トーマの休日 爆裂ボンバーナニモン
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脚本:大和屋暁 演出:中尾幸彦 作画監督:信実節子 |
★あらすじ
追試を受けることになってしまった大の頼みで、知香の誕生日につきあうことになったトーマ。
事前にばっちり計画を立てるも、大門母娘の前にすっかり振り回されてしまう。しかし、彼は久しぶりに心から楽しんでいた。
そこへ突然ボンバーナニモンが現れる。だが、いつになく気合の入った彼らにとってしょせん敵ではなかった。
その夜、大と淑乃も加わってささやかなれど、楽しい誕生日パーティが開かれるのだった。
★全体印象
7話です。アバンが2話以上に長く、6分以上にもおよびました。
今回は完全にトーマが主役。今までだとほぼ大が主体で、他キャラはいってても半分程度の比重だったのでお話は次の段階へ進んだようです。ここからしばらくの間は脇まわりを固めて、2クールから先のさらに次のステップへ備えることになるんでしょう。となれば、司令やオペレーターさんたちのお話もそのうち見られるようになるかもしれません。ここは期待しましょう。
で、今度のエピソードは見てるこっちがニヤニヤしたりアタマを抱えてしまうほどのギャグ篇。こーゆーお話をやらせたら上手い大和屋暁さんが、トーマとガオモンのキャラクターに新しい側面を加えてくれています。一方でトーマの抱える寂しさやある局面においての極端な不器用さもさり気なく表現されていて、そっちでも重要な回。むしろ彼はこれでますますファンを増やしたような気がするんですが、いかがでしょう。
その分、戦闘はオマケ的扱い。ボンバーナニモンも突然出てきてあっという間にやられてしまうので、前回のようなバトルを期待していると肩透かしを食うことにはなるでしょう。しかし、今回の場合はそっちがメインではないので、しかたないですね。
キャラを限定しているので、結構思い切った切り口のお話かもしれません。スタッフに自信ありとみた。
★各キャラ&みどころ
・大&アグモン
今回、はじめて見せ場を全面的に他キャラへ譲りました。でも合間あいまにギャグを鋏んでいて存在感はあります。
アバンパートの腰の低さはあまりに不自然で爆笑もの。トーマもドン引きするあり得なさです。しかし、そのトーマも今回ばかりは大のほうを呆れさせる場面があったのでわりにお互い様といったところ。
拳を合わせる場面の噛みあってるんだかいないんだかわからん空気が……なんというか、もう。
・ トーマ
5話でもちょっと崩れてましたが、今回はもう崩れまくり。
自分のペースをまったく掴めないという点では4話もそうですけど、なにしろ今度の場合はだからといって腹を立てるどころではなく、ただひたすら右往左往させられるばかりなので、それで彼のべつの面が見えてくるという形になっているんですね。
あの計画を眺めれば眺めるほど、場違いなタキシードを見れば見るほど彼の微妙なズレ具合が浮き彫りになります。どういう風にふるまえばあの母娘を喜ばせられるのかわからなくて、だから自分のできる限りで最高のアプローチを試み、それで喜んでもらおうとしています。あるいは、わからないという事がわからなかったのか。どういう計画でどういう所へ連れていくか頭で考えるより、ただ誠心誠意相手をすればそれでよいと思うのですが、そういった方面の経験というか、思い出が決定的に不足しているのでしょうね。
だから家族というものへの憧れが、彼自身ですら制御しきれないほどのものだというのも納得です。
大門母娘を前にしては、彼のもつあらゆる才がほとんど役に立ちませんでした。ある意味、大と接したとき以上にショックを受けてますね。唯一、デジモンテイマーとしての力を活かしてふたりを守ることはできましたが、その時の状態ときたらえらいテンションの高さ。大門母娘のペースにひっぱられた上、今日一日のいろんな嬉しい気持ちがごちゃまぜになってハイになってるようにさえ見えてしまいます。
それこそ放っておいたらいずれ「お父さんと呼んでくれたまえ」とでも大に言いだしかねん勢いだ…。
まあ、まだ実母にからむ事情があきらかになっていないですから、そこでまた何かドラマがあることでしょう。
大と多少の悶着くらいはあるかも。
・ガオモン→ガオガモン
なんか赤面したり巨大汗出しっぱなしという印象。知香の無心アタックの前にタジタジ状態です。
彼をして感嘆させるとは、知香はいったいどんなワザを使ってトーマを負かしたのでしょう…。セオリーで考えがちな熟練者を初心者が圧倒するケースはままありますが、そういう現象が起こったのか。または知香がほんとうに熟練者でありつつ、しかもセオリーに頼っていないのか。恐ろしい子。
戦闘ではとくに変わったことをしてませんが、背中のアレでボンバーナニモンをぶん投げるという絵的に無茶な事をしていました。
あのアングルだと投げる前に相手がすっころんでたいへんな事になりそうです。
・大門母娘
あのトーマを一言で自在にあやつる母と、無心のハグハグ&子供ならではの予測不可能な行動&キス攻撃で手玉に取る妹。
何者だこの人たち……というのはまぁ冗談で、普通の仲の良い母娘だということがトーマにとっては何より爆弾だったということかな。
「普通である」ことというのは、時に最強の代名詞としてあつかわれますが……この人たちはまさにそんな感じ。
「超星艦隊セイザーX」にも、同じくらい強い母娘が出てきますっけ。
…でもやっぱり妹はともかくお母さんを普通だというのはなんだか抵抗が出てきたぞ。
・淑乃&ララモン
よく考えてみたら家に来るのは2回目かぁ。でも、ララモンは今回が大門家デビューになりますね。
最初と最後くらいにしか出番はありませんが、次はメインみたいなので中の人ともども、がんばってもらいましょう。
果たしてサンフラウモンは活躍できるのか否か!?
・DATSのみなさん
長官ともども声だけしか出ません。オペレーターさんに至っては黒崎女史のみ。
永野愛さんは、大にチョーク投げた女性教師とかけ持ちかな? そーいえば、名前と専属声優つきで担任も初登場してましたね。
・ボンバーナニモン
前々回の名前テロップ追加、前回の成長段階追加につづき、今度はついにナレーションとアナライズ画面が登場しました。なんか、イヤに段階を踏んだ変遷ではあります。オペレーターさんが出てないというのもあるんでしょうが…今後はこれがデフォルトに?
ナレーションはたぶん、松野さんの地声……かな。5話のも、本当はそうだったのかもしれない。
なんのシークエンスも踏まずとつぜん出てきてあっという間にやられるという、ほんとに花火みたいなヤツでした。ですが、驚いたのはその巨体。なんとガオガモンよりも大きい。そのせいでまったく違う印象を受けてしまい、新鮮ではありました。てっきりアグモンくらいのサイズで出てきて爆弾仕掛けまくるのかと思っていたので……いいかげん、前シリーズの常識は捨てた方がいいですねん。
声を演じていたのはお笑い芸人の原口あきまさ氏ですが、モノマネが持ち芸なためかわりに達者で、本職じゃないことに気づきませんでした。
1発レベルでこの水準なら、決して悪くないと思います。アメリカザリガニも出ないかなぁ。
★名(迷)セリフ
「父親の役目ができるヤツが必要なんだ。だから…頼む! あした一日、オレの家族になってくれ!」(大)
家族という言葉がトーマにクリティカルヒット。
大が男という言葉にこだわる理由を女手で育てられたからだと解釈したことがありますが、もっと大きな前提がありましたね。
彼なりに、長男であり父親であろうという姿勢があるんでしょう。うまくいっているかどうかはさて置いて。
…知香がどー見ても母親似なので、やっぱ親父さんも大みたいな人だったのかな。
「まだ依頼を受けると言ったわけじゃないんだが?」(トーマ)
といいつつ顔がにやけている気がしてならない。
「このトーマ・H・ノルシュタイン……全身全霊をもって、知香ちゃんの誕生日を…プロデュースさせていただきます!」(トーマ)
なんというか……。
設定見た段階じゃ、まさかここまで崩れるキャラになるなんて思わなかったなぁ(^^;)
それにしても、この男をたった一言でこれほどまで…。なんだこのお母さん(^^;)
「名付けて、華麗なる誕生日計画!」(トーマ)
トーマって実のところ計画を立てるのが好きで好きでしょうがないのかもしれません。サガ・ベルイマンのようだ。
すると知香はシュガーか…。
「…うん。期待してる」(知香)
時折見せる、この驚くほど大人びた顔。天然に年上を篭絡しまくってます。
「兄貴……待ってやれよ……」(大)
ギャグゼリフですが、彼の考えかたがよく出ていますね。
「…すみません。ヤツには少々恨みがあるのでね」(トーマ)
前回、大に言っていたことを考えるとまるっきり彼らしくないんですが、やはりあの母娘に引っぱられたのかなぁ。
…しかし、どうするんでしょう。あんな所にあんなでかいのが出てきたら、事後処理とかいくらなんでも無理なんじゃ…。
だんだんメモリーポリス化してきたな。
そういえばあの遊園地って、やっぱりサンリオピューロランド?
直後のマイメロで宣伝をやってたのは、なんというかあまりにタイムリーな…。
「いいじゃないか。小百合さんの卵焼きは、君ひとりのものじゃない」(トーマ)
もはや言葉はいるまい、レッドホーク……。
★次回予告
おっと、クリサリモン登場か。やっと淑乃メインですが、イメージ的に少々厳しい相手かな……。
予想を裏切る大活躍を期待したいものです。