俺を倒せ!伝説の闘士ヴリトラモン暴走 |
脚本:大和屋暁 演出:今沢哲男 作画監督:伊藤智子 |
11話です。第二のビースト進化が妙に地味な初登場。
●全体印象
前回がよかっただけに、かなり厳しい評価を下さねばならない一編です。
とにかく演出がまずい。ヴリトラモンの重量感がなかなか伝わってきません。脚本的にもひねり過ぎた感があり、それが有効にはたらいていません。
普通に獣スピリットを見つけて現状打破のために使用→敵は撃退→しかし暴走
という展開でもとくに差はない気がします。シャーマモンの立て方に失敗しているのも痛い。
また、ギガスモンにまったく歯が立たないという展開が続くというのはいかがなものでしょう。人間型では勝てないというのが完全に前提となっており、意外性や戦略、知恵のからむ余地がないパワーバトルになってしまっています。
アニメ上でそれを描くのは大変でしょうけど…これまでのシリーズだって、成功していたとはお世辞にも言えないし。
さて、前回ではヴリトラモンを手なづけてスピリットを手に入れると思っていましたが、実際にはシャーマモンが取りこまれた個体を倒しての入手。
問題はここです。まず前述のように、シャーマモンが立っていません。わずかでも印象に残る描写があれば、拓也が立ち向かう時ドラマが生まれるのですが、何もないので地味な展開となってしまってます。これでは最初からシャーマモンを出さないか、普通に拓也が手に入れる話としたほうがマシというものです。
ヴリトラモンの強大さ、凶暴さも弱い。必殺技二発で浄解が可能というのは……(^_^;)
フロンティア随一の苦言を呈する回となってしまいました。面白くなってきたところなだけに残念です。
『おっ』と思ったのはガルムモンが地面を滑走するシーンくらいですかね。
次回は楽しめるといいんですが…。
●各メンバー
・拓也
一見主役のように見えますが、実はドラマらしいものをなにも演じていません。セリフも少なめ。
・輝二
あの場面でなにを思ったか人間型に進化しようとしてます。それじゃギガスモンには勝てないというのに。
あわてて動きを封じたグロットモンですが、どうやら少し早まったらしい。
・泉
この中では一番オトナな彼女。でもバトルで出番がないこともあり、それほど目立ってはいないようです。
・純平
前半では妄想大爆発。後半では獣型二体にはさまれてにっちもさっちもいかなくなってます。
前門の虎、後門の狼とはまさにこのことか?
・友樹
ギガスモンにまるで歯が立たず。はっきり言って非力です。仮にもメインキャラがこのざまでいいのだろうか……。
でも次回で02は7話のヒカリ状態となるので、いろんな意味で要注目。
・ボコモン&ネーモン
ケンカしそうな時は彼らが仲裁してくれるんですね。提案にほとんど実効がないあたりもお約束。
・シャーマモン
ヴリトラモンに取り込まれる占い師デジモンです。ゴブリモンに似ている…というより色違い。
語るべきところは特にないキャラかな…。
・グロットモン
三度登場。すっかりおなじみです。が、ヴリトラモンにびびって逃げ出すなど、そろそろ底が見えてきました。
呪術に通じていたりと器用な側面も見せてます。
・ゴーレモン
グロットモンの呪術により登場しました。完全に使い魔としての立場。ヴリトラモンにより、初めて明確に死が描写されたデジモンでもあります。
誕生シーンの演出には『勇者ライディーン』の化石獣(特に初期数話)を思い起こさせるものが。
アグニモンらの攻撃で一度退場しましたが、倒されたわけではないので、人間型闘士はまた何もしていないということに…(あうあ…)
●ヴリトラモン
面構えがグレイモンを、両腕のマシンガンがデスペラードブラスターを思い起こさせるデジモン。
デザインは好きなんですが、デビュー戦にしては地味だなあ、というのが本音。あれだけ暴走してるのに。
キャラをどう描写するかという以前に『お約束だからとりあえず暴走させとけ』という姿勢が見えてしまうのがまずいのかも。
まあ、原因はあくまでスピリットを使いこなせないからなんですが…
それにしても、なぜ炎のビーストスピリットがシャーマモンの館にあったんでしょう? 拓也へ引き寄せられてきたのかな。
●今回の名(迷)セリフ
『…弱い! 弱すぎる! それでもお前ら、スピリットの継承者なのか!』(グロットモン)
今回はこれだけ。敵に説教されてどうする(笑)
●予告
変則パターンかと思いきや、やっぱり暴走した拓也。大変だあ! でもあんまり危機感がないのはなぜなんだ。
そして友樹がヒロインと化すのですよ? 泉の立場がない。
みんなで写真を撮ってもいないのに大丈夫なのか!?
…それにしても、友樹の涙がヴリトラモンの目の中に落ちたのがかなり間抜けだと思ったのは私だけ?