アーシングの効果と弊害(2003.2.2)

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最近はアーシングも随分普及していますね。市販品でもよく見かけます。

今のうち告白しておきますが実は管理人は前からアーシングには疑問に思うことがありました。性能向上は認める所なんですが陰に隠れてそうな「何か」が引っかかるんです。アマチュア無線の電気工学レベル(しかも10年以上前なのであんまりアテには出来ませんが・・)でしか解らないですが、これは一方的に喜んでいる場合ではないぞ、と内心思っていました。この件については後ほど・・・

別にアーシングをのっけから否定しているわけではないですよ。

 

 

アーシングはレーシングカーから来た技術(技術・・なのかな?)で、ボディ(ボディアース)を通じてバッテリーに戻していた電気を直接バッテリーに戻す事をいいます。アースを多く取ることによりバッテリー・エンジン・ボディの電位変動をより安定させ、電気の整流化を促し、効率よく電気を流す事がその役目です。

その結果の効果は、エンジンのレスポンスUPやパワーUPやライトが明るくなります。これはアーシングによってより強力な火花を出すことが出来、完全燃焼へ近づけるからです。

意外なところではオーディオなんかにも良い影響を与え、AMラジオが良く聞こえるようになったとか、音質の改善があげられます。たぶんノイズの混入が減ったためでしょう。逆にノイズを拾ってしまう場合もありますね。

スターターも勢いよく回るなんてのもありますね。これはスターター-ボディにアーシングした場合ですね。

もっともアーシングした効果があるポイントはシリンダヘッド−バッテリー間でしょうか。これは前述の通りですね。

車によってはECUにアーシングすると効果あったという話も聞きました。

 

これらは実際全てのマイナスが配線によってバッテリー端子のマイナスに繋がっているわけでなく、ボディー(ボディーアースとか言いますね)やエンジンブロックを介して結果的にマイナス端子に伝わっているだけにすぎません。

これも抵抗を増やして効率を下げている原因の一つなんです。つまりはそうすることによって「接地抵抗等が増えてしまうから」なんですが、これらをアース線を増加することによって抵抗を減らそうとするのもアーシングです。

本当は効率の良い線で至る所を繋げばいいのはメーカーも解っているのですが、配線が増加すると車両重量は増えるわ配線処理に苦労するわになってしまいますからね。

 

ここまでの説明だと「やっぱアーシングっていいじゃん」なんて思うでしょう。それはそうです。なんていったって良い点しかまだ言っていませんから・・・

 

 

 

今度は弊害の方に触れましょうか。

 

まず弊害の主な実例として「ECUを始めとする電子機器の故障」「ヘッドライトの寿命低下」があります。オーディオが壊れたなんてものあります。

現代の車に置いてECUを始めとする電子機器の故障は致命的です。

現に故障してディーラーに持っていくと「アーシングは故障の原因になりますので・・・」という発言もあります。

なぜでしょう?

私が危惧している点はまさにここです。

アーシングの結果、電子機器の許容範囲を超えてしまわないか?ということです。

よく言われるのが電圧の上昇。

抵抗が減ると電圧(ボルト)があがります。これはオームの法則による所らしいですね。さらには繋ぎ方によっては電流(アンペア)も上がるそうです。

もちろん電子部品とてそれなりに許容範囲はあります。許容範囲に収まっていれば大事には至らないでしょうか収まらなければ・・・実例のあったとおりになってしまうわけです。ECU内部は繊細な電子部品の集合体ですからそうなってしまうのも頷けます。

センサー類へのアーシングも中途半端だと、よくないみたいです。ループ現象とかよくわからないですが、そういったのが起きるそうです。

 

あと場合によってはバッテリーも寿命が短くなるそうです。オルタネーターから発電される電気はレギュレーターがありますので一定以上にはならない訳なんですが、どういう訳か過充電されることもあるとか。この辺はさすがに因果関係がわかりませんね。でもアーシングやめたら平気になったそうです。ますますサッパリ解りませんね・・・・

電気は目で見ることが出来ないので難しい所ですね。

 

 

なんでアーシングして、こうなってしまうか?

あくまで推測ですが、元々ノーマルの状態で電子部品等ががキチンと動いてくれるように設計されているからでしょう。ノーマルでも年数がすぎれば抵抗が増えそうな気がしますが、電子機器とかは電気の不足より過大な電気の方がよっぽど怖いですからね・・・。不足してれば故障までいかずに調子崩すとか動かないとかになるでしょうから。

そういったことも含めて過大な電気に寛容になるよりも、ちょっとの電気不足でも動いてくれる寛容性を持たせてあるのかもしれませんね。(実際12Vないと動かない電子機器は少ないと思いますし、内部でちゃんと整えていたり安全装置があるのかも)

そこにアーシングをして効率よくしてみた結果、許容範囲を超えた場合に故障すると思います。またECUなどの電子機器は微妙な電気のバランスの上で動いていますからアーシングによってバランスが取れなくなったので不具合が起きたとも思えます。

そうなる前になんでヒューズが切れないのかとお思いの方。

ヒューズはジュール熱=電流×(抵抗の2乗)の条件で切れるそうですよ。よくわかりませんが。どうやら電圧上昇(ボルト)だけではヒューズは切れなさそうな感じです。

バランス崩すとヒューズか飛ぶ前にハーネスにダメージがくるそうです。ハーネスにダメージくるなら電子部品の回路上にあるパターンにもダメージきますよね。いやぁ、電気は難しいですなぁ。電気関係をちょっとだけかじった程度の私では説明がつきませんね。

 

 

「んじゃぁ、レーシングカーはどうなんだよ、故障してないじゃないか」と思った方。

GT選手権とかじゃないですかね、アーシングしてるのは。しかも10数年の歴史があります。

あのクラスになると、ノーマルハーネスはもとより、ECUなどの電子機器は違うモノに置き換わっています。

もうわかりますね?

ノーマルとはすでに土台が違うんです。逆にアーシングしてくれないと動作不良おこしちゃうぐらいなのかもしれませんよ、きっと。

おまけにトラブルでリタイヤさせるけにはいかないでしょうからキッチリ研究して対処しているんでしょうね。

まぁここら辺は推測でしかない訳ですからね、ちょっとアレですけど。

 

 

「んじゃぁ、どうして効果有るの知っているのにメーカーが最初からやらないんだ?」と思っている人。

前にも書きましたが、線が増える(配線処理が大変)・車の製造コスト増(材料費は言うに及ばず。特に製造・施工工程に関わる人件費)・車両重量が増えるとまぁ以外にメーカーにとってデメリットが出てきてしまいます。今では環境問題もあったりしますからね。重量増えたりすれば燃費なんかにもひびくかもしれませんし。

それらの欠点を払拭出来るほどの性能があがるのであれば、もっと前から取り組んでいたでしょう。

 

しかし最近はオプションでアーシングしている新車もあるそうで。

要求があればメーカーも答えるでしょう。メーカーが望んでいるのと違っていても。しかしその分は車両価格は上がりますしね・・

 

 

「俺はアーシングしたがレスポンスなんかがあがったぞ」という人。

おめでとうございます。成功ですね。

でも確か、アーシング施工する際にバッテリー端子を外して作業するとか。バッテリー端子を外して数十秒放置すると、ECUがリセットされます。

ECUリセットしたら前より調子が良くなったと感じる人は多くいると思います。ひょっとしたらそれだけなのかもしれません・・・・

 

 

「シャシダイで確実に馬力あがったぞ」という人。

タイヤを回して計測する方法は、きちんと正確に計りきれないみたいです。カタログに載っている馬力とかトルクの計測は、そういった計測法じゃないみたいです。

しかも以前と完全に一致した条件下ではないですし、連続でシャシダイで計っても必ず同じ値が得られるわけでもないですし、全開まで回すのを繰り返すとエンジンが次第に本調子になっていくという話もありますし・・・シャシダイは目安の一つですからね。

 

 

なんだか、ものすごく否定的な書き方ですが、「喜びの裏側」を考えちゃうと、こういった理由もあると言う訳もあるですし、本当にアーシング単体での効果なのか?とも疑問に思ってしまう訳です。

アーシングが成功したら実際にでも理屈上でも良くなるのは承知していますよ。

 

 

でもこういった電気関係は非常に複雑なので一般論とかでは一概には決めることはできません。こういった話は同じ車で完結させないと纏まらないですし、個体差や劣化具合、環境の違いとかも有るでしょうからね、やっぱり一概にダメとか良いとかに決めつけることはできません。

人によって乗っている車、使っているチューニングパーツはそれぞれ、車自体の素材やパーツの素材もそれぞれで電気的な特性なんかも違ってくるでしょうから、それらを同じ土俵に上げて「効果あった。いや無かった」という話も無理があるものだと思います。

アーシングも適当にアースを施せば良いというものではないです。これは実は相当に奥が深い話なんです。

素人のにわか仕込み程度で話が纏まるわけでもなし、テスターで計った結果だとしても測定機器がテスターだけでは心もとないような気がします。使用するテスターもプロ仕様の高価なテスターや、本格的に解析しようとするとオシロスコープなどの高価な測定器具が必要になってくるそうです。

 

「アーシングは故障の原因にもなる」ともディーラーの人は言っています。実際あったそうです。

たぶん、なんでもかんでもアーシングはだめというのではなく、数々の理論に基づき確実な施工をしたアーシングならOKという事なのではないかと思います。

そういえばこれって何にでも通じる所ですよね・・・

トヨタの場合だったらTRDで出してくれれば、ある程度保証されているようなものですから安心なんですけどね。(ちなみにTRD部品と純正部品の置き換えは同等の保証が得られます。byディーラー談)

 

ですから効果あった場合も害があった場合も適切なアーシングが出来たかどうかで別れると思います。

しかも電線とかってのは「繋がっていればOK」というお手軽なモノではないですからね。アーシングに使用している線や端子などの素材、結合状態、取付場所が一つでも変われば、電気特性は少なからず変化しますしね。

おまけに、アーシングとは別に故障の原因があるかもしれませんしね。

 

まぁ、そういった訳で私は付けてないです。

電気の流れを軽視できない事をホンのちょっとだけ迂闊にそして中途半端に知ってしまっているので、踏ん切りがつかないと言うかなんというか。

 

別にアーシング賛否論をしようとかは思っていませんよ。私は電気の事に詳しい訳ではないのでそればっかりは不毛に見えます。効果あったならそれはそれでOK。ダメだったらダメなだけで。

万が一電子機器がぶっこわれたらイヤだな。私が思っているのはただそれだけです。

 

ですからメリットの方は実際に効果有りなのでOKなんですが、デメリットの方は私は根拠ある説明が出来ません。たぶんデメリットとなる根拠の説明は非常に難しい物だと思います。しかも実際にやった訳ではないですから。

しかし理屈上でもそういったデメリット(弊害)となる可能性があるという点については、一方的に否定は出来ないかと思います。

メリット・デメリット含めて納得できないと自分の車に付ける気がしないのが正直な所でしょうか。

電気は目に見えないだけあって、取り扱いが非常に難しいですね・・・・

今回の話はなんだか中途半端ですが、そういった可能性もあり得るということで〆させて頂きます。


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