GからJの作曲家

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ガーシュイン キューバ序曲

ガーシュイン ピアノ協奏曲

グラズノフ 交響曲  第5番 

グリーグ 劇付随音楽「ペール・ギュント」

グリーグ ホルベルグ組曲

ホルスト 組曲「惑星」

オネゲル 交響曲 第2番

オネゲル 交響詩「夏の牧歌」

イベール ディヴェルティメント」

ヤナーチェク シンフォニエッタ


 ガーシュイン キューバ序曲  マータ指揮  ダラス交響楽団

 楽しい曲です。ハデなファンファーレに始まって、いきなり弦で楽しげな旋律が踊りだす。そのあと、ボンゴやギロ、クラベスなどがリズムを刻んで、やや熱帯風のメロディになります。
ずっとリズムが刻まれているわけではありませんけども、おおむねリズムが刻んでノリノリです。途中、調がかわってややものうげな雰囲気になったりするのですが、これもじつに熱帯風で、映画音楽のような雰囲気です。ボンゴの「からからから・・・・・・」というロールと、クラリネットのものういソロに導かれて始まるゆったりとした中間部は、ややジャズ風味をおびたものうい部分。ここも熱帯っぽい雰囲気がかもし出されます。突然また、ラテン風のリズムがかえってきて、最初の部分を回想するようにひとしきりもりあがって終わります。
 
 わかりやすいし、楽しい曲だと思います。マータの演奏は、私の持っているほかのCD(と言っても3枚くらいだけど)と比べて、テンポが軽やかで、打楽器の響きも軽快、旋律をひく楽器の表情も豊かで、ダントツで楽しさでまさっています。っていうか、こんなにノリノリの演奏は他にないんじゃないかしらん? 他の演奏で出会っていたら、また違った印象を受けていたんじゃないかと思います。


ガーシュイン ピアノ協奏曲 inF

 ガーシュインの有名作といえば、ラプソディ・イン・ブルーでしょうけども、ピアノとオーケストラの作品といえば、これも捨てがたい作品です。第1楽章は打楽器の強打で始まり、ちょっとものうげな感じと、軽快なアレグロが交替します。曲の表情もくるくる変わって、ひとむかし前の映画音楽みたいな雰囲気もないではないかと思いますけども、それだけにとても聞いていてわかりやすい楽しさがあります。逆にその、入れ替わりの激しさが、わりと同じ主題が出てくる「ラプソディ・イン・ブルー」と比べて、すこしわかりにくいというきらいは、あるかもしれませんね。
 第2楽章は、ゆったりした楽章です。トランペットのものうげな長いソロから始まって、クラリネットの合いの手もなかなか。ピアノが出てくるとちょっとリズミカルな感じになります。最初のトランペットのメロディが、弦楽器で出てもりあがったり、フルートで吹かれたりするのです。全体にややモノウゲな楽章。
 第3楽章は一転して緊張した雰囲気で始まり、細かい音符の場面が続きますが、前の楽章のメロディを回想したり、最初の忙しいメロディをおりまぜたりしつつ、楽しい雰囲気ですすんでいきます。最後はドラが鳴ったり、最初のティンパニのリズムが聞こえたりして、ちょっともりあがります。たぶん分析的に聞いたりするとけっこうヤヤコシイものなのかもしれませんが、ふつうに聞く分にはなかなか気楽に楽しくきける曲だと思います。

 たぶん、アンドレ・プレヴィンがピッツバーグ交響楽団を弾き振りしたCDなんかが、代表盤になるのかしらん?と思いますが、しかしこれはなんだか、ウチの機械の再生では録音的にややこもった感じがするのと、ややマジメすぎる感じがして、イマイチ好きになれないのです。ノリノリでやっている演奏がないかなー、と思っているのだけれど、なかなかないんですよねえ。Virginレーベルから出ている、ウェイン・マーシャル(やっぱり弾き振り)/オールボルグ交響楽団(どこのオケだろうと思って調べたらデンマークみたい。)の演奏が、第1楽章なんか速いテンポで、ピアノも割と自由な感じで楽しそう。今この曲の演奏で一番聴いてしまうものかも。このCD、他の曲もおおむね気楽にやってんだか興奮してめちゃめちゃやってんだかわからない雰囲気で楽しいかも。
 


 グラズノフ  交響曲 第5番     ヤルヴィ指揮  バイエルン放送交響楽団

 この曲は、いかにもロシア風のメロディや情趣のあるいい曲だと思っています。もっともっと聴かれていいのではないかと。ロシアものがスキなひとは必聴!!

 第1楽章は重厚な主題と子守唄のよーな素朴な主題による楽章。それぞれのテーマがなじみやすいです。この曲はたしか「英雄」みたいな副題が一部にあった気がしますが、1楽章第1主題は、ちょっとロシア風の「英雄」っていう感じがします。
 第2楽章は木管によるいそがしいテーマではじまるスケルツォ。中間部のメロディがじっつにチャーミング。だいすきな楽章。ちょっと、「くるみわり人形」を思わせるかな。第3楽章は緩徐楽章。クラリネットのひなびた旋律と金管の念を押すようなリズムが印象的。終楽章は勇壮な楽章。序曲風っていうかなぁ。ロシア風の力強い主題があらわれます。まあ、かっこいい。と言っておけばまちがいない。(いいかげんだなぁ。)ヤルヴィの演奏はこの曲の魅力をよくひきだしたバランスのいい演奏です。うたいこみすぎてくどくなったりしていないので全体の見通しがいいってゆーか。あまり比較して聴けない(CD自体あまり種類が出てないし、どれもけっこう高い)のですが、いいんじゃないでしょうか。


グリーグ  劇付随音楽「ペール・ギュント」  マリナー指揮 アカデミー室内管弦楽団

 ドイツ語版ということで評価がおちているということはないと思うのですが、あまり評価されているって話をききませんねぇ。まあ、ワタシはマリナーという指揮者はあんまりスキではないのですが。なぁんか何を聴いても音楽が平坦な気がしちゃう。けんども、この演奏ではじっつになんか表情に富んだいい演奏をしていると思います。序曲のViolaのソロのヤサグレた感じが出ている演奏はなかなかないし、そのあとのクラリネットも実にしっとりと歌っている。全体に楽器の表情がいきいきしているし、迫力をだすところでは十分に迫力がある。いつものマリナーとはヒトアジちがいます。ソプラノのルチア・ポップもなかなか良い感じでは? (って声楽はウトイのですが。)いくつか演奏を聞いて、このようにイキのいい「ペール・ギュント」はなかなかないように思います。
 この曲はよく組曲版できかれることがありますが、ぜひぜひ全曲版できいてほしいところです。アジワイぶかい曲がたくさんあるし、できれば ウタの入っている曲はウタのある版できいてみた方がよいようですね。ダフニスとクロエ(ラヴェル)とか、 めじか(プーランク)とか...。あ、でもイチガイにはいえないな。フォーレのパヴァーヌとかは悩むトコだし。 まあでもいろいろきいてみたほうがいいしね(何このいい加減な態度)。


グリーグ  ホルベルグ組曲  レパード指揮 イギリス室内管弦楽団

 さわやかにリズミカルに始まる序曲が印象的です。そのあとは、サラバンド、ガヴォット−ミュゼット−ガヴォット、エア、リゴードン、と、古典舞曲のタイトルが並ぶ組曲です。このように古典舞曲の名前が続いてはいるけれど、ただ古典的な曲というわけではなく、民族的な要素が強くて、美しく、また、爽やかな印象を残す曲です。サラバンドは、しっとりとした旋律でゆっくりと歌う音楽、ガヴォットも、軽い舞曲ふうというより、どこか典雅な雰囲気を漂わせています。エア、は、どこかしら切なげな歌の楽章。最後のリゴードンは、忙しい動きの舞曲です。

 レパードのCD、というか、この曲のCDを、どうして買ったのかすっかり忘れてしまいました。このレパードの演奏は、この曲の爽やかさや美しさをよくあらわしていると思います。レパードという指揮者、いいのかな。と思ってこのあと数枚のCDを購入しましたが、未だに評価のよくわからない指揮者です。


ホルスト  組曲 「惑星」       レヴァイン指揮 シカゴ交響楽団

  いまからこの演奏をべたぼめするのでかくごするよーに。この演奏がシカゴならほかの演奏は2か3だな!!

 ...え、かえれってですか。まーそーいわんと。本人もはんせいしてるようにもみえますし。(みえるだけ?)この曲はいちじきオーディオ系でもてはやされてイロモノ的なあつかいをされてるところがあるよーですが、けっこうしっかりした作品だと思っているのです。わかんないけど。
 いままではメータの旧盤をきいていて、けっこう満足さん(なんじゃそりゃあ)でしたが、この演奏ですっかりとんでしまいました。スゴい演奏です。冒頭、火星。緊張感に満ちたハジマリ。そして手加減のない大音響!レヴァイン&シカゴ響にとっては「こわいもんなし!」ってカンジかな?全般にオーケストラのスゲーテクニックがびかびかと光っているのですが、それをタンノウするシヤワセみたいなもんがございます。こういう演奏をきくとやっぱりシカゴはすんごいオケだなぁと思ってしまいますね。もうしばらくこの曲のCDはこれでOKっていう感じです。録音も良い。この曲の魅力をほんとーにあますことなく描き尽くした感があります。っていうかですね、このCDをきくとなんかこう、古いテレビを新しくした感激みたいな...。今までのアレはなんだったの?みたいな...。スーパーはいてく。(???)


 オネゲル 交響曲 第2番   ミュンシュ 指揮  パリ管弦楽団 

 第2次大戦中のヨーロッパを材に書いたと言われるとおり、重苦しいカンジの作品です。楽器は弦とトランペット1本だけ。さてさて。

 そのよーな理屈はこっちにおいて。この曲をクラシックきかない友人にきいてもろたところ、なんかのホラー映画の題名を挙げていました。たしかにフンイキあるかも...?

 第1楽章はあとで現れる主題を下敷きにした重苦しい感じの序奏からはじまります。ここんとこの和声なんかもういかにもオネゲル!!って感じです。突然アレグロになってざっくりした主題があらわれます。ここんとこあたりほんとにホラー映画の伴奏にでも使えそう。で、さっき序奏でゆーっくり出た主題がヒステリックに現れます。後半ゆっくりになりますが、全体にかなり緊張感の強い楽章です。
 第2楽章は引きずるような伴奏に乗って歌うひたすら重苦しい楽章。時代の空気を反映している。ということでしょう。安直っちゃあ安直ですけど。チェロの重苦しいソロがききどころ。
 第3楽章はピツィカートで始まり、一瞬「スケルツォかな?」と思わせられます。パワフルな主題が印象的。すぐに混乱した響きに支配されてしまうのですが。で、そのなかから開放を表わすトランペットの輝かしい響きがきこえる。(出番はここだけ。なんてオイシイんでしょう!!)このあたり感動的ですね。

 ミュンシュ盤がじつにエッジのきいたいい演奏だと思います。カラヤン盤もなかなかだけども、最後のトランペットが弦の後ろにかくれてしまっているのが残念。プレートルによる全集では、このトランペットが、なかった!実はオプション(省略可)って書いてあるんだけども、省略しないでほしいなぁ。救われないまーんまだもんね。
 最近デュトワ盤を買いました。念を押すようなリズムがスゴイ。キライじゃないけど「やり過ぎ?」って感じも。


オネゲル  交響詩「夏の牧歌」 マルティノン指揮 フランス国立放送交響楽団  デュトワ指揮 バイエルン放送交響楽団 

 「私は夏の暁を抱いた...」とかなんとかいうアルチュール・ランボオ(わざと。)のエピグラフに霊感を得たという。そう思って聴くと夏のケダルイ朝と小鳥たちのうたごえか。と聴こゆ。

だがしかしエライ先生がたは作品自体は何ら文学的、絵画的イミをもたないと口をそろえる。まあ、どっちゃでもえーわな。もうほんとうにものすごく美しい曲です。私はたしか高校生の頃にはじめてきいたのですが、イッパツで気に入ってしまいました。冒頭のアンニュイな感じのホルンのうたやその後の木管や弦のきらめき。すばらしー魅力をもっています。ポピュラーのヴァイオリンのヒトがアレンジしてやってましたが、まあそれくらいわかりやすい。ただ、オーケストラの音色感もタノシミのひとつなのでやっぱり原曲できいてほしいですが。私はこの曲をきくときはかなりひたひたとひたりきって、いい景色を眺めるときのように聴きます。だからわりとキブンのいい時に聴くことが多いですね。

 弦楽器のけだるい音形の上に、ホルンが息の長い旋律を吹き、オーボエにうけつがれていく。木管楽器やヴァイオリンが、鳥の声か、朝つゆのひかりか・・・といった感じでくわわります。旋律はやがて弦楽器にうけつがれ、そのあとひとしきり鳥の鳴き交わすようなエピソードの後、軽快な感じのテーマがあらわれます。このあたりもでも、うるさくはならない。朝があけていくようです。で、ふたたび最初の旋律があらわれ、これに第2のテーマがからみあう。

 この曲を夏の朝の空け始めにしみじみ聴く、というのがけっこうゼータクっぽいんだけども、なかなか叶いませんね。夏休みがあったあのころがナツカシイ(はいはい!!)

 マルティノンのがなじみぶかく、オケのバランス的にもいいです。最近買ったデュトワ盤がまたこれ美しく絶品。ゆっくりしたテンポで堪能させてくれます。泣ける。


 イベール ディヴェルティメント  フレモー 指揮  バーミンガム市交響楽団 
                     
デュトワ 指揮 モントリオール交響楽団

 喜遊曲、という日本語訳がぴったしって感じの曲。サーカスか何かのようなイントロダクション。弦楽器が忙しく動き回ります。ウッドブロックなどが参加してユーモラスな雰囲気。2曲目の「行列」は、幻想的な雰囲気で始まりますが、いきなり速くなって、元気のいい感じの音楽になります。ドラムロールにのって、メンデルスゾーンの「結婚行進曲」が始まったかと思うと、いきなり中断されたりします。ここは花嫁が帽子をロバに食べられる場面、とかいう話をどっかで聞いた気が。
 3曲目は、「ノクターン」低音の弦楽器の呟くような旋律で始まります。ノクターンと言ってもあまりロマンティックな感じではないですね。やや緊張感をもったようなゆったりした楽章。つぎは、「ワルツ」ハデな感じで導入があり、ワルツのリズムを刻んだかと思うと、不安定な感じの3拍子の旋律がでて、そのあと、ワルツ、という感じの旋律になります。最後のほうの合の手の、グリッサンドとかするユーモラスなトロンボーンは「美しく碧きドナウ」のパロディ?
 次は、「パレード」まんま、歩くような旋律がでます。ファンファーレ風のとトランペットもきこえて、やがてその旋律が軽快にあらわれます。
 フィナーレは子供がめちゃめちゃに叩いたようなピアノの不安定な導入に導かれて軽快な旋律があらわれます。笛が「ぴーっ!」と鳴ったりして、サーカスマーチのような雰囲気。途中、ヘンテコな合の手で中断されます。

 おもちゃばこをひっくりかえしたような、という形容を使いたくなるような、ユーモラスで楽しい曲です。私の持っているCDの中では、デュトワ盤がいちばん楽しいし、うまいと思います。私はこの演奏に不満をいうところはないように思います。この曲は、室内管弦楽のための、ということで、小編成用の曲です。フレモーの演奏は、ほんとうに室内楽的な響きで、それぞれの楽器の音がいちいちきこえてきて、この曲のユーモラスさをよりいっそう引き立てている気がして、スキです。ちなみにこのCDに入っているやはりイベール作曲の「バッカナール」は、NAXOSから出ている佐渡裕さんの盤がぜんぜんメじゃないほどのブチ切れようを発揮しています。


 ヤナーチェク シンフォニエッタ   マッケラス指揮  ウイーンフィルハーモニ管弦楽団 

                      クーベリック指揮 バイエルン放送交響楽団

 そーくる、じゃなくてソーコル、っていうチェコの体操協会の、なんかの大会用にたのまれて作ったファンファーレをもとに作曲された5楽章のシンフォニエッタです。とはいっても第1楽章がファンファーレ、ってゆーことからもわかるようにちょっと一般の「小交響曲」のイメージとはちがったものになっています。通常編成のオーケストラのほかに別働隊のファンファーレ隊が必要なので出演のお礼のおかし代とかですこしお金がかかる...?

 第1楽章はファンファーレです。といっても吹奏楽のハデなファンファーレをイメージしていると肩透かしをくらう。民俗的な雰囲気のファンファーレ。ティンパニがドコドコ叩いたりしてなかなか面白い。ファンファーレだけなのでわりとみじかい時間で終わってしまい、せっかくおれいのお菓子まで用意して頼んだファンファーレ隊はしばらくお休みってことになります。

 第2楽章はアンダンテ。クラリネットのアルペジオの上にリズミカルなテーマが出る。民俗的です。ゆったりしたテーマも出てこのふたつがいいあんばいに絡み合います。中間部は金管が夜が明けるように歌い上げる。アンダンテ、とはいってもなかなか動きのある楽章。

 第3楽章は嘆くような旋律。中間で金管楽器が叫んだりするが全体的には美しい楽章です。

 第4楽章 トランペットによるリズミカルな主題で始まるアレグレット。楽器を変えてくりかえされます。変奏曲、らしい。

 第5楽章 寂しげなテーマが木管で吹かれます。これがしだいと展開されながらもりあがり、フタタビ冒頭のファンファーレが吹き鳴らされて堂々とおわります。

 曲全体の旋律が民俗的なので、けっこうシタシミやすい作品だと思います。

 マッケラス/ウイーンフィルの演奏は、曲の性格もあるのかもしれませんが、金管楽器が「バリ」とかゆってみたり、「これがウイーンフィル?」っていう感じのメリハリのきいたカッチョ良い演奏になっています。ただワタシの好みでは第4楽章のベルはチューブラーベルの方が好きなんだけども。(オイレンブルグ版スコアでは「カンパネリ」とか書いてある。)
 しかししかし。マッケラスがウイーンフィルを振ってヤナーチェクをレコーディング...って、なんともフシギな取り合わせのような気がするんだけど...。

 クーベリック盤は、ORFEOから出てるヤツです。ややまったりした感じながらものたりないところのない演奏。素朴な感じの音色感がいい感じです。


 

おかえりはこちら。

つぎ