2011.07.10.

睡眠はとても大切な人間の営み・生活習慣です

今回は不眠のお話です.

さて不眠「眠れない」と一言でいっても、@寝付きが悪い(入眠障害) A眠ってから何回か目が覚めてしまう(途中覚醒) B夢でうなされたり、寝ぼけたりして睡眠中に異常な現象が起こり目が覚めてしまう(睡眠時異常行動) C朝早く目が覚めてしまう(早朝覚醒) などなど色々な場合があります。それぞれについて、簡単に説明してみますので参考にしてみて下さい。

@【入眠障害】

@)生活習慣が入眠と関係していることは言うまでもありません。心身が疲れていたり、することが無いので早く床に入ってしまうこともあるかもしれません。その時、中々眠れないことを経験している方もいるのではないでしょうか? 生活習慣の中で眠る時間がある程度一定であれば、その時間が来るまで中々眠れないものです。日中の活動量・運動量や昼寝の時間・喫煙習慣・飲酒の習慣・内服薬(呼吸器疾患の薬・抗潰瘍薬・降圧剤など)やサプリメントまでもが、意外と入眠を損ねてしまっている場合もあります。女性の場合、性のリズムが影響していることもあります。また身体の痛み・痒み・尿意・便意・身体の冷え/熱感/火照りなどの症状が、入眠を妨げている場合もあるかもしれません。睡眠環境としては、騒音・室内の照明・温度・湿度・身体の体温などの変調によって寝苦しくなってしまう場面も想像出来ますね。

A)精神面で言えば、寝床に入ってから色々なことを考えたり不安に思ったりすると入眠がしづらくなります。更に『眠れない』ことを気にすれば気にするほど、目が覚め興奮してきて眠れなくなってしまいます《生理的不眠》。

B)夕方〜夜にかけて、そして寝床に入ると強く『足や身体がムズムズしてきてジットしていられなくなる』感覚を自覚し、入眠自体が妨げられることがあります。鉄分不足や喫煙・カフェインの摂りすぎや薬物が誘因となっている場合もあるようです《下肢静止不全症候群・ムズムズ足症候群》。

C)若い方々に多いかもしれませんが、眠る時間が遅れてしまう眠りがあります。勉強をしていたり、本を読んでいたり・音楽/映画を観ていたり、PCやメール/ゲームなどをしてしまっていて入眠時間が遅くなってしまう場合です《睡眠相後退症候群》。その場合、終いに寝る時間が遅れてしまい日中の社会生活に適応出来なくなってしまいます。不登校や仕事を休みがちなどが、これに当たるでしょう。しかし、十分な睡眠時間が取れれば、比較的気持ちよく眠れることが多い様です。しかし、本人は勿論ですが社会的にも大きな損失に繋がってしまいますね。

A【途中覚醒】

不眠の中でも最も多い訴えです。睡眠の途中で目が覚めてしまうと、当然日中に眠気が生じてきます。そして集中力の低下・注意力の散漫などが生じ、社会生活に多大なる悪影響を及ぼしかねません。

@)アルコール摂取(寝酒)→アルコールを飲むと良く眠れると豪語される方や、だらだらとお酒を長時間に渡って飲み、結局そのままうたた寝の様に寝てしまっている方もいるかもしれません。アルコールは決して質の良い眠りを誘うものでは無いため、結局は疲れを残してしまう羽目に填ってしまいます。

A)夜間尿→男性では前立腺疾患、女性では過活動性膀胱・尿路感染症・尿道狭窄に伴う残尿・頻尿など泌尿器科疾患が原因とする場合が多いようです。

B)周期性四肢運動障害・ムズムズ脚症候群→加齢に伴って多くなるようですが、この様な場合は四肢の筋肉が意志に関わりなく勝手に周期的・反復的に動いてしまって覚醒してしまいます。激しくなると布団までも蹴って跳ね上げたしまうこともあります。「足がピクピクしてとか、歯の食いしばり・大きな寝返りなどで目が覚める」などの訴えがあります。これらは不随運動と呼ばれ睡眠障害の原因となる場合もあります。結局、一眠りは分断され睡眠の質の悪さとなってしまいます。

C)夢(悪夢)→ひどい抑うつ状態や脳のエネルギーが枯渇した状態の時に、夢しかも悪夢を見てしまうことが多い様です。また他の睡眠随伴症状の一つとして出てくる場合もあります。 肥満・猪首・高血圧・糖尿病・中年男性・飲酒喫煙などが危険因子となり、レム睡眠時に無呼吸/低換気・イビキなどの特徴の《睡眠時無呼吸症候群》を見かけることがあり、それはしばしば悪夢を伴います。 成人の場合、「歩き回る・物を壊す・隣で寝ている人を蹴る/殴る・食べる」など《レム睡眠行動異常》、そして『睡眠発作・情動脱力発作・睡眠麻痺/金縛り・入眠時幻覚幻聴』の特徴を持ちHLAという遺伝子と特異性が高い《ナルコレプシー》という疾患でも、悪夢を見ることがあり覚醒してしまうことが多くなります。

B【早朝覚醒】

抑うつ状態よくみられる睡眠形態です。早く目が覚め、その後、眠ったとしても浅い眠りのため訳の分からない夢を数多く見たりして「うつらうつらの眠り」が多くなります。従って、日中に眠気が襲ってくることは言うまでもありません。また夕方や夜の浅い時間に眠ってしまう《睡眠相前進症候群》もあります。これなんかは、加齢とともに多くなる傾向があるかもしれません。

●不眠と言っても、この様に複雑多岐にわたることが結構あります。不眠が他の疾患と組み合わさっていたり、他の疾患を隠してしまうこともあります。毎日の生活習慣に睡眠の質や時間を狂わせてしまっていることに気付かずに生活されていることもあるかもしれません。不眠を自覚されている方は勿論ですが、他の症状で悩んでいられる方が、実は根本に睡眠不足が原因である場合も少なくない気がしています。睡眠を生活の習慣と考えられ、何かあれば御相談下さい。   


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