サンゴとベルサイユ大乱戦!

 脚本:浦沢義雄 演出:川田武範 作画監督:信実節子
★あらすじ
 世界に散らばった選ばれし子供たちの活躍が続きます。
 シドニーに降り立った丈と伊織は現地で待っていたエージェント・ユーカリと共にダークタワーを倒しているところで、
 ゲソモンら水棲デジモン集団に追われている選ばれし子供・ディンゴを目撃します。
 ふたりはディンゴを助け、力をあわせて水棲デジモンたちを鎮圧。ダークタワーも全て破壊され、被害阻止に成功するのでした。

 ところ変わって、こちらはパリ。
 タケルと太一はタケルの祖父・ミッシェルの案内で行動していましたが、ベルサイユ宮殿の様子が変です。
 なんと、歴史的城閣はマメモン三兄弟らデジモン集団に占拠されていました。そのうえ、選ばれし子供のカトリーヌが囚われています。
 タケルたちはさっそくカトリーヌを救出。完全体の力を存分に活かし、難なくデジモンたちを制していきました。

 しかし日本ではその間にも、 アルケニモンたちの暗躍が続いていたのです……
 
 
 
★全体印象
 41話です。タイトルコールは伊織・タケル・丈・太一の声優さんがた……かな?
 背景は縦半分に分かれていて色も対照的になっており、ふたつの舞台イメージをあらわしています。
 左にホーリーエンジェモンとメタルグレイモン、右にサブマリモンとズドモンが影絵として配置されていました。

 デジアドとしては最後の浦沢脚本となる回。
 しかしながら演出などテンポの悪さから、世界篇でも特筆に困る仕上がりとなっています。
 タケルの祖父ミッシェルの登場と、可憐なカトリーヌの2点でもっていると表現しては言いすぎでしょうか。

 ただ前回にくらべ、01組もそこそこバトルをしてくれます。
 完全体になってしまうともはや相手のほうが弱すぎることもあって、あんまり嬉しくないんですが……
 ちなみに大輔の出番はアバンのみ。これ自体は非常にめずらしい状況といえます(23話は例外)。
 
 作監が信実さんなので、絵は悪くありません。
 
 
 
★各キャラ&みどころ

・伊織&丈
 前半のメイン……なんですが、別に面白いことはなにもしてません。
 オーストラリア篇は滑りまくった例のセリフが最大のインパクトで、他はあんまり残らないというのが正直なところでした。
 シーラモンとの共闘シーンは楽しかったんですが。
 
 
・ディンゴ
 オーストラリアの選ばれし子供。根っからの海育ちという風情です。
 ヨットの腕は確かなものがあり、ゲソモンたちに追いかけられながらも見事逃げ切ってみせていました。
 パートナーはガニモン。進化するとシーラモンになります。
 太一&アグモンとは配役が逆になってるコンビで、注意して聞くとちょっと面白いですよ。

 ところで「ディンゴ」とはオーストラリアの野犬を意味する名前。
 あだ名じゃないとしたら、親御さんは一体何を考えてつけたんでしょう。
 
 
・太一&タケル
 後半のメイン役。しかし猛烈グランペールことミッシェル翁の大ハッスルに煽られ、これという見せ場がありません。
 パートナーたちが活躍しただけです。
 
 
・カトリーヌ
 フランスの選ばれし子供。ウェーブのかかった金髪に赤い毛皮のコートがよく似合うパリジェンヌです。
 あの太一やタケルをしてひと目で「可愛い」と言わしめたほどですから、どうやら相当の美少女みたいですね。
 パートナーはフローラモン。アグモンたちの反応からみて、同族のなかでもかなり可愛いほうだと思っていいでしょう。
 進化してキウイモンになったあともそうなのかどうかは不明。

 声はカトリーヌが浦和めぐみさんで、フローラモンが竹内順子さん。
 女性らしい演技に切り替えていますが、いずれも特色のある声質なので聞き分けはしやすいほうです。
 
 
・パートナーデジモンたち
 すっ転んだだけで進化解除しちまうディグモンとか、ヴァリアブルダーツ一撃でダークタワーを破壊する激強シーラモンとか
 どういうつもりかアレルギーシャワーでダークタワーを破壊しようとするフローラモンとか言いたいことはいろいろありますが、
 とりあえず黙っておきます。

 それにしてもメタルグレイモン&ホーリーエンジェモンのタッグは強力すぎはしませんか。
 相手取るマメモン三兄弟がちょっと可哀相になってきます。
 
 
・ユーカリ
 安直なネーミングのエージェント三人目。なぜかサンタの扮装で現れました。
 変装を解くと瞬時に体型まで引き締まっていましたが誰一人ツッコミを入れません。見なかったことにしたのでしょうか。
 しかし服装はサンタのままなので、冷静に考えると大変マヌケです。

 後半にはエージェントが登場しませんでした。他のパリっ子たちと行動していたのかな?
 まあ、ミッシェル翁がいたのでどっちみち出番はなかったことでしょうが……
 
 
・ミッシェル
 フランス篇でタケルたちの案内に現れた人物。母方の祖父だそうです。
 つまり奈津子さんがハーフにあたるわけですね。言われてみればヤマトパパはどう見てもハーフじゃないし、当然か。

 老人とはいえそれほどお年を召しておられるようには見えず、体もガッシリしていますね。鍛えてるのかな。
 移動にあたってはサイドカーを乗り回すアクティブぶりを発揮しているし、まだ60そこそこなのかもしれません。
 孫であるタケルの年齢を考えれば、そのぐらいでも不思議はないはず。

 性格的にはフランス人のステレオタイプらしく、強引で女性好き。時代劇口調になることもあります。
 カトリーヌに対して好意を隠さぬあたりにいろいろ不安を覚えたりしてしまいましたが、女性には例外なく優しいだけなのかも。
 よく見ると、その彼女をちゃっかり自分の後ろに乗せている場面があったりします。

 声が平田広明さんということもあってか、事実上ゲンナイさんたちの代わりをつとめていました。
 前から思ってたけど、平田さんホントに掛け持ちしすぎ。
 
 
・オーストラリア&フランスの選ばれし子供たち
 あらかた事が終わったあとで大量に現れました。
 オーストラリアはともかく、フランスにもけっこうな数がいるのを確認してちょっとビックリ。
 しかし全員名前がありません。ぶっちゃけ量産型な人びとです。

 見ればホエーモンの姿もあるんですが、パートナーデジモンかどうかはわかりません。
 上に大勢乗っかってるので、可能性は高めなんですけど。
 
 
・迷いデジモンのみなさん
 オーストラリア篇でおもに出てきたのはゲソモン、シェルモン、エビドラモン、アノマロカリモン。
 いずれもこれまでのシリーズで登場済みの個体ばかりです。
 完全体とはいえ意外に強かったのがアノマロカリモンで、ズドモン一体ではちょっと手を焼く相手でした。
 シーラモンのセリフからみて、かなり本気で攻撃せざるをえなかった相手のようです。
 ちなみに声をアテていたのは女性。メス寄りの個体みたいですね。

 パリにはマメモン三兄弟とギロモンが現れました。機械・変異系のデジモンばかりですね。
 三兄弟の内訳はマメモン、ビッグマメモン、メタルマメモン。デジアド系にはここにしか出てこない系列です。
 ほんとうの兄弟なのか、それとも義兄弟なのかは不明。兄弟の概念があるかどうかさえ曖昧なんですが、深く考えてはいかんのでしょう。

 三体ともいちおう完全体のはずなんですけど、メタルグレイモンらにはまったく太刀打ちできてませんでした。
 しょせん無頼の迷いデジモン、必勝の気迫に欠けるようです。
 
 
・川田のりこ
 風邪気味の女の子。思うように結果を出せず、苦しんでいることがセリフからわかるようになっています。
 そのせいか、突然あらわれたアルケニモンにフラフラついていってしまいました。
 いったいアルケニモンのどこらへんに何を見いだしたんでしょう。

 名前は吉沢孝くんと同じように、今回の演出をつとめた川田武範氏から取ったものと思われます。
 
 
・アルケニモン
 ラストで川田範子の前に現れました。セリフは無し。廻る風車がここだけ今村演出テイストを醸し出しています。
 マミーモンと同時展開で、かなりの人数を集めていたようですね。
 
 
・ダークタワー
 シドニーのゴールドコースト及びグレートバリアリーフ近辺に現れたものと、パリに現れたものをあわせ三本が確認されています。
 どうやら進化抑制能力はアルケニモンたちが近くにいないと働かないままみたいで、01組でも倒壊に貢献できていました。
 40話の描写からみて、通常の電子機器では役に立たなくなるぐらいの力は出してるみたいですが。
 


★名(迷)セリフ

「ゲソモン! シェルモン! エビドラモン!
 おまえたちをデジモンシーフードミックスピザにしてやるぞ!」(イッカクモン)


 類似パターンとして「ピラフバージョン」と「カレーバージョン」があります。 
 丈センパイがいったいどうやってこの言葉責めを思いついたのか小一時間問いただしたいところ。
 それをツーカーで実践したイッカクモンにはもっと言いたい事がある。
 
 
「アルマジモン! 言っておあげなさい」(伊織)

 いまどきこんな言葉づかいをする小学生なんて絶滅危惧種なんじゃないかと思われてなりません。
 しかも伊織は男の子ですよ。
 
 
「ベルサイユ宮殿を守ることは、フランス国民の義務だ! Vive La France!」(ミッシェル)

 ゲストキャラからのエントリー。フランス人としての誇りがかいま見えるセリフです。
 ちょっと後にカトリーヌへ言ったセリフからみて、この人はナイトの勲位を持ってる可能性がありますね。
 日仏の間に何か功労を残しているのかもしれません。
 
 私の聞き取りが正しければ、終わりのフレーズは『最後の授業』でも使われた有名なものです。
 
 
「Joyeux Noe¨l ! 」(いろんな方々)

 フランス篇の最後にくどいほど繰り返された言葉。意味は「メリークリスマス」と同義です。
 この時カトリーヌは太一とタケルに両側から頬をキスされるという、女性ファン的に何とも羨ましいであろう体験をしていました。
 忘れがちですが、時間軸的にはまだクリスマスなんですよね。
 
 
 
★次回予告
 世界篇もこれでラスト。主なゲストはメキシコのチチョスですね。
 蟲くんの新たな側面もかいま見ることができます。