★週刊エコノミスト(12/16号)「生保安心度ランキング」
週刊エコノミスト(12月16日号)恒例の「生保安心度ランキング」が、発表されました。
ランキングは次の通りです。
ランキングの詳細は、週刊エコノミストをご覧下さい。
<総合順位>
1 アメリカンファミリー
2 ソニー
3 大同
4 日本
5 東京海上あんしん
6 アリコジャパン
7 プルデンシャル
8 明治
9 第一
9 アイエヌジー
11 富国
12 安田
13 太陽
14 オリックス
15 住友
16 アクサグループライフ
17 三井
17 朝日
※9位と17位は、同ランキングです。
ランキング自体には、多少の変動はありましたが、下位グループは安定しています。
多少、妙なところもありますが、ある意味で納得できるランキングだと思います(常日頃、ソルベンシー・マージン比率と格付をチェックしていれば、そこから大きくそれている順位の生保は、それほどないと思います)。
過剰な反応は禁物ですが、一部の生保の評価(ランキング)は格付け同様、かなり厳しい評価ですから、油断のないように。
なお、内容はご自分でご確認のうえ、ご活用下さい(記述内容の誤りには責任を負えません)。
●”結論は、安い「掛け捨て」”ではない理由
さて、今回の週刊エコノミストでコメントしたいのは、実はランキングについてではありません。
この、”結論は、安い「掛け捨て」”という記事について、不足している視点を、私なりに補足させていただこうと思います。
まず、この執筆者の方は、どこで書いても、TVのコンサルティングコーナーでも、次の3点から保険プランを考えているようです。
・予定利率は高い方が良い
・保険は、掛け捨てか、貯蓄型か、どちらかしかない
・生保会社は信用できない
そこから導き出される結論が、”結論は、安い「掛け捨て」”らしいのですが、この方の視点には次の視点が不足しているように感じられます。
1.保険が役に立つのは60歳を過ぎてから
掛け捨ての保険が安いのは、つまり60歳(老後になる前)までの、死にも入院もしないリスクの少ない時期までだけをカバーするという前提からであって、リスクが低ければ保険料が安いのは当然でしょう(保険期間という、保障の有効期間という視点が、この記事には抜け落ちています)。
むしろ、働いて収入があるうち(60歳か65歳まで)に保険料をきちんと払い終わって、本当に保障が役に立つ時期に保障が残る(確保できる)ようにしておけないなら、何のために苦労して保険料を払うのでしょうか。
http://www4.plala.or.jp/anshin/murinonai_plan.html
つまり、掛け捨ての保障だけでは、老後の保障がきちんと確保できないため、老後のためにしっかり貯金をしておかなければいけない、そのことにあえて言及していないため、掛け捨ては安くて良く見える、ということになります。
2.保険は掛け捨てか貯蓄型だけなのか
生命保険商品には、終身保険のように、保険料の払込をしている間は「死亡保障」として、払込が終わった後は「老後の生活資金」(しかも、終身保険に対して払った保険料の総額を超える金額を、払込終了時に確定できる商品もあります)として活用(バトンタッチ)することができるものがあります。
終身保険は決して、お葬式代ではありません。
払った保険料分を、早死にしなければ自分の老後の生活資金として活用できる、つまり生命保険でも「長生きして良かった」といえるプランは作れるのです。
逆に掛け捨ての保険料は、いくら負担が軽くても、保険期間内に死ななければ、保険料は自分に戻ってきません(つまり、「早死にしないと損」)。
でも、このような保険プラン(活用方法)は、掛け捨てか貯蓄型かの選択肢の中からは生まれてきません。
3.保険会社の財務力は信用できないのか
「健全だ、安心だ」と言い続けて破綻した生保があるということが、生保不信の根っこのようなのですが、そもそもこれまで破綻した生保は、破綻するずっと以前から会社の経営について大きな疑問が出ていた生保でした。
経済評論家の肩書きを持つ人なら、そんなことは先刻ご承知だったはずです。
今も、そういった意味では懸念のある生保は、たしかに数社あります(とはいえ、全部の生保が、まるで予定利率の引き下げをするような書き方は、おかしいでしょう)。
ただそれは、格付やソルベンシー・マージン比率をチェックすることで、ある程度把握できるのではないでしょうか(ある意味、一目瞭然)。
むしろ、この理屈からすれば、生保の情報を積極的に公開させていない金融庁の態度を批判すべきで、それを生保業界全体の不安を煽るような話に結び付けてしまうのは、なぜなのでしょうか。
4.予定利率が高い、保険プランの価値はそれだけではない
これについては、HPの「予定利率は高い方が良い?」を参照して下さい。
http://www4.plala.or.jp/anshin/yoteiriritsu.html
少なくとも、それだけではないことが分かります。
あるいは、予定利率だけで判断しようとすることは、生命保険の一面しか見ていないと言うことが、分かっていただけるかもしれません。
最後に、「シンプルな掛け捨てで、負担の少ない保険を選ぼう」と、この文章は締め括られていますが、私に言わせれば、それはシンプルなのではなく、単に「大雑把」な生保の理解でしかない、ということになります(この評論家の発言もやはり「優良誤認」となりかねない内容です)。
まだまだ、突っ込みたい点は細々とあるのですが、それよりも、このレベルの深みのない経済評論家を使っているということから分かるように、マスコミや出版社が、いかに生命保険を知らないか、あるいは真剣に取り上げようとしていないのか、痛感させられてしまいました。
なお、当然ですが、以上の内容は独断であり、「公正中立」でも「客観的」でもありませんので、ご注意下さい。
★S&P 格上げ情報
S&Pは、12月1日付けで、ジブラルタ生命の保険財務力格付を2段階引き上げました。
●AA−[新] ← A[旧](2段階のアップ)
「AA」:保険財務力が非常に強い。AAAとの差は小さい
「A」 :強い保険財務力を有するが、上位に比べ、環境が悪化した場合、その影響をいくぶん受けやすい
★スカンディア生命 撤退を検討
12月17日付「読売新聞」(朝刊)によれば、スカンディア生命の日本法人が日本からの撤退を検討しているとのこと。
あくまでも、検討中ということです。
お間違えのないように。
★ムーディーズ格上げ情報
12月24日付で、ムーディーズは、GEエジソン生命(2004年1月1日付でAIGエジソン生命へ社名変更)の保険財務格付けの引上げを発表しました。
●GEエジソン生命 Aa1[新] ← Aa2[旧](1段階引上げ)
「Aa」:支払能力が優れている保険会社に対する格付け。
Aaa格とAa格を合わせて、一般に優良保険会社と呼ばれる。
Aaa格の保険会社と比較して長期的なリスクがやや高いとみられるため、格付けを低くしている
あくまでも、格付は一つの目安です(格付会社は5社あり、そのうちの一つです。他の格付会社の格付は、下記で参照下さい)。
なお、内容はご自分でご確認のうえ、ご活用下さい(記述内容の誤りには責任を負えません)。
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