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2003. 7.17. Up Dated.
−REITのファンド・オブ・ファンズ−    
  
近々、REITを組み込んだ投資信託商品が認められることになりました。
私自身、2001年のREIT株価低迷時にこの商品の必要性を感じ、提唱していた時期もありますし、一部の資産運用会社も投資信託協会に解禁の申し入れもしていました。

当時、私が考えていたファンド・オブ・ファンズの必要性の理由は、
  • 投資単位を1万円程度に小口化すれば投資家の裾野を広げられる
  • 投資信託にすることで、オープンエンド(払い戻しができる)化し、市場で売買しなくても換金できる
  • 証券会社にとっては定期的な運用報酬が入るので、販売に積極的になる
  • 銀行等の窓口で販売できるようになり、販売チャンネルが広がる
という点でしたが、これらは今日の状況でもほとんど同じだと言えます。
特に、最近のREIT認知度の向上と取引価格の高騰により、個人投資家のシェアが低下し法人の保有比率が増えている状況を見ると、投資家とは言えない一般個人をも対象にしないと個人の保有比率が減少の一途をたどってしまう懸念もあります。

一方、投資家(顧客)側から見ると、
  • 投資信託運用報酬という新たなコストが加算されてしまう
  • 投資リスクが見えにくくなる
  • 投資信託の運用姿勢によっては、通常の投資に比べると運用損が発生する可能性がある
等の問題があります。
本来、投資単位の小口化による投資金額の圧縮は、リスクとリターンも圧縮されるはずですが、リターンの圧縮のみが確定的で、リスクの圧縮が図られるかどうか分からないという点が気になります。この点について、もう少し詳しく説明すると、次のようになります。
  • ファンド・オブ・ファンズには運用報酬の二重取りという面があり、投資家はREITへの直接投資で負担する資産運用報酬に加えて投資信託運用報酬も負担することになり、REITの高利回り性を減じる結果になる。
  • 運用ファンド任せになるため、投資家が直接リスクを見ることが少なくなり、また、ファンドマネジャーによっては、ミドルリスク商品がハイリスク商品になってしまう可能性もある。
  • REITは本来長期保有による配当期待型商品であるが、売買益をも追求するファンド・オブ・ファンズでは、運用損の発生する可能性が高くなる懸念もある。
REITのファンド・オブ・ファンズには、以上のような心配もありますが、パッシブ運用にして商品内容を工夫すれば、かなり魅力的な商品になる可能性も秘めています。
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