ラジエーター液交換・補充

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ラジエーター液は、LLC(ロングライフクーラント)や不凍液とも呼ばれています。さらにスーパーLLCといってもっと長寿命なLLCもあります。

エンジンオイルと違って、劣化による直接的なエンジン性能低下はありませんが、防錆防腐能力の低下、オーバーヒートの発生、ラジエーター液の凍結のよるエンジンへの深刻なダメージが考えられます。

また、単純に走行距離での交換時期の判定は難しいので年数経過を基準として交換をします。だいたい1年から2年毎。健全なLLCなら最低でも車検毎で交換すれば大丈夫でしょう。気になったら気軽に交換でもOKでしょう。

サーキット走行をよくする方は、マメにしたほうがいいですね。それとサーキット走行時には、冷却液をLLCでなく、水道水にすると冷却効率が上がるらしいですが、そのようにした後はすぐにでもLLCを混合したほうが錆などの発生を抑えることができます。

それと環境を考えるなら有害なアルコールを使っているのでラジエーター液の垂れ流しは良くないですが、大抵そのまま下水行きのようです。最近では業者が専用の回収機での回収もしているようですが、ユーザーレベルで対応してくれるかは疑問です。

ユーザーレベルでは全量回収は不可能に近いので交換はショップなどに依頼するのも手です。

それでも自身でやりたいのなら回収用の入れ物を用意する。そして処理はディーラーやGSなどにお願いしてするパターンになるかと思います。

 

1.交換準備

必要な工具/用品は、新しいラジエーター液、水道水、濃度を調整するための量がわかる容器(ジョッキが最適。オイル交換のとは別にしてください。)です。

新しいラジエーター液は普通原液で売られており、その地域の最低温度にあわせて濃度を調節します。濃度が調整済みのLLCも市販されていますのでそれを使うとラクできます。

また、いくら極寒地でも混合率60%以上で入れるとかえって凍結しやすくなるので注意が必要です。

LLCの必要な量はその車の説明書に記載されています。わからなければディーラーに問い合わせるか、オートバックスなどで調べればわかります。

 

また、ラジエーター液の色はどれでもいいです。元々緑色は錆の発生を知るために緑色をしているとかの説もありますが、現代ではラジエーターの構成する材質やLLCの質の向上によって、錆は現実的な大きな問題とはなっていません。

もちろん雑な管理をしていけば錆はすぐにでも発生しますが、健全なサイクルでの交換、健全なLLC原液、健全な水(水道水のこと)を使用していれば現実として大きな問題は起き難いでしょう。

↑LLCにも拘りを持つのもいいかも。

 

 

 

2.ラジエーター液の排出

まずエンジンが止まってないと交換できません。というか危ないです。かならず止めしょう。エンジンOFFの状態はLLC注入のとある段階まですよ。

 

そして十分に冷めるのをまってから作業に取りかかってください。でないと火傷します。

まずラジエーター本体の下の方に蝶みたいなプラスチック製のドレンコックがありますので、それを回して外すとラジエーター液が出てきます。

↑上から見たコック

 

ラジエーター本体上部に大きめのキャップ(ラジエーターキャップです)がありますので、これも外してください。するとさらに勢いよくでます。

 

このラジエーターキャップはラジエーター内の圧力をコントロールしている役目もしています。そのコントロール法はバネとゴム弁で行っています。

当然これらも劣化して期待するところの性能が発揮されなくなると、オーバーヒートが待ち受けています。ですから心配性の人なら車検毎に、そうでない人(?)は50,000km〜毎でいいでしょう。

 

スポーツタイプのキャップは圧力を高く掛けるように設計されていまして、オーバーヒート対策にうってつけですが、弱ったラジエーターホースやラジエーターに高い圧力を掛けると破裂するかもしれないので、その辺を十分考慮しましょう。

親切な場合ですとそういう風に説明書にも書いてあったりしますよ。

このパーツは正直強化ラジエーターコアを導入するレベルで必要になってくるパーツですね。

 

 

排出時開始時からラジエーターから一回で排出されるラジエーター液の量を測っておくと、ラジエータ本体の容量が大よそ分かりますので、あとあと役に立つときがくるので、ぜひ測っておきましょう。測りそびれたときは、もう一度ラジエーターコアに水を満たして排出できる量を測っておきましょう。

 

 

 

2-1.ラジエーター液の排出(初級編)

ラジエーター液が出なくなったら、またドレンコックを締めて水道水をラジエーターにいっぱいになるまで注入します。ラジエーターキャップも付けて、エアコンのヒーターを全開にして(風量はOFFでいいです。)

アイドリングを5分ぐらいやってまたラジエーター液の排出を行ないます。

以後排出されるラジエーター液の色が透明になるまで行ないますが、完全に色がなくなるまでやると、とても時間がかかりますので、ある程度透明になったら切り上げましょう。

 

2-2.ラジエーター液の排出(上級編or水浴びしたいとき)

上記の排出方法よりも効率のいいやり方もあります。それは、サーモスタットを取り外して、排水する方法です。但し、サーモスタットのパッキンが再使用可能な物でないと、新たにパッキンが必要になるでしょう。上記のようにヒーターをMAXにするもの忘れないでください。

 

 

手順としては、サーモスタットを外したままにして、サーモスタットを取り付けていたホースが付いている方を手で塞ぎ、ラジエーターキャップ部の注入口より、ホースを差し込んで水道水を流します。コックも締めるのを忘れずに。

要は冷却系を強制循環させつつ内部に残っているラジエータ液を排出するわけです。するとサーモスタットが有った場所からどんどん排出されていきます。この作業が終わったら、サーモスタットを取り付けるのを忘れずに。これやると水が凄いきれいになります。

 

 

2-3.ラジエーター液の排出(リザーブタンク編)

この作業と同時にリザーブタンク(ラジエーター上部から細いゴムの管がでています。それとたどっていくと容器に繋がっています。これがリザーバタンクです。)のラジエーター液も排出してください。

リザーブタンクの固定法は、ただステーに刺さってる場合とかボルトで固定されているのもあります。リザーブタンクは奥に追いやられている場合が多々あります。周辺部分をはずして、ようやく取れる場合もあります。

ちなみにリザーバタンクの底部には泥状のが溜まっている場合があるので、ホースで水圧かけたりして根気よく洗浄しておきましょう。

 

 

 

3.ラジエーター液の調合、注入

ラジエーター液の調合ですが、ここで冷却系の必要総量がわかってないと、正しい混合ができないですね。事前にディーラーやオートバックス・整備書などで調べておきましょう。

 

ラジエーター液の箱に、ちゃんとした混合比率が書いて有りますので最低気温や諸条件を考慮して指定混合率のとおりにします。

 

ではやり方を・・・・

さて前述に書いたラジエーターの容量を測っておいたのが役に立つ時が来ました。

>排出時開始時からラジエーターから一回で排出されるラジエーター液の量を測っておくと、ラジエータ本体の容量が大よそ分かりますので、あとあと役に立つときがくるので、ぜひ測っておきましょう。測りそびれたときは、もう一度ラジエーターコアに水を満たして排出できる量を測っておきましょう。

↑これです。

LLCと水道水の混合率が3:7だとし、冷却系の必要総量は6リットルとします。

上記の方法で測れたラジエーターには2.0リットルの容量があったとします。

すでに上記の交換で冷却系には水が入っています。上記の設定で適正な混合率をだすには、1.8リットルの原液のLLCが必要ですね。

まずラジエーターの中を再度空にします。おもむろに1.8リットルの原液を注ぎます。あとは水を入れて満タンにするたけです。

これが私の基本的なやり方です。

 

 

もちろんラジエーター液の注入口はラジエーターキャップがあった場所です。当然キャップは外しておきますよ(笑)

そこから注入しますが、これで一気に全容量が必ず入ってくれるとは限りません。もし原液全量入らなくなったら、エンジン掛けます。キャップは開けたままでです。

しばらくすると、ススーと減っていくのが分かりましたね?減らなくなるまでガンガン注入してやってください。

原液を入れ切っても、まだ入りそうなら水道水を注いで満たしてあげます。

 

また同濃度のラジエーター液をリザーブタンクに入れるのを忘れずに。

満タンになったようでしたらエア抜きに入ります。

 

 

 

4.冷却系のエア抜き

つぎにエア抜きですが、これをしないと冷却系内に空気が入り、循環不良を起こしオーバーヒートを起こしますので、ぜひともやりましょう。いや、やってください。

まず、ヒーターをMAX(風はいらない)にします。そしてラジエーターキャップを開けたまま5〜10分ぐらいアイドリングします。途中ラジエーター液と空気があぶくとなって出ていきます。

そして数秒ほど2、3000回転ぐらいまで空ぶかしします。これを数回行ってください。(近所迷惑にならないように注意しましょう。)

↑エア抜き中。水とLLC原液が混じりつつあります。

 

しばらくするとエアが出なくなりますが、サーモスタットが開弁すると、またあぶくが出てきて、本格的に循環が始まりますので、これからがエア抜きの本番です。

とはいってもやることは同じなんですけどね。

アクセル入れるとキャップの箇所からLLCが噴出するかもしれないので、よく注意してやりましょう。

これであぶくが出なくなったらエア抜き完了です。恐らくラジエーター液が少し不足しているので、いっぱいになるまで注入します。

 

サーモが開くときって?もうちょっと詳しく。

えー、サーモスタットが開くとかのどうとかの所へんをもうちょっと解説してみます。いまいち実感がわかないでしょうから(笑)

 

まず、初めてエンジン掛ける前の状況です。

ラジエーター上部にはエンジンからラジエーターホース(アッパーホース)がきてると思います。下部(ロアホース)にもありますが、それは無視です。

初めてエア抜きをするために、いまエンジンを掛けたとします。

エンジンも掛けたばかりの頃のアッパーホースは触ってもひんやりしてると思います。



しばらくするとサーモスタットが開弁して温水が流れてきて、そのひんやりしていたアッパーホースも熱を帯びてきます。

このころが一番エアーが出てくるときです。

そしてそのホースもかなり熱を帯びて熱くなってきたときに間隔をとりつつ何回かレーシングをします。あんまり勢いつけると吹き出
しもすごいでのホドホドで・・

あからさまにエアーがボコボコとなくなりましたら、エンジンを切ってキャップをして終了です。少しエアーが出てる感じもするでしょうけど、極細かい気泡ぐらいでしたら無視しても構わないでしょう。

このエア抜きの過程で、折角入れたでLLCが出て行ってしまうので、また追加で同濃度のLLCを注いで起きましょう。リザーブタンクも指定水位満タンまで同濃度LLCを入れましょう。リザーブタンクはラジエーターから出ている細いホースの先にあります。

 

↑エアが抜けると液面が低下します。LLCを入れましょう。

これでエア抜き完了です。

 

 

 

5.確認

各部より漏れとドレンコック・ラジエーターキャップの締め忘れがないのと、冷間時のリザーブタンクの水位がMAXの目盛りまできているのを確認したら終了です。

ちなみに、ラジエーター下部にある、ドレンコックにはゴムパッキンが使われています。このパッキンが経年劣化等で弾性が保てなくなると、漏れが発生し、いくら締めても止まらないので心配なら部品共販店でパッキン(数十円)を買うか、思い切って一式を新調しちゃいましょう。

このパッキンは緩める前までは漏れはないのですが、いざ付けて一晩経ったら漏れていたなんてこともありますので、注意しておきましょう。

エア抜き等が心配ならもう一度やっておきましょう。たいした手間じゃないですから。あ、冷えてることを確認してからですよ。熱湯を顔面に被ることになりますよ・・・

 

 

 

6.補充

LLCも水使ってるので、蒸発して無くなっていってしまいます。

ですので同濃度のLLCをリザーブタンクに入れてあげます。市販で混合済みのLLCが手ごろなサイズで売ってるのでこれを使うもの手です。

少量なら水道水での補充もOKでしょうけど、薄まる原因を作ってますので出来れば同濃度LLCを入れてあげましょう。

 

それと、リザーブタンクが空になるとエアを吸っちゃうので、空にはしないように。

 

 

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