空燃比の話
空燃比は混合比ともいい、空気と燃料の割合を示しています。
みなさんがよく知られている、理想空燃比がありますが、これは約14.7(空気):1(燃料)の割合で、燃料が計算上、完全燃焼する割合とされています。
しかしこの割合以外で燃焼は可能で、8:1から20:1までなら燃焼室での燃焼が可能になっています。
簡単に考えれば、常に理想空燃比になるように設定しておけばいいようにも思えますが、エンジンの状態や環境にもよって左右されますので、その都度最適な空燃比を設定しなければならないのです。
おおまかに空燃比の設定は以下の5種類あります。
1.始動時
2.低速時・アイドリング時
3.中速時(経済運転時)
4.加速時
5.スロットルバルブ全開時(パワー空燃比)
1.始動時
始動時はエンジンの温度も低く、霧化されたガソリンの一部しか気化できず、しかもせっかく霧化したガソリンがインマニの壁なとに付着してしまう等によって必要とされる混合気が燃焼室内に届かない。
このため、始動時の空燃比は5:1ぐらいの濃さが必要になります。
2.低速時・アイドリング時
低速時やアイドリング時では吸入する空気の量が少なく、排気する力も弱くなる。
このため燃焼室内では、まだ残留排気ガスが残っており、ここに混合気が入っても薄まるばかりで、爆発に力がなくなります。そこで燃費の問題より、エンジンを調子よく回すには12:1といったパワー空燃比に近づける事が必要になります。
3.中速時(経済運転時)
中高速時には負荷が軽く、燃費向上を重視するにあたって、14〜17:1ぐらいの混合比としています。
この領域は経済空燃比ともいわれており、16:1ぐらいがもっとも燃費がよい状態です。また負荷状況によって空燃比は変わり、負荷が軽いときですと14〜15:1ぐらいで、負荷が高いと17:1ぐらいの空燃比になります。
4.加速時
スロットルバルブを全開にすると空気量はすぐさま増加しますが、燃料の方は質量も大きく、出遅れてしまいます。これでは混合気が薄まり、着火しにくくなってしまいます。
そこで一時的に8:1といった濃い混合比にして出遅れを防いでいます。これはアクセルを踏んだ瞬間の一時的になる空燃比で、加速ポンプ作動って意味です。
5.スロットルバルブ全開時(パワー空燃比)
スロットルバルブ全開時にはエンジンに大きな力を要求することから、パワー空燃比である13:1の混合比にする必要がでてきます。
以上が空燃比の話で、例としてキャブレターでの説明でしたが、インジェクションでも基本は同じです。