1 Cherokee Shuffle
2 Raliegh and Spencer
3 Road to Westfield / Dull Chisel
4 Soldier's Joy
5 Do Round My Lindy
6 Roustabout
7 Goin' Across the Country
8 Lonesame Road Blues
9 One Morning in Man
10 Possua Up a Simmon Tree
11 Old Beatty's Ford Road
12 Cleveland is Elected
13 Tempie
14 Old Joe Clark
15 Cluck Old Hen
16 Ducks on a Mill Pond
17 Frank Reed Tune
18 Western Country

  井上 健と一美の夫妻は大阪出身で、1980年にU.Gの家から初渡米して以来、何度も太平洋上を往復したあと、1986年に永住を決めマンハッタンに住み、1994年ノースキャロライナ州ステイツヴィルに引越した。  井上夫妻はこれまでにも、いくつもの録音を残している。レイ・オルデン制作のカセット「オールドタイムフレンズ」(marimac 9009)でのお笑い「声だけ」出演、ゲイラックス・フィドラーズ・コンベンションの50回記念レコード「ゲイラックスインターナショナル」(Heritage HRC067)、ジェリー・コレルのCD「Dandy  Tunes」などはすぐに思い浮かぶ。はじめは日本人として珍しがられていただけだったのが、一人のバンジョー・プレイヤーとして認められていく過程が良く分かる。

  Cherokee Shuffle はおなじみの曲。少し慌て気味に弾く健ちゃんのバンジョーが、CD一曲目の緊張感を盛り上げる。録音も一曲目はこれだったんじゃないの?

  Raley and Spensar  2001年マールフェスのニュー・ビリケン・SBで健ちゃんが歌った思い出の曲。その時U.Gは健ちゃんっていい声だなーと感心したが、ここではジャッキーが歌ってる。健ちゃん、歌え。

  Road to Westfield / Dull Chisel  2曲ともインディアナのギャリー・ハリソンのオリジナル。Roadは、たまたま一緒に買った「The Monks」の2枚目にも入っていて、聞き比べた。それぞれ、個性ってのは出るもんだ。

  Soldier's Joy ,18 Western Country  ジョン・Bのギターだけでこういう曲をCDに入れてくるなんてところが、ジャッキーの経験の深さを物語っている。

  Do Round My Lindy , Goin' Across the Country , 10 Possum Up A Simmon Tree , 17 Frank Reed Tune  フィドルチューンをやるストリングバンドのお手本。

  Roustabout  フレッド・コッカラムを思い起こさせる、健ちゃんのバンジョー・ソロ。フレットレスにこだわるわけがわかる。いい音だねー。一弦をカラでプルオフしたときの響きが、一段と冴えてる。

  Lonesome Road Blues  .GはこのCDの歌物ではこれが一番いいと思う。(ジャケットには録音場所が二ヶ所書いてある。この曲はいかにも古い家の中で録音したように聞こえたので一曲だけ別場所かと思ったが、思い過ごしだったようだ。)

  One Morning in May  無伴奏バラッドを聞くとき、英語が理解できればなーといつも思う。アニーの歌は、古き良さを感じさせるね。

11 Old Beatty's Ford Road  丸穴のマンドリンで始まるイントロが印象的なジョン・Bのオリジナル曲。かんちゃん(一美)のギターが活躍してる。

12 Cleveland Is Elected  懐かしや名盤County746 Blue Ridge Barn Dance”(U.Gは、これでベントン・フリッペンや、 テイラー・キンブルに出会った)から一曲。親しみやすい良い曲で、ここでの演奏も一番。 誰か一緒に弾こうよ。

13 Tempie  力強く仕上がった曲だ。フィドルを弾きながらこれだけ歌えるってのは、珍しいだろうね。ジャッキー、すごいぞ。

14 Old Joe Clark 15 Cluck Old Hen  どちらもおなじみのタイトルだが、中味は違う曲。ジャッキーのフィドルが空を飛んでる。良い曲を、年季の入ったフィドラーで味わおう。

16 Ducks On A Millpond  健ちゃんとジャッキーのFiddle Banjo。「こんなのがやりたくてノース・キャロライナに引っ越して来たんだぜェ」と言ってる二人の声が聞こえてくる。


  U.Gは初めてのCDを聞くとき、ジャケットを見ながら曲名を追って全体の印象を想像する。おなじみのタイトルが並ぶとき、曲を変にいじくりまわしていないことを期待する。ところが、これで結構やられることが多い。しかし、今回の曲名に重なる顔写真を見たときそんな心配は無用だなと感じた。

  そして音を聞く。奇抜な発想や、変わったフレーズを期待した人にとっては拍子抜けするほどオーソドックスな演奏が最後まで続く。この、正当性。U.Gがあこがれているオールドタイムの一つの形が目の前に繰り広げられているような気がした。

  ダンスチューンは踊りやすく、歌ものはじっくりと、ソロや少ない楽器でのフィドルチューンは伝統的に、どこまでも正統派だ。 Boscoのいう、「落ち着いた演奏」と言う表現はU.Gもそのまんま感じていた。歌ものとインストの割合もちょうどいい。

  このまま進んで、二年後にはマウント・エアリーで優勝だ。

Patchwork KIMONO

Stanly County Boys

John Jackson Burgess (Jackie) : fiddle, vocals
John Benjamin Bloom : guitar
Ann Marvin Griffey : bass, vocals
Ken Inoue : banjo
Kazumi Inoue : guitar
Cover : fabric illustration by Atsu Azechi, lives in Kochi, Japan

 {文中紹介のレッド・マウンテン・ホワイト・トラッシュ および ジェリー・コレルのCD の入手先は こちら の(5)、(6)です。}

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ではCDを聞いてみよう。

  2003年千葉ブルーグラス・フェスティバルのオールドタイム村では「健ちゃんのCD聞いた? 買った?」が挨拶代わりだった。

  アラバマからノースキャロライナに移ってきたジョン・ジャクソン・バージェス(ジャッキー)とガール・フレンドのアンは友人のジョン・ブルーム(ジョン・B)とアルバムを作る計画を持っていた。そこに呼ばれたのが、大阪出身で、オールドタイムのためにノースキャロライナに住みついてしまった井上健と一美の井上夫妻であり、結果としてこのアルバムが完成した。

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  ジャッキーは、アラバマに住みながらいつもNCのことを考えてた。アラバマと言えばいまではレッド・マウンテン・ホワイト・トラッシュ(Whoop It Up! 102)が代表的だが、ジャッキーはそれ以前にアラバマのオールドタイム界で活躍していたという。しかし、アパラチアの山々への憧憬止み難く、数年前にノースキャロライナに引っ越した。今は、たまに煙草の商売をやる程度で、一日に最低5時間以上はフィドルを弾いているそうだ。

  ジョン・BはU.Gと一緒にマウントエアリーのコンテストに出たことがあり、その時はベースを弾いていた。高校教師で、ローワン郡の歴史的な建物を借り受けて手入れをして住んでいる。今回のCDの録音は彼の家で行われた。

  アンは、話せるようになる前に歌っていたと言われるほど歌うことが好きでヨーロッパの古曲まで興味を持っていたが、いまでは故郷の音楽に帰ってきた。