79号 2006年7月 ジェネリック医薬品

 

 

ジェネリックとは?

 日本の医薬品を分類すると、薬局・薬店の店頭で販売される薬:一般用医薬品(大衆薬)と、医療機関で処方される薬:医療用医薬品があります。その医療用医薬品のうち、日本で最初に発売された薬を、新薬(先発医薬品)といい、特許を出願してから20〜25年間、開発メーカーが独占的に製造・販売することができます。この新薬の特許期間が満了後、厚生労働省の承認を得て別の製薬会社が製造・販売する同じ成分・効能の薬を、ジェネリック医薬品(後発医薬品)といいます。この医薬品を欧米では「generic medicine」、「generic drug」と呼んでおり、「generic」とは、「一般的な」とか「普及した」を意味する言葉です。

 

 

薬に特許?

 新薬の開発には、10〜15年もの年月と200〜300億円にものぼる莫大な開発費用が必要といわれています。また、新薬として承認されるまでの開発成功率も1/4,000以下ともいわれ、開発メーカーは大きなリスクを抱えざるをえません。しかも、臨床試験などの各種試験を経た上、数々の審査を受ける必要があり、承認申請の際にも多くの資料提出が義務づけられているのです。このように、莫大な開発費用と長い開発期間がかかって完成された薬を、真似(コピー)するのは簡単なことです。そのため、開発メーカーを保護するために、薬にも特許があるのです。

 はたして本当に、新薬をコピーするのは簡単なのでしょうか? 2005年に厚生労働省に承認された新薬は76品目。もちろんこの新薬に対するジェネリック医薬品は20年以上先になりますが、特許が切れると多くの製薬会社がジェネリック医薬品を作り出します。2005年に承認されたジェネリック医薬品は約2,000にもなります。

 

 

ジェネリック医薬品は安い?

 10〜15年もの年月と200〜300億円にものぼる莫大な開発費用が必要といわれる新薬に対して、ジェネリック医薬品は有効性・安全性が確立している新薬を真似して製造するため、開発に要する期間も3〜4年と短く、費用も少なく、製造も安価で行うことができます。

そのため、抗生物質や抗がん剤、痛み止めなどさまざまな種類のジェネリック医薬品がありますが、新薬の2〜7割の値段と安いのです。

 

 

安いのは良いことだけど品質は?

 特許期間が満了するまでに多くの患者さんに使用された新薬をもとにしていますから、基本的にはその有効性や安全性は確認されています。

さらに、開発段階や生産段階(製造管理)、発売後(品質管理)など、各段階で守らなければならない厳しい基準が定められており、ジェネリック医薬品も新薬と同様に規制や基準を守って、開発、製造、販売されています。平成9年からは、「品質再評価」という制度が実施されており、品質管理はより厳しいものになっています。

 WHO(世界保健機構)もジェネリック医薬品の使用を推進しており、欧米諸国では広く普及しています。2001年の数量ベースで、アメリカとドイツは54%、イギリスでも52%と、医薬品全体の50%以上のシェアを占めています。

 

 

日本では?

欧米諸国に対して、日本におけるジェネリック医薬品のシェアは、2003年の数量ベースで16,4%にすぎません。本格的な少子高齢化社会を迎える日本でも、国の医療費節減は大きな課題です。欧米諸国並みにジェネリック医薬品が普及すれば、国全体の医療用の薬代(年間6兆円)のうち、1兆円が節約できるという試算もあります。

そこで、2002年にジェネリック医薬品の使用促進が初めて国の方針に取り入れられ、国立病院や大学病院などの基幹病院で採用されるようになりました。

2006年4月からは、患者さんがジェネリック医薬品をより選択しやすいように「処方せんの様式」も変更されました。それまでは、医師が処方した薬を、患者さんや薬剤師が変えることはできませんでした。しかし制度が変わり、患者さんがジェネリック医薬品を使いたいと伝え、医師が認めた場合は、ジェネリック医薬品を処方してもらえるようになったのです。

 

 

いっそのことすべてジェネリック医薬品にしたら?

 国の医療費節減、患者さんの自己負担軽減のためにはたいへん良いことです。ジェネリック医薬品は、開発に要する期間も短く費用も少なく、製造も安価で行うことができるので、莫大な費用と長い期間がかかる新薬開発に力を入れないジェネリック医薬品専門の製薬会社も増えています。

しかし、新しい病気や今まで治療できなかった病気を治療するための新薬がなかったら、医学は進歩しません。新薬開発メーカーを保護する政策も大切だと思います。

 

 

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