恐怖! ベリアルヴァンデモン
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脚本:まさきひろ 演出:芝田浩樹 作画監督:出口としお |
★あらすじ
及川の次なる行動。それは光が丘に暗黒の種を宿す子供たちを集め、種の力でデジタルワールドに行くことでした。
ゲートはブラックウォーグレイモンが封印していたはずなのですが、どうしたわけか大輔たちの目の前で開いていきます。
あわてて後を追う選ばれし子供たち。
ところが、着いたそこはデジタルワールドではありませんでした。
愕然とする及川の内側から、謎の影が語りかけてきます。その正体は三年前、消えたはずのヴァンデモンでした。
及川を利用し、自らが新しい肉体を得るための餌として暗黒の種を集めさせていたのです。
あらたな進化を遂げ、ベリアルヴァンデモンとして異世界の大地に邪身をあらわす死魔王。その最初の餌食は、
部下といっていいはずのアルケニモンたちでした。戯れのようにふたりを屠るその残忍きわまりない姿を見て、
選ばれし子供たちは恐怖のあまり動けなくなってしまいます。
いや、ただ一人戦意を失っていない子供がいました。その名は……勇気を受け継ぐ者、本宮大輔!
大輔はエクスブイモンとともに、絶望的バトルへ立ち向かっていきます。
果たして、戦いの行方は!?
★全体印象
48話です。泣いても笑ってもあと3回。ついにラスボスがお目見えですよ。
タイトルコールは森川智之さん(ベリアルヴァンデモン)。影絵も当然、ベリアルヴァンデモンですが……これは設定画かな?
最終決戦前の一斉ネタばらしといっていいお話。
ダークタワーの最大の効用や意志を具現化する世界の存在、暗黒の種の真の役割など、かなりのてんこ盛りです。
まさにクライマックスというやつですが、
舞台そのものは動いているようであんまし動いてません。
前半が光が丘、後半がくだんの意志現世界と大きくふたつに分けることができます。
とまあ、細かいネタが多いのでほとんどは個別ゆきになってしまうんですが……
前菜よろしくあっさりと片づけられてしまったアルケニモンたちについて触れないわけにはいかないでしょう。
ほめられた連中じゃありませんでしたが、
こうして見るとやっぱり哀れで憎めない面もありました。
大物感がないので生き残るという流れもあったと思うんですが、そのための材料がなさすぎるのでどっちみち無理だったかも。
酷なようですが、生き残ったからといって黒ウォさんがそうだったように、これといってもうやることがないわけで……
さて、作画は今日もマッハでデグっております。
せっかく出てきたベリアルヴァンデモンがいささか間抜けに見えたことも、書いておいたほうがいいでしょう。
★各キャラ&みどころ
・大輔
目の前でアレを見せられてもびびるどころか、なんにも動じてないように見えました。
あまつさえ、気力が50まで下がったみんなを鼓舞しようとまでしてます。この暗黒耐性はもはや異常の域に達していますな。
単純に神経がず太いとか鈍感だとかそんな事は……ないと思います、たぶん。
まあもうちょっとマジメに語らせてもらえれば、全くびびってないわけではないのでしょう。
エクスブイモンの願いに答えて気合を入れ直すシーンや、賢とのいつもより言葉少ななやり取りやその際のセリフなどから、
むしろ恐怖を気魄で押さえ込んでるとみることもできます。
それにしても、あの状況下で笑って戦いに向かうとは……
彼が主人公じゃなかったら次回で死ぬんじゃないかと思ったところですよ。死亡フラグが積載量限界まで立ってたうえに、
あの時は頭上に死兆星まで見えました。まあ全部蹴り倒してたたき壊すんですけど。
そういえばよく考えてみなくても、彼って死ぬと盛り上がるタイプなんですよね。ムードメーカー型だから。
むろん、デジモンの作風とは1ミリも一致してないのでそんなことはあり得ないとすぐにわかるわけですが、
なにしろアルケニモンたちがあんな死に方をした後なので不安になったのも確かなんです。
今となっては笑い話ですが。
・京、伊織、タケル、ヒカリ
気力がズンドコまで下がった方々。
暗黒耐性が低めなタケル&ヒカリはおろか、京や伊織まで戦意をなくしてしまっていました。
ヒカリに至っては前半からとっくにテンションが低めで、微妙に空気が読めてませんでしたね。
もともと、たまーにボソッと不安を煽るよーなことを言ってまわりの気力まで下げることがありましたっけ。
それで特に何か言われてる様子はないんですが、大輔たち以外のクラスメイトには何か陰口を叩かれてる可能性があります。
画面に出ないというだけで。
イヤな可能性ですが、そんなことを思いました。
勢いとはいえ正面切って言った(31話)だけ、京さんはずっと優しいほうですね。
・賢
彼だけは、大輔をのぞくと一番マシに動けたようですね。
環境が特殊なのでただの恐怖というわけじゃないのでしょうが、どうやら彼には少し耐性があったようです。
幸か不幸か、以前に闇の洗礼を受けていたおかげかもしれません。
ラスト前における大輔との会話はまるで、ヒーローとヒロインのよう。
あのデジモンカイザーがまさかこんな立場に立つなどとは、いったい誰が予想したでしょうか?
いや、味方に来るかもぐらいのことは私をふくめ、たいていの人が読んでいたはずですけれど……
・先代組
出番は前半のみ。その中では光子郎が目立ってましたが、実はその光子郎のお母さんのほうが印象に残ったりします。
太一は今回もセリフ無し。代わりにヤマトがいちおうの代表を張ってました(光子郎のほうが代表っぽい気がするけど)。
丈先輩もいましたが、やっぱりセリフが無かった感じです。
そしてパートナーがいないので、最終決戦には土壇場まで参加できません。
02における役目はもうほぼ終わったのだなと、つくづく思い知らされるお話でした。
せっかくウォーグレイモンを出せるようになっていながら、本当にただ黒ウォとやり合っただけでしたし。
・光子郎ママ
39話につづいての乱入。まるでケンダマン&スクリューキッドみたいな方です。
今回のことで親御さんがたもあれこれ動いているそうで、自分もなにか力になりたいとオニギリを作ってきました。
そーいえば、テイマーズでもオニギリを作るシーンがありましたね。ああいうのは結構好きです。こっちは唐突でしたけど。
しかし前から思ってましたが、養子とはいえ光子郎ぐらいの年の子をかかえているにしては若いですね。そしてチャーミング。
スタッフの誰かか脚本のまさき氏が気に入っている人物なのかもしれません。
・及川
いきなり泣き出したり驚くほど温和な顔をしたり絶叫したり、精神バランスがいよいよもってブッ壊れています。
デビモンの腕を拾いに行ったときの賢ちゃんに、状態としては少し近いのかな。
結局、彼もまた黒幕の操り人形にすぎませんでした。
賢と境遇が似ているという意見がありましたが、確かにその通りだと思いますね。
むしろ、賢ちゃんの状況をもっと泥沼にしていったら及川になる、というべきなのかもしれません。
火田浩樹に大輔の面影を感じたのも、そう考えればむべなるかな。
やはり及川には「いちばんの親友である大輔を失った賢」という仮定の映し身という面もあるのでしょうね。
賢ちゃんにはさいわい親御さんとワームモン、そして大輔がいてくれましたが、及川には浩樹しかいなかったんでしょう。
そのせいか、彼は誰にも否定されてないのに「デジタルワールドに行く資格が自分には無い」と思い込んでいました。
あるいは誰かに否定されたのかもしれませんが、詳しいことはわかりません。
いずれにせよ、私はこう考えます。
デジタルワールドが及川を拒絶したのではなく、及川のほうがデジタルワールドを拒絶していたのだと。
夢を見すぎて、理想を求めすぎて、自分にはまともに行きたくても行けない場所なのだとみずから可能性を狭めてしまった。
しまいには見切りをつけて裏道を潜ろうと、あんなに夢見た世界を傷つけるという矛盾に満ちた行為にまで及ぶようになった。
そもそも、大人だから行けないなんて誰もひと言も言ってません。ナルニアじゃあるまいし。
たまたま子供のほうが選べる未来が多いから、先行ぎみに足を踏み入れられるというだけのことだと思うんですよ。
じっさい、最終話では普通にデジタルワールドへ足を運んでる大輔たちの姿を確認できるじゃありませんか。
及川とまさに同じくらいの年代になってるというのに。
必要なのは大人だとか子供だとか、汚れてるとか汚れてないとかじゃなく、自分らしくあることなのです。
紋章の意味するところが何かを考えれば、おのずと答えが出てくるはず。
・アルケニモン
マミーモンと二人揃っての退場となりました。
ベリアルヴァンデモンの圧倒的な力で一方的に嬲り殺されるという、かなりエグい死に方です。
今までの所業を思えば因果応報と言えなくもないのですが、こんな最期をむかえるとは思いもよらず。
取っ捕まってブタ箱送りか、でなくば普通に敵として立ちふさがり倒されるぐらいが予想の相場だったはずです。
ヤマト的に言うなら「なにも殺すことないじゃないか!!」というところでしょう。
というか、彼女たちはなんでボスでもない相手の命令を聞いて大輔たちのジャマをしたんでしょう。
だってあれは、及川の姿をしていてもベリアルヴァンデモンですよ。彼女たちの創造主というわけじゃあない。
及川に宿っていたというのなら主人と同義、とでも認識したんでしょうか?
でもあれはどちらかというと「他にどーしたらいいのかわからなかった」と捉えたほうがいいような……
忠誠心というより、命令されて破壊活動をする以外の生き方をほとんど知らないだけという気がしてならんのです。
そしてそこにたいして疑問を持たなかったから、破滅という幕に潰されたんじゃないでしょうか。
思えば、哀れな連中です。
別の生き方を望むことさえできなかったのですから。
・マミーモン
彼のほうは、アルケニモンさえいれば生き方は問わない節がありました。
前にも書いたと思いますが、極端な話アルケニモンがその気なら、子供たちの味方をすることも辞さないでしょう。
単にそーゆー機会がなかったというだけで。
だからもし、この二人に別の生き方があるとすれば彼に頑張ってもらうしかないんですが……
そうはならなかった。
彼はアルケニモンが嬲り殺しにされるのを、よりによって目の前で見せつけられてしまったんです。
その瞬間、彼は自分の存在理由すべてを失ってしまったんでしょう。文字通り、身も心も死人になってしまった。
できるなら刺し違えるつもりだったに違いありません。
しかしその最期は、一矢報いることすらかなわず体ごと溶かされて消えるという、この上なく悲惨なものでした。
アルケニモン以上に憎めないところの多かったヤツだけに、多くのファンが衝撃を受けたと聞きます。
ベリアルヴァンデモンの残虐さを示すためには、たしかに効果的だったかもしれませんが。
・ベリアルヴァンデモン
かなり唐突ですが、ついにラスボスが出現しました。
ここへきてダークマスターズより格下のヴァンデモンかよと少し驚きましたが、判断材料はあるんですよね。
ヴェノムヴァンデモンが消えたのは現実世界だし、ヴァンデモンは人間のデータを吸収していましたもの。
暗黒の種によって変異とすら言える異形の進化を果たしたその姿は、まさに怪物そのもの。
甲殻とも皮膜ともつかない体組織や両肩の生体兵器、説明しがたい形をした手と爪、斑点が生理的嫌悪感をもたらす翼と、
魔王というよりはエイリアンやオーラバトラーを連想させる姿です。
とりわけイメージが近いのは、OVA版「聖戦士ダンバイン」に登場するズワウスでしょうか。
姿から連想できるとおりの極悪な性格で、アルケニモンをさんざん痛めつけて恐怖を味わったあげくに食い殺したり
(そういう風にしか見えない)、得意技のメルティングブラッドでマミーモンを惨殺したりと、いきなり飛ばしています。
存在そのものから「死」を連想したとしても、子供たちを責めるわけにはいかないでしょう。
ただこの人、最初っからエンジン全開にしすぎたせいか次回で早くも息切れを起こしていたりするんですよね。
そのへんは49話で語るとしましょうか。
声は及川やマミーモンと同じ、森川智之さん。以前の大友氏よりも若々しいイケメン声なので、ギャップが凄いです。
物言いや素行が妙に荒っぽい(悪く言えばチンピラ気味)なのは、変異の影響で若返った(?)からでしょうか。
顔も前より下品というか、血の気が多い感じです。
・闇の企て
及川の口からいろんな設定が語られたので、ちょっと纏めておきましょうか。
・ダークタワー
もともとはダゴモンの海にあったものだそうで。
それだと13話との整合が微妙につかないような気がするんですが、あとに述べるイービルリングとの連携は
あの海になかった概念のはずなので、そこらへんに抜け道がありそうです。
もっとも、及川的にはデジタルワールドの環境を変える(つまり、外部世界との境界を曖昧にする)機能がいちばん重要で、
ほかは計画を円滑に進めるためのオプションみたいなものだったみたいですけれど。
なお、どのようにしてデジモンカイザーに渡ったかは定かじゃありません。賢ちゃんも覚えていないでしょう。
・イービルリング
ベリアルヴァンデモンによると、ホーリーリングのコピーを機能反転して作ったものなのだとか。
ここで勘違いしちゃいけないのは、テイルモンがあの聖なる輪を失った時点にもうイービルリングがあったという点。
あの時落としたからコピーされたのではなく、ヴァンデモン軍時代にコピーしておいたものなんでしょう。
何かの役に立つはずだという、悪魔的な見立てによるものだったわけですね。
・暗黒の種
吸収することで対象にある種の爆発的進化、もしくは変異をもたらし、条件が合致すれば新たな肉体まで生み出せるようです。
及川はその力がデジタルワールドの境界を抜けるために有効だと考えていたようですが、これはまったくのデタラメでした。
十数単位で摂取したヴァンデモンは肉体を新たに得たばかりか、前より強力でしかも理性を保ったまま究極体の力を得、
ベリアルヴァンデモンとしてリボーンを果たしています。媒介があるとはいえ、効能のほどをうかがえる現象でしょう。
デーモンが欲しがったわけです。
しかし、この裏技にはひとつだけ致命的な弱点がありました。
最終話で語れると思います。
・意志を具現化する世界
ゲートの封印が効いていたのかどうなのか、偶然迷い込んだ世界。
この世界と暗黒の種、そして及川の中のヴァンデモンというファクターが揃ったとき、決戦のトリガーが引かれました。
ただし49話でわかるとおり、ベリアルヴァンデモンにとっては諸刃の剣ともいえる世界です。
しかしそれも、選ばれし子供たちの戦意を奪ってしまえば関係ないはずでした。
なぜなら、意志の持ちようが現実世界やデジタルワールドよりも深刻な影響を与えるからです。
言わば増幅された恐怖が、タケルたちを襲っていたことになるのかもしれません。
誤算があったとすれば、それはやはり大輔の存在でしょう。
パートナーはともかく個人としてはノーマークだったはずの大輔に、ベリアルヴァンデモンは足元を掬われることになるのです。
なお私はこの空間のことを「意志現世界」と呼んでいます。
縮めただけですが、意外にはまった。
・12月31日
大晦日。38話からは1週間ほどしか経ってなかったんですねえ。
日数的に第4クールのスパンが一番短いことになるのか……
正確にはデーモン軍団までがギッチギチで、あとはわりと散発だったようですが。
★名(迷)セリフ
「いざという時、おれじゃどうにもならんだろ? アグモンが一緒にいる太一のほうが適役さ」(ヤマト)
空と別行動を取っているという太一について。
が、どう考えてもこの判断は間違っているような……
仮にも究極体持ちがいちばん大事なエリアにいないというのは、かなりおかしいと考えます。
まして、川田嬢はもう敵の計画のメインストリームからは外れているのに。
要するに、02組以外を参加させないための方便なんでしょう。
別の見方をすると男と女のちょっと面倒な話に発展していきそうなので、やめておきます。
「わからない……けど、救えると信じて頑張るしかないよ」(タケル)
ひさびさに聞いた気がする類のセリフ。
希望の紋章を持つものにふさわしい言葉だと思います。
「もう少しいちゃダメ?」(泉佳恵)
この後、身を案じる光子郎に強く出られてしょげちゃいます。
うーん、中学生の子持ちとは思えない可愛らしさだ……(^^;)
この人いったい、いくつぐらいなんでしょう。環境を考えたら、30代前半でもおかしくないかもしれませんね。
まさか20代ってこたあないと思うけど。
ちなみにお遊びなのかどうなのか、オニギリの重箱を受け取ったのは声優さんのかぶってるヒカリだったりします。
「たぶんあれは物質的なものじゃなくて、精神的なものじゃないかな。
根拠はあるよ。なぜって僕の中にある暗黒の種の成長が止まったのは、父さん母さんの僕への愛に気付いたから……」
(賢)
暗黒の花、ひいては暗黒の種について。
そうだとすると、精神を具現化するともいえるあの意志現世界はヴァンデモンにとり、まさに格好の舞台だったのでしょう。
ゆえに弊害もあったのですが……ある意味これも伏線なのかな?
いっしょにフレーム入りしてる大輔が、途中で笑顔になるのもポイント。
「ゲートは開けたが、行くことはできなかった。穢れちまった大人を、デジタルワールドは受け付けないってことかな……」(及川)
汚れちまったと思い込んでるから、行けないと思い込んでるから行けないという発想にはならなかったようです。
こんな自分が普通にいける世界だとは思いたくなかったのかもしれません。ある意味、夢を見すぎていたのか。
が、臆面もなく大人が汚れてるって言えちまうこと自体、彼が悪い意味で精神的に子供だという証拠。
私でさえハタチの頃には、そういう表現に抵抗を覚えるようになっていましたよ。
だって、人は誰でもいつかは大人になるのですから。
そう、人はひとつの太陽なのです。
昇りつめれば当然、あとは沈んでいく。それだけのことなのです。
でも、だからこそ燃える。だからこそ輝く。そして時には、闇を吹き飛ばすのです。
未来予報はいつも晴れ。
「行こう♪ 行こう♪ デジタルワールドに行こう♪」(及川)
ゲートを開く直前のシーン、とつぜん歌い出した場面から。
もう見てらんない。それが、初見における正直な感想でした。
見返してみたら、やっぱりとてもイタタマレナイ場面でした。なんせ、私自身がもう及川の年代だから突き刺さるというか……
そんな年になっても所謂ジャリ番に入れ込んでる自体、本当はあまり誉められたことじゃないんですよね。
何年たとうがどーなろーが好きなもんは好きだからしょうがない、と最近はもう割り切ってますけど。
「まさか!! 俺が浩樹を憎むなんて!!」(及川)
かと思えばこんなセリフも。この人、よっぽど伊織パパのことを慕っていたのでしょうね。
そんな親友をいきなり失ったときのぐちゃぐちゃな心理に、ヴァンデモンはまんまとつけ込んだのでしょう。
そしてまったく同じことを及川が賢に施し、悲劇が連鎖していったのです。因果だ。
「! わかったぞ! おまえが誰かわかったぞ! おまえは……ヴァンデモンだ!!」(テイルモン)
終盤における姐さん最大の見せ場。ズバリ正解でした。真実はいつもひとつ。
これはもう、彼女以上の適任などどこにもいないでしょう。
思えばウィザーモンが出てきたのも、ヴァンデモンがまだどこかにいるかもしれないという可能性の示唆にはなってましたね。
「そのどちらでもない! ベリアルヴァンデモンと呼んでもらおうか!」(ベリアルヴァンデモン)
しかしここの彼は何か妙に間抜けです。作画のせいかな。
ところで、まさかとは思いますが今自分で考えた名前じゃないでしょうね。
「アルケニモンがいないなら、生きてても仕方ないッ! 死んだっていい!! だが、お前も生かしちゃおかないッッ!!」
「ゴタクは地獄で吐きやがれえぇえぇぇぇっ!!!」
(マミーモン)
アルケニモンを惨殺したベリアルヴァンデモンに。
表情がちょっとベルゼブモン入ってますね。不気味でもヘタレでもない、本当に男前のマミーモンがここにいる。
それが死の直前というあたりが、彼らの不幸なのかもしれません……
同じ声のベリアルヴァンデモンとの差別化のためか、この場面の彼は森川氏がより意識して音域を取ってる感じ。
そのため、より男前に聞こえます。端正さはないけど。
「こんなの、生まれて初めてだ……こんなに戦うのが怖いなんて……!」(タケル)
視聴者のほうも、こんなにびびってるタケルを見たのは生まれて初めてだと思います。
やはり意志現世界の空気がそうさせるんでしょうか。
「あ…… 今、オレが負けると思っただろ?」(エクスブイモン)
「や……そりゃ、ちょっとは……」(大輔)
)
まあ普通に考えてもランクがふたつ上の相手ですからねえ。無理もない。ふたりとも正直者です。
しかし、こっから気合を入れ直してその格上に単身挑んでいくことになります。
「……お前の手、震えてる」(大輔)
「……! ……そりゃ、さっきのを見たら……」(賢)
人によっては大喜びで、人によっては生暖かい気持ちになるシーンです。
いやしかし、あのデジモンカイザーがまさかこんな風になるなんて思いませんでした。
そして前後における大輔のセリフや表情は、まるっきり死亡フラグ一歩手前。
当時はそれがなにより一番心配で、ハラハラしながら来週を待った記憶がありますね。
まあ取り越し苦労だったわけですが。
「……同情するよ、一乗寺君……ぼくだって同じだから。……それなのに……!」(タケル)
なんでこういう言い回しになるのかよくわかりませんが、タケルも臆病風に吹かれてるのは確かみたいです。
そして大輔を見る目は、今までのどんな場面よりも驚きを秘めたものでした。
そう、これが大輔なのです。
★次回予告
というわけで次回はアーマー進化無双……というより大輔無双です。
出たばかりでボコボコにされるベリアルヴァンデモンがむしろ哀れでしょーがない。