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[総合的な学習・福祉ボランティア][6年][もっと手話を学ぼう]
「手話を学ぶきっかけづくり」の授業記録][障害者を理解する授業記録

もっと手話を学ぼう(対象学年3年以上)

 5年生(1998年度)の終わりごろ、「実際に耳の不自由な人とふれ合ってみたい」という声が子どもたちから出された。
 6年生(1999年度)がスタートしてまもなく、聾者協会に依頼したところ、子ども達の願いが実現することになった。
 おふたりのゲストティーチャ−に教室に来ていただけることになった。

1回目

 初めての手話学習である。  
 まず、クラスの全員が、指文字と手を使って自己紹介をした。こんな具合に。
 「ぼくの名前は、○○○○です。ぼくは野球が好きです。」
 みんな、ゲストティーチャ−に通じてほっとした様子。口を大きく開けて、口話でも伝わるように意識できていた。
 それからいろいろな手話を教えていただいた。

 「おはよう」 (右手を枕にして頭を起こす)
 「こんにちは」(人差し指と中指を時計の針にして動かす)
 「こんばんは」(太陽が沈む様子を両手で表す。)

 すべて意味があった。意味を説明しながら、手話を教えていただいた。

 「趣味」「野球」「サッカー」「バスケット」「バレーボール」「うれしい」「悲しい(泣く)」「お父さん」「お母さん」「おじいさん」「おばあさん」「おじさん」「おばさん」「虫」「かしこい」「博士」「今日」「明日」「あさって」「昨日」「おととい」「3日前」など。

 質問コーナーになった。

 Q:耳が聞こえなくて、不便と思ったことはありませんか?
 A:困ったことはありません。幸せです。
 Q:口話で「あ」と「か」はどのように見分けるのですか?
 A:1つの文字ではなく、文章で読みとります。だから分かります。  
 Q:音を聞きたいと思ったことはありませんか?
 A:あります。風の音とか波の音とか。
 Q:つらかったことはありませんか?
 A:いじめられたことは一度もありません。

2回目
 
 前日、それに向けての計画を立てた。
 まず、前回(1回目)の良かった点、がんばるべき点を出し合った。
 次のことが出された。

 良かった点
 言われたことに素直に反応していた。静かだった。一期一会の気持ちで一生懸命学習していた。口を大きく開けて話すことができた。自己紹介が通じた。しっかり聞こうとしていた。

 がんばるべき点
 積極的に質問していない。自分から学ぼうとしていない。新しい手話を教えてもらうとき、少しざわざわしていた。  

 子どもたちは、本当に素直に一生懸命学んでいた。しかし、初めての交流で何をしていいかわからなかったようだった。
 ただ、今後どうすればいいか、子どもたちが少し見えてきたような気がする。

 第2回目の「手話で交流」の日となった。

 まず、自主的に立候補した、2人の子どもによる手話のあいさつ。
 「いろいろ教えてください。」「今日も1日よろしくお願いします。」
 ばっちりだった。
 次に前回欠席だった2人の子どもが、手話で自己紹介をした。
 この日のメインは、「子どもたちひとりひとりの名前を手話で教えてもらうこと」であった。
 子どもたちは全員、指文字で自分の名前を表すことができる。
 それをこのようにやるのを教えてもらったのである。

3回目

 この日はゲストティーチャ−に来ていただいたのだが、私が授業を進めた。

  全員起立。この前習った手話が全部できたら座りなさい。

 まず、前時の手話を復習させた。

 ここに書いてある手話以外で、ハートフル大会に使いそうな手話を3つ書いてノートを持ってきなさい。

 ノートにまるをつけた後、黒板に書かせていった。

 ・トイレどこですか。 ・試合がんばってください。 ・どこのチームですか。 ・どこから来たのですか。 ・自信はありますか ・緊張していますか。 ・相手のチームはどこですか。 ・ファイト ・ナイスプレー ・がっちり ・どこに住んでいますか。 ・私は手話があまり早くできません。 ゆっくりお願いします。 ・私は手話をあまり知りませんので、もしちがっていたら教えてください。・私は○○町から来ました。・私はジュニアバレーをやっています。 ・どこのチームと戦うのですか。・こんにちは、私は○○小の6年生です。 ・試合が楽しみです。・相手のチームはどうでしたか。 ・先生とはどんな関係ですか。 ・ここは火の国で、火のようにがんばってください。・なぜ、このバレーに出ようと決めたのですか。

 黒板に書かれたものを1つずつゲストティーチャ−に教えてもらった。

  全員起立。全部1回ずつできたら座りなさい。

 お礼のあいさつをして授業を終えた。

4回目 

 この年の熊本は、10月に国体、11月にハートフル大会で盛り上がった。
 そんな中、聾者の方と子どもたちが直接ふれ合えるという幸運が訪れた。
 11月6日、ハートフル大会のバレーボール競技が地元で行われ、クラス全員で観戦できることになったのである。聾者によるバレーボール競技であり、練習前や試合中の会話は手話である。

 子どもたちは手話を使って選手を応援する。
「こんにちは。」「がんばってください。」「勝ってください。」「どこの選手ですか。」
 選手は、「ありがとう。」 など答えてくれる。

 また、ゲストティーチャ−のお友だちが4人いらっしゃっていて、短い時間だったが、子どもたちは聾者の方とふれ合うことができた。


文責   東田 昌樹

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