モンブラン・デュ・タキュル/ノーマル・ルート

2001.8.1

 今日は4000m峰を登る。

<タキュル・ノーマルルートへ挑む豊山>
 1週間で帰ってしまう豊山と原はどうしても4,000mという標高を体験しておきたく、確実に4000mに上がれるルートということで、タキュルのノーマル・ルートに向かう。シュルンド、クレバス、高度障害を除けば難しいルートではないけど、ここ数日気温が高くなるので雪が緩む前に終了してしまおうと、やはり朝1番のケーブルでミディに上がる。昨日登れなかったクロシューズ針峰に向かう雨宮さん、石崎さん、イチローの3人は遅い目の出発で、ゴロゴロ寝ている。我々は横でガサガサと用意。簡単な雪稜ルートだからギアは最小限。当然カムもハーケンも持たない。今日は荷物も軽い!

 今日もケーブルに乗る。朝1はやはりクライマーで一杯。ケーブルの駅で待っていると、韓国人パーティーがやってきた。みんなお揃いのウエアで、さらになんと国旗を縫いつけている。スゴイ気合。
 今日は予約もしなかったけど、6:20のケーブルに乗れた。予約って・・・、一体なんなんだろう(^^;;;全然関係ないみたい。

 プラン・デ・エギーユで一回乗り換え、ミディ山頂へ。今日も焼きたてのパン・オ・ショコラを買い込む。何度食べてもおいしい!

 展望台から外に出ると、今日も快晴!いや〜、日頃の行いが良いもんだから今回は本当に天気に恵まれている。ラッキ〜。
 ヴァレ・ブランシュへの急な雪稜も、ここ数日の登山者の往復でトレースも階段もバッチリついており不安はまったくない。でも、
初日に比べると明らかに広がっているクレバスには若干ゾッとする。あの深さであれば落ちたら終わりだろうな・・・。


<タキュルの肩からタキュル山頂。もうすぐそこ>
 ヴァレ・ブランシュからプラトーを黙々と歩き、タキュル・ノーマルルートへ向かう。トレースに導かれ、高度を上げる。肩に出るまで
は結構な急登りでキツイ。途中で一応タイトロープビレイをした。

 ところどころシュルンドやクレバスが開いており、ゾッとするところもあるがまあ問題はない。急登はきついけど、身体が暖まれば慣れる。左にはノース・フェーストライアングルの右端にあるクーロワールがバッチリ見える。面白そうだけど、今回持ってきたバイルじゃあ登る気にはならない。

 初日に高度障害が出た豊山も、三日目となるとさすがに順化しており調子良く高度を上げていく。結局肩のプラトーまで一度も休止することなく辿りついた。
 肩のプラトーはテントがそれこそ無数に張れそうなくらい広い。目の前にはモン・モディ、その奥にモンブランが見える。モン・モディは
ルート上の雪壁がバックリ崩れており悪そうだった。「呪われた山」という名がなんとも怪しいけど、山容事態はそんなに威圧的で
ではない。でも、モンブランまで行くにはワンビバーク確実に入るだろうな〜。夜間行動すればミディから一日で行けるかもしれないけど。

 肩でしばし小休止をし、頂上を目指す。頂上はすぐそこに見える。直下は若干岩稜帯になっている。
 なだらかなスロープを黙々と登り、直下岩稜帯に行き着く。真夏とはいえ、さすがに4000mの世界は氷岩で、風の吹きつけも激しいようでところどころ露出したアイスは固く注意が必要だった。でもノーザイルで余裕で行ける。ただ、狭いので、降りてくる人とのすれ違いに若干気を使った。
 大きな岩を回り込んで直ぐに頂上。あまり広くないけど、パノラマは360°に広がる。取りあえず握手。でも、やっぱりあっさりだった。
わかっていたけどね。

<タキュル山頂で。青い空をバックに>
 ジョラスが間近に見える。ノースフェースがこちら側に切り立っており、登攀意欲をそそる。夏のこの時期だとほとんど雪は付いておらず、ミックスにもなっていなさそう。一見して「狙える範囲かな・・・」とも思う。少なくともアイガー北壁よりは、今の生活でも困難なく狙えそう(^^)

 しばらく休んで下山にかかる。日が昇って気温が高くならないうちに降りた方が精神衛生上よろしい。雪が緩み始めたら嫌だからね。タキュルの肩からの下りは急なので、やはりタイト・ロープビレイをする。急だけど、下りはやっぱり楽だ。途中で上半身ハダカでノーアイゼンの兄ちゃんが我々を抜かしていった。どの国にもクレイジーな人はいるようだ。

 三日目の疲れがたまっているのか、ヴァレ・ブランシュからミディへの登り返しが異様にきつかった。今回の登りの中では一番地獄だったような気がする・・・。気温も上がってきて暑く、汗が噴出してくる。山頂に付く頃にはもうヘロヘロだった。

 12:00前にミディ山頂へ。ここで昼食を取ろうかとも話すが、展望レストランは満員でとても我々のような登攀帰りの薄汚い見てくれ
の者が歓迎されるようには見れなかったので、すごすご降りることにする。この時間でもケーブルは並んでおり、ようは平日、休日問わずミディのケーブルはエブリタイム満員のようである。

 とりあえず目標を達成した充足感に浸りながらアパートに戻り、シャワーを浴びて洗濯をし、ベランダに干す。予定どおり速攻帰りが実現したので、午後はゆっくりすごせるのがありがたい。なんと贅沢な時間か!町に出てレストランで食事。なんだか豊山は僕の子供に見られていたようで、レストランのおっちゃんに頭を撫でられていた。東洋人は若く見られると言うが、じゃあ父親に見られた僕は一体(^^;;;無精ひげ面でサングラスをしていたからかな・・・。

 その後、ひとしきり昼寝をしていると、夕刻になってクロシューズ針峰に向かった三人が帰ってきた。とても良いルートだったようで、
ニコニコ満足気だった。いいな〜・・・、次回は是非登ろう。

 3人がシャワーを浴びている最中、豊山と二人でガイド協会に情報収集と、併せて買い出しに行く。明日も天気は良さそう。明日は前から狙っていたプチ・シャルモに登る予定。ガイド協会でプチ・シャルモの事を聞くと、やはり標高が低いせいか「No problem」との回答だった。青い目のおばさんからカムとクランポンは必要よ、とのアドバイスを受ける。無論そうするつもり。おそらくザイルピッチはミックスにはなっていないようだからフラットソールで行けるけど、雪渓の状態がわからない。アイゼン、バイルは必携だろう。
 その後、惣菜屋で出来合いのおかずを色々と買い込む。日本と同じような感じで、量り売りしてくれる。その他、ワイン、パンを買い、アパートへ戻る。そして今夜も女性陣の大活躍により結構豪華なディナーができあがり、ワインでほろ酔いを味わい、それでも翌日の早出に備えて三々五々ベッドに沈んでいった。




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