KからMの作曲家 |
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組曲中2曲目の「ギャロップ」(注。競馬雑誌のことではありません。)は、運動会の定番ですね。今もそうなのかはちょっとわかんないですが。(モーニング娘あたりがかかっていそうな気がする...。)だいたいきけば「おうおう!これね!!」とうなづけることとお察しいたします。しかししかしこの組曲全10曲をきいたことあるとおっしゃるお方は多くはございますまい(なんか変だな文体が。)決して運動会おにぎりおとーさんビデオがんばってきゃーきゃー的なフンイキではなく、(どんなフンイキなんだよ!!)むしろ新古典的でシンプルな楽しい作品です。いちおう色彩的な曲なので、新しい録音でききたいものですが、適当なものが思い当たらないのですねぇ。とりあえず聴いてみようって方にはナクソスからでているイェルヴァコフ指揮モスクワ交響楽団のCDなんかいかがでしょう。楽器同士のバランスなんかに難があるっちゃーあるのですが、結構たのしい雰囲気はつたわるのではないでしょーか。あとはワタシはサヴァリッシュ盤をもってますが、ちょっと上品かな?
もともと児童劇のための伴奏音楽だったものから組曲にしたものだそうです。この曲もいち時期そのシンプルさにあこがれてズイブン聴きました。
ミヨー バレー音楽「屋根の上の牛」 バーンスタイン指揮 フランス国立管弦楽団
ジャン・コクトーの台本?によるバレーのための曲。見たことはないけれど、禁酒法時代を舞台にした、大きな仮面をかぶって踊る、シュールな作品だそうです。冒頭からギロがギィギィ鳴って、賑やかに始まります。音楽的には冒頭の旋律が出てきて、そのあとけだるい旋律やら、賑やかな旋律やらが次々と出て、また冒頭の旋律が間にはさまって出てくるという、まあ、わかりやすいといえばわかりやすい形式。ミヨーの複調音楽の特徴も良く出ていて、たぶんバレーとあわせてきくと、相当ヘンテコな感じがするんじゃないだろうか。ドライな音楽で、感動のクライマックスとか、美しくメロメロ…みたいな部分もないんだけどね。
たぶん、よーく分析してマニアックに演奏することもできるのでしょうけれども、バーンスタインはあまり冷たすぎない音楽にせずに、この曲のたのしさやアヤシさを的確な感で出しているんじゃないでしょうか。こういうの、なかなかバーンスタインはウマイなと思うことがあります。
モーツァルト 歌劇「フィガロの結婚」序曲 ムラヴィンスキー指揮 レニングラード管弦楽団
まあ、ワタシはオペラはだめですが。これはスゴイ演奏だよぉ。緊張感がびしびし伝わってくる。旋律のうたいまわしや、宇野センセーふうにいうと「血がでそうな」←(全然宇野センセー風じゃないじゃん?)アクセントとかスゴイ。なんというかものすごく敏捷ないきものがとびまわるようなかんじ。あるいはノーズイにびしびしくるっていうか?この演奏を聴いて、オペラ大丈夫な私の知人はかくのたもうた「こんな調子でオペラ一曲やられたらオカシクなっちゃうよ!!」...確かにそうでしょう。シンフォニー1曲でもツライかも。でもムラヴィンスキーがふったモーツァルトのシンフォニーきいてみたいね(まだきいたことない)きっと体力勝負なんでしょーねー。そうなると体力に自信のない私はとてももちまへんわ。逃げるぞ!!
モーツァルト 交響曲 第34番 ハ長調 ジョルダン指揮 アンサンブル・オーケストラル・デ・パリ
モーツァルトのシンフォニーが「らしく」なってきた頃の作品ていったらヘンかな?この曲モーツァルトの曲のなかでもけっこうすきな曲です。すごく健康なかんじ。プラハも好きですが、あまりこの曲は「陰」の部分が感じられない。うつくしいです。33番はクライバーが振っていくらかメジャーになりましたが、こちらには寄ってくれなかったようです。残念。第1楽章はC(ド)の音のオクターブ跳躍ではじまる元気な楽章。ラジオ体操のおにいさんのよーにさわやかでありながらラジオ体操のおにーさんのようにうるさくない。(意味不明だが、朝がダメなワタシはあのサワヤカな声に何度殺意をいだいたコトか...脱線。)第2主題など、いかにもモーツァルトといった感じの洗練されたアジワイが堪能できますかと。第2楽章は上品。装飾音符だらけの主題が午後の紅茶ってカンジ。(ふたたび意味不明。)たゆたうメロディがもういかにもモーツァルトって感じにうつくしい。もーたまりまへんでほんま。このメロディはモーツァルトが書いた中でいちばん好きかも。3楽章はいそがしげなフィナーレ。華やかな主題で躍動感にあふれた楽章ですが4分ほどでスバヤク終わってしまいます。
ジョルダンとアンサンブル・オーケストラル・デ・パリの演奏は、ドイツ風とかそういう重心の低さはぜんぜんなくて、ひたすら「おされ」なモーツァルトって感じで、王侯貴族のあなたの午後のティーなどにぴったしかと。(オイオイ)っていうか、第2楽章なんかでその明るさをみごとに発揮していて美しい。
モーツァルト 交響曲 第41番 ハ長調 「ジュピター」 ベーム指揮 ウイーンフィルハーモニー管弦楽団
モーツァルトのシンフォニーの中で、かなり気に入っているひとつです。(あとは38番とか。)モーツァルトは若くして亡くなりましたが、もしあと何年かあったらどんな音楽を書いていただろうといつも思ってしまいます。
むかしはよくきいたベームという指揮者をここしばらく敬遠していたところがあるのですが、(まあなんとなく聴かなかっただけかもしれませんが。)この演奏をすごく気に入ってきいたおぼえがあり、ヒサビサにだして聴いてみました。(ここんとこちょっと吉田○和ふう。吉田美和じゃないよ。)
やっぱり良い。すこしゴツゴツしたかんじはするけども、晩年のベームとは思えない速めのテンポの中からいきいきしたモーツァルトの音楽と上品なカオリがするのです。このごろの現代楽器のモーツァルトとはまたすこしチガウのですが、伝統のなかにこういう演奏もあった。ということでしょう。全体にはむしろベートーヴェン演奏のながれにのっているようにワタシにはきこえます。メヌエットなんかのスケールの大きさ。すこしもこじんまりしない感じがそう思わせるのでしょーかね。
カップリングの40番は、極端におそいテンポで淡々と進み、速いのがスキなワタシの好みとはちがうのですが、この曲の生命である「音楽の流れ」はきちんと生かされていて、これはこれでなかなか気にいっています。
モーツァルト 「レクイエム」 ニ短調 (モーンダー版) ホグウット エンシェント室内管弦楽団
まったくのハナシ、天才はナガイキできないのでしょうか?私が今世紀最後の天才!!と敬い奉った上方落語の桂枝雀師匠もなくなってしもうたし...(ぜんぜん余談。)
本題に。なんとかなしい音楽なのでしょうか。わたしはいつもフクザツな感傷なしにこれを聴くことができません。冒頭のさびしげなクラリネットのつぶやくようなメロディからもう引き込まれてしまいます。しかし、この曲は結局最後までモーツァルトによって書かれなかったのですねぇ。いつもそのことが残念でならない。というのもあります。結局ほんとうはモーツァルトがどうしたかったのか、誰にもわからんのですねぇ。
この演奏は、モーンダーなるヒトの手による改訂版によって演奏されています。そのことはわりとどーでもいい?のですが、女声部を児童合唱でやっているのがけっこう効果的だとおもうのです。カークビーのソプラノも美しい。なかなかオーケストラの各声部もバランスよくでていてあじわいぶかい。いくつかの楽章(ジュスマイヤーのオリジナルと思われるところ)のカットがあり、また、問題のラクリモーザはモーツァルトの絶筆の個所以降、まったく違ったものになっています。(ジュスマイヤー版と同じ位の説得力はあるとわたしは思う)あと、ラクリモーザのあとに、スケッチから完成したアーメン・コーラスなる個所があります。アヤシイといえばアヤシイのですが、気持ちいいといえば気持ちいい。吉田秀和氏はしっくりこないっていってましたが...。明らかにジュスマイヤーの作と思われる後半の曲はカットされています。
ムソルグスキー 組曲「展覧会の絵」 ショルティ指揮 シカゴ交響楽団
ストコフスキー指揮 ロンドン交響楽団
この曲って、よくクラシック名曲ってことで初心者向けに紹介されるけども、そんなにノドごしのいい曲ってカンジはしないんだよねー。フシギだ。なんか惹きつけるものがあるのでしょう。(むつかしー漢字をつかっちゃったなぁ。)げんにわたしもかなり聴き始めのころに出会った1曲ですけども、わりとなじめたし...。
もちろんそれぞれの曲がオモシロイですけども、最近は「リモージュの市場」のアクセントが強烈なヤツ、とか、「キエフの門」の静かな部分がそこはかとなく亡き友への思いを伝えてくるような演奏がないかなぁ、って思っています。
いろいろ出ていますが、ラヴェルの編曲がやっぱり完璧カンペキですね。ラヴェル版になれたらストコフスキー版も面白いでしょう。ユニーク、個性的っていうことで、けっこう楽しいです。いきなりストコフスキー版から聴く!ってゆーのはオススメしません。お花見でどじょーすくいをおどって大盛り上がりのときに見かけたのが初対面でしたあのひととは...っていうひとの第一印象が「かっこいい」ということになるには努力が必要でしょう?なんかよくわかんない例えですがそういうようなことです?
。ほかにもゴルチャコフ編曲版等々ありますが、結局ラヴェル版に戻って来るし、そうすっとショルティのよーなどっしりきっちり鳴らす演奏が良くなると思います。
カラヤンのもやけに重厚でユニークですね。(ただこの曲はもうちょっとあったかいアジワイの演奏がありそうだ、と思っているんだけどね。)
ゴルチャコフ版はナレーション入りですがリッケンバッヒャー盤がとてもよいです。
ムソルグスキー 交響詩「禿山の一夜」 スヴェトラーノフ指揮 ソヴィエト国立交響楽団
あのほとんどむちゃくちゃなストコフスキーの「ファンタジア」版は別として、一般的なコルサコフ版でイチばんすごいのがこの演奏でしょう。おどろおどろしい。この曲も演奏によってでてくるオバケのかおがずいぶんとかわりますが、この演奏であらわれるのはまさにパワフルなロシアの正統派っていうかんじ(どんな「正統」なんだろうー?)。あるいはキングの小説にでてくるよーなしょーしょーのことではこたえねーぜ!!ってかんじの。ナヨナヨしてない!!(そんなのオバケとちがう?でも「ホーンテッド・マンションのヒトタチも元気そう(?)でしたぞ?)
オケも曲によってはやるこたあやってくれなきゃ困るワケですが、この演奏はやってる。もっともオケの体質がこの曲に合ってるだけと言う説もあるけど。がんばっています。
カップリングの「展覧会の絵」は、つぎはぎ録音の類ではないらしく、最後のがんばりどころでオケがへろへろになっていて気の毒。吹奏楽でもときどきやりますが、むかし演奏したことがある金管の友人のハナシでは、ラスにあの「キエフの大門」は、「大門」とゆーよりほとんど「ゴーモン」であるらしい。わかる気もするが。
マーラー 交響曲 第4番 ト長調 セル クリーヴランド管弦楽団
セルのマーラーは4・6番きりですねぇたしか。第6番は録音のせいで損してる気が。あれで録音が良かったらかなりぶっとぶ演奏じゃないかなあ?
この、第4番の第1楽章はメロディのうたいかたとかテンポのゆらしかたとかが結構むつかしいと見え、なかなかしっくりくる演奏がなかったのです。バーンスタインの旧盤は音が...あのラッパはちょっと...。
ところがところが。このセルの演奏はこのテンポのゆれうごかしについてほとんど放棄しているのです。私はなんだかセルと言えば速めのテンポでシャープな演奏をするイメージがあるのですが、ここでのセルはじつにゆったりとしたテンポで足を地にじっくりつけて進んでいくのです。そのためバーンスタインの後で聴いたりすると高速道路で走ったあと教習車のうしろをはしるよーなイライラ感をかんじることがあるのですが(たとえが不適切かな?)慣れてくるとこのおちつき感がたまりまへん。彦六師匠の芸のよーだ。(ウソだし一部のヒトにしかわからん。)第1楽章のもりあがるところ、バーンスタインだとテンポをあげてゆさぶるあたりも、泰然自若。ゆるぎなきヒビキでもって聴かせてくれます。こういう演奏だと、終楽章のうたの合いの手のようにはいるところ(例の鈴のおととともにはじまるとこ。)なんか迫力不足なんじゃないの?とか思いそうですが、けしてそんなこともない。いずれにしてもこの曲の天国的風景をよく描いた演奏だと思います。アツいのじゃないとからだがうけつけない方にはオススメできませんが。私にはもうかなりながいこといちばんしっくり来る演奏です。
ガッティ盤。第4楽章のツィーザクの歌がもうそりゃあすばらしくてまあ言ってみると萌え萌えなのです。なんてなんてケーハクな。ここだけをときどき聴きます。今のCDプレーヤーを買ったとき、店頭試聴用に持っていきました。店の人に感想を尋ねられたので、「ここだけはものすごくいいです!」と答えて笑われました。
マーラー 交響曲 第5番 嬰ハ短調 バルビローリ ニューフィルハーモニー管弦楽団
ガッティ ロイヤルフィルハーモニー管弦楽団
くせになる暗さ。をもった曲ですねぇ。2楽章あたり、たまんないっすねぇ...
あいにくバーンスタイン盤をもっていません。前になにかできいた感じではかなりの根性もんでなかなかでございました。(←後記。聴きましたコレ。ちょっとキツイ...特に第一楽章の遅さ。ワタシにはもたれちゃう...。いい演奏なのかもしれないけど。)
バルビローリ盤がけっこうあつい演奏です。深みのある泣き節(?)がココロをえぐるのであった。きめるとこもよくきまってるし。アツイが音楽の流れは自然。この曲の本質をじつによくとらえきった名演といえよう。(なにマジになってるんだろ。)最近一部でシェルヘンのこの曲の演奏が話題になったよーですが、バルビローリの方が私には本質的にかんじられます。シェルヘンのじゃあ、うるうるはしないもんね。
ガッティ盤はもう冒頭のファンファーレからやけに間をとっていて、いきなりこれはフツーじゃあないぞ!とおもわせられます。そのあともじつにまんべんなくうたがあって、聴いていて油断ができません。もちろん叫びたてるよーな部分もあるのですが、そういうときにもきちんと冷静に「音楽」があるところもよい。ただやかましいだけの音楽ではない、感情的なだけでないあたりがじつにミゴトです。けっこうすごいヒトがでてきたのかもしれないぞと少しおもっているのです。ケースの中の写真はすこし古畑さんはいってる気もしますが。えーーふるはたですぅ...
マーラー 交響曲 「大地の歌」 ザンデルリンク指揮 ベルリン交響楽団
「生は暗く、死も暗いっ!」
と歌い上げるおもきそ暗い曲、っていうか、そのへんはホラーだね。この曲の第1楽章は、死への恐れや怒りや悲しみや、そしてまた憧れのようなものまで歌いこんでめっさ恐ろしい。このCDではペーター・シュライアーが感情込めまくりで絶叫してしまうのでなおさらオソロシイ。ザンデルリンクとベルリン交響楽団もこれと共謀して恐ろしげな音を作っている。冒頭のホルンもばっちり叫んでいてシュライアーの叫びをサポートしているし、フルートのフラッターなど、秋の夜にうつろに響く虫の音のように虚無を感じさせる。オソロシイ。あとは第6楽章のオーボエのところの響きとかが印象的だ。
ザンデルリンクのきっちりした音楽作りがオーケストラに多くのことを語らせているのであろうか。それにしてもこの「大地の歌」はオソロシすぎる。
アルトの人がもうちょっとがんばってくれればいうことなしなんだけれど。
最近ヨッフムの演奏もきいた。早い楽章がかなりのおまつりさわぎになるのがおかしいがなかなかの演奏だった。ドイツドイツした指揮者に合うのだろうか。