平成15年度介護支援専門員実務研修受講試験 福祉サービスの知識等 問題46〜問題60
問題46 援助困難者への対応として適切なものはどれか。 2つ選べ。 1 サービスに対する誤解を招くことを防ぐため、専門用語を用いて情報の提供を行うことが望ましい。 2 痴呆に伴う徘徊等により、家族が耐え難い苦痛を被っている場合には、介護支援専門員は自らの職権により入院させることができる。 3 信頼関係が築けない相手に対しては、距離を置いて接することが有効な場合がある。 4 まず、相手の態度や感情を無条件に受け入れ、相手の置かれた状況に理解を示すことが重要である。 5 利用者と家族の間の問題を調整することは、信頼関係の崩壊を招くもととなるので行うべきではない。 私の解答 1 × 専門用語や外来語などをなるべく使わないようにし、できるだけわかりやすい言葉を用いるべきでしょう。 2 × たとえ入院が必要でも、自らの職権でなく正当な手続きが必要でしょう。 3 ○ 4 ○ 5 × 具体的サービスの提供とともに、家族関係の調整的援助は重要でしょう。 問題47 面接場面におけるコミュニケーションについて適切なものはどれか。 2つ選べ。 1 言語的なコミュニケーションが中心であり、非言語的なコミュニケーションから得られる情報は少ない。 2 伝えたい情報や提案が誤解なく相手に伝わっているかどうかを確認しながら、面接を進めることが必要である。 3 相手のコミュニケーション能力に応じて、イラスト、写真、文字盤等の多様な表現方法を活用することが有効である。 4 最初から問題を絞り込んで、イエス・ノーで答えられるような形式の質問をすることが有効である。 5 面接場所、椅子の配置、面接者の服装等の外的な条件は重要ではない。 私の解答 1 × 言語的なコミュニケーションが中心ですが、非言語的なコミュニケーションもきわめて重要でしょう。 2 ○ 3 ○ 4 × 答えを誘導してしまうおそれがあるので、オープンクエスチョンの方がよいでしょう。 5 × 面接場所、椅子の配置、面接者の服装等の外的な条件も、円滑なコミュニケーションを可能にするよう配慮されなければならないでしょう。 問題48 WHOの国際生活機能分類(ICF)について正しいものはどれか。 3つ選べ。 1 生活機能を心身機能・身体構造(生物レベル)、活動(個人レベル)、参加(社会レベル)の3つの階層構造でとらえている。 2 障害というマイナス面よりも、生活機能というプラス面を重視している。 3 活動や参加を制約している心身機能・身体構造(生物レベル)の改善を優先している。 4 生活機能に影響する背景因子として、環境因子と個人因子があるが、特に個人因子に着目している点に特徴がある。 5 個人の活動を、日常生活の中で実際に行っている「実行状況」(している活動)と、ADL等の活動向上訓練等によって引き出すことができた「能力」(できる活動)に区別している。 私の解答 1 ○ 2 ○ 3 × 心身機能・身体構造(生物レベル)、活動(個人レベル)、参加(社会レベル)の3つの階層(レベル)は、相互依存性がありますが、相対的独立性もあります。 4 × 障害の発生に影響する因子は、個人因子よりも環境因子の方が大きいでしょう。 5 ○ ケアに対する新しい考え方:国際生活機能分類(ICF)については、実務研修でもかなりの時間を割きますので、出題は必須です! 問題49 要介護2の義父(78歳)を自宅で介護しているAさん(42歳)が、初めて相談に訪れた。Aさんとは事前に電話で話をしており、現在は介護サービスを利用していないこと、強い負担感があり介護の継続が困難であること、できれば施設への入所を希望することなどを訴えていた。今回の相談面接を行う際の介護支援専門員の対応として適切なものはどれか。 2つ選べ。 1 Aさんの話を聞き始める前に、施設は待機者も多く利用が困難な場合があることや、できれば居宅サービスを利用した方がよいことを伝えた。 2 電話でのやりとりを踏まえ、Aさんの抱える問題を整理したうえで、相談を開始した。 3 客観的な事実や経過の聞き取りを中心に行い、Aさんの持っている負担感などの感情的な訴えには触れなかった。 4 Aさんの考え方や行動について、まず社会的通念や常識に基づいて評価し、誤っている点については、説明し明らかにした。 5 Aさんとの面談の後に、義父の状態や意向を確認するため、Aさんの自宅を訪問し、義父と面接する旨約束した。 私の解答 1 × たとえ施設は待機者も多く利用が困難な場合があったり、できれば居宅サービスを利用した方がよいとしても、Aさんの話を聞いてからの方がよいでしょう。 2 ○ 3 × 客観的な事実や経過の聞き取りは大切ですが、感情的な訴えを聞き取ることも重要でしょう。 4 × 非審判的態度で相談面接を行うことが重要でしょう。 5 ○ 問題50 訪問介護について正しいものはどれか。 3つ選べ。 1 介護支援専門員は、居宅サービス計画に生活援助中心型の訪問介護を位置付ける場合には、生活援助中心型の算定理由を記載しなければならない。 2 サービス提供責任者は、既に居宅サービス計画が利用者に交付されている場合には、訪問介護計画を利用者に交付する必要はない。 3 「通院等のための乗車又は降車の介助が中心である場合」の介護報酬には、移送にかかる経費(運賃)が含まれている。 4 嚥下困難者のための流動食など特定の専門的配慮をもって行われる調理は、身体介護に含まれる。 5 利用者が使用しない居室の掃除は、介護保険による生活援助の範囲外である。 私の解答 1 ○ 2 × 居宅サービス計画が利用者に交付されていても、訪問介護計画も利用者に交付する必要があります。 3 × 「通院等のための乗車又は降車のための介助」の介護報酬には、移送にかかる経費(運賃)が含まれていません。 4 ○ 5 ○ 問題51 通所介護を居宅サービス計画に位置付ける際の考え方として適切なものはどれか。 2つ選べ。 1 利用者本人の自立支援とともに、家族の介護負担の軽減を図ることも目的として、通所介護の利用を組み入れることができる。 2 利用者の状況や意向を踏まえて、毎日の通所介護の利用を組み入れることもできる。 3 通所介護は1日を通じた包括的なサービスであり、その利用があった日は訪問系のサービスを利用できない。 4 通所介護における機能訓練の内容は事業所によって様々であるため、介護支援専門員は、その内容を把握する必要はない。 5 通所介護では入浴介助や食事の提供は必須なので、それらの利用を居宅サービス計画で明確にする必要はない。 私の解答 1 ○ 2 ○ 3 × 通所介護は一見1日を通じた包括的なサービスにみえますが、あくまで昼間だけのサービスであり、そのサービス利用後に訪問系のサービスを利用することはできます。 4 × 利用者本人の適切な機能訓練のプログラムを個別に計画する必要があるため、介護支援専門員は、その内容を十分に把握する必要があります。 5 × 介護支援専門員は、利用者の生活維持上の課題(ニーズ)を解決する方向を定め、具体的援助方法を考え、居宅サービス計画を作成する必要があります。 問題52 福祉用具について適切なものはどれか。 3つ選べ。 1 介護負担の軽減は、福祉用具の利用目的の1つである。 2 車いすの利用にあたっては、廃用症候群が生じないよう留意する。 3 ティルト機能やリクライニング機能が付いた車いすは、貸与種目に含まれない。 4 T字杖(いわゆる1本杖)は、貸与種目に含まれる。 5 ポータブルトイレは、乗り移り方法、排泄時の姿勢等を考慮して機能を選択する。 私の解答 1 ○ 2 ○ 3 × 姿勢保持機能が必要とされる場合の、ティルト機能やリクライニング機能が付いた車いすも、貸与種目に含まれます。 4 × 歩行機能を補完するものに限定されていて、T字杖(いわゆる1本杖)は、貸与種目に含まれません。 5 ○ 問題53 住宅改修について適切なものはどれか。 3つ選べ。 1 段差の解消は、転倒事故等を防止して、生活動作の基本である移動を容易にする効果がある。 2 手すりの取付けに付帯して必要となる住宅改修については、保険給付の対象となる。 3 住宅改修費の支給申請の際には、住宅改修が必要な理由書をあわせて提出しなければならない。 4 段差解消機の取付けにかかる工事の費用は、住宅改修費の支給対象となる。 5 住宅改修費の支給は、要介護状態の変化にかかわらず同一年度に1回である。 私の解答 1 ○ 2 ○ 3 ○ 4 × 段差解消機等、動力により段差を解消する機器の取付けにかかる工事の費用は、住宅改修費の支給対象となりません。 5 × 要介護状態区分が3段階以上あがった場合には、それまでに支給を受けた住宅改修費の額にかかわらず、再度支給限度基準額の20万円まで支給を申請することができます。 問題54 特定施設入所者生活介護について正しいものはどれか。 3つ選べ。 1 要介護認定を受けた入所者は、特定施設入所者生活介護に、訪問介護や通所介護等の居宅サービスを利用できる。 2 有料老人ホームは介護付、住宅型、健康型の3類型に分けられ、介護付においては、特定施設入所者生活介護が提供される。 3 居宅サービス計画に基づいてサービスが提供される。 4 指定特定施設入所者生活介護事業者は、入所及び特定施設入所者生活介護の提供について、文書により利用者と契約を締結しなければならない。 5 おむつ代や日常生活上の便宜に要する費用は、徴収できない。 私の解答 1 ○ 2 ○ 3 × 特定施設サービス計画に基づいてサービスが提供されます。 4 ○ 5 × おむつ代も日常生活上の便宜に要する費用も、徴収できます。 問題55 痴呆対応型共同生活介護(グループホーム)について適切なものはどれか。 3つ選べ。 1 テレビ鑑賞は、高齢者が好むので、余暇活動として最もよい。 2 日常生活の中で、今の時間や出来事、あるいは思い出を引き出すようにすることが望ましい。 3 利用者の安全確保のため、外出を伴う地域の活動等への参加は控える。 4 食事の用意等を利用者と従業者が共同作業として行う際には、従業者は、利用者の身についている「手続き記憶」を活用できるよう配慮する。 5 事業者自身が介護の質の評価を行うとともに、定期的に外部の者による評価を受けなければならない。 私の解答 1 × テレビ鑑賞は、情報処理機能の低下している痴呆性高齢者にとっては、気分転換になりにくい側面があります。 2 ○ 3 × 利用者の多様な活動の確保のため、外出を伴う地域の活動等への参加はよいことです。 4 ○ 5 ○ 問題56 小規模生活単位型介護老人福祉施設について正しいものはどれか。 3つ選べ。 1 生活単位と介護単位を一致させたケア(ユニットケア)を行うことに特徴がある。 2 全室個室が原則であり、1ユニットの入居定員は概ね10名以下とされている。 3 ユニットケアにおいては、自立的な日常生活を営むことを支援する観点から、入居者の日常生活上の活動への援助が過剰なものとならないようにする必要がある。 4 ユニットケアを提供することに伴い必要となる居住費は、入居者から徴収してはならない。 5 介護報酬は、従来の介護老人福祉施設とは別体系となっており、相対的に低い額となっている。 私の解答 1 ○ 2 ○ 3 ○ 4 × ユニットケアを提供することに伴い必要となる居住費を、入居者から徴収できます。 5 × 介護報酬は、従来の介護老人福祉施設とは別体系となっており、相対的に高い額となっています。 問題57 在宅介護支援センターについて適切なものはどれか。 3つ選べ。 1 介護保険施設入所者の在宅復帰を目指すため、介護保険施設に併設することが義務付けられている。 2 地域型支援センターでは、地域において援護を必要とする高齢者等の状況を把握し、介護ニーズの評価等を行う。 3 介護予防の拠点として機能することが求められている。 4 基幹型支援センターでは、介護支援専門員に対して、居宅サービス計画の作成指導等の支援を行う。 5 老人福祉法において、養護老人ホーム等への入所措置を行う機関とされている。 私の解答 1 × 特別養護老人ホームを経営する社会福祉法人や、介護老人保健施設を経営している医療法人などが受託しているのが実態ですが、介護保険施設に併設することが義務付けられはいません。 2 ○ 3 ○ 4 ○ 5 × 老人福祉法において、老人介護支援センターとして位置づけられています。 問題58 介護予防・地域支え合い事業(介護予防・生活支援事業)について適切なものはどれか。 3つ選べ。 1 要支援や要介護の高齢者は、事業の対象とならない。 2 ひとり暮らしの高齢者以外は、事業の対象とならない。 3 要介護状態になる危険性が高い者に対して「介護予防プラン」を作成し、介護予防を個別的に進めることが求められている。 4 要介護の原因となり得る閉じこもり、気道感染、転倒骨折等を予防する事業が含まれている。 5 在宅の高齢者に対する生きがいや健康づくり、寝たきりの予防のための知識の普及・啓発を目的の1つとしている。 私の解答 1 × 要介護認定で非該当になった人はもちろん、要支援や要介護の高齢者も事業の対象となります。 2 × 高齢者を介護している家族への介護支援事業も含まれます。 3 ○ 4 ○ 5 ○ 問題59 フォーマルなサービスとインフォーマルなサポート(サービス)について適切なものはどれか。 3つ選べ。 1 介護支援専門員は、フォーマルなサービスだけでなく、インフォーマルなサポート(サービス)も活用して要介護者等を支援する必要がある。 2 近隣の住民が相互に善意で行う助け合い活動は、フォーマルなサービスといえる。 3 居宅介護サービス費区分支給限度基準額を上回るサービスは、インフォーマルなサポート(サービス)といえる。 4 インフォーマルなサポート(サービス)は、一般的に、フォーマルなサービスに比べ柔軟な対応が可能である。 5 フォーマルなサービスは、一般的に、インフォーマルなサポート(サービス)に比べ安定的な供給が可能である。 私の解答 1 ○ 2 × 近隣の住民が相互に善意で行う助け合い活動は、インフォーマルなサポート(サービス)といえます。 3 × 居宅介護サービス費区分支給限度基準額を上回るサービスも、フォーマルなサービスといえます。 4 ○ 5 ○ 問題60 生活保護と介護保険の関連について正しいものはどれか。 2つ選べ。 1 生活保護受給者である被保険者の要介護度は、福祉事務所で判定されるため、介護保険法による要介護認定は必要ない。 2 生活保護受給者である被保険者は、介護保険料の支払を免除されている。 3 介護保険施設に入所している生活保護受給者の日常生活費は、生活扶助の対象となる。 4 介護保険施設の入所者に対する介護扶助には、食事の標準負担額は含まれない。 5 指定居宅介護支援事業所が生活保護受給者に対して居宅介護支援を行う場合には、原則として、生活保護法による指定をあわせて受ける必要がある。 私の解答 1 × 生活保護受給者である被保険者も、一般の被保険者と同様に、介護保険法による要介護認定を受けます。 2 × 生活保護受給者である被保険者も、介護保険料の支払をしなければなりません。 3 ○ 4 × 介護保険施設の入所者に対する介護扶助には、食事の標準負担額も含まれます。 5 ○ |
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