曲家なので、大丈夫かいな?と思っていましたが、これ

はなかなかいい曲ですわ。第1曲目が特に気に入りました。作曲者はそういうつもりじゃな

かったかもしれませんが、情緒深い味わいのいい曲です。

 3曲目の曲の途中で鐘が鳴るのですが、鐘が鳴っただけとは思えないほど衝撃的な音

楽で、たいへんびっくりしました。東京フィルはいつもどおり、とても美しい響きで、とても

よござんした。

 休憩挟んでブルックナーの交響曲第7番。前半のデキをみると期待できそう。それにし

ても23日にはまた定期があって、そこではベートーヴェンの第7を演奏するんですよねえ。

よくそんな芸当ができるなあ。

 ブルックナーは、やっぱり東京フィルのきれいな弦の音で、とても美しい演奏でした。特に

第1楽章の集中力はかなりのものだったのでは。音の色彩が移り変わっていくのを楽しんで

まったりきいたのです。

 後半楽章になって、すこしホルンが疲れてきたかなあ・・・。というのはあったのですが、全

体をとおして、オーケストラも上々、なかなかの美しい、いい演奏でした。明るい色調に統一

されたブルックナーという印象を受けました。どうも、今回は、演奏している姿を見ながら演

奏を聴こう、という気持ちがあまりなくて、ほとんどこの曲の間は目を閉じたままで聴いてい

ました。周りの人は寝てると思ったかも。ときどき舞台を見た、っていうくらい。ひたひたと音

楽に浸って、なかなか気持ちよかったっす。これは1階席の前のほうで、ほとんど弦楽器し

か見えなかったので、舞台を見ていてもあまり面白みがないというせいもあったかな。

 

ルドルフ・バルシャイ 読売日本交響楽団 第77回芸劇マチネシリーズ

                      2006/4/22 東京芸術劇場

 ここの二日に3つもコンサートを聴くことにしました。疲れた…。第1弾がこれです。

 都内に早く着きすぎ、新宿の紀伊国屋書店をウロウロしたり、池袋についてからも池袋

演芸場の前をウロウロしたり(満席だった!)して、会場に付いた頃には、ややぐったり。

例のながーいエスカレーターを上っていきます。どこかでからすが鳴いている。

 2階席で、あたりを見回して、どうもこのホールがいつもイマイチぱっとしないなあ、と思う

原因に思い当たった。座席のシートの色がいかん。あれはいかん。みなさまもそう思いま

せんか?

 最初の曲はショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲をバルシャイが編曲した、室内交響曲。

初めてきく曲です。弦楽四重奏曲を編曲した作品ということで、やや線が細い曲の感じで

すが、ショスタコーヴィチらしいような、響きがしていました。よくわからないなりに面白かっ

たのかなあ?短く感じました。

 休憩後はショスタコーヴィチの交響曲第5番。第1楽章から速めのテンポです。以前に

聴いたチョン・ミョンフンの演奏のイメージとは大違いで、わりと愛想の無い、線の太い演奏。

例の全集でもそういうイメージを受けたのですが、今回も同じ印象でした。展開部はかなりの

大熱演。

 第2楽章も、よくやられる極端なテンポのいじりとかはなくて、きっちり骨太な演奏。第3楽

章も、叙情が前に出てくるというようなことはない演奏でした。ここまで割と速めのテンポを

とっていましたが、終楽章だけは遅めのテンポ。最後はやっぱりかなりのもりあがり。ステー

ジに近い席だったせいもあるのかもしれませんが、耳が疲れました。

 全体に情的な面を表に出さない感じの演奏でしたが、オーケストラはよく指揮者に応えて

がんばっていたと思います。なかなかよい演奏でした。昨年10月のミョンフンのとどっちが

好きかきかれたらでもミョンフンのですなあ…。

 

下野竜也 東京交響楽団 ミューザ川崎名曲全集 第15回

                2006/3/4 ミューザ川崎シンフォニーホール

 順調に行けば、下野竜也さん3連戦?の予定だったのですけど、前回、風邪でお休み

してしまったのです。残念。今回は無事に参加で、初ミューザ。浅草で落語をきいて、その

まま電車で移動です。遠い。ミューザ川崎は駅からはすぐでわかりやすいですね。ホール

は、どこが何階だよ?というフクザツなつくり。あちこち見回してしまいました。

 最初はヴェルディの「運命の力」序曲(塩)。最初の金管楽器の3つの音を、たいていは

力強く吹き鳴らすのですが、やわらかく強く吹かせるので、なにか威圧的というのではなく

むしろ悲劇的な色合いというか、レクイエムのなかの審判のラッパという感じにすらきこえ

ました。かなり旋律の表情をきっちりとつけた演奏は、いかにも下野さんらしいものでした。

 続いて、川久保賜紀さんのソロでブルッフのヴァイオリン協奏曲。実は誰がソロってこと

を、あらかじめ見ていたのですが、当日には忘れていて、おまけにホールの中をきょろき

ょろ見ていたので、結局誰がソロを弾いているのかわからない状態で聴いていました。

川久保さんは以前都響でチャイコフスキーをひいたのを聴いているのですが、ちょっと印

象が違ったかなあ。とても華やかな音で、明るい音楽を聞かせる感じがしたのは、曲のせ

いでしょうか。とても美しい演奏でした。といいつつ実は第2楽章の途中から気持ちよくなっ

てしまって、睡魔と闘いつつきいていたのですけれど。

 休憩を挟んで、ドヴォルザークの交響曲第8番。

 久しぶりにこの曲をナマできくので、期待はしていたのですが、期待以上の演奏でした。

第1楽章冒頭は、やや速めのテンポ。主部にはいっても、楽譜の中のいろんなしかけを

とりだして、聞かせてくれるのです。特に展開部は、ものすごくドラマティックな音楽になって

いて、この曲ってこんなにものごとを語る曲だったのか!と、びっくりしました。

 第2楽章は美しくゆったりと。木管楽器のやりとりが特に光っていたように思います。

 第3楽章も、やや速めながら、だいじに弾いていきます。ここでもいろんな楽器がいろんな

ことをやっているのがとてもよくわかる。

 終楽章、それでなくても劇的な楽章ですが、やっぱりここでも楽譜に書かれたいろんな仕掛

けを見せつつ、金管楽器を思い切り吹かせたり、テンポを速めたりと、ものすごくいきいきした

音楽を作っていました。私はうれしくなっちゃってニヤニヤしながらきいてしまいました。最近

こんなにわくわく感の強い演奏を聴いたのは久しぶりのような気がします。大変面白い演奏

でした。

 アンコールは、最近短いアンコールに凝っています。というあいさつをして、プロコフィエフの

古典交響曲のガヴォット。きれいな音でしゅっとまとめていました。

 

下野竜也 東京フィルハーモニー管弦楽団 響きの森クラシックシリーズVol14.

                      2006/1/27 文京シビックホール

 今年初めてのコンサートです。昼間、鈴本演芸場で落語を聴き、すこしお茶を飲んで出

かけました。時間が早く着いてしまって、ホールの周りをすこしウロウロしました。まだ少し

雪が残っているのですね。びっくり。

 最初の曲はモーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」序曲。オペラを見ないし、モーツァルトの

序曲を単独で聴く機会はめったにないので、この曲もいまひとつなじみがなく、なんとも言

いがたいのですが、冒頭の、重々しいフンイキとか、よく出ていたと思います。主題の提示

は、細かい音符とかがよくきこえなくて、いまひとつ音楽の形がみえにくかった。

 2曲目は、ショパンのピアノ協奏曲第1番です。独奏者は川村尚子さん。この曲もほとんど

なじみがない曲。寝るかも。と思いましたが、ちゃんときいていました。しかし、どういう音楽

なのかはさっぱり理解できなかった。たいへんセンチメンタルな主題がところどころに出て

くるのだけど、それ以外は、どうなっているのかよくわからなかった。演奏は、よく歌うし、ピ

アノの響きがとてもきれいでした。気持ちのいいピアノだった。下野さんと東京フィルも、美

しい音で支えていました。

 やや短い休憩を挟んで、ベートーヴェンの交響曲第6番。第1楽章、きびきびしたテンポで、

また、かなりはっきりした表情ですすんでいく感じがよかったです。第2楽章も、やや速めの

テンポで、美しい仕上がりでした。第4楽章では、ティンパニが前半もっと鳴ってほしかった

感じかな。後半はがんばっていました。終楽章は、東京フィルのきれいな弦でゆったりと演奏

していました。この楽章だけなんだかややだれる感じがしましたが、全体としてはすっきりと

元気のいい、楽しい演奏だったと思います。下野さんらしい。

 アンコールのごあいさつ、

「今日は、モーツァルトの誕生日です」

客席拍手。下野さんもやや上を向いて拍手。

「でも、アンコールはグリーグをやります」

なぜかウケをとって、グリーグの「2つの悲しき旋律」から「過ぎし春」(どうしても題名をちゃんと

覚えられない)

 どういうわけだか、ベートーヴェンのときも、グリーグのときも、拍手がやたらと早い。どうして

なんだろう?グリーグのときは、すぐ後ろで、あほか。というくらいのタイミングで拍手。なんだか

ねえ。

 とりあえず、ほぼ期待どおりくらいのベートーヴェンはきけたかな。来週はハルサイです。

 

シャルル・デュトワ チェコフィルハーモニー管弦楽団 2005/11/13 サントリーホール

 新橋から、タクシーで行きました。時間を気にしているのを察してくださったのか、タクシー

の運転手さん、けっこうがんばってくださいました。ありがたや。なのでけっこう余裕で到着。

 最初は、プロコフィエフの「ロミオとジュリエット」。昔、チェコフィルの弦はスゴイのだぞ、と

言ったものです。初めてききましたが、今でもチェコフィルの弦、健在ですね。青白い、と言

ったものですが、そんな感じの音色です。なので、ロミオとジュリエット(東欧版)みたいな感

じで、若干違和感を感じたのでした。デュトワが振ったってそういうところはいかんともし難い

ですよね。

 休憩を挟んで、ストラヴィンスキーの「春の祭典」。これ、かなり楽しみにしていたのですが、

正直、ちょっとおとなしいんちゃう?という感想でした。弦や木管主体の「春の祭典」って感じ。

第1部、第2部ともに、後半になるにつれて金管楽器が前に出てきて、迫力が出てくるという

感じはありましたが、それでも終始金管はやや抑え気味?って感じでした。打楽器も、何箇

所かではかなり強烈に鳴らされてはいたのですが、ティンパニはあまり硬いマレットを選択し

ている場面は少なかったように思いますし、バスドラム(この曲では大事な存在だと思う)も、

あまりうまく機能していなかったように思います。演奏全体としては、それなりに緊張感もあっ

たし、いい演奏だったのかもしれませんが、私はこの曲にはもう少しなにか突き抜けた暴力

性みたいなものがあってもよいのではないかなあ?と思います。その点で物足りない思いが

しました。

 サントリーホールの前の広場で、携帯電話をかけながらぼーと見ていると、すずめがえさを

さがしているのだよね。あそこのすずめはあまり人を怖がらないですね。そういう育ちなんで

しょうなあ。焼いて食ったろか(うそ)。かわいい。

 

アラン・ギルバート NHK交響楽団 第1,152回定期公演

                      2005/11/2 サントリーホール

 サヴァリッシュから代演でアラン・ギルバートに変わったN響の定期をききに、浅草から移動

しました。銀座線で一本だじぇ。便利じゃあないかおまいさん。

 ギルバートは思い出したけれど、昔地元のホールでN響と来て、聞いたんだ。そのときはや

っぱりベートーヴェンで、第3番。蚊も鳴く、じゃなくて、可もなく不可もなくって感じでした。木越

さんがノリノリだったのだけが印象に残ってる。

 今回は最初、メンデルスゾーンの「イタリア」。前も書いたけど、どうもこの曲、苦手。提示部

の繰り返しはほんと、必要ないと思う。

 休憩をはさんで、ベートーヴェンの交響曲第6番。

 ヒサビサに演奏会で退屈しました。サントリーホールでN響の音は確かに美しく響くのですけ

ど、全体に受け渡しがいまひとつうまくいっていない印象。また、弱音部で十分落としきれてい

ない。例を挙げると、ベートーヴェン第1楽章の、最初の主題提示が終わって、クラリネットや

なんかの三連符に引き継ぐところ、三連符の2拍目あたりまで、前の音に隠れてきこえない。

こういう場面があちこちあった気がする。また、全体にいやにせかせかした感じを受けました。

これは何が原因でそう聞こえるのかわからないのですけど、どうも噛みあわない居心地の悪

さを感じずにいられない演奏でした。大きな音になると俄然張り切りだすのが面白かったし、

フルートが大変美しくて良かったと思いますが、私のこの曲のイメージとはおよそかけ離れた

演奏でした。サヴァリッシュで聞きたかったよぉ。

 終演後、溜池山王から国会議事堂前まで歩きました。この時間の国会議事堂前の駅って

タイミングしだいではだーれも通らない瞬間とかあって不思議な感じ。電車にのって、たまー

に行く某店でひとりで4000円以上も飲み食いしてしまいました、あほやなあ。

 

チョン・ミョンフン 東京フィルハーモニー交響楽団 響きの森クラシックシリーズVol13.

                      2005/10/29 文京シビックホール

 文京シビックホールという所に初めて行ってまいりました。地下鉄の後楽園からも春日からも

近いという、すばらしい立地。地下鉄を降りると、区役所の建物の中にあるんですね。戸籍の

案内とコンサートホールの案内が一緒に出ているという、ふしぎ空間。私は大江戸線の春日か

ら行きました。駅は地下2階でホールは1階だった・・・かな?中に入ると、けっこう立派なホール

です。私は2階席の出っ張ったところで聴きましたが、すこしステージから遠いかな。でも音響的

には悪くないです。

 ミョンフンは、初体験。どうも数少なく持っているCDではあまりいいイメージはなぜかないのです

が、どんなもんかな?と思いつつ行ってみました。

 最初は、ムソルグスキーの歌劇「ソロチンスクの市」から「ゴパック」。短い曲です。ロシア風とい

う感じではなく、ちょっとした色彩の遊びみたいな感じ。

 次は、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲です。この曲、コンサートでは、実によく当たる曲

です。たぶん私の行ってるコンサートの半分くらい、この曲やってるんじゃないかなってくらい。で

も、この曲苦手なんですよねえ。1楽章でおなかいっぱい。今回はソロが庄司紗矢香さん。この

人は、以前、レーガーのヴァイオリン協奏曲などというトンデモナイ曲をちゃんと飽きずに聞かせ

てくれたので、それでも期待して行きました。わりと雄弁なヴァイオリンを弾く人ってイメージがあ

ったのです。今回も、表現豊かな演奏で、この曲にしては飽きずに最後まで聞けました。今まで

聞いたこの曲の実演のなかで一番だったと言ってもいいかもしれない。技巧的にもとても安定し

て、曲を手の内に収め切っているという感じでした。第1楽章のカデンツァ。息を殺してききました。

バックのミョンフン/東京フィルも、非常に丁寧で美しい伴奏でした。

 ここで休憩。正直、もう十分聞いた。このあとショスタコーヴィチの交響曲第5番なんですけど、

きくのシンドイ。くらいでした。が、始まるとそんなことを言っていたのを忘れましたよ。

 第1楽章。冒頭はやや速めのテンポで始まりましたが、主題の提示はひじょうにゆっくりと丁寧

に。柔らかくブレンドされたサウンドで進んでいきます。全体にハデハデしくやるというより、丁寧

に、音楽的にアプローチしようという姿勢が感じられました。いつも言うけれど東京フィル弦が美

しい。ゆったりの部分がまだまだ続いてほしい・・・と思っているけれど、例の展開部が始まります。

ピアノが低音で入ってくる、あそこから、それまでの美しさが急にぶち壊されていきます。それまで

の美しさがあまりにすばらしいので、そう狙わなくてもこの展開部が狂気を帯びたもののように感

じるのです。実はこの曲、ナマで聴くのがたぶん初めてだと思うのですが、今まで数聴いても、こう

いう気持ちになったことがありませんでえした。

 第2楽章は、それほど変なことはやってませんが、やはり丁寧な仕上げ。私的には打楽器がもう

少し刺激的に鳴ってほしいと思うのですが、1楽章からの解釈を引き継ぐとこうなるのだろうと思い

ました。

 第3楽章もたいへんな美しさ。和音の移り変わりが、狙っていないのになにか悲愴な感じをかもし

出しているようです。ここでも弦楽器と管楽器の音色がみごとに混じりあっています。この曲、意外に

かなりの部分が室内楽的に響くんですよね。堪能。

 間をあけずに第4楽章。ややゆったりめ。まんなかの遅い部分が終わって、もういちど最初の主題

が帰ってきても、かなり遅いテンポで押し切ります。で、次第にききすすんで、最後の「強制された歓喜」

の部分。ここで、とっても不思議な気持ちになってきました。「証言」は偽書だとされているのですけど、

これを聞いて、まあ、強制された歓喜、ではないにしても、この音楽のどこが「歓喜」なんだよ!!と。

少なくとも、この演奏を聞いて、これが「歓喜」だとは思えない。むしろなにか悲劇的な色合いさえ感じる

のです。この感覚も初めてでした。

 非常にすばらしい演奏でした。どうも当たり外れがあるようですが、ミョンフン/東京フィルは、また聴

きに行かねば・・・・・・。東京フィルも、すばらしいオーケストラですねえ。実感しました。

 

 終了後は、池袋で飲みました。3軒ハシゴしましたが、最後に行った串揚げ屋さん、ときどき行くのです

が、いいですわあ。私、うずらの卵の揚げたのダイスキなのです。うずらの卵と、香ばしい衣のハーモニ

ーは、東京フィルにも負けないものがあります。って、そんなB級グルメ落ちかいっ!

 ああ、そういえば、かなりブラヴォーも飛んでもりあがったのですが、客席のライトがついたら拍手が

すぐ止まっちゃうの。みんな冷たいんじゃん?とか思っちゃった。

 

ミハイル・プレトニョフ 東京フィルハーモニー交響楽団 第16回東京オペラシティ定期シリーズ

                      2005/09/22 東京オペラシティコンサートホール

 ヒサビサにコンサートのれぽーとです。いったいここは何のコーナーかっ?とお思いのかた

も多いでしょう。もちろんコンサート感想のコーナーです(ものを投げないでください!)。

 急に思い立って出かけました。寄席からのハシゴです。ヒサビサのオペラシティ。というか、昨年6月

以来二度目です。恋も二度目なら少しは上手になんちゃら。ですわな。2度目ですが電車の出口をまち

がえました。国立劇場のほうに出てしまって、「ここドコ?」状態。噴水の水をぴちゃぴちゃしつつ、タケ

見つめモリアル(誤字)を目指しました。

 1曲目はシベリウスの「ペレアスとメリザンド」。曲が始まると30秒で眠気が!どうしてコンサートホー

ルに入って、音楽が始まるとたんに眠くなるんだろう?これは何の作用であろうか?さようさよう。など

とわけのわかんないことを考えつつ音楽を聴きつつ眠気と戦いつつきいていました。戦いの結果は3戦

2勝って感じです(基準がわからん)。組曲の最後の「メリザンドの死」という場面の音楽がめちゃめちゃ

美しく、ここは眠気もなくききました。東京フィルって弦の響きがきれいなオーケストラですね。いかにも

シベリウスって感じの音楽で感動でした。

 2曲目はグリーグの「ピアノ協奏曲」。私はどうもこの曲よくわからないのですけど、面白くききました。

プレトニョフ指揮の伴奏は、かなりロマンティックにテンポを動かして演奏しているようでした。ソリストの

アンスネスは、極端にロマンティックなほうではなさそうで、かといってかっちりした感じでもなく、うまく

バランスをとった感じでした。

 3曲目はムソルグスキー(ラヴェル編)の、「展覧会の絵」。よく当たるなこの曲。でも、演奏会ではわり

と飽きない曲です。かなりユニークな演奏。プレトニョフは自分がピアノでひくものをそのままオーケストラ

で演奏したんじゃないかって感じの印象。

 「ヴィドロ」のソロがメロメロだったのと、あとは「カタコンベ」の金管がずれまくっていたのを除けばそこ

そこのユニークな演奏だったと思います。ただ、全体に管楽器系の音色がやや埋もれていたというか、

音色の交替の面白さみたいなものがいまひとつ出きっていないように感じました。ラヴェルのすばらしい

オーケストレーション、もうちょっと活かせるんじゃないかと。

 

 帰りに寄った新宿では連休前の週末でどこの店もいっぱいで難儀しました。

 

岩城宏之 東京フィルハーモニー交響楽団 第709回定期演奏会

                      2005/06/26  オーチャードホール

 岩城宏之には昨年エライ目に遭わされて(適切じゃない表現)しまいました。で、今回はレスピーギ

のローマ三部作を指揮するって言うので、「じゃあもういっぺんエライ目に遭わせてもらおうじゃないの!」

っとチケットを予約し、行ってまいりました大嫌いなオーチャードホール。ここ、某S木A史氏が、「どんな

にひどい演奏を聞いても渋谷の雑踏がかき消してくれるありがたいホール」と、うまいこと言ってるのです

けども、逆に、どんなにいい演奏を聞いても渋谷の雑踏がかき消してくれるワケで、送迎バス出すなり、

何か考えてくれーっと思うわけですが。

 で、今回もエライ目に遭いました。最初は、噴水から。いきなりなんという美しい響き。弦楽器がとても

柔らかい柔らかい響きを作っていて感動。移りゆく時の流れや光のうつろいのような響きを堪能しました。

 引き続いて「祭」これもたいへんな熱演でした。最初の「チルチェンセス」では、鳥肌がたつような凶暴な

響き。50年祭は、やや柔らかい表情のように思いました。ホルンのソロはかなりヤバめ。10月祭ではあ

の、鐘の音が印象的。あそこ風景が思い浮かぶようでとても好きです。主顕祭は、金管がけっこうヨタっ

ていましたが、それでも最後はきちんと、抑制したフォルテから、ぐわーっともりあげて、大興奮のもりあ

がり。この曲が一番ヤバかったですけども、それでも力強い響きと、「ものすごく」美しい響きでした。

 休憩後、「リュートのための古風な舞曲とアリア」第3組曲。これもたいへん美しい響きできかせました。

今回はやけに短く感じたなあ。

 で、最後に「松」これはもう、いうことない。「なんでこんなに短いんだろう」って思ってしまうくらい。

「カタコンベの松」の、ラッパのバンダが出てくるところは、とても好きなところなのです。今日も、ホール

のなかにすーっと響いていくその音色は、しみじみ美しいなあーっと聴いていました。これは、「ジャニコロ」

のクラリネットも同じ。どうしても目を閉じて、その響きを味わいたくなるような演奏でした。最後のアッピア

街道も、ものすごいもりあがり。後ろの客席からも金管楽器がガシガシ吹きまくって大迫力。

 この曲は、ナマできくと、CDには入りきらない魅力が満点ですな。レスピーギのオーケストレーションも

すごいのでしょうけれど、東京フィルも、ピアノの部分では、空気に色をつけていくような柔らかい響きを

作り出していて、その美しさにしみじみと感動しました。いい演奏会でした。

あ。関係ないのだけれど、隣のおっさんが関係ないところで「うーん・・・・・・」とか唸っていてもうとても気に

なった。何かの病気だと気の毒なので、なんとかしてくれ!とも言えなかったんだけど。

 で、終わってホールから出ると、渋谷の雑踏ととんでもない暑さが・・・・・・。どうしてこんなに暑いんだろう。

昔は暑いといってもこんなじゃあなかった気がするんだけどやっぱり温暖化なのか・・・・・・?などと関係ない

ことをしみじみ考えてしまうのでした。

 

西本智実 東京都交響楽団 2005/06/25  川口LILIAホール

 ・・・・・・下の「黒門亭」と同じ日じゃないの?という指摘がある前に言っておきますが同じ日です。

 行けなくなってしまったとおっさる方からチケットをいただいて、出かけてまいりました。川口てドコ?

と思ったのですけど、赤羽の先のほうだったのですね。埼玉の地理にはまったくうといのです。途中、

友人が住んでいてよく飲みに行く某駅を通り過ぎて、「あー飲みにいくのもよいのう」などと思ったのは

これは条件反射か。

 最初の曲はグリンカの「ルスランとリュドミラ」わりあい速いテンポで、きっちりアクセントがついて快調

です。オーケストラの音もきれいで、もっとヘンテコなことをする人かと思ったらそうでもないのですね。

サンクトペテルブルグの音楽院にいたと言うので、ロシアでもヨーロッパよりの解釈なわけですな。なか

なかよかったのですけど、弦楽器がもうちょいローローと鳴ってもいいところがあった気が。

 お次はチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番。及川浩治さんって人がソリスト。足を踏み鳴らしつつ、

バリバリと弾きまくる熱演。逆に細部がよくわからなくなる場面があったのですがそういう芸風ではないの

でしょう。この人ベートーヴェンのソナタとか弾いたらどうなってしまうんだろうと思った。どうもこの曲しか

し最近ニガテみたい。第1楽章終了時点でおなかいっぱい。

 メインはムソルグスキーの「展覧会の絵」わりあい丁寧な感じの演奏でした。これといって変なことはし

ていませんでしたが、楽しくききました。ところどころかなりアンサンブルが怪しくてどきどきするところも

ありましたが。特に後半、サミュエル・ゴールデンベルグのトランペットの難所で「あららっ」となったときは

どうなることやらと思いました。あと、大太鼓もヘンテコなところで叩いていたが・・・・・・。

 アンコールはハチャトゥリアンの「仮面舞踏会」から。こんなところでこの曲を聴くとは・・・・・・。ちょっと得

した気分。

 しかし、この「展覧会の絵」はCDはともかく、演奏会できくとわりと飽きないです。オーケストレーションの

力かなー。

 

フィリップ・ヘレヴェッヘ ロイヤル・フランダースフィル ベートーヴェンチクルス  

                            2005/6/12  すみだトリフォニーホール

 ヘレヴェッヘの指揮したベートーヴェンの第9のCDはたいへんへんてこりんな演奏で(そういう言い方

でいいのか?)、今回オケは違うけれど来日してベートーヴェンの連続演奏をするというので行ってきま

した。本当はCDで出ている第9番以外の演奏を聞きたかったのですが、休日に当たっているのは第9

だけだったので、まあしょーがねーや。というふうに諦めて、第9番を聞いてきました。

 初すみだトリフォニーホールでございまして、錦糸町の駅で降りると、「こんなとこにコンサートホールが

あるのかい八っぁん?」というような駅のフンイキ。それでも百貨店の脇を通ってホールへ。エスカレーター

を上がっていく感じはサントリーホールに似ていると無理やり言ってしまえば言えないこともない。そんで

ホールに入ると中はなかなかシブイ雰囲気でかっちょ良いのですけど、このホールえらくこう、ステージに

向かって斜めの線があちこちから向かっている設計なんですな。だまし絵のようで、座っているうちにステ

ージが傾斜しているような、客席がうしろにひっくり返っているような、変な気になってキモチワルイ。でき

たらこのホールは避けたい。と思っちゃった。外国のオペラハウスなどでステージの床が客席に向かって

傾斜している構造のホールがあるって言うので、そういうのかなー。と終わってからステージの床を確認

しに行ってしまったぞよ。

 ヘレヴェッヘの演奏は、CDの演奏と似たような感じ(あたりまえか)第4楽章のゆっくりになるところ以外

は速めのテンポでガシガシ演奏していました。金管楽器ががっつり楔を打ちつつ、ティンパニがどどん!

と鳴り渡る。熱演でした。ただ、若干楽器間のバランスは悪かったかなぁ。メロディを吹いている楽器が

いるのに弦がかき消してしまったり。という場面がときどきありました。あと、ときどき旋律が息切れすると

か。独唱陣も、もう少し声量があったほうが好み。合唱はなかなかよかったです。あのムチャなテンポによ

くついて行ったなぁ。

 この演奏どうも評判がよくなかったらしい。せかせかしている。とか、アンサンブルが荒いとか。そのへん

は期待できない人じゃないかなぁもともと。私はこのムチャな演奏をなかなか楽しみました。CDの予備知識

がなければきっともっとぶっとんだんだろうけど・・・・・・。

 帰りに某CDショップで新譜のヘレヴェッヘのベートーヴェンの交響曲第7番を試聴してきました。ゆったり

やっていて、改めて買うこともないかな。っというようなデキでした。残念。

 

下野 竜也  読売日本交響楽団 第117回東京芸術劇場名曲コンサート 2005/5/13  東京芸術劇場

 4月にスクロヴァチェフスキが来た時に行けなかった(チケット買ったのに)ので、今回は平日の夜という

強行軍(地方に住んでいるのでキツイ)で聴きに行ってきました。

 下野さんをきくのは2回目。前回はやはり読売日本交響楽団とのベートーヴェンの「第9」でした。とても

楽しげに音楽を紡いでいく感じに好感の持てる指揮者です。今回のプログラムはモーツァルトの交響曲第

29番と、マーラーの交響曲第1番。モーツァルトの29番はあまり良く知らない曲なのですが、装飾音符が

あちらこちらから呼び交わす美しい音楽でした。第1楽章で、ふっと短調になるところははかなげな響きに

すこし打たれた。全体に低音弦の響きがちょっと曇って聞こえた気がしたのと、オーボエの音がきこえすぎ

ていた気がしたのですけど、ホルンがとてもいい感じに弦楽器に色をつけていて楽しかった。終楽章では

ぐっと前に出てくるんですね。モーツァルトがニヤニヤしながら書いたのかなココ。なんて思いながらききま

した。

 マーラーは全体にちょっと抑制した感じの演奏。確かに大きな音を出す場面もあるのですが、そういう場

面でも手放しに叫びたてるという感じではなく、冷静な感じがしました。最初の出だしからぼちぼちといろん

な管楽器が出てくる中に、フルートが出てくるのです。このフルートが曲全体をとおしてとてもよかった。逆

にモーツァルトで良かったホルンがところどころあやしかった。ただまああの程度はよくあることかも。

 今回はマーラーをききに行ったつもりだったのですが、どちらかというとモーツァルトのほうが良かったかも。

 

高関 健  日本フィルハーモニー交響楽団 第150回サンデーコンサート 2005/4/3  東京芸術劇場

 行こうか行こまいか迷ったのですけど、行ってきました。池袋の芸術劇場。思ったより駅改札から近いの

ですねえ。いままでどういう遠回りをしていたのやら。それから、よくよく考えると、「東京芸術劇場」てなんて

色気のないお名前かしらんと思いました。まあそれを言えば「サントリーホール」も「オペラシティ」も色気の

ないお名前ですけども。

 高関さんは色彩的な曲を振らせるとうまいのー。と思っていたので「ローマの松」をめあてに行きました。

ひさしぶりに東京芸術劇場の1階席です。おそらくエンリケ・バティスをきいて以来なのでこのあたりの席

に座ったのは久しぶりですな。

 今後席をとるときにどこいらを取ったらいいのかなぁ。とあちらこちら見上げているアヤシイ人になってし

まいました。

 1曲目はメンデルスゾーンの交響曲第4番。最初少しオーケストラの音が平面的な感じがしました。これ

は席のせいもあるのかなぁ。と思ったのですが、少しすると良くなってきたので演奏がそうだったのかも。

 この前の、ブロムシュテットでもこの曲をきいたのですが、どうも私最近この曲苦手なのかもしれません。

同じようなパターンがくりかえし出てくる(あたりまえ)気がするのと、毒がなさすぎというか。どうも眠くなって

しまいます。ここで休憩。早すぎでは・・・・・・?

 2曲目はリストのピアノ協奏曲。ソリストは後藤正孝さんって人。若手って感じの人です。ピアノの演奏に

ついてはあまりよくわからんのですが、よくひけているのでしょうけども、歌いまわしにもう少しの色気と、

あと全体的な力強さがほしいかなーっと思いました。バックのオーケストラはさすがの日本フィルでバリバ

リ鳴らしたり弱音で支えたりしてよい伴奏をしていたように思います。

 3曲目は・・・(ここで休憩がほしかったなあ。)レスピーギの「リュートのための古風な舞曲とアリア」第3

集。

 非常にていねいに聞かせて、弦の美しい響きを堪能しました。最後のパッサカリアは少し長い気がしま

すね。いい曲だなあ。と思いつつ家で聴いたらBGMになっちゃいそうだな・・・・・・とも思いました。

 最後は同じくレスピーギの交響詩「ローマの松」。さすが高関健。冒頭から輝く色彩感をバッチリ出してい

ます。ボルジア荘の松ではきらきらしつつ、日フィルの強力な金管楽器も活躍して、これまでとは違った色

彩感を感じさせました。カタコンブの松では弦主体の美しい響きからクライマックスをみごとにつくりあげて

いました。バンダのラッパがすごくきれいだった。時々出てくる不協和音にもうちょっと毒があったほうがい

いかなあと思ったかな。ジャニコロでもなんだか、ナイチンゲールがだいぶ明るくなってからも鳴いています

なあ。って感じでした。それがだめって言うのではなくて、面白いなと思いました。最後のアッピア街道では

バルコニー席からラッパ隊が吹いて、おおもりあがり。単純に感動しました。高関健がかっこよく見えた!

(どういう意味だ?)弱音部をきっちりとおさえ、出すところは爆発させる、という感じでとてもいい演奏でした。

こんなことを書いてはなんですけども、正直、日本フィルを見直しました。もうひとつ、レスピーギもまた、す

ごい曲を書いたもんだなぁ。と思った。6月にもこの曲をきく(東フィル岩城さん。チケットとった)のでたのしみ。

 アンコールはプッチーニのトスカの間奏曲だったかな・・・・・・。知らない曲だ。きれいでした。と思ったら最後

のほうでどっかん!とかあって、あれはああいう曲なのかしら。びっくり。

 今日はサンデーコンサートとかいうのだからでしょうか。客層がいつもと違う気が。なんか落っことす音とか

が時々聞こえて・・・・・・。気になった。

 

ヘルベルト ブロムシュテット  ライプツィヒゲヴァントハウス管弦楽団 2005/2/27 サントリーホール

 伝統的な海外オーケストラってやつをひとつ、きいてみようじゃあねえか。ってんでチケットを取ってみた。

ただ、この日のメインのブルックナーの交響曲第7番をよく知らなくて、久々にものすごく予習をしたコンサ

ートでした。

 1曲目はこのオーケストラゆかりの作曲家、メンデルスゾーンの交響曲第4番。演奏は割りとおちついた

雰囲気の演奏でした。オケの音は美しく、とくにホルンがすばらしくいい音をしていて、第3楽章の例のトコ

なんかききほれました。クラリネットが不思議な「きん」という音を出していて、B管?と思ったがそんなワケ

はない。

 休憩を挟んで、ブルックナーの交響曲第7番。くはー。勉強のかいがあったというものです。とても良い演

奏でした。不思議なのは「イタリア」とクラリネットの音が全然違ったこと。まあるく美しい音を出していました。

管楽器も弦楽器もとても音が綺麗。ピアニッシモの部分なんかききほれてしまいます。鳴るべきところで鳴る

べき楽器が鳴る。すべてのものがぴったりあてはまる。といった感じの演奏でした。そうかと思うと、金管楽器

のフォルテシモでは地響きのような大音響。ただそれがうるさくはならない。鳴るべくして鳴っているのだから。

しかしよくあんなデカイ音が出るなあ。第1楽章、第2楽章はとくに息を殺してきくほどの緊張感がありました。

第2楽章中間部なんか美しさにうっとり。このあたりは何と言っていいかわからないくらい。

第2楽章の最後のほうの、金管楽器のコラールも美しくて、ここはひときわ感動した。第4楽章では金管楽器

のものすごい大音響でがっちりもりあがって終わりました。ティンパニの人はバシッと決めて右手を最後振り

上げていました。各楽章が終わってもみんなしばらく息を殺して余韻にひたっているような雰囲気があって、

客席の雰囲気もたいへんいいものでした。演奏者がすべて引き上げた後まで拍手が鳴り止ます、ブロムシュ

テットさんがステージにふたたびステージにあらわれて拍手を受ける場面もありました。

 ・・・・・・どうも今日のはうまく書けないなあ。どうしてだろう。とにかくすごかった(オイ

 

小林 研一郎  日本フィルハーモニー交響楽団 第297回名曲コンサート 2005/1/16 サントリーホール

 ヒサビサに日本フィルをきくことにしました。前半ドヴォルザークの「新世界より」後半サンサーンスの交響

曲第3番という、じつになんちゅうか。なプログラム。

 大変な荒天で、雨がざんざん降って寒くて、そのせいか客席には空席が目立ちました。

 最初に「新世界より」これはたぶんあんまり練習しなかったんじゃないからん。ところどころ「いいのかなー」

みたいに入ってくる楽器が多かった気がする。ただ、慣れた曲ですから、かなりあつい演奏になっていました。

また、思いがけないリズムが強調されたり、ちょっと普通とは違うバランスになっていたりと、いろんなシカケが

されていて面白かった。ただ、第1楽章の金管楽器の刻みの乱暴さとか、音の汚さとか、そういうところが目立

ったし、全体に仕上げ不足の管が否めない演奏でした。まあ、ニヤニヤしながらきくようなところは多々あった

とはいえ。

 休憩後のサンサーンスのほうはこれにくらべてきちんと仕上げてあったと思います。こちらはそんなに詳しい

というほどの曲ではないのですが、豪華に鳴らしてきかせてくれました。第1楽章の木管楽器のあの、ブキミな

刻みが実に効果的で面白かった。

 あと、タイコ叩きとして気になったんだけど(なにをエラソウニ)ティンパニがばかに鳴らない楽器だなと思いま

した。かなりがんばって叩いているのに音が飛んでこないっていうか。ちょっと物足りなかった。

 アンコールはハンガリー舞曲第5番と、オルガン付の最後の部分。ハンガリー舞曲はとにかくとってもヘンテコ

な演奏でした。

 コバケン、うなるねしかし。新世界もオルガンも、違うパートがひとつ加わったくらいの唸りよう。あれはできたら

80%削減(当社比)してほしいかも。ハンガリー舞曲の中間部の唸り方なんか、湯へ入っているようだったってば。

 

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