98号 2008年2月 ホワイトニング

 

 

着色歯・変色歯

 きれいな歯並び、自然なの色、そして健康な歯肉は、自信に満ちた健康的な表情を作り出し、社会生活の中で周囲の人々に好感を持たせる重要な要素です。特に歯の色については、昔から明眸皓歯めいぼうこうし:澄んだ瞳と白い歯の意味で、美人の形容に使います)といわれてきたように、人々にとって関心は高いものです。

 歯の表面に色の着いた歯を着色歯(ちゃくしょくし)、歯の色が変わってしまった歯を変色歯(へんしょくし)といいますが、着色歯や変色歯を持つ患者さんが、歯科治療によって自然な色の歯を取り戻すことは、患者さんの心理的負担を解放して自身を取り戻し、積極的かつ充実した人生を送ることができるようになるという大きな意義を含んでいるのです。

 

 

クリーニング

 私たちの歯は、日常生活をおくるだけでも、どうしても細かい汚れや色素が付着していきます。タバコを吸ったり、茶褐色〜黒褐色の飲食物(コーヒー、紅茶、番茶、緑茶、ワイン、カレーなど)を好む人、イソジンなどの褐色のうがい薬を頻繁に使用される人は、特に着色が強い傾向にあります。また、ブラッシングが不良な場合は、乳白色〜黄色の歯垢や、淡褐色〜茶褐色の歯石まで付着していきます。

 対策としては、まず禁煙や嗜好品の摂取制限をし、正しいブラッシングを身につけることが必要です。これだけで歯垢による着色はきれいに落ち、嗜好品による着色も淡くなります。

 その後は、歯科医院におけるプロのクリーニングです。まず専用の道具で歯石を除去(スケーリング)します。そして、クリーニングパウダーと水をジェット噴射させて汚れをはじき飛ばし(エアーフロー)、高速回転する電動ブラシで研磨(ポリッシング)して、歯の表面をピカピカに磨きあげます。

 歯の汚れを落とすクリーニングは、最高の「予防」になります。半年に1回、少なくとも1年に1回は受けたいものです。クリーニングはけっこうやみつきになる気持ち良さなので、美容院に行くのと同じ感覚で頻繁に受けられる方もいらっしゃいます。

 

 

ホワイトニング

 白人の歯が白いのに対し、黄色人種の歯はやや黄色がかっています。しかし、同じ黄色人種でも、皮膚が色白の人もいれば色黒の人もいるように、歯の色も白い人もいれば黄色い人もいます。また同じ人でも、年齢を重ねると歯の色が濃くなってきます。

 また、転倒などにより歯にケガを受けると、歯髄しずい:歯の神経)が死んでしまうことがあります。すると歯髄の分解産物により、歯が茶褐色〜黒褐色に変色してしまいます。

 薬物によっても歯の変色が生じます。テトラサイクリン系抗生物質は、昭和32年に発売され、それまでの抗生物質より有効であったため、昭和40年代に最も使用されました。歯の変色という副作用のため、昭和44年から妊婦・新生児・乳幼児への投与についての注意が添付書に記載されましたが、その後も依然としてこどもに対して投与されたため、昭和40年代生まれの成人に最も多く認められます。歯が生えた時は黄色程度なのですが、その後の自然光の紫外線によって、茶褐色〜黒褐色に変色してしまいます。

 これらの変色歯に対しては、クリーニングでは効果がないので、漂白剤で歯を白くするホワイトニングを行います。歯髄を取ってしまった歯はウォーキングブリーチ、歯髄が残っている歯はオフィスホワイトニングまたはホームホワイトニングを行います。

 

 

ウォーキングブリーチ

 歯髄を取ってしまった歯の中に、歯科医院で漂白剤を入れる方法です。1週間程度で漂白剤を変え、隣りの歯と同じ色になるまで繰り返しますが、通常3〜4回で終了します。

 すべて歯科医師が行うので、通院のみで患者さんの負担はなく、費用も低額です。

 

 

オフィスホワイトニング

 歯髄が残っている歯の表面に、歯科医院で漂白剤を塗布する方法です。1回の来院で3〜6回繰り返し、これを数回繰り返します。

 この方法もすべて歯科医師が行うので通院のみですが、1回の治療時間が1時間程度とやや長く、費用も高額です。そしてなにより、歯の艷がなくなり白濁した色になりがちなので、当院では行っていません。

 

 

ホームホワイトニング

歯髄が残っている歯の表面に、自宅で漂白剤を塗布する方法です。まず歯科医院で歯の型を取って、ボクシングのマウスピースのようなホワイトニング専用のトレーを製作します。そして自宅において、その専用トレーの中に漂白ジェルを入れて2〜3時間装着します。これを2〜4週間続けます。

とにかく患者さんの負担が大きく、時間もかかり、費用もやや高額です。しかし、ホームホワイトニングの漂白剤は、オフィスホワイトニングの漂白剤に比べてマイルドなため、透明感のある自然な歯の色になるのでおすすめです。

 

 

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