Maintenance Note No.24
2000年6月30日 リアの車高上げるためにタイヤサイズを変更
SRXのタイヤを交換した。尻下がりを矯正するためにリアのサイズを変更
フロントのブレーキパッドはRKのセミメタルを選んだ

 SRXのタイヤが終わった。ダンロップのGPR-80は,素直なハンドリングと程よいグリップを持った良いタイヤだ。ただし,ライフは思ったより短かかった。最低でも8000kmはもつだろうと思っていたのに,7000kmでもうダメだ。我慢すればあと1000kmくらいは乗れるだろうが,タイヤをケチってもよいことはひとつもないから,早めの交換が吉だ。
尻下がりを何とかしたい
 次のタイヤはどうするかを考えるのは,いつも悩ましくも楽しいひとときだ。今回は,ある思いつきがあった。ボクのSRXは,リアに150/60サイズを履いている。5年前にミシュランのTXに換えて以来,ずっとそうだ。標準は140/70だが,ワインディングでのグリップを重視すると,150の方がやはりフィーリングが良いし,太めのタイヤの視覚的な力感という点でも魅力がある。
 ただし,ワンサイズ太く,扁平なタイヤにすることで,バンクする際にわずかではあるがゴロリと寝る感じがするのと,リアの車高が下がってしまうという問題がある。140/70の計算上のハイト(タイヤの高さ)は98mmだが,150/60は90mmなので少し尻下がりになるのだ。慣れれば気にならない程度だが,スパッと寝る感覚が薄くなる。峠よりもむしろ,交差点の右左折が多い街中の方が気になる。いまやSRXは街乗り専用だから,尻下がりの姿勢がどうにも気になっていた。
 そこで考えたのが,リアタイヤを150/70にすることだ。これでハイトは105mmと,標準の7mmアップとなり,今よりも15mmもリアの車高が上がる計算になる。これなら,尻下がりの姿勢を矯正でき,ステアリングのレスポンスが良くなって,軽快にバンクできるはずだ。

目論見は外れたか?
 交換するタイヤの第一候補は,ブリヂストンの新製品「BT-020」だ。GPR-80は好きだが,やはり違うタイヤを試したい。ところが,BT-020にはフロントに110/70が無いのだ。ラインナップを見ると,大型のネイキッドやツアラーを意識しているようだ。
偏摩耗対策でパターンが変わった
偏摩耗対策でパターンが変わった

リアのパターンは90から継承
リアは排水性の良さそうなパターン
リアタイヤのハイトがかなり高い
リアタイヤのハイトがかなり高い




トルクロッドとタイヤとの隙間はわずか
トルクロッドとタイヤとの隙間はわずか

 次の候補はミシュランのツーリング向けタイヤの「MACADAM 100X」。前モデルの90Xよりも耐久性を上げると同時に,フロントの偏摩耗対策をした新製品だ。ウェットグリップの良さもウリのひとつだ。SRXは街乗り用で,ドライのグリップよりもライフの長さの方が重要だから,MACADAM 100Xはぴったりだ。問題は前後で約3万6000円と,国産タイヤよりも1万円近く高いお値段。しかし,選択肢はほかにないので,これに決めた。せめて1万kmはもってくれないと,元が取れないよなあ。
 タイヤ交換を済ませて跨ってみると,違いはすぐに分かった。明らかに車高が高くなっている。さっさと皮むきを済ませて,近所を走り回ってみる。乗り心地はミシュランにしてはやや固めの印象。ハンドリングは,期待していたほど軽快ではない。いや基本的には軽快なのだが,リアの車高上げで狙っていたほどスパッと寝る感じはしない。むしろ,左折でステアリングの切れ込みを期待してかなり倒し込もうとすると,フロントが粘るような感覚で大回りしていく。う〜ん,なぜだろう? そういえば,車高は上がっているが,フロントが下がった感じはあまりしない。狙いはハズレだったか…。
 バイクを降りてみると,70扁平の高いサイドウォールに違和感を覚える。長いこと60扁平のタイヤを見慣れていたせいだ。トレッド面などをチェックしていて,ちょっと青ざめることがあった。なんと,リアキャリパーのトルクロッドと,タイヤとのクリアランスがほとんどないのだ。
 これまでの150サイズのタイヤでは5mm以上の隙間があったが,今は3mm程度しかない。扁平率は異なるが,幅は同じサイズだから大丈夫とタカをくくっていたのだが,MACADAM 100Xは表示サイズよりも幅が広いらしい。実際の幅は155mmくらいあるのではないだろうか。取り敢えず当たっていないので問題はないが,表示サイズを鵜呑みにすると危険だということだ。
 蛇足だが,最近のミシュランタイヤのトレッド面には「ビバンダム(ビブ)」がいる。スーパースポーツ用のPilot Sportsではビブがトレッドの一番端にいるため,「ビブを消すには常にフルバンク」しないとダメだが,MACADAM 100Xではもっと中央よりにビブがいる。やはりツーリング向けのタイヤだからか?
パッドはRKに変更
 タイヤと同時にフロントのブレーキパッドも終わった。今回選んだのは,RKのセミメタルパッドだ。理由は…,安かったから。店頭価格は1セット3980円と,フェロードやAP,SBSなんかよりもお安い。もっとも,フェロードはローターとの当たり面がうまく合わない問題があるので,最初から候補には入れていなかったが(No.20を参照)
 ボクのSRXはキャリパーがブレンボの鋳造(パッドピンが1本のストリート用)なので,パッドの品番は「RK-850 FA5」だ。パッケージにも適合表にもブレンボ用と書いていないが,これでOKだ。FA5というのは,銅フレークが55%配合されているタイプで,同じ型番のUA7よりもストリート向けという設定だ。
 パッド交換でキャリパーを掃除して思ったのが,このキャリパーもそろそろ寿命かなということ。3万kmも使ったのだから仕方ないか。さて,交換した印象は…,特にない。特別効きが良いわけでも,悪いわけでもない。ごく普通に効く。ブレーキング社のローター「STREMEX01」との相性は悪くないようだ。ブレーキは,効きすぎても効かなくても困るから(もちろん,効かないのは特に困る),これでOKでしょう。

2000年7月26日追記
 ワインディングも走ったので,MACADAM 100Xの印象をまとめてみた。ミシュランのタイヤにしては,路面への当たりが固めで乗り心地はいまひとつ。フロントの舵角の付き方は穏やかで,低速で倒し込むと,フロントがやや大回りするような感じ。バンクのし始めもゆったりしているが,いったん傾き始めるとかなり深いバンク角まで素早く倒れ込んでいく。フロントから旋回していく感じは薄いが,これはSRXだからかも。
 グリップはもう少し欲しい。SRXでも,コーナー出口でスロットルを大きく開けると,トルクの出始めでズルッと滑る。少し速いペースで走った後でも,トレッド表面はほとんど融けていなかった。ライフは長そう。本来ツーリング用タイヤで,街乗りバイクに履いたのだから,これでいいんだけどね。

2000年10月18日追記
 今ごろになって,リアタイヤにチェーンが接触していることが発覚した。サイドウォールの最も外周の部分に,チェーンが当たった跡が断続的についていたのだ。チェーンを横方向にめいいっぱい押し込んでみると,確かにわずかながらサイドウォールに当たる。と言ってもかする程度で,タイヤについた跡もこすれば取れるくらいなので,まず心配はなさそうだが,気分のいいものではない。
 ただ,チェーンとのクリアランスはほかのバイクと比べても危ないほど狭いわけではないから,チェーンのガタが増えていることが原因の可能性はある。520サイズに換えてあるのも一因かも。そんなわけで,MACADAM 100Xの150/70を入れる際は気をつけた方がよさそうだ。

こんなところにビバンダム
こんなところにビバンダム



装着前に写真を撮るのを忘れた…
装着前に写真を撮るのを忘れた…