終わらない死闘!ルーチェモン復活の序曲
脚本:富田祐弘 演出:貝澤幸男 作画監督:信実節子
38話です。最後の敵? ルーチェモンとロイヤルナイツの華麗なるデビュー戦。
●全体印象
今回は完全に新勢力の顔見せです。セオリーどおり、その強さは圧倒的。融合体ですら気休めにもなりません。
ゲストキャラの予言者・バロモンの語りが不安をさらにあおります。新展開の幕開けとしては、まずまずといったところ。
ところで、最後の敵勢力台頭と敗北といえば、01は40話『魔の山の四天王! ダークマスターズ』を想起させるものがありますね。
でも筋はこびはともかくバンク地獄だった同話にくらべ、短縮版が用意されているこちらのほうが、単体としてはテンポが上だと思います。
また、紹介するべき敵の数が三体(うち一体は表舞台にいない)と少ないのも効果的にはたらいてる感じ。
が、問題もいくつかあります。
・第一に『敗北』について。
フロンティア系の主人公らは見ていればわかる通り、勝率が低めです。特に、初期クールでギガスモンに敗北を重ねたのが大きい。
結果的には勝利をおさめているものの、やっとの思いで拾った、という印象がつよいのです。
30話までの最強の敵・ダスクモンとの戦いも、敗戦のリベンジが果たされぬまま輝二との因縁に突入してうやむやになってますし、ケルビモン戦で登場した超越体についても、途中のテンポが狂ったせいで水を差されています。
因縁は抜きにして、拓也とダスクモンのリターンマッチがあれば、また違ってきたんですが。
見せ方の問題、というべきでしょうか。『デジタルワールドを救う伝説の十闘士』という、従来にないほどヒロイックな肩書きのわりには、カタルシスのあるバトルが少ないように思えてならないのですよ。これが、感じた不足感のひとつ。
・第二に『ゲストキャラ』について。
今回登場するバロモンは一回限りのキャラです。それも、ただ予言をするためだけの。
最後には子供達をかばって倒れるのですが、これは『魔の山の四天王』におけるピッコロモンとチューモンの役目。
以前に世話になった、多少なりとも視聴者に思い入れのあるデジモンが犠牲になってしまうというのは、かなり衝撃的な展開です。
バロモン自身はなかなかのキャラだったんですがいかんせん、思い入れがすくないために衝撃が小さいんですね。
同じことが、13話で出たとたんに死んだソーサリモンにも言えます。おまけに、その後子供たちに振り返られることさえもない。
このぶんだと、初期クールで助けたデジモンたちが救援にかけつけてくれる…なんて展開もちょっと期待できません。うー。
…なんか、イヤでも01と比較してしまう構成なんですけど…困ったなあ。しかも変な部分がかぶってる。
ところで、ロイヤルナイツは別にルーチェモンの配下じゃなかったようですね。
じゃあ誰に仕えていたんだろう? そこがさっぱり不明です。三大天使デジモンより強い彼らが、その下に仕えていたとも思えません。
てっきり、もともとルーチェモンの部下で、太古に十闘士と激戦をくりひろげたのだとばっかり思っていたんですが…。
それなら彼らも伝説にしるされていて当然のはず…なんですが、なにしろ供述が口頭のうえ、えらく曖昧なので
端折られてた
という可能性も
捨て切れないものがあります。真実はいかに?
あと、ケルビモンに五つもスピリットを与えるという
わけのわからん分配
はいったいどーゆーことなんでしょう。
反逆してくれ、と言っているようなものです。それとも鋼の十闘士エンシェントワイズモンは、それさえ予見していたのでしょうか…?
●各キャラ
・
拓也
一応三大天使に頼ってたって自覚があったんですね。
いいセリフも吐きましたが、今回はロイヤルナイツに見せ場をうばわれてしまいました。
デュナスモンへのリベンジが期待されます。
・
輝二
腹ぶちぬかれてるんですけど…(汗) いや、横からなんで穴はあいてないと思うんですが(当たり前だ)
とりあえず、ロードナイトモンを倒す役は彼かな?
間違っても
ボンクラーズFではありません(泣)
・
輝一
とりあえずボンクラーズFより丈夫だということはよくわかりました。
・
泉
ロードナイトモンをぺしぺし蹴ったあげく、
ゴン!
と叩かれる場面で不覚にも笑いました。
頼むから、あの場面でフェアリモンに進化するなどという
自殺行為
はもうカンベンしてください。
・
友樹
ひと山いくらのザコとしてロードナイトモンに処理されました。いくら健闘したところで、ここ一番での電池役は回避不能か…。
4クール目にはさいわい、まだ多少のドラマが用意されているようなので、そこに期待をかけましょう。
・
純平
かつては小ボスをほうむった彼も、今やすっかりボンクラーズFのリーダー&電池その1。
まさかこれほど転落するとは…ボンバーズ&ダイバーズよりひどい。
・
パタモン&ボコモン&ネーモン
合間合間にギャグらしきものをはさんでいましたが、なんの慰めにもなってませんでした。
そういえば、ボコモンはバロモンへ対抗意識を持っていた感じですね。相手はすぐ死んだけど。
・
ケルビモン
バロモンの発言により、中ボスから完全転落して哀れな被害者に成り下がりました。
あと拓也くん、ケルビモンはなにも知らずに操られてたとも言い切れないぞ。 多少の自覚はあったはず。
・
ルーチェモン
一人称は『ボク』なんですね。ふむ。
・
デュナスモン
なんかメチャクチャ強いんですけど…。
もし彼らが『ケルビモンに敵対する正義』を持っていた場合、それで話が終わっていたんじゃないでしょうか。
立場ないなあ、ケルビモンもメルキューレモンも。
声は三宅健太さん。夏の映画でグリズモンの役を演じていた人ですね。荒々しい演技が似合います。
・
ロードナイトモン
女性かと思ったら男でした。うわあ騙された。
力のデュナスモンに対し、スピードに優れるようです。その疾さはビースト体四体を一瞬で倒し、マグナガルルモンでさえ捕捉するほど。
あんた何者ですか?
声は一瞬稲田徹さんかと思いましたが置鮎龍太郎さんでした。ケビンマスクに続いて鉄仮面を演じるとは。
いきなり薔薇を取り出したあたりは吹き出しましたね。美しいもののドレイを自称してはばからなかったりするんでしょうか。
そうか、シェラ・イー・リーじゃなくイダ・ディースナだったか…。
●今回の名(迷)セリフ
『オレたちは人間だ。でも、もう半分は、デジモンなんだ!』(拓也)
これはあくまで言葉のアヤであって、正確にはおたがいに同じだけかかわってる、という意味ですね。
まさにハイブリッド。でも家族のことも少しは思い出しましょうね。
『ルーチェモン様の正義のため』
『美しき正義のため』
『『われらはロイヤルナイツ!』』(ロイヤルナイツ)
見栄の切りかたが古風ながら、かなりかっこいいですね。
とりあえず、強い敵としての風格は備えているようであります。
『世は乱れている』
『それを正せるのは、ルーチェモン様のみ』(ロイヤルナイツ)
たぶん、ルーチェモンは自分のもとで新しくデジタルワールドを作り直す=再統合するつもりなんでしょう。
つまりはスパイラルマウンテン?
『ロードナイトモン! オレ一人で充分だ。さきにデータを集めろ』(デュナスモン)
『…わかった。たのんだぞ。美しい時間を、無駄にはできないのでね』(ロードナイトモン)
この余裕のある物言い。騎士らしさがたっぷりです。
性格的にもはや完全な類型的擬人化がされてますが、これはこれで個人的に好きかも。
『このデジタルワールドは、みんなのものだ!』(輝二@ベオウルフモン)
…そして、どうして私は、このセリフで笑ってしまうんでしょう。とほほ。
●予告
なぜか月までふっとばされた拓也たち。どうやら、次回は一転してギャグ風味になりそうです。
とはいえ、ロイヤルナイツに負けると今度は本当に死んでしまいかねないので、危機感は出てきましたね。