MOTO Impression



「Visitors」

1984.5.21 発売 (ESCB1324)

 

Text by kenji

 

『僕はVisitor』

 

1984年。僕は『Visitors』を聴いた。

いや。「体験した」が、適切。だろうな?

レコードに針を落としたとたんに

僕の「安っぽいセンチメンタリズム」は崩壊した。

 

当時、社会人1年生だった僕にとって

この「ビート」も「言葉」も「パッケージ」も

痛かった。‘痛いアルバム’〜当時の個人的な印象が

ずっと。この『Visitors』を僕にとって規定している。

そして今も続いてる。

 

ときどき想像する・・・

「もし。サノ・モトハルが、N.Y.に行かなかったら?」

「もしも。サノ・モトハルのキャリアからこの『Visitors』が、なかったら?」

 

でもさ・・・『Visitors』を作るから、佐野元春なんだよね。たぶん。

 

〜僕はいつも。そこら辺でうろうろ、してる。

まるでメビウスの輪ッかのように存在し、彼のキャリアを分水嶺のように

切り裂くジャック・ナイフ。そして佐野元春の最高傑作(ホントかな?)。

 

とにかく。僕はこのレコードの周辺を行ったり来たりしている。未だに。

「冬の7thアベニュー」や「誰もいないサリバン・ストリート」

あたりを。目的もなく。あても無く。

 

なぜって?今。広島の空の下、仕事にでかける

(ビジネス書なんか片手に・・・)

僕は、正真正銘の‘Visitor’だから。

 

そして僕は、このレコードが大好きだ。

混乱の中。コンクリートに生えたレンゲ畑の真ん中で。

僕は踊る。

 

今!も(たぶんこれからも)

‘かぞえきれないイタミのキッス’が僕の上に降ってくる。

 

・・・キミは???

これを読んでるキミは???

 

#もしかしたら。僕のなかまじゃないのか?

 



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