五闘士全滅 !? 恐るべき闇のパワー!
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脚本:大和屋暁 演出:梅澤淳稔 作画監督:浅沼昭弘 |
いつのまにかデジモン伝統になった21話です。ターニングポイントになりえる回。
●全体印象
まず目立つのは、スイッチが切り替わったかのように20話以前と違う発言をくりかえす拓也と純平。普通になじんでるように見えた輝二も一転、拓也への不満を爆発させています。ここはこれまでの回をすべて見ていると、大なり小なり違和感を感じるポイント。
ただ、これまでの冒険がスピリットの強大なちからに頼ったごっこ遊び的側面があったと考えれば、納得できなくはないんですが。
でも、そこまで考えたところでハタと思い当たるわけです。それは、12話のヴリトラモン暴走と13話のセラフィモン@デジタマ化。
この二つの事件を経験しているはずの拓也が、あんなことを言い出すものなのでしょうか。後者はなかば自分たちのせいで犠牲を出してしまったというのに。
そこでまたハタと思い当たるのは、両エピソードの描写の薄さ。ああうう……。
最後が唐突なのをのぞくと全体的に良くできており、驚かされもした回なのですが、これまでとのトータルで考えるときついところです。
やはり拓也・輝二・純平がイマイチ描かれていなかったのは致命的かも…。
作画はよかったですが、演出が予告で感じたとおりさほどだったのもマイナス点。ダスクモンの強大さもあまりにじみ出てませんでした。
輝二を見たダスクモンの反応は、今後への大きな伏線になっているはずですね。
●各キャラ
・拓也
人が変わったかのように凶暴な発言を繰り返しております。なにか悪いものでも食べたのでしょうか?
いままでほとんど感情移入できなかったのは描写が薄かったからなのですが、それが「ゲーム感覚」の答えだとしてもなんと言っていいやら。
「みんなで力をあわせれば…」のくだりがひどく薄っぺらに聞こえるのは、もしかしてスタッフの狙いなんでしょうか??
・輝二
ひとり正論を吐いていた彼。それにしても、拓也への立ち位置がひどく突き放したものになってます。
まあ、拓也のことを見直すシーンがあった記憶がないので、これはこれで正しい描写なのかもしれんのですが。
・泉
別に何もしてません。違和感はありませんが。
・純平
いきなり博識なところを披露したり、いきなり最年長らしく達観した視点を見せたり、彼もまた突然豹変したように見えます。
ていうかキャラ表じゃ、もともと彼ってこういう人物だったのでは………。
あと、泉への恋愛感情はやっぱりうまく作用してないどころか、彼の描写を阻害しているケースがあると思います。
・友樹
あいかわらず拓也お兄ちゃん派閥ですが、彼についてもあまり違和感なし。ある程度積み重ねができている証拠かも。
・ダスクモン
ネットとサントラCDのせいで正体バレバレの彼。その暴走(?)が結末をうやむやにし、五闘士が全滅しないままお話が終わりました(^_^;)
描写的には今のところ、普通に強大な敵という感じ。圧倒的な強さ以外、これといって印象的なシーンはありません。
殴られても余裕ぶちかますところはベジータみたいでしたが。
●上ずみ
そもそもなぜデジモンシリーズに惹かれたか思い出してみると、それは描写に深みがあったから。
フロンティアの子供たちもヒーロー一辺倒ではないし、挫折も用意されていますが、いかんせんシリーズのお約束に頼った部分が非常に目立ちます。
それに乗っかった表面的な浅い描写ばかりな上、もうひとつ重ねるべきところへキャラ崩壊のギャグ編を入れるものですからさらに悪循環。
そういえば関プロデューサーが「20話以降はシリアスになります」と言ってたそうですが、わざわざこのように言及するということは、何らかのテコ入れがあったと見るべきでしょうか。ううむ、どうも否定的・末期的な雰囲気につながってしまっていけません。
あ、フロンティアはきっちり見届けるのでご安心下さい。
●今回の名(迷)セリフ
『…いいんじゃないかな』(純平)
ここからいきなり人間のできたことを言い出します。いいシーンなんですが、「?」という感じ。
『お前が死ぬのは勝手だ…だが、他のやつらを巻き込むな!!』(輝二)
ひどいこと言われてます、拓也。こんな口を聞かれた主人公は彼だけかも。まあ気持ちはわかりますが。
『……な、なんだ、この感覚は……』(ダスクモン)
伏線はりまくり。もしかして、記憶がないんでしょうか?
●予告
というわけでVジャンの予告通り、拓也が獣人化してしまいます。作画は表情ゆたかな絵をとくいとする八島さん。
演出も貝澤チーフですから、心に響く描写が期待されます。いえ、まぢでお願いします(m_ _m)