最強騎士団 ロイヤルナイツ集結! |
脚本:山口亮太 演出:土田豊 作画監督:清山滋崇 |
先へ進もうとしたところで、突然ロイヤルナイツのひとり・クレニアムモンが現れる。
彼の役目は、イグドラシルに近づく者を排除すること。幇助をした咎で、ゴツモンまでをも攻撃してくる。
いきり立つセイバーズだったが、クレニアムモンのあまりの強さに触れることさえできずにいた。
神につかえる自分たちへ楯突く愚かさを説き、とどめを与えようとするクレニアムモンの一撃を、なんと大が受け止める!
「なにが神だ! 世界を救えねえヤツが、神を名乗ってんじゃねえ!!」
敵がひるんだ隙にバーストモードが発動。一気に攻めたてようとしたところで、残りのロイヤルナイツが姿を現した。
デュークモン、マグナモン、デュナスモン、ロードナイトモン、アルフォースブイドラモン、そして…オメガモン!
絶体絶命の危機を迎えたとき、謎の人影が歩み寄る。その顔はまぎれもなく大の父・英だった。
ところが、英は差し出された大の手を拒絶。滅亡の危機をまねいた人間と人間界を消滅させると宣言したのである。
混乱と衝撃で戦意をなくした大。戦う力を失ったセイバーズを救いだしたのは謎のデジモン、スレイプモンだった。
だが、最強騎士団を相手に大たちはどう切り抜ければよいのだろうか……。
★全体印象
第4クール一発目、40話です。
とうとう最終決戦の幕が開きました。泣いても笑ってもあと10話です。
でもって今回はその最終篇を飾るべき敵役を紹介する、いわば顔見せエピソード。
旧シリーズでは「魔の山の四天王! ダークマスターズ」や「終わらない死闘! ルーチェモン復活の序曲」にあたりましょう。
勢ぞろいしたロイヤルナイツはまさに百花繚乱という感じで、じつに画面が華やかでした。何だこの十傑集。
無理だぜってー勝てねーと主人公たちの実績を無視した思考になってしまうのは、多分にひいき目が作用してます。
いわば大たちは、デジモンシリーズの歴史そのものと戦っているといえるわけで。
だから一発目に主役やボスを張った歴史が無い、ロイヤルナイツとしてはルーキーであるクレニアムモンを持ってきたのは
うまい選択といえるでしょう。初手でいきなりあんな事になっても「まあ、大だから…」で済むというものだし、
バーストモードを出せば一対一なら勝負になるかも、という余地を残しておくことができますから。
それにしても、出てきてみるとなんというか、違和感もおぼえてしまいます。
特にデュークモンが野沢さんのまんまなので、それがデ・リーパーみたいなことを言っているのを見るのはつらい。
OPの扱いが大きいので、今後重要な役割をはたすかもしれませんが。
原画人数は多いものの、絵についてはあまり特筆すべき個所がありません。動きも普通だし。
ただ、ギャグのキレなど演出は所々で冴えています。よく見ると22話の土田さんでした。どうりでノリが似ている。
★OP
今回からビミョーに変わりました。ウワサは聞いて知っていたんですが、予想と違ってボーッと見てたらわからない違い。
おもにエフェクト描きなおしや塗り忘れなどに対応したフィックス版といったほうがよさそうです。
一番分かりやすいのは、タイトルのあとに出てくる炎が4色になってることでしょうか。
よく見ると、それぞれの炎はアグモン・ララモン・ガオモン・ファルコモンをあらわしています。
★各キャラ&みどころ
・大
ひさびさにギャグも多数かましてくれましたが、終盤はあっというまに気力50。いそがしい回です。
すでに何を見ても驚かんだろうと思ってた皆も、さすがにクラウ・ソラスを素手で受け止めたのには唖然としてました。
もう笑うしかありません。その調子で流派東方不敗を習得するんだ。
今度は父にも裏切りかまされた形になる彼ですが、関係の違いからかトーマの時とはずいぶん反応が違います。
でもまあ、無理もありません。大にとってはそれだけでかい存在だったのですから、父親というのは。
彼がここまで頑張ってこれたのも、ひとつには父のようなでっかい男になりたいという願いがあったからなのです。
その父親が、すべての生命を尊んでいた父が人類を完全否定した。
大にとっては怒るどころではなく、足元がガラガラと崩れていくような心地だったでしょう。
それに、倉田の暴挙を止められず聖なる都を守れなかったという負い目もあります。
最後にして最大の敵を目の前にした彼。なぜ父がデジタルワールドの神となったのか、確かめていかねばなりません。
真実を知ったとき、もしかしたら父の大きさをあらためて知ることになるのかもしれませんが。
・アグモン→シャイングレイモン→シャイングレイモンB
大とならんでギャグを連発していました。誤字脱字は当たり前。
ジオグレイソード、バーストモードも大のおかげで完全に制御できてますが、相手が相手なので今回のバトルはいいところ無し。
逆に大に見せ場を奪われる状態で、えーとこれ本当にデジモンシリーズ?(^_^;)
隊長も戻ってくることだし、気を取り直して各個撃破していくしかないかな。
・淑乃
いきなり乱気流ダイブをする破目になりのっけから災難でした。
というかよく無事だったな、みんな。
戦闘よりもゴツモンがらみでのコントが出番のメインですが、なにやら浦沢脚本っぽいノリ。
・ララモン→ロゼモン
こっちは一度ララモンに戻って、さかさまに砂へめり込んでいました。
でも飛べてララスクリュー使えて怪力の彼女がなぜ? ちょっと疲れていたので実は休んでいたとか?
なにより、植物型なのに口でしか呼吸できんのですか? あ、だからあの状態でもだいじょうぶだったのかも。
バトルではクレニアムモンにまるで歯が立ちませんでした。それはトーマたちもいっしょなので仕方ありませんが。
・トーマ
今日も今日とて大たちへのツッコミが冴えています。
そして、この世には計算できないものがあるのだと再度思い知らされたことでしょう。
つーかあの場面の彼は半分ヤケというかもうどうにもコメントしようがないって状態になってませんか?
ロイヤルナイツを前に苦杯を強いられてしまいましたが、42話あたりから巻き返しが図られるみたいです。
バーストモード一発目の相手は誰になるのかな?
・ガオモン→ミラージュガオガモン
あいかわらずダブルクレッセントミラージュは撃墜率が低いなあ。
格下相手か補助くらいにしか役に立ったためしがないような気が…まあ、結局きめ技じゃないのでしょう。
バーストモードでは技の多くを司っていた爪がなくなり、かわりに手の甲へ謎のクリスタルがついてます。
シャイングレイモンが炎なら、氷や光の爪を形成して敵を攻撃するんでしょうか?
それとも格闘主体に……?
・イクト
ゴツモンに最初はびっくりしてましたが、一番最初に信じようと言い出したのも彼でした。
デジタルワールド暮らしが長いことだし、時には一度デジタマ化して再生した仲間を見たことがあるのでしょう。
それを差し引いたとしても、水に流すなんてなかなかできることではありませんが。
何しろゴツモンは人間排斥の急先鋒で、イクト自身もその中に入っていたのですし。
ところですでにあちこちで指摘されているとおり、彼のデジヴァイスは究極体に到達しても旧型のままです。
このへん、いつまでも直らないってことは何か理由があるんでしょうか?
私はちょいとカスタマイズされてたと見てますが…。なんせ、大門博士自身の手から直接託された唯一のデジヴァイスです。
・ファルコモン→レイヴモン
究極体になってはいるんですが、いつも一番苦しいときに発動するので「戦力が増えた」という扱いにしかならず。
今月のVジャンにはバーストモードも公開されているし、今度こそ快勝を期待したいんですが…
早くても45話前後か。微妙なところです。
そのバーストモードでは、やはりオーラを纏った姿になるようです。
刀も消えているので実体ある武器にたよらず、自身の肉体とエネルギーを武器に変えて戦うスタイルは共通ですね。
爆発的なドラゴニックオーラをもって素手で大魔王の手刀を受け止めたダイのように、もはや生半可な武器では
彼らのパワーには耐えられないのかもしれません。
あれ? じゃあ素手でクラウ・ソラスを受け止めた大は……
・再生ゴツモン
ひさしぶりの登場。案内役兼賑やかし兼ギャグメーカーってところでしょうか。
そういえばまだデジタマは残っていたので、復活の余地はあったんですよね。半分忘れてました。
でもデジタルワールドでデジタマ化したとはいえ、回収してなかったんだ…あの状況じゃしょうがないですけど。
一度デジタマ化したおかげかすっかり毒気が抜けて、でも調子のいい性格は変わらず。前健さんも演じ分けてます。
というか、もともと彼はああいう性格だったんでしょう。そこにさまざまな経験や人間への恨みが重なって、
曲がった根性を身につけてしまっていた…ということなのだと思います。
そう考えると、デジタマ化っていうのはある意味最高の更生システムなのか…。
身に染み付いたものを一度完全にリセットして、まっさらからやり直せるわけですから。
記憶と経験を失うのは変わりないので、これを利用した刑罰とかあったらちょっと怖いものがありますけど、
ギズモンのように改造された個体もクリアに戻るのだとしたら、その面では救いになりますね。
まあ、デジヴァイスがからんだ場合は例外も起きるようですけど。
むしろDATSメンバーのデジモンがデジタマ化した例ってアグモン以前にあったんでしょうか?
知香はデジヴァイス持ってなかったからちょっと違うし…。
・地上残留組
大門一家やノルシュタイン家のみなさんは当然として、おっちゃんやオペレーターズも居残りました。
しかし一応デジタルワールドへの道は開きっぱなしだし、状況がどう変わってくるかはわかりません。
ロイヤルナイツが地上を攻撃に行く可能性だってありますから。
次回は大ママへの親父に会った報告と、そして卵焼きイベントがあるものと思われます。
・クレニアムモン
「イグドラシルへの侵攻に対し、私は特例として武装火器の使用を許可されている! すみやかに撤収せよ!」
とでも言わんばかりの仁王立ち。キャプテンと違ってすいません帰りますって言ってもダメなんでしょうけど。
実力は初登場ということを差し引いても十二分です。バイオダークドラモンが押し負けたジオグレイソードを簡単にはじき、
ベルフェモンの爪を砕いたバーストモードの炎剣にも持ちこたえてみせました。
もっとも後者の場合、すぐにデュークモンの助けが入ったのでなんともいえないところなんですが。
姿を現すときには、電磁波の渦のような嵐を身にまとって出てきます。これは防御幕としても使え、
生半可な攻撃ではびくともしません。おまけに瞬時に出したり消したりもできるようで、その上直後にロゼモンの鞭を
指2本で受け止めたりしているので、見かけによらず非常に高速かつ精密な動作もできるようですね。
この破格の能力に魔槍クラウ・ソラスを加えて繰り出すのが、必殺技エンド・ワルツ。
セイバーズが誇る究極体四体をまとめて吹き飛ばすほどの威力があります。ロゼモンの言葉じゃないですが強すぎ。
巻き込まれた敵がまるでワルツを踊っているようにぶん回されるところからついた名前なのでしょうか?
新春かくし芸・人間洗濯機という具合に見えなくもありませんな(人間じゃないし洗濯物がずたずたになりそうだけど)。
そんな彼ですが、大と拳を交わした経験が生かされるのかどうか。ちょっと気になるところです。
・デュークモン
劣勢に陥ったクレニアムモンを救ったのが初登場。
しゃべった瞬間に「ぎゃああ、来たああああ」と叫んでしまいました。野沢雅子さんだ!
予告で目立っていたので何かあるのかと思っていたんですが、今のところはイグドラシルへ完全に忠誠を誓っていますね。
でも上に書いたとおり、ただ野沢さんを呼ぶとは思えない……何か仕掛けてくる可能性はたかいです。
今は忠義の士でも、戦っているうちに心境が変わってくることだってあるかもしれません。
強さはといえば、溜め無しのロイヤルセイバーでいきなりバーストモードを破ってしまうという反則ぶり。顎がはずれました。
いや、いくらなんでも強すぎですがな野沢さん。しかもまだ上があるんでしょう、この人?(出ないかもしれないけど)
ですが、それでこそロイヤルナイツ。あれだけガン首が揃っているなら、主人公以外の誰と戦うというんですか。
相手が主人公じゃなかったらどんな敵でもイジメみたいなもんですよ、ありゃあ。
・スレイプモン
ラスト数分で登場。ある意味予想通りの展開かもしれません。
あの状況をどうにかするんなら、隊長に出てきてもらうしかないと思っていましたから。
デュークモンの発言からみて、昔馴染みなのは間違いないと思われます。
つまりクダモンはもともとロイヤルナイツだった可能性があり、しかもその出自を敢えて隠していたことになります。
となると、自分から退化してDATSに協力することになったんでしょうか? ひょっとしたら大門博士に頼まれたのかも。
彼は博士の考えに同調して、力を封印し人間のパートナーとなることを選んだのかもしれません。
ということは、そこから大門博士本人の真意が見えてくるのでしょうか。
ただし、博士がイグドラシルに意識を支配されているという確たる証拠も、実は無いのですけど…。
・その他のロイヤルナイツ達
上で書いたとおり、今回姿を見せたのはスレイプモンを入れて8体。敵は現在、7体ということになります。
ゴツモンが最後にわざわざ別格で紹介したとおり、オメガモンがナンバーワン即ち、ドウベのジークフリードなのは確実。
おそらくバーストモードをもってしても、シャイングレイモンとミラージュガオガモン2体がかりでなんとか勝てるかどうか、
ってところでしょう。文字通り、最後の難敵となりそうです。
残りのメンバーも見たことのある方々ばかりで、感慨もひとしお。
特にアルフォースブイドラモンはテレビ初登場なので、喝采をもって迎えたいです。敵として会いたくなかったぜ(いやマジで)。
まだ多くがしゃべってはいませんが、マグナモンだけは別でした。鈴木達央さん…ああ、ディック・アルカインか。
どうりでバルカンストーム飛ばしていたわけだ。
まだ10話弱あるので、スレイプモンが味方ならば各個撃破でも話数は持ちます。ひとりひとりの見せ場に期待しましょう。
姿を見せないアルファモンも気になってしょうがありません。どんな立場で舞台に出てくるつもりかな。
・大門英=イグドラシル
どう見ても正気じゃない眼つきなんですが、上で書いたとおりイグドラシルの意思であんなことを言っているという
確たる証拠がまだありません。そして父が本気だとしても、さらに裏の意図があったりするのかも。
そもそもの話、イグドラシルが表舞台に出てくるのが遅すぎる。
たとえベルフェモンでも、あれほどの強さを誇るロイヤルナイツが3体もいれば容易に叩けたはずです。
オメガモンとデュークモン、あとはクレニアムモンあたりがいれば間違いなく倒せました。
危機に対処するというなら、未然に防がないでどうするという話です。
人間界にはぎりぎりまで介入したくなかったのかもしれませんが、ほっといたらこうなるって分かっていたでしょう。
デジタルゲートの問題だって、イグドラシルならロイヤルナイツの2、3体送り込むくらいは軽いはずです。神ですよ。
それをやらなかったってことは、人間を滅ぼす口実が欲しかったんじゃないのといわれても仕方ありません。
でなければ滅亡の危機を煽ることでお互いの存在を認知させ、協力し共存していくことが一番よいのだと
我らがセイバーズに証明させ、世界へ示そうとしている……そんな大博打に出たか。今回だけだと全然そう見えませんが。
どちらにしても、イグドラシルは倒すべき悪ではありません。その判断は冷徹ですが確実なもので、
可能性の大きいほうを優先して選んでいます。そして人間のほうに非があったのも事実。
それに、世界を救える方法を知っていそうなのはたぶんイグドラシルだけです。倒すわけにもいかんでしょう。
まあ、ゼヴォみたいなオチになる気がしないでもありませんが…。
要するに、大たちは最後まであのメガネの尻拭いをさせられる羽目になったのです。
実に迷惑な話だ。
★名(迷)セリフ
「ゴツモンですけど何か?」(再生ゴツモン)
ここでOP。思わず吹き出してしまいました。
「昔から言うだろ。おケツに入らずんば孤児を得ず、だ」(大)
「…おケツじゃないでしょ」(淑乃)
「虎穴だ」(トーマ)
この間がたまらない。
「オレたちは、おまえを信じてここまでついてきた! だったらお前も、オレたちを信じろ! それが男だ!!」(大)
「……じんじまふ」(ゴツモン)
「何だかうやむやのうちに丸くおさまったわ!」(淑乃)
「僕の頭脳をもってしても解析不能だ…」(トーマ)
特に浦沢脚本っぽい箇所です。長セリフとか。
ところでゴツモンが泣いたは大の剣幕に押し切られたのか、男気に惚れたのかどっちなんでしょう。やっぱり後者?
トーマのセリフでは「このリハクの目をもってしても」という言葉が頭に浮かびましたが無視することにします。
「何がロイヤルナイツだ…! なにが神だ! 世界が滅びようって時に、てめぇらの神様はいったい何してやがる!!
世界を救えもしねぇヤツが神を……神を名乗ってんじゃねえええええええええ!!」(大)
その言葉、あらゆるジャンルの自称“神”へ叩きつけてやってください兄貴。
しかしまぁ……あのロイヤルナイツに喧嘩売るんなら、このくらいじゃなきゃいけないのかもしれないなあ。
何かミョーに納得してしまいました。
「兄貴すげえ!!」(シャイングレイモン)
このあたりの流れがまんま22話でゲラゲラ笑いました。しかも今度は自力で押し返してますからね。
舎弟と同じように兄貴もパワーアップしているということか。
「情けないぞクレニアムモン。お前がここまで翻弄されるとはな…!」(デュークモン)
おそらく多くのファンが喝采をもって迎えたであろう第一声。
あの偉そうな態度も、野沢さんだとなぜか許せちゃいます。
「ぶれい者! このお方をどなたと心得る! 恐れ多くも先の副将軍、水戸光圀公であらせられるぞ!」(デュークモン)
「な、なんだってー!!」(セイバーズ一同)
ごめんなさい。
★次回予告
隊長、お久しぶりです。
なんか卵焼きが見えたんですが一度人間界へ撤退なんでしょうか? うわぁ、格好がつかねえ。
スレイプモンと隊長が体を張って活路を開くのが後半の展開に? でも、同行してくれないと戦力比が厳しいんですが…。